(この記事は以前、他の場所で公開していた2019年6月のパナマ旅行記をリライトしたものです。)

滞在している場所からそう遠くないところにコウモリの棲む洞窟があることがわかったので、行ってみた。

コロン島は長さ13.6km、幅7.2kmの小さな島だけれど、道路が穴だらけで穴をよけながら運転しなければならない。また、コロン島に限ったことではないものの、犬がとても多く、必ずしも野良犬ではないが基本的に放し飼いになっていて路上をたくさんの犬が歩いている。そんなわけで、ちょっと移動するにも結構時間がかかる。

洞窟の看板があった。自然保護のために一人1ドルの入場料を払ってくださいと書いてあるが、受付は見当たらない。道路を挟んで向かいの民家からおばさんが出て来て、「洞窟?一人1ドルね」と言うのでお金を払った。「懐中電灯、ある?なければ貸すけど」「持って来ました」「中に入ってぐるっと回ると出口があるからね」。

洞窟は鍾乳洞で、下には水が流れている。

中から外を見るとこんな感じ。最初は岩づたいに進もうとしたが、ぬるぬるしていてとても滑りやすく、危険だ。諦めて水の中を歩くことにした。靴が濡れてしまうがしょうがない。でも、水は綺麗で不快さはなかった。

洞窟に入って数メートルのところで立ち止まり、頭上を見ると、

いるいる!小さめの黒いコウモリだ。

コウモリは窪んだ場所に集まっているようだ。この写真は現像の際に明るくしたので、肉眼ではこんなにはっきりは見えない。黒い塊があるなというくらいである。

野生のコウモリは何度も見たことがあるが、洞窟の中で見たのはこれが初めて。私たちの住むドイツにもコウモリがたくさん生息していて、南ドイツのカルスト地形の洞窟など、コウモリの寝ぐらになっている場所が少なくないが、コウモリの冬眠を邪魔しないように冬眠の時期には洞窟が立ち入り禁止になることが多い。コロン島のこの洞窟は年中入れるようで、熱帯だからコウモリは冬眠をしないのだろうか?ときどきコウモリがバサバサバサと飛んで、顔の横をかすめていく。寝ているところを私たちが起こしてしまったかな。

洞窟の中は蛇行しているが全長は100メートルちょっとだろうか。入り口と出口のあるトンネルのような洞窟だった。出口の少し手前に来ると、おびただしい数のコウモリがぶら下がっていた!

これはすごい、、、、。野生のコウモリを間近で数匹見られるだけでも十分だと思っていたので、ここまでの数は期待していなかった。

あとで調べたところによると、コロン島には13種ほどのコウモリが生息している。ところで、コウモリは狂犬病ウィルスに感染している場合があるので注意が必要だ。自然の中を歩くことが好きな私は破傷風などのワクチン接種を定期的に受けていて、初めての国へ行く際には、追加で受けるべきワクチンがないか確認している。

洞窟の周辺には動物に齧られた植物の実がたくさんあった。何の植物かわからないけど、食べかすが洞窟の中にたくさん落ちていたので、きっとコウモリが洞窟に入る前に食べたのだろう。

ミステリアスな洞窟を通り抜ける体験は面白かった。しかし、マジカルなパナマの自然体験はこの後もまだまだ続くのである。

 

 

(この記事は以前、他の場所で公開していた2019年6月のパナマ旅行記をリライトしたものです。)

コロン島に来るにあたってとても楽しみにしていることがあった。それは森の中のツリーハウス風の小屋に宿泊すること。旅行計画を立てているときに偶然ネットで見つけ、良さそうだったので予約しておいた。コロン島の宿は港のあるボカスタウンに集中しているが、私たちが滞在するのはタウンから少し離れたブラフビーチ付近にある。

壁のない開放的な造りで窓にはガラスもなく、網戸だけなので自然をダイレクトに感じることができそうだ。

ドイツでは聞いたことのない種類の鳥たちがさえずり、虫が鳴いている。海が近いので、潮騒も聞こえる。静寂とはとても言えない賑やかな環境だ。でも、自然の音に包まれながら眠り、朝はホエザルの吠え声で目が覚めた。気分は最高。

高い場所なので鳥たちが飛び回る様子がよく見える。キッチンから尾の黄色い大きな鳥が数羽、忙しそうに何かをしているのが見えた。「見ろ、紐みたいなのを引っ張ってるよ!」と夫が興奮して叫ぶ。

網戸越しなので画像が不鮮明だけれど、黒い大きめの鳥が植物の繊維を引っ張り出して、その繊維で何かを編んでいるようなのだ。ツリーハウスだからいきものが観察できるかな?と期待はしていたが、初っ端からこのようなものを間近に見られるとは。

何の鳥だろう?生き物の種類を特定できるように家から中米用フィールドガイドを持参していた。それによると、どうやらmontezuma oropendoraという鳥だとわかった。日本語名は「オオツリスドリ」。植物の繊維で袋を編んで巣にするらしい。残念ながら葉っぱが邪魔して巣がよく見えない。ネット検索したら、ナショナルジオグラフィックに連載記事を書いていらっしゃる昆虫研究者、西田賢司さんのオオツリスドリに関する記事に巣の画像が載っている。編んだ袋は枝にぶら下げてヒナを入れておくようだ。私なんて、手が2つ指が10本あっても編み物は得意じゃないのに、クチバシだけで編むなんてオオツリスドリは器用だなあ。

他にもいろんな鳥が飛んでいる。「ティリッタラ、ティリッタラ、ティリッタラ」と可愛い声でリズミカルに歌い続ける鳥もいる。何の鳥だかわからないけど、すごく気になる。(残念ながら、最後までその鳥の名はわからなかった)

ツリーハウスから鳥を観察したり、外に出て周辺の植物や虫を眺めるだけでもかなり楽しくてそれだけでも私は満足だ。

でも、家族がじっとしているのは退屈だ、何かしようとうるさい。近くにコウモリの洞窟があるというので行って見ることにする。それについては次の記事で。

 

 

(この記事は以前、他の場所で公開していた2019年6月のパナマ旅行記をリライトしたものです。)

前回に引き続き、私たちがパナマで訪れた野生動物保護施設について。娘がネットで調べたところ、ボケテタウン近隣のVolcánというところにもRaquel´s Arkという保護センターがあることがわかった。ボケテタウンからは車で片道1時間半くらいかかるが、娘が是非とも行きたいと言うので出かけることにした。(結果は行って良かったと思える場所だった)

マップを見ながらたどり着いた場所はこんな場所。左側に民家があり、横の塀にRaquel´s Arkとスプレー書きしてある。ここが動物保護施設?どうやって入ったらいいのかわからない。民家の窓から中を覗くと人がいたので、窓ガラスを叩いた。すると中にいた女性が、ドアは開いているから入って来いと合図するので、建物横のドアを押して敷地内に入った。

ドアを開けるとこのような池があり、その奥がテラスになっている。テラスに向かって進むと、家の中から6歳くらいの女の子が出て来た。スペイン語で「私たちは動物が見たい」と伝えると、女の子は頷いて家の中に入って行った。

そして、まもなく大きなぬいぐるみを抱えて再び出て来た。「はい、どうぞ」とぬいぐるみをこちらに渡そうとする。いや、見たいのはぬいぐるみじゃなくて、、、、と思ったら、えっ?目が動いてる?これって本物?ていうか、これナマケモノじゃないの?

びっくりしていると、オーナーのRaquelさんが出て来た。「よくいらっしゃいましたね。さあ、どうぞどうぞ。ナマケモノを抱っこしてください」といきなり!

予期せぬ展開、なにがなんだかわからない。でも、ナマケモノ可愛い!!今まで何度か野生のナマケモノを目にしたことはあるが、高い木の上にいるので下からフカフカの丸いお尻を眺めるだけで、なかなか全体像を捉えることができなかった。望遠鏡で顔を確認できれば上出来だ。そのナマケモノを間近で見られるだけでなく、抱っこできるとは。ナマケモノは嫌がる様子もなく、腕を絡ませて来る。

Raquelさんが保護しているナマケモノは二匹。私が抱いている方はかなり大きく、ずっしりと重い。もう一匹は小さく、紙おむつを当てていた。「赤ちゃんなんですか?」「いえ、二匹とも同い年で9歳ですが、種類が違うんです。小さい方は雌なので、その違いもありますね。小さい方は今日、ちょっと下痢気味で、それでオムツしてるんです」。「ナマケモノは何年くらい生きるのですか?」「30〜40年生きますよ」

とにかく可愛くてたまらない〜。

他にも動物がいるはずだが、ナマケモノが可愛すぎていつまでも抱っこしていたい。しばらく楽しんだ後、他の動物も見せてもらうことにした。

オーナーの方が二匹のナマケモノを布で包み、ベンチの背もたれに立てかけて置いた。「そろそろ寝る時間だから」。「そうやって寝かせるんですか?」「そうよ」。

ナマケモノを寝かせた後、敷地の奥へ案内してもらった。

初めて見るネコ科の動物がいる。「それはジャガランディ」。光沢のある毛並みが美しい。

家猫のように擦り寄って来た。ジャガランディを撫でていると、ラケルさんが「Don´t touch the jaguar.」と言う。え?え?ジャガーって?と振り返ると、

後ろのフェンスの向こうにはジャガーが!わ、びっくりした。「どういう経緯でジャガーを保護することになったんですか?」「ペットとして飼われていたんですよ。狭いところに閉じ込められていたのをうちで引き取ることになりました」「ペット?ジャガーをペットとして飼うことは違法ではないんですか?」「この国には、それをはっきりと禁じる法律がないのです」。

「それではサル達を見に行きましょう。うちでは若いホエザルとフサオマキザルを保護しています」。サルと聞いて喜ぶ娘。ここではケージの中に入ることができた。

ホエザルの子どもと戯れる娘

娘はエクアドルで主にサルの世話をしていたので、さすが慣れているなあ。と思って眺めていたら、後ろから誰かに髪の毛を引っ張られた。

「ちょ、ちょっと待ってよ、、、」

なぜかやたらと指を舐めたがる。でも、可愛いわ〜。ホエザルはとどろきのような大声で鳴く大型のサルである。以前休暇を過ごしたコスタ・リカのオサ半島では明け方になると怪獣のような恐ろしい鳴き声が森に響き渡った。その体験から、可愛いという存在ではないと思っていた。でも、子どもはやっぱり可愛いね。

夫はホエザル2匹とフサオマキザル1匹にまとわりつかれている。フサオマキザルは夫の頭にシラミがいないか探してくれているようだ。そしてこの直後、夫は彼におしっこをかけられた。笑

その他、ハナグマとアライグマも保護されていた。Raquelさんに「いつから動物保護活動をしていらっしゃるんですか」と聞くと、「もう20年ほどやっています。以前は中南米のあちこちを転々として活動していましたが、6年前からここに定住して保護している動物に尽くしています」と仰った。センター名のRaquel´s Arkはノアの箱舟(Noah´s Ark)をもじったものだろう。

動物保護センターというと専用の敷地や建物があるものだと思っていたので、Raquel´s Arkのように個人の自宅がそのまま保護施設という事実には驚かされたが、その分アットホームで私たちの突然の訪問にも快く対応してくれて感激だった。動物を見せてもらうのは無料だったが、感銘を受けたのでわずかながら寄付金を置いて来た。また、Raquelさん宅はAirBnBを通して部屋も提供している。野生動物と触れ合うことのできる宿なんて最高だよね。

(追記: この訪問から3年経った現在も、FacebookでRaquel´s Arkのページをフォローしている。抱っこさせてもらったナマケモノの他、現在ラケルさんが保護している野生動物についてリアルタイムで知ることができ、いつかまた訪ねていきたいなあと思う日々である)

 

 

 

(この記事は以前、他の場所で公開していた2019年6月のパナマ旅行記をリライトしたものです。)

今回の旅行では娘が滞在地の周辺情報を調べ、行きたいところを連日提案している。この日はボケテタウンに隣接するPalmiraというところにある動物保護センター、Jungla Wildlife Rescue & Rehab Centerを訪問したいと言う。

娘は動物好きで、高校を卒業してすぐ、エクアドルアマゾンにある野生動物レスキューセンター、Merazoniaへボランティアに行っていた。Merazoniaは怪我をしたり密輸されかけ保護された野生動物をケアし、また野生に戻す活動をしている組織で、娘はそこで1ヶ月半、保護されたサルや鳥、ハナグマ、キンカジューなどいろいろな動物の世話をさせてもらった。その経験から、パナマでの動物保護についても知りたいのだという。私も大いに興味があったので、見学に行くことにした。

