投稿

来る前はそこまで期待していなかったシュヴェービッシェ・アルプだが、どんどんと面白さを増して行く。初日にはCharlottenhöhleVogelherdhöhleという二つの洞窟を訪れたが、二日目はハイデンハイムから南西に移動し、地下洞窟Laichinger Tiefenhöhleへ行くことにした。この洞窟は観光客に一般公開されている洞窟としてはドイツ国内で最も大規模なものの一つである。苦灰岩(ドロマイト)が地下水に侵食されてできた迷宮のような洞窟が地下80メートルの深さまで探索調査されている。そのうち55メートルの深さまでは観光客も潜れるように整備されているという。

 

地下に潜れると言われても、イメージが掴みにくいかもしれない。断面図で見るとこんな感じ。

©Tiefenhöhle Laichingen

図の上部左側に描かれた建物内に洞窟の入り口があり、カルストの通路を伝って地下55メートルの深さまで降りて行く。そこから奥へと移動しながら再び地上に向かって登って行き、最後は右側の建物から地上に出る。一般公開されている通路の長さは約330メートル(洞窟全体の長さは1253メートル)だ。この図を見ただけで、ワクワクして来た。この洞窟にはガイドさんなしで入ることができる。ヘルメット着用は義務付けられていないが、ズボンの裾が濡れないように防水のバンドを脛に巻くように言われた。

 

入り口。いざ、洞窟内へ。

 

いきなり狭い!下がどうなっているのか全然わからない。

 

通路には手すりがついている(水を抜く導管を手すりに利用しているようだ)が、階段はかなり急。足場はしっかりしているので気をつけて降りれば特に危険ではないが、幼児には難しいだろう。閉所恐怖症だったり心臓の弱い人にも向かないかもしれない。

足元に気をつけながらどんどん降りて行く。アドレナリン出まくりである。

 

 

ところどころに音声による説明ポイントがあり、ドイツ語、英語またはフランス語のいずれかで洞窟の地質について学べる。こちらの記事にも書いたように、シュヴェービッシェ・アルプはジュラ紀には海水に覆われていた。この洞窟は地表から28mの深さまでは、ジュラ紀に堆積した石灰岩中の炭酸カルシウムが炭酸マグネシウムに変質した(ドロマイト化)と考えられているそうだ。上層の岩はゴツゴツとして硬いが、空洞が多い。それより下に潜ると岩の密度が高くなり、ずっしりとした質感になる。

 

狭い!!

どのくらいの狭さかというと、この通り。岩の裂け目の中を通るなんて楽しすぎる。

 

言葉でこの感動を伝えるのはとても難しい。

普段どのくらい観光客が訪れるのかわからないが、このときは洞窟の中は私と夫だけだったので、その分余計にエキサイティングに感じたかもしれない。

 

 

うわあーーーーー!!写真では抑揚感を伝えられなくて残念!

これは「カーテン」と呼ばれる鍾乳石だろうか。ガイドさんがいないのではっきりわからないが。

また少しづつ登って行き、外界に出た。所要時間は約40分。面白かったーーーー!!

やはり自然は壮大だ。私はいろんな種類の旅行が好きで、知らない町を街並みを眺めながら散策したり、海で泳いだり、博物館を訪れるのもとても楽しいが、これまで旅して来た中で特に印象に残った場所はどこだったかと思い起こしてみると、そのほとんどはスケールの大きな自然を体感した場所である気がする。このシュヴェービッシェ・アルプ地方は間違いなくこれまでで特に感動的だった場所の一つになった。中でもこの洞窟に潜った体験は後々まで忘れられないものとなりそうだ。

 

 

 

 

日本にしばらく里帰りしていたので、まにあっく観光旅行に出かけるのは久しぶり。今回はなぜか、鉱物をじっくりと眺めたい気分だった。ドイツには多くの鉱物博物館があるが、家からさほど遠くない場所で規模の大きいものはないかと検索したところ、ザクセン州フライベルクのTerra Mineraliaがヒットした。

 

フライベルクはドイツとチェコの国境地帯であるエルツ山地(Erzgebirge)北部に位置する。エルツとは「鉱石」を意味し、一帯は鉱物資源の非常に豊かな地方である。フライベルクは12世紀に銀鉱山が発見されて以来、鉱業で栄えた町だ。現在も、かつての鉱山学校を母体とするフライベルク工科大学(TU Bergakademie Freiberg)があり、鉱山学をはじめ資源開発やエネルギー技術に至るまでの広範囲に渡る地質学教育・研究の中心地だという。ということは、terra mineraliaはかなり見ごたえのある鉱物博物館だと思ってもよいのではないだろうか。鉱物を見にフライベルクへ行く行くと興奮していたら、夫が「オレも行く!」と言うので、私達は大きな期待とともにフライベルクへと向かった。

 

 

Terra Mineraliaは、シュロス・フロイデンシュタイン(Schloss Freudenstein)というお城の中にある。

その日はどんよりと暗い日だったが、博物館をじっくり拝観するにはむしろうってつけの天気である。(ドイツは雨や曇りの日が多いからこそミュージアムが充実しているのではないか、などと思ってしまう)

 

内部はフロア5階分あり、一番上のフロア展示を見ながら降りて行くようにデザインされている。世界中から集めた鉱石標本は地域ごとに展示されている。非常に美的な空間だ。

暗い室内に輝く鉱物のショーケースがずらりと並んでいる。標本を見る前からもうドキドキして来た。

 

陳列されている標本はどれもうっとりするほど見事なものばかり。例えば、、、、。(相変わらず写真が上手でないけれど、どうかご勘弁を)

 

標本数は3500点。写真を撮り出すとキリがない。

 

顕微鏡を覗くのはとても楽しい。

 

また、初めて見るものに、「光る鉱物の部屋」というものがあった。暗室になっていて、中に入るとショーケースに色々な鉱物が並べられている。

一見、それほどどうということのない石のようだが、、、。

 

わっ、光った!

