ドイツ船舶博物館の中を見た後は、館外の博物館港に展示されている潜水艦、Wilhelm Bauerを見学することにした。この潜水艦は技術博物館として公開されており、内部を見ることができる。

 

 

 

潜水艦を前から見たところ

Wilhelm Bauerは第二次世界大戦末期の1945年に自沈したドイツ海軍のXXI型潜水艦(艦名U2540)である。それ以前の攻撃型潜水艦と比べて桁外れの速度で水中航行し、完全潜水状態での攻撃が可能な画期的技術で、当時、最も危険な兵器だった。幸い、実際に出撃することなく沈められ、戦後引き上げられた後、調査船として使われた。現在は博物館船として一般公開されている。

潜水艦の前先端に入り口があり、中に入ると船首の部分に潜水艦の仕組みなどに関する展示がある(潜水艦の内部構造)。展示の最初には、以下のような文面があった。

 

潜水艦Wilhelm Bauerは無害な技術遺産ではありません。この潜水艦は、古い技術への郷愁に浸るためではなく、技術の利用について冷静に考えるために展示しています。歴史と意識的に向き合い、事実を明確に提示することで批判的な検証が可能となります。

この潜水艦そのものが戦争で実際に使われたわけではないが、こうした攻撃型潜水艦は殺戮の道具であり、中に入って無邪気にはしゃぐような物ではない。

船首の先端部分は魚雷を格納するスペースとなっている。

一通り展示を読んだ後、中に入った。

船首から奥への入り口

艦長室

兵士の寝床

バッテリー

酸素ボンベ

ずっと奥まで入れる

ペリスコープ(潜望鏡)

 

技術の発展は素晴らしいことだが、技術系の博物館では技術開発のモチベーションが往々にして軍事であるという事実に向き合わされる。また、このような潜水艦に乗った兵士の心理などを想像して、なんとも重苦しい気分。でも、潜水艦が沈む仕組みなどは純粋に興味深いし、潜水艦の中を見る機会など滅多にないので、入ってみて良かった。