Jungle Wildlife Center

娘がボランティアをしていたエクアドルの施設は、動物を自然に戻しやすいように施設自体がジャングルの中にあるが、ここは町外れのファームのような場所で、かなり雰囲気が違うと娘は感じたようだ。

建物の中に入ると若い男性が出て来たので、施設を見学させて欲しいと伝える。男性はボランティアスタッフの一人だった。10ユーロを払うと現在保護している動物を見せてくれるとのことで、早速、案内してもらう。どんな動物たちが保護されているのだろうか。

大きなケージではスパイダーモンキーのデイジーとピーターが保護されている。

デイジー

サルのケージには見学者は入ることができず、金網の隙間からピーナツをやるだけ。その他の動物のケージには入らせてもらうことができた。

このアライグマはペットとして飼われていたことがあり、人馴れしている。自然に還してもきっとまた人のいるところに戻って来てしまうだろうとスタッフは説明した。スタッフがドライフードの載ったトレーと水をはった金だらいをアライグマの前に置くと、両手でドライフードを少しづつすくっては水の中に入れて洗って食べていたのが可愛かった。

メガネフクロウ

クロコンドル

トゥーカン

トゥーカンは他の鳥たちと異なり、小さいケージに入れられている。娘が質問した。「この子は野生に戻す予定ですか?」センターのオーナーの女性が「ええ。そうしますよ」と答えると、娘は「飛べるように大きなケージにして、中に枝を置くなど、自然に近い環境にしないのですか?」と突っ込む。「もちろん。この子はたった今、ここに運ばれて来たばかりなの。これからこの子のために良い環境を作りますよ」

キンカジュー

オーナーの女性に案内され、物置小屋の戸をそっと開けると、中にキンカジューが寝ていた。「この子は夜行性で昼間は出かけるんだけど、昼間はなぜかいつもこの物置に入って寝ているのよね。ここが好きみたいで」

この日センターで見た動物たちの他にも、昼間は出かけて夜だけセンターに戻ってくる動物もいると聞いた。また、野生動物の他にもヤギや馬のような家畜、犬や猫もたくさん保護されている。犬は10匹ほど、猫は25匹もいるとのこと。

この馬は目が見えないが、なぜか娘に擦り寄って来た。

この犬も目が見えない。でも、他の犬と元気にじゃれ合って、楽しそうにしている。犬や猫は広い敷地の中で放し飼いになっていて、自由気ままだ。

センターのオーナーの女性はアメリカ人で、動物たちの世話はボランティアスタッフが支えている。保護されている動物たちの多くは怪我をして飛べなくなっていたり、目が見えなかったりと問題を抱えているが、よくケアされていて幸せそうだ。この動物保護施設にはとても良い印象を持った。

次の記事では、翌日見学したもう一つの動物保護施設、Raquel´s Arkを紹介する。

 

 

 

 

(この記事は以前、他の場所で公開していた2019年6月のパナマ旅行記をリライトしたものです。)

ボケテ高原3日目。この日はTree Trek Adventure Parkというところで吊り橋ツアーに参加することにした。吊り橋を渡りながらハイキングするツアーで、ネイチャーガイドさんが動植物について説明してくれるという。

現地に着き、受付でツアーに申し込もうとすると、「今、最初のツアーが出たばかりなので、次は1時間後です」と言われてしまった。1時間も待つのかあとがっかりしていたら、別の男性が隣の部屋から入って来た。受付係りはその男性と何やら話している。そして受付の人が急に言った。「やっぱり今すぐツアーできます。彼について行って」。わけがわからないが、出発できると聞いてついて行った。

「私、今日は本当はガイドの担当じゃないんですが、ちょうどヒマなので特別に案内しますよ。他の参加者と一緒の大きなグループより、あなた達だけの方がいいでしょ?」どうやらスケジュール外のプライベートツアーを通常料金でやってくださるということらしい。ついている。お願いすることにした。

ハイキングするのはLa Amistad Friendship International Parkといって、コスタ・リカとパナマにまたがり、両国が共同管理している自然公園だ。渡る吊り橋は全部で6つ。最初の橋の高さは40m、長さは135m。

怖そうに見えるかもしれないけれど、ジャングルの中は植物が生い茂っていて地面が見えないから、全く怖くない。ガイドさんがいろいろな植物や動物について説明してくれるのを聞きながらの散策はとても楽しかった。ガイドさんがいなければ気づかずに通り過ぎてしまうものばかり。但し、山を登りながら写真を撮るので精一杯でメモを取ることができなかったので、教えてもらった植物や虫の名前全部忘れてしまった。とても残念。

「この蜘蛛の巣を見てください。蜘蛛がまるで小枝のようでしょう?」なるほど擬態しているのか。面白い。

綺麗な花がたくさん咲いている。「これ、花びらがずいぶん硬いね」と花を触りながら娘が言う。「それは本当の花びらじゃないんですよ。本当の花はこっち」

歩いていると頭の上をいろんな鳥が飛んでいく。ガイドさんによると、鳥は赤、黄色、白しか認知できないので、ジャングルを歩くときにそれらの色の服を着ていると花と勘違いして鳥が寄って来やすくなるそうだ。

ガイドさんは今度は地面近くを指差した。斜面の下の方の少し窪んだところに細い透明な糸のようなものが張られている。

「これは蜘蛛の巣のようなものだけど、蜘蛛によるものではないんです。ほら、この白い細長いもの、この虫が蜘蛛のようにネバネバした糸を出しているんですよ。この虫は夜になると光ります」

ツマジロスカシマダラ (Glasswing butterfly)

うまく写真が撮れなかったが、羽がほぼ透明で向こうが透けて見える綺麗な蝶がいた。

2つ目の吊り橋を渡り終わって少し歩いたところで、ガイドさんが「上を見て。ケツァールがいますよ」と言った。目を凝らして指さされたあたりを見ると、枝の間に赤と鮮やかな青をした小さな何かがいるのが見えた。双眼鏡で見ると、本当にケツァール!?ケツァールは世界一美しい、幻の鳥と言われている鳥だ。それがそんなに簡単に見られるとは驚きである。写真を撮ろうとしたけれど、望遠レンズでも遠くてダメだった。「尾がありませんね。売り物にするために尾を切ってしまう人がいるんですよ。だから、尾のないケツァールが多いんです」

上から先に出発したハイキング客のグループが戻って来てすれ違った。「あの方達が予約したのはハーフツアーだから、3つ目の吊り橋で引き返して来たんですね。私たちは6つ全部渡りましょう」。

3つ目、4つ目と高度を上げながら吊り橋を渡って行く。4つ目の橋の高さは70m。吊り橋から見下ろすジャングルは素晴らしい。そして吊り橋から眺める滝も。

「あのオレンジの実は食べられますか?」

「あれはまだ熟していませんね。サルの好物ですよ」

「こっちは熟している」ガイドさんは一粒つまんで口に入れた。「あなた達も食べてみて」。食べてみるとそれほど甘くはなく、トマトのような味がする。でも、あ、あれっ?「後味がピリッとするでしょう?」かすかに唐辛子のようなスパイシーな後味が残った。

「あ、Black guanがいる。ほら、あそこ!」見ると、黒くて大きな鳥がいた。「あなた達、今日はずいぶんラッキーですね。バードウォッチングツアーでもblack guanはなかなか見られないんですよ」。日本語名はクロシャクケイというらしい。こちらも残念ながら写真は撮れず。

さらにいろいろなシダ植物や蘭などを見ながら歩いて行く。ふと足元に目をやると、赤いキノコが生えていた。「これ、毒キノコ?」

「そう。毒キノコです。ちょっと待って」。ガイドさんは小枝を2本拾い、キノコの赤い部分を両側から挟んでぎゅっと押した。

真ん中からパフッと胞子が出てくるのが見えた。「吸い込んじゃダメ。吸い込むと象が空を飛びますよ」「象が空を飛ぶ?幻覚を見るってことですか?」「そう、このキノコは幻覚作用のある毒キノコなんです」。あたりを見回すとあっちにもこっちにも生えている。

「あれえ?カニだ!何でジャングルにカニが?」驚く娘。「サワガニだね」と私。でも、ずいぶん高いところにまでいるんだなあ。

「さあ、一番高い場所に着きましたよ」。ここがトレイルの頂点。なんてクールな場所なんだろう!

さあ、ここからは下り坂だ。

「わ、見て。毛虫がこんなにびっしり!」「毒ありますか?」「これは毒なしだから触っても大丈夫。柔らかいですよ」。そっと触ると、毛がふわふわだ。小さなヘビやトカゲもいた。

マラカイトハリトカゲ (Sceloporus malachiticus)?

いろんなものを見てご機嫌な私たち。5つ目の吊り橋を渡っている時だった。先頭を歩いていたガイドさんが急に血相を変えて振り返った。口に人差し指を当てて「静かに」の合図をしてから吊り橋の下の茂みを指差す。「プーマがいる」。

ええっ!プーマ!?まさか、聞き間違いだよね?

「あそこ。見えますか?プーマですよ」。必死で目を凝らすが、見えない。どこ?

するとガサガサっと葉の動く音がし、茶色い大きな猫が茂みの中を走るのが見えた。呆然とする私たち。

「す、すごい、、、、」。ジャングルの奥地でもないのに、サファリツアーでもないのに、野生のプーマに遭遇するなんてことがあり得るんだろうか。信じられない。

ガイドさんもしばらく感慨深そうに橋の上に立ち尽くしている。

「あなた達は本当にラッキーですよ。私はよく一人でジャングルを散策しますが、いろんな動物を見つけることができます。でも、お客さんと一緒のときには難しい。あのプーマは多分、今夜この辺りで寝ていたんでしょう。あなた達の前に出発したグループ、途中で引き返しましたよね。もし彼らがここまで来ていたら、その時点でプーマは逃げてしまっていたと思います。だから、あなた達はラッキーだった。私がなぜプーマに気づいたと思いますか。かすかに唸り声が聞こえたんですよ」

驚きと感動で言葉が出て来ない。「ワオ、、、」と言いながら三人、顔を見合わせるばかり。ただの吊り橋ツアーだと思って申し込んだのが、記念すべき特別なものとなった。優秀なガイドさんに何度もお礼を言い、チップを多めに渡してお別れした。

ああ、本当に素晴らしい体験だった。パナマ、なんて素敵なところなんだ。

 

 

 

 

まだ9月の声を聞いていないのにすでに秋になったようなドイツである。今年の夏はなんだか短かったなあ。

私が住むブランデンブルクでは春から初夏にかけてコウノトリが多く繁殖する。ブランデンブルクで繁殖行為を終えたコウノトリたちは8月にはアフリカに向けて移動する。彼らが飛び立つ前に、コウノトリの村、リューシュテットへ行って来た。ブランデンブルクの外れにあるこの小さな村はドイツ最大のコウノトリの繁殖地でコウノトリの保護に力を入れている。アクセスが大変なのだが、ラジオで偶然、なぜこの村に多くのコウノトリが集まるのかについて聞いて、是非とも行ってみたくなったのだ。

すでに7月だったのでピークシーズンは過ぎていたが、それでも多くのコウノトリを見ることができた。コウノトリは大きな鳥だけあって、たくさんの個体が集まっている様子はなかなか壮観だった。野鳥観察は本当に楽しいなあ。

YouTubeチャンネル「ベルリン・ブランデンブルク探検隊」にスライド動画を公開したので、ご興味があったらぜひ見てください。

前回、前々回の記事でシジュウカラの育児観察についてまとめたが、今年は同時にクロウタドリの営巣も観察するチャンスに恵まれた。

以前から我が家の庭にはクロウタドリが3ペアほど出入りしていて、そのうちの1ペアが生垣の中に巣を作ることがよくあった。でも、その生垣は奥行きが2メートル以上あり、去年までは観察用カメラも持っていなかったので、巣の中を見たことはなかった。今年はその生垣を撤去したので、うちの庭にはもう巣を作らないだろうなあと思っていた。でも、垣根を取り除いた場所に花などを植える作業をしているとクロウタドリが飛んで来て、すぐそばの地面で忙しそうに虫を集めている。お隣か裏の家の庭に巣を作ったのだろうなあ。

 

ところが、5月の終わりに庭の反対側の地面にクロウタドリの卵が落ちているのを発見した。

 

こちら側にも小さい生垣がある。もしや、と思って葉をかき分けて中を覗くと、クロウタドリの巣があった。

巣には卵が1つ。そのそばの枝には割れた別の卵の殻が引っかかっている。どうやら、カラスか何かに巣を荒らされたらしい。この巣はこのまま放棄されるのだろうか。せっかく巣作りしたのに、残念だなあ。しかし、この後、休暇に出かけたりして、そのままこの巣のことはすっかり忘れていた。

旅行から帰って来て庭を見回っていると、生垣のあたりが何やら騒がしい。クロウタドリが生垣に出たり入ったりしている。あれ?ひょっとして?

