前回の記事では、赤外線カメラを入れた鳥の巣箱を庭の木に取り付けたら、早速シジュウカラのメス(シーちゃん)が使い始めてくれたことについて書いた。その話の続き。

巣箱の中の様子はGreen BackYard社の巣箱用カメラ、Wireless Bird Box Cameraのスマホアプリ、iCSeeで24時間観察できる。PC用ソフトウェアもあり、大きい画面でモニタリングすることも可能だ。鳥の巣作りを真上から観察するなんて、初めての経験。もう、気になって仕方なく、初日は画面開けっ放しでしょっちゅう見てしまった。

シーちゃんはコケや枯葉、細い柔らかい枝などを巣箱の中に運び込んでいるが、テキトウに投げ入れているのではなく、適切な位置に配置しているようである。長い枝をクチバシに加えて左右にシュバッ、シュバッと振り、箱の隅に沿うように器用に回して置いているのがすごい。

羽を広げて頭を材料の下に潜らせるようにグイグイグイと押して、枠を作っている。シーちゃんは巣作り何年目なのだろうか。手慣れた様子である(手はないけど)。

実際の動きは以下のような感じ。(PC上で再生したものをスマホで撮ってYouTubeに上げたものなのでクオリティが悪くてすみません)

巣作り2日目。朝8時くらいから巣作りの続きが始まった。

後に卵を抱えて座ることになる真ん中の部分はちゃんと窪んでいる。作業をするのは午前中が多く、シーちゃんは午後にはあまり巣箱に姿を見せない。

4日目。

丸3日かけて土台の部分は大体出来上がったようで、4日目からは綿や羽などフワフワした材料が運び込まれた。うちの庭にはこのような素材はないんだけど、どこから運んで来ているんだろう。巣作りの場所を選ぶときには、必要な材料が周辺にあるかどうかもチェックしてから決めているんだろうね。

ふわふわ材料を取りに行って戻って来たシーちゃん

ちなみに、巣箱を出入りするところをカメラで撮るのは結構難しい。近くの枝にシーちゃんの夫が止まって見張っていることがあり、巣の方に近づくとチチチチ!と大声を出すから。

5日目。

6日目。

だんだん巣らしくなって来た。出産ももう時期だろうか。待ち遠しいなあ。

冬の間、自宅の庭を中心に、バードウォッチングに熱中していた。完全に初心者なのだけれど、テラスに餌台を設置したところ、思いのほかたくさんの野鳥がやって来て、楽しませてくれた。

春になったので、鳥たちは私が餌を提供しなくとも、自力で食べ物を見つけられるようである。そして、春は鳥たちの恋の季節。パートナーを探す鳥たちの歌声で庭はますます賑やかだ。

我が家の自宅バードウォッチングも次のステップに進もう。今度は巣箱を用意するのだ。うまく行けば、鳥の子育ての様子を観察できるかもしれない。

と、思ったものの、どういう巣箱をどこに設置すればいいのか、よくわからない。少し調べてみたところ、鳥の種類によって巣箱の穴の適切な大きさが違うらしい。うちの庭に来る野鳥の中で一番数が多いのはアオガラ(Blaumeise)とシジュウカラ(Kohlmeise)なので、彼らの体の大きさに合わせた巣箱を用意することにした。アオガラ用は穴が直径27mmのもの、シジュウカラ用は32mmである。

しかし、これらをどこに設置すればいいのだろう?とりあえず、庭の中央にある、鳥たちに大人気のチェリープラム の木に取り付けてみる。

こんな感じ。これで2、3 日様子を見たのだが、うーん、、、どうも違う気がする。というのは、この木にはアオガラとシジュウカラ以外にもイエスズメなど他の鳥も頻繁にやって来る。庭の中央に位置することもあり、「中央市場」のような場所である。2つの巣箱が近すぎるのも良くない気がして来た。これではとても落ち着いて子育てをする環境ではないだろう。庭に巣箱を設置している近所の人にアドバイスを求めたところ、「複数の巣箱を設置してるけど、使われるのもあればそうでないのもあるね。まあ、トライ&エラーでやるしかないよね」との返答。そっかあ。そんなに簡単ではないんだね。

