(この記事は以前、他の場所で公開していた2019年6月のパナマ旅行記をリライトしたものです。)
ボケテ高原で1週間、コロン島で1週間を過ごした後、再びパナマシティへ戻って来た。今回の旅行は3週間の日程で、コロン島の後は太平洋側のコイバ島かカリブ海側のサンブラス諸島のどちらかへ行くつもりだった。天候などを見てどちらにするか決めようと思っていたのだが、コロン島で毎日数時間、雨に降られたので、雨季の今はパナマシティに戻ってそこから日帰りで行ける場所を訪れる方が天候に臨機応変に対応できそうだと思い、残りの日はシティのホテルに滞在することにした。
それと別に関係ないけれど、この旅行記には食べ物のことをあまり書いていないので、ここらでまとめてパナマの食べ物について書いておこう。
私は普段、食べ物にはそれほどこだわらないが、知らない土地に行ったらそこのローカルフードを味見したい。私に限らず、日本人にはご当地食に興味のある人が多いのではないかな。ところが、場所によってはローカルフードになかなかありつけないことがある。というのは、欧米観光客には知らないものより食べ慣れたものを食べたがる人が少なくないため(もちろん、人によるが)、欧米人を主なターゲットとした観光地では彼らの味覚に合わせた食事を提供しているのだ。朝食はパンにハムやチーズ、卵料理、昼や夜もハンバーガー、パスタ、ピッツァ、ステーキなどがメインだったりする。
私は欧米で洋食を食べるのは好きだけれど、アジアやアフリカやその他の地域に行ってまで欧米料理をわざわざ食べたくない。洋食の本場ではないのでクオリティがいまいちだし、その土地にはその土地の美味しいものがあるのだから。しかし、ローカルフードを出す店が見つからなければしかたがない。パナマに着いて最初に泊まったホテルの朝食はこんな感じだった。
ビュッフェ形式で、パナマの食べ物と思われるものがかろうじていくつかあったので早速試してみる。手前の皿の上の方に見える円盤状のものとフライドポテトに似た揚げ物、そしてよくわからないでんぷん質の棒状のもの。円盤状のものはトルティーヤと呼ばれる潰しトウモロコシを固めて油で揚げたもの。メキシコ料理のトルティーヤのような薄い皮状ではなく、厚くてぽてっとしている。フライドポテトのようなものはキャッサバのフライでユカと呼ばれる。味はフライドポテトに似ている。そしてよくわからないでんぷん質のものは茹でキャッサバらしい。
正直に言おう。食べてみたが、どれもあまり美味しくは感じなかった。モソモソとしていて味があまりなく、脂っこい。不味いわけではないが、この時点ではふーんという感じ。でも、この後、他の場所でこれらを繰り返し食べることになり、作りたてのものはとても美味しいと判明した。トウモロコシの粉にせよ、キャッサバにせよ、それ自体の味はニュートラルで、揚げたてはサクサク、ホクホクとして美味しいけれど、時間が経つと食感が損なわれてあまり美味しくなくなってしまう。最初の朝ホテルで食べたのは冷めていたので、いまひとつだったのだろう。
昼間は観光で忙しく、ゆっくりレストランに入って食事をする感じではなかったので、軽食で済ますことがほとんどだった。パン屋や屋台でエンパナーダというピロシキのようなものを買って食べた。小麦後の皮で具を包んで焼いたり揚げたりした食べ物で、パナマに限らず中南米の多くの国でポピュラーなスナックのようだ。
いろんな具のものがある
こちらは小麦粉ではなくトウモロコシの粉の皮のエンパナーダ。これは道端の軽食屋で揚げたてのを食べ、とても美味しかった。(でも、脂っこいので、冷めるといまいちかも)エンパナーダの具はチーズ、牛ひき肉、鶏肉が定番のようだ。
パタコンという、調理用バナナを二度揚げしたものもあちこちで食べられる。それから、ローカルフードと言っていいのかどうかわからないが、小さなスーパーは華人が経営していることが多いので、肉まんがわりとどこでも買えた。
夕食は観光客向けのレストランで食べていた。観光地ボケテ高原にはお洒落な店構えで美味しい料理を出す店が多い。が、前述の通り、洋食ばかりでちょっとがっかり。ローカルフードは料理の付け合わせに揚げたバナナやキャッサバが出てくる程度だ。でも、中南米で広く食べられているセビーチェという魚介類のマリネはほとんどのレストランで出していて、いろんなバリエーションがあり、どの店で食べてもまずハズレがなく、とても気に入った。
あるお店のセビーチェ
レストランのシーフードはとても美味しい。でも、これはローカル料理ではないのでは。せっかくパナマに来たんだから、パナマの料理がどうしても食べてみたくて、地元の人たちが行く食堂へ行ってみた。
ボケテタウンにあるローカルな食堂
カフェテリア形式だが、並んでいる料理の種類が少なく、作ってから時間がかなり経っているように見えた。後で知ったことには、パナマのローカル食堂の多くは朝ごはんと昼ごはんのみで夜は開いていないところが多いのだそうだ。ここは夜も開いていたけれど、料理はランチの残り物だったみたい。
食べたのはこんな料理。ピラフのような米料理とポークチョップ的なもの、それと焼きバナナ。んー、不味くはないけど、特別美味しいというわけでもないかな。でも、やっとローカルな食事ができたのでとりあえず満足した!
地方の現地の人たちが利用している屋台や素朴な食堂ではシーフードは見当たらず、屋台ではフライドチキンまたはグリルチキン、エンパナーダ、オハルドゥレなど、食堂では米や豆料理や肉料理を出しているようだった。全体的に揚げ物が多く、野菜料理は全然といっていいほど目にしない。
首都パナマシティではどうかというと、大都会なのでレストランはいくらでもあって、いろんな国の料理を食べることができる。そして、ハンバーガーやピッツァなどアメリカ風ファストフードの店もすごく多い。地方では感じなかったが、パナマシティでは太った人をたくさん見かけた。パナマシティには大衆食堂や屋台もたくさんあるが、内容的にはやはり揚げ物や炭水化物が中心のようだった。
パナマにはPio Pioというファストフードチェーンがある。試してみることにした。
Pio Pioで食べたグリルチキンとパタコン
パナマの代表的なスープとされるサンコーチョという鶏肉のスープ
ピラフと唐揚げ
ファストフードにしては、なかなか美味しかった。
どうにかして現地の人たちが一般的に食べているものを食べようと探した結果が以上である。どうやらパナマ人は揚げ物が大好きで野菜はあまり食べないようだ。もちろん、これはたった数週間のパナマ滞在で得た印象に過ぎず、家庭ではもっと違うものを食べているのかもしれない。だからこれはパナマ料理の解説記事ではなく、あくまでも私が食べてみたパナマのローカルフードとと考えてください。