覗いてみると、メスが巣に座っているではないか。そして右側にはヒナらしきものの姿が!母鳥は残った1個の卵をちゃんと温め、ヒナが生まれていたのだ。気づいた私と夫はワーワー大騒ぎ。夫が大急ぎで観察用カメラを生垣の中に取り付けた。

 

やった!これでクロウタドリの巣も観察できる。シジュウカラの観察カメラは巣箱の天井につけたから真上からの映像しか見れないが、こちらは横にカメラを設置したのでまた違うアングルから観察できるのもグッド!でも、あれれ?ヒナは2羽いるぞ。巣を荒らされた後もさらに卵を産んでいたのか。

と思ったら、4羽いた!いつの間にこんなに卵を産んでいたんだろう。

気づいたのが遅かったので、ヒナはすでにある程度大きくなっていて、最初から観察できなかったのがちょっと残念だが、みんな元気いっぱいで見ていて楽しい。それもそのはず、親鳥がすごくがんばって育てているのだ。

餌としてヒナに与える虫を集めるお母さん

 

お母さんだけじゃないよ、お父さんも超働き者。夫婦で力を合わせて4つ子育児に奮闘している。私たちがテラスに座っていると、お父さん鳥が頭上をビュンビュン飛んでせっせと餌を巣に運んでいく。そして、このお父さんはなかなか慎重で、巣に直接は飛び込まず、まず近くの別の場所に留まってあたりを見回し、誰も見ていないのを確認してからサッと生垣の中に消える。そして、子どもたちもお利口さんなのだ。母鳥も巣から離れて餌探しをすることがあったが、親がいない間は子どもたちは巣の中に頭を引っ込めて静かにじーっとしている。ふと、「オオカミと7匹の子ヤギ」の話を思い出した。悪い奴がやって来て、食べられてしまったら大変だからね。

 

ぐんぐん成長して、数日後にはこんなに大きくなった!

 

そして7月7日。私は朝から胸騒ぎがしていた。今日あたり、彼らは巣立つのではないかという気がしたのだ。なのに、その日に限ってキャンセルできない予定が入っている。出先でカメラアプリを頻繁に覗き込む余裕もなさそうだ。私が家にいない間にすべてが終わってしまうかもしれないと巣を気にしつつ、家を出た。

数時間後、夫からメッセージが入った。

「オレのビーサンの中にヒナがいる!」

「はあ?」

あああ〜!やっぱり、出ちゃった。でも、なぜ、サンダルの中に着地!?夫はこれをどうしたものかと迷ったが、そのままにしておいたら親鳥が迎えに来て一緒にいなくなったとのことである。

私は慌てて家に帰ったが、時すでに遅し。巣はもぬけの殻であった。

自動録画された映像を巻き戻して巣立ちの瞬間が映っていないかを見たところ、最後の1羽はなかなか飛び立てなかったようで、巣の縁に上がっては中に降り、また縁に上がっては降りをしばらく繰り返した後、ついに飛び出した。

 

生垣の中だから、華麗に飛び立つというより、近くの枝や葉っぱに乗りながら出ていくという感じだね。

 

こんなわけで、シジュウカラのヒナもクロウタドリのヒナも無事に巣立ち、めでたしめでたし。そして私はまた空の巣症候群に陥るのであった。

 

 

前回の続き。

いよいよ始まった、シジュウカラの子育て。

2つ目の卵はいつ孵るかなと思って見ていたが、何が良くなかったのかヒナは生まれなかった。つまり、モコちゃんの赤ちゃんは一人っ子である。去年はたくさんのヒナが成長する様子が見られたので、今回は1羽だけというのはちょっと寂しい気がした。でも、しばらく見ていたら、これはこれで観察のしがいがあることがわかった。ヒナ同士が重なり合うことがないので、その分、体の成長をよく見ることができるのだ。

最初のうちは皮膚が透けていて、体の内部まではっきり見える。非常に興味深い。でも、見ようによってはちょっとコワイ画像かもしれないので、ここにクローズアップを載せるのはやめておこう。

 

生後8日。頭が黒くなり、羽が生えてシジュウカラらしくなった。一人っ子なので、パパとママがせっせと運んで来る餌を独り占めできる。だから、グングン大きくなった。

生後9日。お座りができるように。

生後10日。ママに抱っこしてもらっていたら、パパが餌を運んで来る。大事に育てられているなあ〜。見ていると、ほのぼのしてしまう。

 

生後11日。羽ばたきの練習が始まった!いよいよ巣立ちか!?

と思ったけれど、ここからがなかなか大変だった。この子(ピヨちゃんとしよう)は発育状態はとても良いのだが、どうも甘えっ子のようなのだ。母鳥のモコちゃんは「そろそろ巣立てそう」と判断したのか、この翌日から、餌を持たずに巣箱に戻って来て、ピヨちゃんを外に誘い出すような仕草をするようになった。が、ピヨちゃんはなかなか出ようとしないのである。

生後14日目。巣箱に戻って来たモコちゃんに「ママ、ごはんちょうだい、ちょうだい!」とねだるピヨちゃん。モコちゃんは「ダメダメ」というように首を振り、我が子の前に回李、手本を見せるように飛んでみせる。しかし、ピヨちゃんは怖がって出ようとしない。モコちゃん、今度は餌を見せながら「ママと一緒に外に出られたら、これをあげるからね」とでも言うかのように説得を試みる。しかし、それもうまくいかない。延々とそれを繰り返していたら、夜になってしまった。どうやら巣立ちは翌日に持ち越しのようである。

生後15日目。ピヨちゃん、ようやく出ようという気になったのか、ときどき飛び上がってはみるのだが、やっぱり怖いようだ。兄弟がいれば、先に飛び立つ兄弟の勢いにつられて出やすいのかもしれないが、なんせ一人っ子。モコちゃんは延々と根気よく飛ぶのを促している。イヤだイヤだ、こわいもん、とグズるピヨちゃん。いやはや、子どもを巣立たせるのも大仕事だね。私もこの日は今か今かと、10分おきにカメラを覗き込んで、手に汗握っていた。

 

そして、今日もまた出ないで終わりかなあと思いかけた夕方の5時過ぎ、ついにピヨちゃんは勇気を振り絞って巣箱を出たのだった。

 

巣箱から出る瞬間を外から見ようと思っていたのだけれど、ちょうどこのとき取り込んでいてすぐには庭に出られず、気づいたらもう巣箱にピヨちゃんの姿はなかった。慌てて自動録画されていた動画を確認する。動画に残った音からして、ピヨちゃんはスムーズに飛び立ったというより、出口でジタバタしているうちに偶然飛び出せたという感じだったのではと推測する。庭に出て、それらしきヒナがいないか探してみたが、見当たらなかった。残念!でも、パパとママに守られてオークの木のどこかにいるはず。成鳥と区別がつかなくなる前に姿が見られるといいなあ。

 

というわけで、今年は1羽だけだったけれど、巣箱からシジュウカラが無事に巣立った。大家の私と夫にとっては嬉しい限りである。

 

去年、初めて庭に野鳥のための巣箱を設置し、内部にカメラを取り付けた。設置後数時間でシジュウカラが営巣を始めたので、巣作りから抱卵の様子、そしてヒナ達が巣立つまでを観察した。カメラを設置したのも野鳥の育児を観察するのもまったく初めての経験で、ワクワク、ハラハラな数週間を送った。

その一部始終をこのブログに「シジュウカラの育児観察記録」(その1からその10まであります)および「帰って来たシーちゃん、シジュウカラ2度目の営巣」(その1からその3まであります)としてまとめたところ、多くの方が読んで下さったようだ。

それにしても、野鳥の育児観察がこんなに面白いなんて!巣箱は数ユーロで市販されているので気軽に設置できる。カメラも一度用意すれば壊れるまでは使えるから、これからは毎年観察が楽しめる。よし、2021年もいくぞー!とやる気満々でシーズンの到来を待った。今年は巣箱を2つに増やし、古い方を旧館、新しい方を新館とした。それぞれの内部にカメラを取り付けて2月から観察を開始。今年はリアルタイムではブログに記録せず、一連のプロセスが終了してから手元に残った画像と映像記録、メモをもとにまとめることにしたのでリアルタイム観察の躍動感は伝わらないかもしれないけれど、以下、まとめである。

————–

結果から言うと、今年も去年同様、シジュウカラの営巣からヒナの巣立ちまでを観察することになったが、今年は去年とはだいぶ様子が違っていた。まず、なかなか本格的な営巣が始まらなかった。2月の終わりにかなり暖かい日があって、新館の方でも旧館の方でもアオガラとシジュウカラが代わりばんこに巣箱に入って中を偵察してはいた。気の早いアオガラが新館に巣材を持ち込み始めたが、数日後に冬に逆戻りしたような低気温になり、アオガラはあっさり断念。4月に入って今度は旧館でシジュウカラが営巣を始め、結構いいところまで進んだ。しかし、5月に再び寒い日が続いてこちらも中断。ニュースによると、今年の5月は30年来の寒い春だったそうだ。日が長くなって来ても昆虫の姿もほとんど見られない。これではヒナが生まれても与える餌もないだろう。私も毎日巣箱カメラを覗き込んでは何も起こらずガッカリする毎日。

しかし、ようやく気温が安定して来た5月29日、旧館でようやくシジュウカラが中断していた巣作りを再開!

営巣再開から3日目の様子

今度こそ、子育て本格開始か!?

やっぱり暖かくなるタイミングを待っていたのだろう。すごいスピードで巣が整えられ、6月3日、卵が一つ産み落とされた。

 

去年、この巣箱で営巣したシジュウカラのシーちゃんとは別のメスのようだ。うなじの白いあたりがしーちゃんとは違う感じで、巣の作り方もかなり違う。季節がズレているから手近にある巣材の種類が違うからかもしれないけれど、なんだか随分とモコモコした巣を作るなあと思って、このメスは「モコちゃん」と命名。

シーちゃんは毎朝1つづつ卵を産んだけれど、モコちゃんはそうではなく、1つ目の卵を産んでから6日目にもう一つ産んだ。そして、それきりもう卵を産まなかった。シジュウカラにしては少ない。今年の春は気候が安定しなかったことと関係があるのか、別の理由なのかはわからないが、モコちゃんは多産ではないのだった。

ここからモコちゃんは抱卵モードに入ったが、6月に入ると今度はいきなり猛暑となり、30度越えの日が続いた。巣箱の中は一体、何度あるんだろう?卵が煮えてしまうのでは?と心配になる。モコちゃんもそれを心配してか、それとも自分が暑くてとても座っていられないのか、立ち上がって上を仰ぎ見て口を開けていることが多かった。大家の私としては、エアコンつけてなくてすみませんと謝りたくなる気分である。

そして、最初の卵が産み落とされて20日が経過、卵の1つが孵った!かわいい〜!生まれたての我が子を愛おしそうに見つめるモコちゃん。モコちゃんのダンナもせっせと餌を運んで来て、夫婦力を合わせての子育てが始まった。

 

長くなったので、続きはその2に。

 

 

ドイツには「ドイツニュースダイジェスト」という在住日本人のための日本語フリーペーパーがあり、私もドイツに住むようになって以来、愛読して来ましたが、なんと最新号(Nr.1144 23 April 2021)ではバードウォッチングの特集が組まれています。

タイトルはずばり、「ドイツで始めるバードウォッチング」。

ドイツには古くから野鳥保護の伝統があり、野鳥愛好家人口が多いです。そのためバードウォッチングの情報が豊富に蓄積され、インフラも整っています。都市部にも緑が多く、どこに住んでも森が身近にあります。だから、バードウォッチングを始めるのに最適な環境なんですね。

今年は気温が低く、なかなか本格的に春になりませんが、朝は賑やかな野鳥のさえずりで目が覚めるようになりましたね。これからの季節は野鳥が一斉に巣作りをし、雛を育てます。バードウォッチングは年間を通じて楽しめますが、やっぱり春が一番!