巣箱の数が多いほど利用率が上がるだろうからと、3つ目の巣箱を別の場所に設置することに決めた。夫が「どうせなら、赤外線カメラを入れようよ。もし、巣箱を使ってくれたら、中の様子が観察できるじゃん?」と言う。そんなにうまくいくかなあ。ま、ダメもとでやってみるか。

今回は穴の大きさ32mmのものを庭の端のオークの木に取り付けてもらった。高さがあるので、少しは鳥も安心だろう。ちなみに、巣箱の天井部分に取り付けたカメラはGreen Backyard社製のWireless Bird Box Cameraというもの。スマホアプリで巣箱の中をモニタリングできるようで良さそうだ。ちょうどディスカウントになっていたので、これにした。

でも、使ってくれるかなあ、、、。巣作りシーズンはとうに始まっているし、今年はうまくいかないかもね。と言いながら巣箱を眺めていると、夫が「1回、巣箱取り外すね」と言う。中がよく見えるように小さい横穴を開けたいそうだ。「明日にでもまた取り付けるよ。どうせそんなにすぐに使われないから、急ぐことないよね」。せっかく設置した巣箱だが、再び夫の手で取り外された。

ところが、夕方、庭で異変に気付いた私。

「ちょっと、ちょっと。巣箱があったあたりをシジュウカラが飛んでいるよ」

「え、どれどれ?」目を凝らす夫。

「なんか慌ててない?」

2羽のシジュウカラが何かを探すかのようにバタバタとオークの木の枝の周りを飛んでいるのだ。

「も、もしかして、あの巣箱を使うつもりだったんじゃない?なくなってびっくりしてるのかも?」

「ガアーーーーーーン!そんなあ!」

夫は慌てて家の中に飛び込み、巣箱を抱えて戻って来た。

「すぐに元の位置に戻さなきゃ」

そう言いながら巣箱の蓋を開けて中を見た夫は再び叫んだ。

「うわあ、もう最初のコケが投げ込まれてるよ!」

「エエエーッ!」

なんということだ、シジュウカラは夫の設置した巣箱の採用をすでに決め、巣作りを開始していたのだ。早く巣箱を元の位置に戻さなければ。大慌てて巣箱を再設置したが、シジュウカラは戻って来てくれるだろうか。「ここに巣箱があったと思ったんだけど、どっか行っちゃったね。じゃ、他の場所でもいっか」と気が変わってしまうかもしれない。ああ、どうか戻って来てくれますように!その夜は祈るような気持ちでベッドに入った。

巣箱を再設置した時の巣箱の中の様子。左下の端に写っている影が投げ込まれていたコケ

翌朝。起きてスマホを手に取り、メールチェックをした後、巣箱カメラアプリを開けてみた。すると、

コケが増えている!!!

うわーっ。増えているよ。やっぱり使ってくれるんだ!

大興奮で夫を起こす。「アプリを早く開けろ!」。画面を見た夫、一気に目が覚めたようである。「やった!間に合ったな」。こうなったら画面から目が離せない。スマホ画面を睨みながら朝ごはんを食べる。そして、数十分後、、、。

じゃあ〜ん!

巣箱の中にシジュウカラが入っているのを確認!やったあ!