3ページに渡る特集記事はドイツにおけるバードウォッチングの歴史、これからバードウォッチングを始めようと思う人のためのヒントやドイツで身近に見られる野鳥情報までを含む充実した、楽しいものになっていて、バードウォッチングに興味はあるけれど、どうやって始めたらいいのか、、、と思っている方にとって、とてもわかりやすいと思います。

バードウォッチングを始めてまだ日が浅い私ですが、微力ながら誌面作成のお手伝いをさせて頂きました。その際の打ち合わせで新たに知ったことも多く、ますますバードウォッチング熱が高まっている私です。

 

ドイツニュースダイジェストは日本関連のお店などに置いてありますが、オンライン版もこちらから読むことができます。

野鳥に興味がある方は是非、ご覧になってみてください。お家の周りの散歩がぐっと楽しくなりますよ!

 

以下の記事にドイツでバードウォッチングを楽しむ際のお役立ちサイトをリストアップしていますので、よろしければ合わせてご利用ください。

ドイツで野鳥観察を楽しむための情報リンク集

また、見つけた野鳥のドイツ語名はわかったけれど、日本語ではなんというの?うまく調べられないという方は、私が作成した野鳥名検索アプリ(無料でオンライン公開中です)を使ってみてください。

ウェブアプリ「ドイツの身近な野鳥 多言語辞書」を公開しました

 

これからも野鳥情報、どんどん更新していきますね。

 

 

 

去年の春、庭のオークの木に鳥の巣箱を設置し、その内部にカメラを取り付けた。巣箱を設置したらすぐにシジュウカラが中に入り、営巣を始めた。取り付けた巣箱カメラが大活躍し、スマホやその他のデバイスを通してシジュウカラの巣作りや子育てをリアルタイムで観察することができ、とても楽しかった。その一部始終は「シジュウカラの育児観察記録」として当ブログで公開している。

そこで、この冬はテラスに置いた餌台の内部にカメラを設置してみた。そうしたら、これがまたまた面白い。家の中から窓越しに餌台を眺めているだけではわからないことがカメラを通すと見えて来るのだ。餌台にはいろんな野鳥が餌を食べにやって来る。カメラを通してその様子を眺めていると、まるでレストランオーナーになった気分だ。心の中で「いらっしゃいませー!」と叫びつつ観察していたら、種によって少しづつ行動が違うことに気づいた。

 

最もよく来るのはシジュウカラとアオガラ。どちらも群れで入れ替わり立ち替わり餌台に来る。シジュウカラの方がアオガラよりもやや大きく、群れの個体数も多いけれど、異なる種と鉢合わせしてもお互いまったく気にしていない様子。酒場の顔馴染みの常連客という感じで和気藹々と(?)餌をついばんでいる。餌台にやって来る時間帯もほぼ同じだ。ただ、彼らは長居はしない。ひまわりの種をクチバシでさっと掴むと、すぐにサッと餌台を出てそばの桃ノ木の枝に止まり、種を枝に叩きつけて割って中身を食べる。食べ終わるとまたサッと餌台に飛び入り、また次の種をくわえて出て行く。その繰り返しだ。一回の滞留時間はほんの1秒くらいで、出たり入ったりを延々と繰り返している。だったらお腹がいっぱいになるまでずっと餌台にいればいいんじゃないかな。飛ぶエネルギーがもったいないと思うんだけど。でも、彼らはそういう習性ではないらしい。

 

ハシブトガラは単独で来ることが多い。この子はシジュウカラやアオガラと比べ、もうちょっとのんびりしているような気がする。

アオガラやシジュウカラ達と餌台で一緒になることも多いが、オープンな性格とみえて、けっこう溶け込んでいる。

 

ヨーロッパコマドリは別の時間帯にいつも単独でやって来る。ヒマワリの種は食べず、もっと小さい穀物をエサの山の中から探すのだが、シジュウカラやアオガラのように餌をテイクアウトするのではなく、店内でお召し上がりになる。ある程度満腹するまで餌台を離れないので、一度来ると2分くらいはとどまっている。

 

カンムリガラは滅多に訪れないので、たまに見ると嬉しい。

頭が可愛いなー

 

ゴジュウカラもおひとりさま行動が好きらしい。そして、かなり警戒心が強いのか、餌台の中央まで入って来ることは稀である。窓の縁に止まって、頭だけを伸ばして種を取るが、常に外を気にしてしょっちゅう振り返るのだ。

 

うちの庭にはイエスズメがたくさんいる。できれば彼らには餌台に近づいて欲しくなかった。数が多くていつも群れで行動するし、体も他の小鳥より大きい。しかも図太そうなイメージがあって、イエスズメが来ると他の客が来なくなるのではという懸念があった(鳥種差別、ごめんね)。イエスズメ達はしばらくの間、庭の隅のライラックの木から遠巻きに餌台を眺めていた。イエスズメだけ邪険にするのは悪いので、彼ら専用の餌台をライラックのそばに設けようかなと思っていたら、そうする前にとうとうみんなの餌台に入って来てしまった。でも、杞憂だったのか、他の鳥達が嫌がる様子はなく、今のところは平和である。よかった。

 

笑ったのはクロウタドリ。クロウタドリはサイズクラスが全然違う。そもそも餌台などには入らず地面の虫などを食べるのだと思っていたが、他の鳥達が餌台を盛んに利用しているのを見て自分も入りたくなったのだろうか。大きな図体で無理やり入って来た。でも、小さな鳥達と違い、窓からスッとスマートに飛び込むことは難しい。へたをすると壁に激突しかねない。窓の外でハチドリのように必死に羽をバタバタさせたがうまく入れず、諦めて地面に降りる姿も目撃した。

 

残念なのは、去年来たシマエナガが今年は一度も姿を現さなかったこと。つぶらな瞳の可愛い姿を見せて欲しかったなあ。

これは去年の写真

 

でも、その代わりに去年は見かけなかったマヒワがやって来た。

 

「〇〇鳥は云々」と、知ったようにいろいろ書いたが、ここに書いたことはあくまでも一冬の間に我が家にやって来た特定の鳥を観察して感じたことにすぎない。たまたま、うちに来た個体がそうだっただけかもしれないのだから、種の一般的な習性だと考えるわけにはいかないよね。でも、観察って面白いなあ。カメラには映像自動保存機能が付いているので、長期的に観察すれば何かがわかって来るかもしれない。野鳥カメラにこんなに楽しませてもらえるとは想像していなかった。最近まで野鳥には関心も知識も全然なかった夫も、「こんなに面白いとはね。なんでもっと早くやらなかったんだろう」と言っているくらいなのだ。

さて、そろそろまた鳥達の繁殖の季節だ。巣箱へのカメラ設置は完了した。また小鳥の子育てが見られるかな?

 

 

身近な環境や旅先で野生動物を目にするのが私の近年の大きな楽しみの一つである。あまりに楽しいので、気候変動や環境破壊によって野生動物が減ってしまうのは辛い。なにか少しでもできることないかなーと思って、昨年(2020)の2月から3月にかけて、自然保護団体BUNDの主催するヨーロッパヤマネコのモニタリングプロジェクトに参加した。それがなかなか楽しく、また、たまたまコロナ対策のロックダウン期間と重なったため良い息抜きになった。それで今年もまた参加することに。

 

Foto: Wikimedia Commons
Michael Gäbler

 

ヨーロッパヤマネコのモニタリングとはなんぞや?

簡単に説明すると、ドイツ国内のヨーロッパヤマネコ(学名Felis silvestris)の分布を把握するためのサイエンスプロジェクトである。ヨーロッパヤマネコはかつてヨーロッパ全域に分布していたが、18世紀以降、個体数が激減し、大部分の場所で絶滅に瀕していた。しかし近年は一部の地域で再び個体数が増えつつあり、ドイツ国内には現在、6000〜8000個体が生息すると推定されている。ドイツ西部から中部にかけて特に多く、次第に生息地を広げているが、私が住んでいるブランデンブルク州にはまだ到達していないと考えられていた。

ヨーロッパヤマネコの生息に適した森  出典: https://www.bund.net/themen/tiere-pflanzen/wildkatze/

 

ところが2019年のある日、ブランデンブルク南西部のLuckenwaldeという町付近を移動中のある人が、車に轢かれた猫の死骸を道路脇に見つけた。猫にしてはいやに大きいなと不思議に思って車を停め、死骸をよく見たところ、ふさふさの大きな尻尾に黒いリング状の模様がある。もしやこれはヤマネコでは?その人は死骸の写真を撮り、地元の自然保護団体に連絡した。専門家の鑑定の結果、それはヨーロッパヤマネコだった。

ヨーロッパヤマネコはブランデンブルク州にも到達している!

この新事実をきっかけに、BUNDは2020年からブランデンブルク州でもヨーロッパヤマネコのモニタリングを開始した。プロジェクトには誰でもボランティアとして参加できる。面白そうなので私も参加することにしたのである。

ヨーロッパヤマネコのモニタリングは1月末〜3月にかけて実施される。雄がこの時期に繁殖相手を探して広範囲を移動するからだ。ヨーロッパヤマネコはセイヨウカノコソウ(ヴァレリアン、ドイツ語ではBaldrian)の匂いを好むので、森の各所の地面にセイヨウカノコソウのエキスをスプレーした木の杭を打ち込んでおく。杭のあるところをヤマネコが通れば、きっと杭に体を擦り付けるだろう。そうすれば、杭表面に毛が引っかかる可能性がある。プロジェクトの参加者は定期的に杭を点検に行き、観察結果をBUNDに報告する。

杭は金ブラシで表面をガサガサにし、ナイフで角に傷をつけて毛が引っかかりやすいようにする。表面をバーナーの火で焼いて殺菌し、それからセイヨウカノコソウのエキスをスプレーする。

1週間〜10日に一度、杭を点検。毛が付着していないかどうか、ルーペで確認する。

もし、毛が付着していたらピンセットで取って専用の袋に入れる。地域、杭の番号、日付、毛の本数を記入してDNA鑑定のためにラボに送る。

2019年度、私は4本の杭を担当し、何度か毛を採取することができたが、DNA鑑定の結果は残念ながらヤマネコのものではなく、キツネの毛だった。でも、プロジェクト全体では複数箇所でヨーロッパヤマネコの毛が見つかり、2018年に死骸となって発見された個体以外にもブランデンブルク州にはヤマネコが存在することが判明した。それで、さらに本格的に分布を調べるため、今年度(2021)もモニタリングが実施されるのだ。今年は私の夫も一緒にやると言うので、今回は思いきって10km x 10kmのエリアを2人で担当することにした。打ち込む杭は全部で10本。地図を見て、ヤマネコが移動しそうな場所を考えつつ、場所を決めていった。

こんなルートにした

 

ところが、さあやるぞと張り切っていたら大雪が降って、地面が真っ白になってしまった。去年の2月は暖かかったので楽だったが、雪の中の巡回はちょっと大変そう。でも、森に入ってみると、雪が積もっているからこその面白さがあると気づく。森の中は動物たちの足跡だらけなのだ。

1本の杭を打ち込んだ場所は動物たちの交差点になっていることがわかった。昼間でも森の中で野生動物に遭遇することはよくあるし、夜にはたくさんの動物が活動すると知ってはいたけれど、本当にどこもかしこも足跡でいっぱいなのを見ると、森にはたくさんの動物たちがいるんだなあと実感する。逆に言えば、森がないと多くの動物たちは生きることができないってことだよね。

杭のすぐ横をウサギが擦り抜けていっている。立ち止まった様子はない。ウサギはセイヨウカノコソウには興味がないみたいだね。

でも、残念ながら毛はついていなかったので、またセイヨウカノコソウをスプレーしておく。

 

そうそう。ヤマネコと直接関係ないけれど、面白いことがあった。モニタリング開始前、杭の設置位置を決めるために森の中を歩いていたら、地元の猟師さんの車が通りかかって「こんなところで何をしている?」と聞かれた。BUNDのヤマネコ調査に参加していると説明すると、「あー、ヤマネコね。この辺、いるよね」と猟師さんはこともなげに言うのである。

「え、本当ですか?野良猫じゃないんですよね?」

「いや、あの尻尾はヤマネコだよ。毎晩来てるよ。あっちの方」

私と夫は顔を見合わせ、「よし、そこに杭を打ち込んで来よう」と目くばせした。テンション上がるなー。

「この辺、オオカミもよく出るんだよね」

「ええ?」

なんかちょっと出来過ぎな感じがするが、相手は猟師さん。デタラメを言うとも思えない。

 

猟師さんに教えてもらったあたりに杭を打ち込みに行くと、すぐそばの湖の凍った表面を動物が歩いた跡があった。

「大型犬っぽいね」と夫が言うが、飼い主が一緒に歩いた形跡はない。こんな人里離れた森の奥の湖を犬が歩くかなあ?

「もしかしてオオカミ!?」

まさかねー。早とちりはやめておこう。

 

その2週間後、森を巡回中、全く同じ場所でまた同じ猟師さんに遭遇した。

「どうだ?ヤマネコは見つかったか?」

「いえ、まだです」

すると猟師さんは言った。

「今、オオカミのフンを拾って来たよ」

「ええ?」

「見る?」

バケツに入ったオオカミのフンとやらを見せてもらう。(不快な画像、すみませんが、証拠写真と言うことでご了承ください)

「ん?これ、犬のフンではないんですね?」

「オオカミのだよ。シカの毛や骨が混じっているだろう?」

へえーっ。

「あいつら、いつも4、5匹でウロついてるよ。犬と変わらない感じで、かなり近くまで来る」

オオカミの存在が急にリアルになった。ブランデンブルク州でオオカミが増えているのは知っていたけど、そんなに身近な存在になっているとは。

 

今年のモニタリングはまだ始まったばかりで、今のところ、ヤマネコの痕跡は見つかっていない。でも、森の中にはいろんな情報が詰まっていて面白い。

 

 

パンデミックでロックダウンが続くドイツ。遠出できないし、できることも限られているので、相変わらず庭や家の周辺での野鳥観察をする毎日である。見分けられる種が増えるにつれ、ますます楽しくなって来る。

先日、こちらの記事でドイツでよく見られる野鳥の名前の日独英学名対照表をシェアしたけれど、表形式だとデータが増えるとスクロールして知りたい鳥の欄を見つけるのが大変になるから、あまり実用的ではないかなあと思っていたところ、年末年始に帰省した息子がPythonというプログラミング言語の基礎を手解きしてくれた。特に目的もなく暇潰しに教わったのだが、せっかくだから何かに使えないかなと考えて、せっかく野鳥の名前の対照表を作ったのだから、それを使って簡単な検索プログラムができないかな?と思いついた。

息子に怒られつつ作ったプログラムをようやく公開することができた。

ドイツの身近な野鳥 多言語辞書

(↑ クリックすると、アプリが開きます)

 

初めてプログラミングで作ったプログラムなのでとてもシンプルで、野鳥名を日本語、英語、ドイツ語及び学名で検索するだけのもの。こんなふうに使えます。

 

 

たとえば、私は昨日、野原で猛禽類を見つけて写真を撮り、NABUの鳥識別アプリNABU Vogelweltで調べて「Turmfalke」という種らしいということがわかったので、検索窓にTurmfalkeと入力。そして「調べる」ボタンを押すと、

このようにそれぞれの言語での名前と学名が表示される。ただこれだけなんだけど、ドイツで野鳥を見かけてドイツ語での種名がわかっても、日本語で何と呼ぶのか調べるのは結構面倒だったりするので、作ってみました。逆に和名はわかっているけどドイツ語でなんと呼ぶかわからないときにも使える。今のところ登録してある種は200種で、ドイツ全国でよく見られる種はほぼカバーしているつもり。

ただ、この辞書、使い方にちょっと注意点があって、私がエクセルに登録した表記法そのものじゃないとヒットしないのである。日本語の鳥名は必ずカタカナで、ドイツ語と英語の名前は最初の文字を大文字で入力する必要があります。

この辞書はPythonでコードを書いて作ったデスクトップアプリ(私のPC上でしか使えないプログラム)をStreamlit sharingというサービスを使ってウェブアプリ化して公開している。デスクトップアプリでは、野鳥団体NABUのサイトのそれぞれの鳥に対応するページに飛んで画像を見ることができるようにしたのだけれど、それをウェブアプリ上ではうまく反映させられなかった。なので、とりあえず画像検索機能なしで公開することにした。

今後やりたいことは、

  1. それぞれの野鳥の画像も検索できるようにする。
  2. 現在はドイツ国内で見られる野鳥に限定しているが、範囲をヨーロッパ全体に拡大して、スペイン語やフランス語など他の言語でも検索できるようにする。
  3. 野鳥だけでなく、野草とか昆虫とかいろんなカテゴリーの多言語辞書を作る。(息子には「魚や野菜の辞書を作ってよ」と言われた)

 

少しづつ、使えるものを作れるようになればいいなと思っている。気長にやろう。

 

 

ドイツの身近な野鳥が少しづつ見分けられるようになって来た。

目にしたり鳴き声を聞いた野鳥を図鑑やアプリで調べるが、そうした資料はドイツ語なので、ドイツ語の種名だけでなく日本語ではなんと呼ばれているのかが知りたくなる。幸い、野鳥図鑑や野鳥識別アプリにはラテン語の学名も併記されているので、そこから和名を調べることができる。

でも、調べてもメモしないと、すぐに忘れちゃうんだよね。

同じものを何度も何度も調べるのはバカらしいので、エクセルで表を作ることにした。ついでなので英語名も調べて書いておこう。もし、このマイブームがさらに高じてドイツ以外の国でも野鳥観察をするようなことにでもなれば、世界のバードウォッチャーと情報交換する際に英語名を知っていると何かと便利だろうから。画像欄には野鳥保護団体NABUのサイトの種別ページリンクを貼って、ワンクリックで飛べるようにした。

とりあえず、身の回りで確認した種を中心に100種。興味のある方がいるかもしれないので、ここに貼っておこう。今後、表をアップデートしたらその都度差し替えます。

お願い: もし、間違いがありましたら、お手数ですがご指摘頂けると大変助かります。

 

ドイツ語 英語 日本語 学名 画像 (NABUのサイトより)
Alpenstraundläufer Dunlin ハマシギ Calidris alpina https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/alpenstrandlaeufer/
Amsel Common blackbird クロウタドリ Turdus merula https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/amsel/
Bachstelze White wagtail ヨーロッパハクセキレイ Motacila alba https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/bachstelze/
Blässhuhn Eurasian coot オオバン Fulica atra https://nrw.nabu.de/natur-und-landschaft/landnutzung/jagd/jagdbare-arten/wasservoegel/04508.html
Blaukehlchen Bluethroat オガワコマドリ Luscinia svecica https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/blaukehlchen/
Blaumeise Eurasian blue tit アオガラ Cyanistes caeruleus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/blaumeise/
Blessgans Greater white-fronted goose マガン Anser albifrons https://nrw.nabu.de/natur-und-landschaft/landnutzung/jagd/jagdbare-arten/wasservoegel/04839.html
Buchfink Common chaffinch ズアオアトリ Fringilla coelebs https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/buchfink/
Buntspecht Great spotted woodpecker アカゲラ Dendrocopos major https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/buntspecht/
Dohle Western jackdaw ニシコクマルガラス Corvus monedula https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/dohle/
Eichelhäher Eurasian jay カケス Garrulus glandarius https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/eichelhaeher/
Eisvogel Common kingfisher カワセミ Alcedo atthis https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/eisvogel/
Elster Eurasian magpie カササギ Pica pica https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/elster/
Fasan Common Pheasant コウライキジ Phasianus colchicus https://nrw.nabu.de/natur-und-landschaft/landnutzung/jagd/jagdbare-arten/weitere-vogelarten/05322.html
Feldlerche Eurasian skylark ヒバリ Alauda arvensis https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/feldlerche/
Feldsperling Euraisan tree sparrow スズメ Passer montanus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/feldsperling/
Flussregempfeifer Little ringed plover コチドリ Charadrius dubius https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/aktionen-und-projekte/vogel-des-jahres/1993-flussregenpfeifer/index.html
Gänsesäger Goosander カワアイサ Mergus merganse https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/sandregenpfeifer/
Gartenbaumläufer Short-toed tree creeper タンシキバシリ Certhia brachydactyla https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/gartenbaumlaeufer/
Gartenrotschwanz Common redstart シロビタイジョウビタキ Phoenicurus phoenicurus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/gartenrotschwanz/
Gelbspötter Icterine warbler キイロウタムシクイ Hippolais icterina https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/gelbspoetter/
Gimpel Eurasian bullfinch ウソ Pyrrhula pyrrhula https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/gimpel/
Girlitz European serin セリン Serinus serinus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/girlitz/
Goldammer Yellowhammer キアオジ Emberiza citrinella https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/goldammer/
Graugans Greylag goose ハイイロガン Anser anser https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/graugans/
Graureiher Grey heron アオザギ Ardea cinerea https://nrw.nabu.de/natur-und-landschaft/landnutzung/jagd/jagdbare-arten/wasservoegel/06747.html
Großtrappe Bustard ノガン Otididae https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/grosstrappe/
Grünfink, Grünling European greenfinch アオカワラヒワ Carduelis chloris https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/gruenfink/
Grünspecht Eurasian green woodpecker ヨーロッパアオゲラ Picus viridis https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/gruenspecht/
Habicht Northern goshawk オオタカ Accipiter gentilis https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/habicht/
Halsbandschnäpper Collared fly catcher シロエリヒタキ Ficedula albicollis https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/halsbandschnaepper/
Halsbandsittich rose-ringed parakeet ワカケホンセイインコ Psittacula krameri https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/halsbandsittich/
Haubenmeise European crested tit カンムリガラ Lophophanes cristatus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/haubenmeise/
Haubentaucher great crested grebe カンムリカイツブリ Podiceps cristatus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/haubentaucher/
Hausrotschwanz Black redstart クロジョウビタキ Phoenicurus ochruros https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/hausrotschwanz/
Haussperling House sparrow イエスズメ Passer domesticus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/haussperling/
Heringmöwe lesser black-backed gull ニシセグロカモメ Larus fuscus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/heringsmoewe/
Höckerschwan Mute swan コブハクチョウ Cygnus olor https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/hoeckerschwan/
Kanadagans Canada goose カナダガン Branta canadensis https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/kanadagans/
Kernbeißer Hawfinch シメ Cocothraustes cocothrautes https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/kernbeisser/
Kiebitz Northern lapwing タゲリ Vanellus vanellus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/kiebitz/
Kleiber Eurasian nuthatch ゴジュウカラ Sitta europaea https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/kleiber/
Kohlmeise Great tit シジュウカラ Parus major https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/kohlmeise/
Kormoran Great cormorant カワウ Phalacrocorax carbo https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/aktionen-und-projekte/vogel-des-jahres/11608.html
Kranich Common crane クロヅル Grus grus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/kranich/
Kuckuck Common cuckoo カッコウ Curculus canorus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/kuckuck/
Lachmöwe black-headed gull ユリカモメ Chroicocephalus ridibundus https://nrw.nabu.de/natur-und-landschaft/landnutzung/jagd/jagdbare-arten/wasservoegel/04834.html
Löffler Eurasian spoonbill ヘラサギ Platalea leucorodia https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/loeffler/
Mandarinente Mandarin duck オシドリ Aix galericulata https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/mandarinente/
Mauersegler Common swift ヨーロッパアマツバメ Apus apus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/mauersegler/
Mäusebussard Common buzzard ヨーロッパノスリ Buteo buteo https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/maeusebussard/
Mehlschwalbe Common house martin イワツバメ Delichon urbica https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/mehlschwalbe/
Mittelsäger Red-breasted merganser ウミアイサ Mergus serrator https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/mittelsaeger/
Mönchsgrasmücke Eurasian blackcap スグロムシクイ Sylvia atricapilla https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/moenchsgrasmuecke/
Nachtigall Common nightingale サヨナキドリ Luscinia megarhynchos https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/nachtigall/
Nebelkrähe Carrion crow ズキンガラス Corvus cornix https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/nebelkraehe/
Neuntöter Red-backed shrike セアカモズ Lanius colluri https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/neuntoeter/
Ortlan Ortolan bunting ズアオホオジロ Emberiza hortulana https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/ortolan/
Pirol Eurasian golden oriole ニシコウライウグイ Oriolus oriolus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/pirol/
Rabenkrähe Carrion crow ハシボソガラス Corvus corone https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/rabenkraehe/
Rauchschwalbe Barn swallow ツバメ Hirundo rustica https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/rauchschwalbe/
Rebhuhn grey partridge ヨーロッパヤマウズラ Perdix perdix https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/rebhuhn/
Ringelgans brant コクガン Branta bernicla https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/ringelgans/
Reiherente Tufted duck キンクロハジロ Aythya fuligula https://nrw.nabu.de/natur-und-landschaft/landnutzung/jagd/jagdbare-arten/wasservoegel/05891.html
Ringeltaube Common wood pigeon モリバト Columba palumbus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/ringeltaube/
Rotkehlchen European robin ヨーロッパコマドリ Erithacus rubecula https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/rotkehlchen/
Rotmilan Red kite アカトビ Milvus milvus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/rotmilan/
Saatgans Bean goose ヒシクイ Anser fabalis https://nrw.nabu.de/natur-und-landschaft/landnutzung/jagd/jagdbare-arten/wasservoegel/04696.html
Säbelschnäbler Pied avocet ソリハシセイタカシギ Recurvirostra avosetta https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/saebelschnaebler/
Sandregenpfeifer Common ringed plover ハジロコチドリ Charadrius hiaticula https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/sandregenpfeifer/
Schellente common goldeneye ホオジロガモ Bucephala clangula https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/schellente/
Schnatterente Gadwall オカヨシガモ Mareca strepera https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/schnatterente/
Schreiadler Lesser spotted eagl アシナガワシ Aquila pomarina https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/schreiadler/
Schwanzmeise Long-tailed tit エナガ Aegithalos caudatus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/schwanzmeise/
Schwarzstorch Black stork ナベコウ Ciconia nigra https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/schwarzstorch/
Seeadler white-tailed eagle オジロワシ Haliaeetus albicilla https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/seeadler/
Silbermöwe European herring gull セグロカモメ Larus argentatus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/silbermoewe/
Silberreiher Great egret ダイサギ Ardea alba https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/silberreiher/
Singdrossel Song thrush ウタツグミ Turdus philomelos https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/singdrossel/
Sommergoldhähnchen Common firecrest マミジロキクイタダキ Regulus ignicapilla https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/sommergoldhaehnchen/
Sperber Eurasian sparrowhaw ハイタカ Accipiter nisus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/sperber/
Sumpfmeise Marsh tit ハシブトガラ Poecile palustris https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/sumpfmeise/
Star Common starling ホシムクドリ Sturnus vulgaris https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/star/
Stieglitz European goldfinch ゴシキヒワ Carduelis carduelis https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/stieglitz/
Stockente Mallard マガモ Anas platyrhynchos https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/stockente/
Straßentaube Feral pigeon ドバト Columba livia f. domestica https://berlin.nabu.de/stadt-und-natur/lebensraum-haus/arten/vogelarten/16064.html
Tannenmeise Coal tit ヒガラ Periparus ater https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/tannenmeise/
Teichralle, Teichhuhn Common moorhen バン Gallinula chloropus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/teichhuhn/
Trauerschnäpper European pied flycatcher マダラヒタキ Ficedula hypoleuca https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/trauerschnaepper/
Turmfalke common kestrel チョウゲンボウ Falco tinnunculus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/turmfalke/
Türkentaube Eurasian collared dove シラコバト Streptopelia decaocto https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/tuerkentaube/
Uferschwalbe Sand martin ショウドウツバメ Riparia riparia https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/uferschwalbe/
Uhu Eurasian eagle-owl ワシミミズク Bubo bubo https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/uhu/
Waldkauz Tawny owl モリフクロウ Strix aluco https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/waldkauz/
Weißstorch White stork シュバシコウ Cironia cironia https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/weissstorch/
Wiederhopf Eurasian hoopoe ヤツガシラ Upupa epops https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/wiedehopf/
Wintergoldhähnchen Goldcrest キクイタダキ Regulus regulus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/wintergoldhaehnchen/
Zaunkönig Eurasian wren ミソサザイ Troglodytes troglodytes https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/zaunkoenig/
Zilpzalp Common chiffchaff チフチャフ Phylloscopus collybita https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/zilpzalp/
Zwergsäger Smew ミコアイサ Mergellus albellus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/zwergsaeger/