シジュウカラは夫婦で巣作りの場所を探すが、決定権はメスにあり、実際の巣作りもほとんどメスがするそうだ。ということは、このシジュウカラはメスである。これから彼女の子育てを観察させてもらえることになりそうだ。しばらくのお付き合いになるので、他のシジュウカラとは区別して「シーちゃん」とお呼びすることにしよう。

巣箱から飛び出すシーちゃん

いよいよ始まるシーちゃんの子育て。勝手にドキドキしている私たちである。

(次回に続く)

前回の記事で、一見、観光資源に比較的乏しそうに見えるブランデンブルク州は実はネイチャーツーリズムを楽しむのにとても適していることについて書いた。森林をハイキングしたり、広大な景色の中をサイクリングしたり、湖でウォータースポーツを楽しんだりできるだけでなく、野生動物を観察することができる。いろんな生き物がいるが、特に野鳥の種類と数はとても多く、特に冬季は渡り鳥の群れをあちこちで観察でき、その光景たるや壮観である。

でも、もっとお手軽に野生動物を観察する良い方法がある。それは自宅の周りで楽しむバードウォッチングだ。自宅周辺なのに「ツーリズム」と言うのはちょっと違うかもしれないけれど、わざわざ遠くまで出かけなくても視界が変わって新鮮な感覚を味わえて、とても面白いのだ。

実は庭仕事があまり得意ではないので、我が家の庭は荒れ放題とまではいかないが、かなり野性味溢れる庭だ。ご近所さんたちは庭を綺麗に手入れしているのでちょっと恥ずかしく思っていたのだが、自然に近い状態のせいか、うちの庭には結構いろんな野鳥がやって来る。

「いろんな鳥が来る」と書いておきながら、実は最近までどんな種類の鳥がどんな時期に来ているのか、ほとんど把握していなかった。「あー、鳥がいるなー」くらいのぼんやりした認識しか持っていなかったので、「具体的にどんな鳥が来るの?」と聞かれたら、「えーと、クロウタドリ(Amsel)とか、、、」と真っ黒で誰でも簡単に見分けられる鳥の名前しか出て来ない。それじゃつまんないよね。

うちに来る鳥を見分けられるようになりたい!

そこで、積極的に庭に野鳥を呼び寄せることに決めた。具体的には、テラスに餌台を設置したのである。

夫がホームセンターで買って来た、こんな適当な餌台(娘には「ダサい!」と言われた)。これにカラス麦など穀物をのせて、横にはファットボールをぶら下げてみた。すると早速、野鳥がやって来た。これはシジュウカラ(Kohlmeise)だ。

この餌台の他に、野鳥がよく来る桜の木の枝にもファットボールをぶら下げたところ、その日から、入れ替わり立ち替わり野鳥たちが餌を食べにやって来るようになり、あっという間に我が家の庭はちょっとした野鳥園に!

アオガラ(Blaumeise)
ヨーロッパコマドリ(Rotkehlchen)
エナガ(Schwanzmeise)
スズメ(Feldsperling)

ドイツにはスズメは上の画像のような日本でもお馴染みのスズメ(Feldsperling)と頰の黒い丸のないイエスズメ(Haussperling)の2種類がいる。一般的によく目にするのはイエスズメの方だけれど、うちには両方やって来る。

餌台に置く餌は日替わりでいろんなものを試してみた。今のところ、ダントツで人気なのはヒマワリの種で、カラス麦やレーズンもそこそこ好まれる。ピーナツは殻つきのまま置いたら、殻を剥くのが面倒なのか、売れ行きが悪かったので殻を剥いたものを提供したら、急にみなさんの目の色が変わった!笑

カケス(Eichelhäher)

カケスはピーナツをくわえてサッと高い木の枝に飛び乗り、邪魔されないところでゆっくりとピーナツを堪能、、、、のつもりだったようだが、気の毒にもこの直後、うっかりピーナツを落としてしまった。

クロウタドリ(Amsel)は地面から餌を拾うことが多い
モリバト(Ringeltaube)

画像の鳥の他にこれまでにゴジュウカラ(Kleiber)、カササギ(Elster)、カンムリガラ(Haubenmeise)、アカゲラ(Bundspecht)なども確認できた。

これら野生のお客さんを窓の中から眺めるのがすっかり日課になった。今は冬で庭に出るのは寒いからね。それに、バードウォッチングは木々に葉っぱがなくて鳥の姿がよく見える冬だからこその楽しみともいえる。