自宅の庭でバードウォッチングをしよう!と思い立ってから1年が経過した。それ以前にも庭で野鳥の姿を目にすることはよくあったのだけれど、真剣に見たことはほとんどなかった。真っ黒でクチバシが黄色く、ひときわ歌声の良いクロウタドリ(Amsel)だけはさすがに認識していたが、他の鳥はどれが何なのか、さっぱりわからない。だって、鳥ってやたらと種類がいるしねえ。

クロウタドリ(Amsel)

 

鳥に疎い私であったが、おととし休暇でパナマを訪れ、多くの美しい野鳥を見たのがきっかけで(わいるどパナマ観光)、突如、野鳥ファンになってしまった。そう、私はちょっときっかけを与えられると、どハマりするたちなのである。

ドイツにだって野鳥はたくさんいる。まずはドイツの野鳥が知りたい。そうだ、手始めに庭に来る野鳥を観察しようと決め、どのように始めたのかについては、以下の過去記事に記した通りである。

→  ドイツのネイチャーツーリズム2 自宅の周りでバードウォッチング

→  シジュウカラの育児観察記録その1 巣箱の設置 (シリーズでその10まであります)

始めてみると、これが思いのほか楽しくて、今ではすっかり趣味として定着した感がある。1年間観察し、自宅の敷地内だけでも以下の22種の野鳥を確認できた。

アオガラ(Blaumeise) シジュウカラ(Kohlmeise) エナガ (Schwanzmeise) ズキンガラス(Nebelkrähe) スズメ(Feldsperling) イエスズメ(Haussperling) ヨーロッパコマドリ(Rotkehlchen) ゴシキヒワ(Stieglitz) ゴジュウカラ(Kleiber) クロウタドリ(Amsel) カケス(Eichelhäher) モリバト(Ringeltaube) ホシムクドリ(Star) シロエリヒタキ(Halsbandschnäpper) クロジョウビタキ(Hausrotschwanz) アカゲラ(Buntspecht) クマゲラ(Schwarzspecht) キクイタダキ(Wintergoldhähnchen) カンムリガラ(Haubenmeise) ウタツグミ(Singdrossel) マガモ(Stockente) カササギ(Elster)

2023年3月7日最終追記: さらに、アオゲラ(Grünspecht) コアカゲラ(Kleinspecht) マヒワ(Erlenzeisig)ハシブトガラ(Sumpfmeise) ヒガラ(Tannenmeise) ムナフヒタキ(Grauschnäpper) マダラヒタキ(Trauerschnäpper) アオサギ(Graureiher) ズアオアトリ(Buchfink) アトリ(Bergfink) シロビタイジョウビタキ (Gartenrotschwanz) シメ(Kernbeißer) ウソ(Gimpel)がやって来た。

我が家の周囲は森と湖なので、自宅周辺も含めるともっともっと多くの野鳥がいる。森の縁を猛禽類が飛んでいたり、森からフクロウの鳴き声が聞こえて来る。渡りの季節にはガンやツルの群れが庭の上を飛んで行く。

種を特定するには、鳥を見つけたらまず写真を撮り、それを本やネットの鳥の画像と見比べて判断する。鳥は素早いのでうまく写真が撮れないことも多いし、どうにか撮れても似たような外見の鳥がたくさんいて識別はなかなか難しい。でも、だからこその面白さがある。わかる鳥が一つづつ増えていくのは楽しい。ドイツでは野鳥観察はメジャーなので、関連書籍がたくさん出ており、ネット上にも情報がたくさんある。ほとんどはドイツ語の情報だけれど、ラテン語の学名が併記されているので、そこから和名を検索することができる。

以下は、私が野鳥観察に活用している情報リスト。

野鳥関連のドイツ語情報ソースまとめ

 

書籍

ドイツには自然観察のためのガイドブックが非常に豊富にある。中でも自然科学の啓蒙本に特化したKosmos出版のフィールドガイドは定番中の定番だ。どこの書店にも置いてあるし、野鳥関連フィールドガイドも目的別、フィールド別にたくさん出ていて、重宝である。どれも見やすく、サイズ感良く、装丁も綺麗なので眺めてるだけでもワクワクする。

  • Kosmos出版の野鳥ガイド

Welcher Gartenvogel ist das? Kosmos Basic : 126 Gartenvogel einfach bestimmen (2019)

庭によく来る野鳥126種の情報を収めたフィールドガイド。ポケットサイズで片手で持ちながらパラパラ見ることができて便利。

Welcher Gartenvogel ist das? 100 Arten beobachten und erkennen

こちらも同様に庭に来る野鳥のガイドブックで、私はこれを愛用している。掲載されているのは100種と、上のポケットガイドよりも少し少ないが、画像が大きく見やすい。ドイツの庭で見られる野鳥に関する背景情報が多く載っていて、専用のアプリ、KOSMOS Plusを使えば掲載されている鳥の鳴き声を聞くことができる。

Was fliegt denn da?

ヨーロッパの野鳥540種を収めた充実のフィールドガイド。こちらも、アプリKOSMOS Plusが使える。

Der Kosmos Vogelführer Alle Arten Europas, Nordafrikas und Vorderasiens

ヨーロッパだけでは飽き足らない!という人にはこちら。アフリカ北部と西アジアの野鳥も掲載。

Vögelbeobachten in Norddeutschland

ドイツ北部のバードウォッチングスポットを集めた詳しい〜フィールドガイド。GPS位置情報付き。

Vögelbeobachten in Ostdeutschland

上のフィールドガイドのドイツ東部エリア版。

Vögel futtern, aber richtig: Das ganze Jahr füttern, schützen und sicher bestimmen

野鳥に餌をやる際に留意すべき点について解説した本。ヨーロッパでも野鳥の個体数は激減しており、保護のため、特に冬場に庭に野鳥の餌を用意することが奨励されている。でも、その種ごとに適切な餌の与え方があって、間違ったやり方をすると逆に野鳥の健康を損ねてしまうこともある。我が家でも庭に餌台を設置しているので、この本を購入した。

  • それ以外の出版社の本

Die Vogelwelt der  Nuthe-Nieplitz-Niederung

我が家からもっとも近い野鳥保護区、Nuthe-Nieplitz自然公園で見られる野鳥の本。ベルリンの南西40kmに位置するNuthe-Nieplitzでは、特に冬場は渡り鳥がたくさん見られるので、カメラを持って散歩に行くのがとても気に入っているのだ。

Vögelstimmen: Unsere Vögel und ihre Stimmen

ボタンを押すと鳥の鳴き声が聴こえる。とっても素敵な図鑑。この本のおかげで、夏場の夜に森からよく聞こえてくる鳴き声はモリフクロウ(Waldkauz)の鳴き声だということがわかった。

Zugvögel im Wattenmeer: Faszination und Verantwortung

北ドイツ、ワッデン海に見られる渡り鳥とその保護についての書籍。9月にワッデン海へ休暇に行き、野鳥の世界に魅せられて思わず購入してしまった。専門的な内容なのでさらっと読める本ではないが、時間のあるときにじっくり読みたい。

雑誌

野鳥ファン向けの雑誌もいくつか刊行されている。プロの野鳥写真家による美しい写真と共に最新の野鳥関連情報や特集記事を読めるのが良い。

Der Falke

Vögel

ウェブサイト

  • NABU

野鳥に関する情報なら、ドイツ最古の野鳥保護団体、NABUのサイトの情報が充実している。NABUは現在は自然保護活動全般に取り組んでいて、サイトには野鳥以外の情報も多い。野鳥の情報なら、例えば以下のページが参考になる。

Vögel

NABU-Vogelporträts

Beobachtungstürme in Brandenburg(ブランデンブルク州の野鳥観察塔マップ。各州の自然保護区についても同様の情報がある)

  • ドイツ・アヴィファウニスト協会 Dachverband Deutscher Avifaunisten (DDA)

ドイツ・アヴィファウニスト連盟はドイツ全国の野鳥モニタリングプロジェクトのコーディネイトを行う包括的組織。

DDAのWebサイト

DDAの野鳥データバンク、Ornitho.deでは、ドイツ国内で観察できる野鳥の情報をほぼリアルタイムで得ることができる。(ドイツ語の他、英語、フランス語のページもあり)

Ornitho.de

  • Wikipediaにある関連ページ

ドイツの野鳥リストを科ごとに分類したリスト

List der Vögel in Deutschland

ドイツ国内の野鳥保護区リスト

Vogelschutzgebiete in Deutschland

  • 羽関連のサイト

鳥の羽から種を特定するためのサイト

Vogelfedern – eine Bestimmungshilfe

鳥の羽標本が数多く登録されているデータバンク

Featherbase

博物館

ドイツ全国の自然史博物館では、その地域に生息する野鳥の展示が見られる。私がこれまでに行った中では、以下の博物館の野鳥関連展示が特に充実していた。

Altenburg: Mauritanium

Bamberg: Naturkundemuseum Bamberg(「鳥の間」が美しい!関連過去記事はこちら

Berlin: Museum für Naturkunde

Frankfurt am Main: Senckenbergmuseum

Halberstadt: Heineanum

Hannover: Landesmuseum Hannover

You Tube

You Tube上にも野鳥関連のドキュメンタリー動画などが数多くアップされている。以下は私のお気に入り動画。

Vogelkunde mit Dr. Uwe Westpha

130種の鳥の鳴き声を真似できる鳥博士、Dr. Uwe Westphal先生がすごすぎ!!

ARTE:  Zugvogel Storch

北東ドイツでよく見られる渡り鳥、シュバシコウに関するドキュメンタリー

Arte: Die fantastische Reise der Vögel

渡り鳥に関するドキュメンタリー

アプリ

NABU Vogelwelt

NABUのドイツ野鳥識別アプリ。機能はシンプルだけどその分使いやすいので、散歩中に鳥を見かけたときなど、忘れないうちにさっと調べられて便利。無料。

Merlin Bird ID

コーネル大学が開発した世界対応のすごい無料野鳥アプリ。スマホで野鳥を撮影し、どこで見かけたのかなどいくつかの質問に答えると、種を推定して教えてくれる。種ごとの分布マップを見たり、鳴き声を聴くこともできる。このアプリで調べた野鳥のデータはデータバンクに登録されるので、コーネル大学の野鳥研究に貢献できる。

BirdNET

鳴き声を録音すると、何の鳥か識別してくれるアプリ。鳥の姿が見えないけれど声がよく聞こえるときに便利。

BirdID

鳥ゲームアプリ。野鳥の画像が表示され、種を当てる。いろいろな角度から撮った画像が使われているので、実際のバードウォッチングの練習になってよい。

野鳥インフォメーションセンター

NABU Naturschutzzentren

ドイツ全国にあるNABUの自然保護センターではそれぞれの地域の野鳥の情報が得られる。リンク先のマップが便利。

SNSアカウント

SNSで野鳥関係アカウントをフォローすると、何もしなくても可愛い野鳥の写真や動画、ニュースが流れて来るので、いつの間にか野鳥の知識が増えていく。

NABUのTwitter アカウント

NABUのInstagramアカウント

Nordrhein-Westfälische OrnithologengesellschaftのTwitterアカウント

DDA(Dachverband der landesweiten regionalen ornithologischen Verbände in Deutschland)のTwitter アカウント

Landesbund für Vogelschutz e.V. のTwitterアカウント

 

e-ラーニング

Naturguckerakademie

ドイツの野生動物について本格的に学べるNABUの無料eラーニングサイト。現在(2022年3月29日)、野鳥講座、脊椎動物講座、哺乳類講座の3つがアップされている。それぞれの講座の内容を終了すると終了証明書がメールで送られて来て、ウェビナーへの参加資格が得られる。(野鳥講座を受講しましたが、とても充実していました)

 

とりあえずはこんなところ。もっと見つけたら随時追加します。

 

 

 

野鳥観察をするようになって約1年、どうやらすっかり趣味として定着したようである。夏の間は葉っぱに隠れて鳥達の姿がよく見えず寂しかったが、これからの季節は視界を遮るものが少なく、バードウォッチングが楽しい季節だ。ブランデンブルク州には渡り鳥の休憩地がたくさんあり、私の家の近くでも冬の間は多くの渡り鳥を見ることができるのが嬉しい。でも、だんだん欲が出て来て、少し遠出をして野鳥が見たくなった。そこで、自然の好きな友人数名を誘い、ブランデンブルク州最大の野鳥の生息地として知られる自然保護区、ギュルパー湖(Gülper See)へ鳥を見に行って来た。

 

西ハーフェルラント自然公園(Naturpark Westhavelland)内に位置するこの自然保護区はドイツで最も古い自然保護区の一つで、その大きさは776ヘクタールにも及ぶ。ベルリン中心部からは北西に100km弱。最寄りの町、ラテノウで友人達をピックアップし、車でギュルパー湖に向かった。ブランデンブルク州自然保護基金(Naturschutzfonds Brandenburg)のネイチャーガイドさんによる無料の野鳥観察ツアーに申し込んであったのだ。

 

どんな鳥が見られるかな?ツルが来ているといいねと話しながら集合場所に向かう途中、運転していた夫が道路脇の畑に視線をやり、「見て!」と言う。

「あっ!ツル!」「いる!!」ツアー開始前にすでにツルを目にして興奮する私たち。

全部で何羽くらいいたかなあ。ブランデンブルクでクロヅルを目にすることは珍しくはないのだが、ここはとても数が多い。

鶴の飛ぶ姿は本当に優雅だね。

ひとしきりツルを楽しんだら、ギュルパー湖でのバードウォッチングツアーの時間になった。湖南岸の東側にある風車の下で集合し、ネイチャーガイドさんの説明を聞きながら、3時間ほどかけて南岸の堤防を歩く。ガイドさんらはギュルパー湖自然保護区の生態系とその保護活動について、たっぷりと説明してくださった。ギュルパー湖には年間を通じて多くの野鳥が訪れるが、秋から冬にかけては様々な種類のガチョウやカモ、カモメ、そしてツルの群れを楽しむことができる。

 

ギュルパー湖は車がないとアクセスが困難だという難点があるけれど、いざ湖に到着すれば視界を遮るものがほとんどなく、最高のバードウォッチングのロケーションだ。この写真は300mmの望遠レンズで撮ったもので、バードウォッチング用の双眼鏡があるとさらによく見える。友人はこのために50倍の双眼鏡を持参していたので、覗かせてもらったら最高だった。

 

突然、一羽が鳴き声を上げたと思ったら、ハイイロガンたちが一斉に空に舞い上がった。壮観!

 

ツアー最終地点の展望台に着き、眺めた景色の美しさは言葉で言い表しがたいものだった。湖の上に広がる空はパステルカラーのグラデーションに染まり、その中を隊列を組んで移動していくガチョウ達の鳴き声が響き渡っている。

暮れていく空をただただ眺め、時間が過ぎて行った。ついに日が落ちて、暗くなったので、懐中電灯で足元を照らしつつ、車のあるところまで戻る。気がついたらすっかりお腹が空いていた。

湖の近くにはレストランもカフェもないので、風車の下に設置されたテーブルに座って保温鍋に作って持参したスープを皆で飲むことにした。あたりには街灯もないので、テーブルの上部の梁に懐中電灯を引っ掛けて、その灯りだけで食事をする。いかにもアウトドア!という感じだ。長時間外を歩いて少し体が冷えていたので、あったかいスープを飲んで温まり、友人の手作りケーキを頬張りながら、「お天気に恵まれて本当に良かったね。ツルもガチョウも夕焼けも見られて、最高だねー」と言い合った。

 

しかし、感動はここでは終わらなかった。

 

ギュルパー湖は自然保護区であると同時に星空パークにも指定されている。ドイツ中で最も夜空が暗いとされるこの一帯は、西ハーフェルラント星空パーク(Sternenpark Westhavelland)として天体観測ファンの聖地なのである。定期的に天体観測イベントなども開催され、アストロ休暇を楽しむ人たちもいるらしい。この日は雲もなく、頭の上には無数の星が瞬いている。

もっとよく星を見ようと、懐中電灯を消して空を見上げた。

「うわあ、こんな凄い星空、初めて!」「天の川が見えるよ!」

暗闇の中、草むらに寝っ転がって、しばし無言で星空を眺める。その間もあたりにはガチョウ達の鳴き声が響いている。

 

(ご一緒した小松崎拓郎さんが撮影した写真)

 

この夜、私たちが満ち足りた気持ちで帰途についたのは言うまでもない。「何もない」としばしば形容されるブランデンブルク州だけど、本当はいろんなものがある。お金もかけず、こんなに豊かな体験ができるブランデンブルクはやっぱり素晴らしい。

 

小松崎さんもnoteで体験記をアップされていますので、是非あわせてお読みください。

滞独日記「ブランデンブルクは自然の宝庫。ギュルパー湖で渡り鳥達が大合唱する風景を鑑賞」

 

追記: ご一緒した佐藤ゆきさん(@yuki_sat)の記事がアップされました。こちらも是非お読みください。

満点の星空を眺める

 

 

夏もそろそろ終わり。寒くなる前にと、遅めの夏休暇に出かけて来た。行き先はかねてから行きたかったワッデン海(Wattenmeer) 。

ワッデン海はデンマークのスカリンゲン(Skallingen) からオランダのデン・ヘルダー(Den Herder)まで続く北海沿岸地域で、世界最大の干潟が広がっている。そのほぼ全域が自然保護区で、UNESCO世界自然遺産に登録されている。大部分の地域がドイツに属しており、3つの国立公園(ニーダーザクセン・ワッデン海国立公園、シュレスヴィヒ=ホルシュタイン・ワッデン海国立公園、ハンブルク・ワッデン海国立公園)から成る。今回はそのうちのニーダーザクセン・ワッデン海国立公園)を訪れることにした。

だいたい赤で囲んだあたり。超正確ではありません。

といっても、ニーダーザクセン・ワッデン海国立公園も広い。どこへ行けば干潟をもっともよく味わえるのだろうか。国立公園のウェブサイトやガイドブックを見てもいまひとつ摑みどころがなく、わからない。それに、北ドイツは天気が変わりやすく、せっかく海辺に宿を予約して行っても、天候次第ではあまり楽しめないかもしれない。そんな懸念から、とりあえずオランダとの国境に近いレーア(Leer)という町へ行き、そこからルートを考えることにした。

レーアはオストフリースラント(Ostfiresland)と呼ばれる地方の玄関口となる町で、人口は約3万4000人とこじんまりしているが、旧市街の美しい魅力的な町ですぐに気に入った。オストフリースラント地方は固有の言語と独自の文化を持ち、日常的に紅茶を飲む習慣があることで知られている。オストフリースラント紅茶の3大ブランドの一つ、Bünting社の本社はこのレーアにある。

オストフリースラント地方の人々はドイツの他の地域の人たちの10倍以上の量の紅茶を飲むそうだ。「オストフリーゼンテー」と呼ばれるこの地方オリジナルの紅茶はアッサム茶のブレンドで香り高く、普段は紅茶をあまり飲まない私もとりこになってガブ飲みしてしまった。紅茶文化が伝統として根付いているこの地方には特有の紅茶の作法がある。クルンチェ(Kluntje)と呼ばれる大きめの氷砂糖をカップに入れて熱い濃いめの紅茶を注ぎ、少量の生クリームをスプーンでそっとカップの縁に沿って入れ、かき混ぜずに頂くのがオストフリースラント式だそうだ。レーアには紅茶博物館、Bünting Teemuseumもある。オストフリースラントの紅茶文化やその他の生活文化についてじっくりと知りたいものだが、今回は文化にほとんど興味のない夫と一緒。滞在日数が限られているので、文化探索は別の機会に譲ることにしよう。

さて、このレーアを起点にDollart湾に出て、海沿いを北に向かってゆるゆるとドライブしながら観光した。赤レンガの建物の並ぶ小さな町や村、歴史的な粉挽き風車と発電のための近代的な風力パーク、大小の灯台、どこまでも広がる湿地帯と草を食む羊達。広々とした風景を見ながら移動するのは楽しい。そのままNordenという町まで行ってオストフリースラント諸島の島のどれかへ渡ろうと考えたのだけれど、天気が怪しくなって来た。また、コロナ禍がまだ収束していないため、島内のガイドツアーなどにも制限があるようだ。せっかく行くならツアーにも参加できて目一杯楽しめるときの方がいいかなと思い、今回は島は断念することにした。西へ移動し、ヴィルヘルムスハーフェン郊外のダンガスト(Dangast)という保養地に宿を取った。

ダンガストの港

Jadebusen湾に面したこのダンガストは古くからある保養地で、なかなか素敵な場所だった。Jadebusen湾の真ん中にはアンガスト灯台が立っていて、天気が良ければ海岸からその姿を眺めることができる。

うーん、曇り空で300mmの望遠レンズだとこれが精一杯、、、。

すっかり前置きが長くなった。この記事で書きたいのは野鳥についてだった。最近、バードウォッチングが新たな趣味となった私なので、ワッデン海で野鳥を見るのを楽しみにしていたのだ。ワッデン海の生物多様性は極めて高い。アザラシがたくさん棲息することでもよく知られているが、世界的な渡り鳥の拠点としても有名である。9月の初めなのでまだ渡り鳥のハイシーズンではない。だからあまり見られないかなと思ったけれど、鳥はいたるところにいた。

どこもかしこも群鳥だらけ。普段からこれだったら、ハイシーズンは一体どんだけすごいんだろ。

干潟はどこでも同じような感じかと思ったら、砂の干潟(Sandwatt)と泥の干潟(Schlickwatt)があることがわかった。Dollart湾やJadebusen湾には泥がたくさん堆積している。干潮時にダンガストの海岸を歩いてみた。

ズブズブと埋まってしまうので、転ばないように歩くのはちょっと大変だ。干潟を歩くのは当然ながら干潮時にしかできない。天気がころころと変わり、いざ歩こうと思ったタイミングで空が曇ってしまって残念だった。

こちらはその翌日に行った北東部のKooksielの海岸。砂の干潟で、足が泥に埋まることなく、わりと普通に遠くまで歩くことができる。このときは晴れていた!