なにか鳥が来たらすかさず写真を撮り(撮れないことも多いが)、画像をネット上の鳥類図鑑の画像と比較して種類を特定する。ついでにその種の生態や分布も読んでいるうちに、少しづつ野鳥の名前を覚え、多少の知識もついて来る。バードウォッチング、楽しいな。春になったらまた違う種類の鳥たちがやって来るのではないかとワクワクしながら庭を眺める毎日である。

旅行大好き、観光大好きな私だが、必ずしも遠くまで出かけて行かずとも、視点を変えれば住んでいる環境の中でも観光気分を大いに味わうことができる。面白いものはどんな場所にもあるよね。ただ、それに気づくか、気づかないかだけ。

 

長年の趣味の博物館巡りに加え、近頃、熱中していることがある。それは野生動物の観察。私が住んでいるブランデンブルク州は首都ベルリンをぐるりと取り囲む面積3万㎢弱の地域だが、大都市ベルリンとは対照的に周辺は人口密度が低く大きな産業もないので、よく「何もない場所」と言われる。そのブランデンブルク州に住むようになって14年。何もない場所に住んでいて退屈かって?いやいや、住めば住むほど、いろんなものがあることに気づいてどんどん面白くなる。正確には「いろんなものがいる」というべきかな。ブランデンブルク州は人は少ないが、その代わりに人間以外の生き物が多い。つまり、野生動物でいっぱいなのだ。

上の地図の通り、ブランデンブルク州は森林(緑色の部分)や湖(水色の部分)の面積が広く、その多くは自然保護区に指定されている。日常的にシカ、キツネ、リス、ウサギ、イノシシ、ハリネズミ、テン、アライグマ、野ネズミなどいろんな野生動物に遭遇するし、自然保護区ではオオカミ、ヘラジカ、野生ネコなど稀少な動物も確認されている。

せっかくそういう環境にいるからには、楽しまなければ損!

というわけで、カメラを持って野生動物探しに熱中する今日この頃である。野生動物は動きがすばやくてなかなか良い写真が撮れないが、外を歩けばほぼ確実になにかに遭遇するので楽しい。外を歩くので健康にもいいし、お金もかからない。

キタリス(Eurasische Eichhörnchen)

 

ノロジカ(Reh)

ダマジカ(Damhirsch)


アカシカ(Rothirsch)


私の住むブランデンブルクには野生のヘラジカもいるが、まだ遭遇したことはない。

わかるかな、、、野ウサギ(Hase)


アライグマ(Waschbär)



アカギツネ(Rotfuchs)

ビーバーに齧られた木も水場のあちこちにある。でも、ビーバーそのものを見つけるのは難しい


もちろん、野鳥もたくさん。

ノスリ(Mäusebussard)

コウノトリ(Weißstorch)

ニシイワツバメ(Mehlschwalbe)

ハイイロガン(Graugans)の群れ


クロヅル(Kranich)

クマゲラ(Schwarzspecht)

カワアイサ(Gänsesäger)かな?

ホシムクドリ(Star)が木の枝に鈴なりに

渡り鳥の移動が見られるのも気に入っている

首都の周辺がこの環境って、凄くない?ブランデンブルク州では大都市ベルリンと野生の王国のコントラストを満喫できるので、とても気に入っている。もちろん、ブランデンブルク州に限らず、ドイツは全国に自然保護区があり、野生動物の保護活動も盛んなので、都市から少し郊外に出ればいろんな生き物を観察することができる。これも1つのマニアックな観光ジャンルではないかな。ドイツにおけるネイチャーツーリズムについても、これからシリーズとして少しづつまとめていくつもり。

 

追記:

野生動物への興味が高じて、2022年、アニマルトラッキングの本格的な講座を受講した。野生動物そのものの姿が見られないときでも、動物の痕跡は至るところにあることに気づき、ますます楽しくなった。

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