天気が良いと美しい様々な砂紋が楽しめる。

ワッデン海の干潟はどのようにしてでき、どう変化していったのか。Marschlandと呼ばれる海沿いの湿地にはどんな特徴があるのか。ワッデン海にはどんな生き物が生息し、人々はどんんな暮らしをして来たのか。オストフリースラントとワッデン海の自然について、もっと知りたくなった。4泊5日の滞在では短かすぎる。オストフリースラント諸島も一つ一つ違う特徴があるようだ。

次回はたっぷりと時間を取って島にも滞在したい。北海は夏でも泳ぐには水が冷たいけれど、南欧の海辺の休暇とはまた違った感動があるね。近々また来られるといいなあ。

前回の続き。今年2度目の営巣では、産み落とされた7つの卵のうち1つは孵らないままだったものの、孵った6羽のヒナたちは成長が早く、6月19日までは全てが順調に進んでいた。気温が高いからだろうか、ヒナたちはお母さんのお腹の下でじっとせずに常に巣から頭を出していた。

生まれたての6羽の赤ちゃんを見守るシーちゃん
二日後にはこんなに大きくなっていた

ぐんぐん成長する様子を見て、きっと6羽みな無事に巣立てることだろうと思っていた。

異変に気付いたのは6月20日の朝。巣箱を除くと、ヒナの数が足りない。6羽いるはずなのに、5羽しかいない。巣の端に隠れているのかもしれないと思ったが、目を凝らしてもそれらしき姿は見られない。どういうことなんだろう?

この週末は予定があったので、巣箱が気になりながらも家を出た。予定がびっしりでスマホの巣箱アプリを開けてみる暇がほとんどなかったが、数時間ごとにちらっと確認すると、そのたびにヒナの数が減っているように見える。おかしい、、、、。何かまずいことが起きているようだ。心配な気持ちで昼間を過ごし、夜、用が済んでやっとまともに巣箱を見れるようになったときにはシーちゃんはすでに寝ていたので、その下でヒナたちがどうなっているのかを確認できなかった。

6月21日。朝起きてすぐに巣箱を見る。シーちゃんは巣箱に座っているが、ヒナは見えない。この日も終日用があって、早々に家を出なければならなかった。

午後、携帯にメッセージが入った。娘からだ。

「ヒナたち、どうしちゃったの?まさか、もう飛んでいったなんて、ありえないよね?」

まさか、と思いながらアプリを開ける。

孵らなかった1つの卵を残し、ヒナたちがすっかり消えている、、、、。

ぐんぐん成長していたとはいえ、まだ生後1週間にもならない。もちろん、羽も出来上がっていない。何者かが巣箱に侵入してヒナたちを盗んでいったのだろうか?しかし、巣穴の直径は32mmしかなく、それよりも体の大きな鳥は入れないはず。ネズミか何かが入った?仮にそうだとしても、6羽もいたヒナをシーちゃんに気付かれずに次々に運び出すのは無理だろう。

だとすると、ヒナたちは何らかの理由で巣箱の中で死に、死骸は運び出されたということになる。今年、ドイツではウイルス感染で青がらが大量に死んでいるとニュースになっていた。それと同じウイルス、または別のウイルスかバクテリアにやられたのだろうか?

いずれにしても、巣が空になっている以上、ヒナたちは全滅したと考えるほかはない、、、、、。

あまりのことに呆然となった。

その日の夜、すべての用事を済ませて帰宅してから、巣箱カメラのSDカードに保存されている自動録画を巻き戻して原因を解明することにした。ヒナたちが元気だった19日から時系列で動画を一つ一つ再生していく。その結果わかったのは、とてもショックな事実だった。

ヒナたちは、シーちゃんが餌を探しに巣箱を離れている間、巣から伸び上がるようにしながら口を大きく開けていた。巣の縁には白いフワフワとした綿のような巣材があり、ヒナたちの口は頻繁にフワフワに引っかかっていた。ときどきフワフワした巣材が口の中に入り、ヒナたちが苦しそうにもがいている様子が映っている。餌を持って戻って来たシーちゃんが口から異物を取り除いてやっている姿も見られたが、またすぐに引っかかってしまう。そして、ヒナたちは短時間の間に巣材によって次々と窒息して死んでいたことがわかった。死んでしまったヒナをシーちゃんは一羽一羽、巣の外へ運び出していた。

悲し過ぎる結末だった。ヒナたちはあんなに元気だったのに。1度目の営巣でも巣立てなかった子たちがいたが、それでも6羽が無事に巣立ったので、きっと今回もうまくいくだろうと思っていたのだけれど。

それにしても、ヒナたちが喉を詰まらせた巣材は何なのだろう?さらに悲しいことには、すべてのヒナが死んでしまった後、シーちゃんは孵らないままの最後の卵に望みをかけて一生懸命温めている。ほとんど巣箱の外に出ることなく、3日間もの間、おそらくもう孵らないであろう卵の上に座り続けていた。

ついに諦めたのか、巣から出たまま戻って来ないので、その隙に巣箱を開けて巣材を調べてみた。

フワフワした巣材は羊毛のようだ。引っ張ってみると、かなりコシがあり、簡単には引きちぎれない。なるほどこれに小さな口が引っかかったら外れないはずだ。前回の営巣ではクッションになる動物性の素材はそれほど多く使われていなかったし、猫の毛などのほぐれやすいものが主だった。

前回の巣

近所には羊は飼われていないので、どこから羊毛を集めて来たのかはわからない。良い素材だと思って使ったのだろうに、こんな結果になって本当にかわいそう、、、。また巣作りにチャレンジするだろうか。もうその素材はやめておいたほうがいいよ、と伝えられないのが残念だ。

こんなわけで、楽しみにしていた2度目の巣立ちシーンは見ることができなくなったが、自然界は厳しく、生きられるということは当たり前ではなく奇跡的なことなのだと思い知らされた。

庭のナラの木の梢からは、シーちゃんが春に育て上げた若鳥たちの声が聞こえてくる。彼らがとても貴重な存在に思える。

今の気持ちを忘れずにいよう。

5月27日に始まった、シジュウカラの今年2度目の営巣。その後の状況をまとめておこう。前回の記事はこちら

1度目よりも営巣に慣れたのか、サッサと手際よく巣を作り、6月5日に7個の卵を産み終わったシーちゃん。今回は気温も高くなっているから卵が孵るまでの日数も少な目なのかなと思っていたが、前回とほぼ同様、11日かかって6月16日に最初のヒナ3羽が孵った。

その翌日に1羽、3日目にさらに1羽。前回の子達と比べて、すごく元気がいい印象だ。小さな体が激しく動いている。

右の子、まるで駄々っ子のようで可笑しい

ところで、この動画で背後にコンコンと気を叩くような音がしているのが聞こえるだろうか。庭ではときどきアカゲラの姿を見ることがある。きっと、同じ木にアカゲラが止まって木をつついているのだろうと思い、カメラを手に外に出た。音がしているあたりを探すと、なにやらいる。けっこう、大きい。

えっ、、、、、?

あれは、、、、。

クマゲラ!?

この辺りで目にするキツツキというと、大抵はアカゲラ(Buntspecht)である。自然保護団体NABUのサイトによると、ドイツにアカゲラは68万〜90万ペア生息するとされている。だから、うちの庭にいてもそう不思議はないけれど、木の高いところにいるからなかなか写真が撮れない。ちょうどこの日の前の日についに撮影に成功したばかりだったのだ。

アカゲラ

これだけでも、バンザーイ!という気分だったのに、今度はクマゲラ(Schwarzspecht)だとぉ?クマゲラは日本では天然記念物、環境省レッドリストに絶滅危惧II類として記載されているというではないか。そんな希少な鳥がうちの庭にいるって、なんか話が出来すぎていやしないか?驚きと興奮でその場で固まってしまった。

調べてみたところ、クマゲラはドイツではそこまで珍しいわけではないらしい。でも、アカゲラよりはずっと個体数が少なく、個体数は3万1000〜4万9000ペアほど(情報ソースはこちら)。だから、見ることができたのはやっぱりすごくラッキーだ。考えてみれば、我が家は森の縁に位置しているので、鳥たちにとって庭は森の一部のようなものだ。いろんな鳥が来てもおかしくないのだなと、自分の住んでいる環境をあらためて認識した。

今の家にはもう14年も住んでいるのに、身近で起こっているこんな素敵なことをほとんど知らないまま生活して来たのかと思うと、なんだか軽くショックでもある。興味を持たないということは、楽しみを得るチャンスを逃すということでもあり、もったいないよねえ。バードウォッチング、始めてよかったよかった。

さて、シーちゃんと子どもたちに話を戻そう。

生後4日目。白黒なのは、早朝だからカメラがまだナイトモードなのだ。ヒナたちの巣からはみ出しぶりがすごいね。シーちゃんも子供たちを覆おうともしていない。前回の営巣時はまだ涼しい日が多かったけど、今は随分気温も上がっているから、ヒナたちは裸ん坊でも寒くないのかもしれない。

今年初めて庭のナラの木に赤外線カメラを取り付けた鳥の巣箱を設置したところ、シジュウカラのメスが巣作りをした。シーちゃんと名付けたその雌鶏が育児をする様子をカメラの映像を通してハラハラドキドキと見守り、「シジュウカラの育児観察記録」としてこのブログに連載したが、5月23日、寒空の中、ヒナたちは無事に巣立った。それを見届け、私のシジュウカラの観察は(一旦)幕を閉じたのだった。

コロナウイルスによる外出制限下、6週間にわたって毎日なんどもなんども巣箱を覗いていたので、いつの間にかシジュウカラのシーちゃんとそのダンナ、子どもたちは私にとってすっかり大きな存在になっていたようだ。ああ、とうとう行ってしまったか。嬉しいけど、寂しい、、、。空の巣を覗いてはしんみりする私。いつの日かまた戻って来ることもあろうかと、掃除した巣箱をふたたびナラの木に設置した。

4日後。

「もういないとわかってはいるけど、つい巣箱を覗きたくなるんだよね」と苦笑しつつ、アプリを開いた。すると、どうでしょう!

“Hallo. Ich bin wieder da!” (帰って来たよ〜ん)。なんと、シーちゃんがカメラに向かって微笑んでいるではないか!

え、え、え!?もう戻って来た?しかも、なんですか、周りにあるその素材は?もしかして、また巣作りするの?

慌てて調べたら、シジュウカラは1年に2度、3度と営巣をするのが珍しくないらしい。いや、でも、子ども達もまだまだ手がかかろうに、たった3日の育休でもう次の子を産む準備って、すごくない?シーちゃん、体力ありすぎである。

ということで、どうやらふたたび営巣を観察させて頂けるようだ。びっくりするやら嬉しいやらで笑いが止まらない。

一度営巣から巣立ちまでを一通り観察しているので、プロセスはこちらも把握している。今回は前回ほど興奮せずに落ち着いて見守ることができそうだと思ったのだが、2度目でシーちゃんも慣れているからだろうか、今回はスピードがやたらと速い。

前回は営巣に10日ほどかけていたのに、今回はちゃちゃちゃっと手際よくやって、営巣開始から2日目にはもうほぼ完成したのか、すでに巣箱の中で寝ている。はやっ!!

わっ、もう産んだっ。営巣開始からわずか3日目である。

それからはマニュアル通り、毎朝1個づつ卵を産んだが、全部産み終わってから温めモードに入った前回と異なり、今回は温めながら産み足していく方針らしい。

おなじみの抱卵姿

今回は全部で7個。前回よりも2つ少ないが、前回は9つのうち1つ孵らなかったのがあったし、孵ったヒナのうち2羽が巣立ち前に死んでしまったので、今回は少なめでむしろほっとする気分。卵までスピード孵化ということはさすがになさそうだから、ヒナが生まれるのは6/20くらいかな。

ところで、前回巣立ったヒナ達は大きくなって、元気に庭を飛び回っている。巣立ち直後のようにぽけーとはしていないので、近寄って写真を撮るのは難しくなった。どれがマルちゃんでどれがチビちゃんなのかはもう識別できないが、今朝数えたら全員いることが確認できた。池に落ちてしまって大騒動を起こしたチビちゃんも無事で良かった。

あと1ヶ月もすれば第二期生たちが加わって、我が家の庭はいっそう賑やかになるだろう。楽しみだなあ。