 

色が変わった!!

 

これらは蛍光鉱物と呼ばれるもので、紫外線を当てると発光するのだそうだ。同じ紫外線でも、UV-A(波長 315–380 nm)とUV-C (波長 200–280 nm)、そしてその両方を同時に当てた時とで色が異なって見える。大変魅力的で、結構長いこと眺めていた。

 

ギャラリーは延々と続いて行く。

こんなにも多様な美を生み出すとは、自然とはなんと不思議なのだろう。ここまで見るだけでもその膨大な数と種類に圧倒されていたのだが、さらに続きがあった。なんと1階の「秘宝の間」には驚くほど巨大な標本がいくつも陳列してあったのだ。

 

 

 

今までにあちこちで鉱物コレクションを見たが、自分が見た中ではここのは間違いなく3本の指に入る。標本数ではもっと多いところもあったと記憶しているが、Terra Mineraliaは展示の仕方が非常に魅力的だ。大満足でミュージアムを出た。

 

しかし、これで全てではないのがフライベルクの凄いところ。Terra Mineraliaのすぐ隣には別の鉱物博物館、Krügerhausがある。こちらではドイツ国内で採れた標本が見られる。

世界中から集めた鉱物を見た後だからそれほど感動しないかもしれないと思ったが、コンビチケットで拝観できるので入ってみる。

 

いやー、ここも決して侮れない。いきなり美しい鉱物断面ギャラリーから始まる。断面の模様は様々で、まるでアート作品のようだ。

 

こちらのミュージアムでも標本は地域ごとに展示されている。

 

そしてこれは何!?

 

壁一面にずらりと並んでいるのは結晶モデルだった。

19世紀に製作されたモデルである。すごいね!

 

最後に結晶のアップ写真をいくつか。

 

言葉で形容するのは無理。二つの博物館を見て、とにかく大興奮・大満足である。

 

ところが、まだあるんです、フライベルクには。この他にもさらにフライベルク工科大で鉱物や化石などのコレクションが閲覧できるというのだから、もう気が遠くなりそうだ。さらには数時間に及ぶ銀鉱山見学ツアーなどもあり、とにかく盛りだくさんである。到底一日では足りない。今回は日帰りだったので上記の二つのミュージアムだけで終わってしまったが、是非ともまたフライベルクを訪れて今回断念したものを体験するつもりだ。

 

地学や鉱物学ファンにはもちろんのこと、綺麗なものを見るのが好きな人にはとても楽しい場所だと思う。Terra Mineraliaは子どもも楽しめる工夫がしてあるので家族連れにも良い。また、大聖堂や古い劇場、教会など他の見どころもあり、チェコに近いのでボヘミア料理レストランなどもある。いつもとちょっと違うドイツ観光がしたいと思うときに良いのではないかな。

 

 

まにあっくドイツ観光、今週末はザクセン州東部、オーバーラウジッツ地方にあるFindlingspark Nochtenへ行って来た。

Findlingsparkとは何か。日本語に訳すと「迷子石公園」となる。迷子石とはなんぞやと思う人もいるかもしれない。実は私も数年前まで、「迷子石」という言葉もドイツ語の「Findling」も知らなかった。

 

まいごいし【迷子石 erratics】

捨子石(すてごいし)ともいう。氷河によって運搬された岩石塊が,氷河の溶けたあとにとり残されたもの。ヨーロッパやアメリカでは氷河時代に運ばれた岩石塊が数百kmも離れた所に見られる。特定の地域にしか産しない岩石の迷子石を追跡調査し,その分布状況から氷河時代の氷床の拡大方向が推察できる。【村井 勇】世界大百科事典第2版

 

そう、ドイツでは氷河時代にスカンジナビア半島から運ばれて来た岩石があちこちに見られるのだ。特に旧東ドイツの褐炭採掘が盛んな地域では、地面を掘り起こすと迷子石が大量に出て来る。小さなものは無数にあるが、巨石も少なくない。ドイツで見つかった迷子石で最大のものは大きさ200㎥、重さ550トンもある。地質学研究において迷子石は重要なもので、大きさが10㎥以上あるものはゲオトープとして保護することになっているが、大きな塊がゴロゴロ出て来るので、置き場に困り、邪魔といえば邪魔だ。そこで近頃は、その土地で産出された迷子石を利用したジオパークが作られ始めている。今日訪れたFindlingspark Nochtenは、ドイツ最大の迷子石公園だ。

コットブス市とゲルリッツ市の中間地点にあり、ポーランドとの国境が近い。

 

なかなか壮観である。2003年に開園した広さ20ヘクタールのこのジオパークには現在、およそ7000個の迷子石が配置されている。このような公園を作った背景には、褐炭採掘で荒れた土地を再生し環境を守ろうという意図や、ドイツ統一後に産業が廃れて人口が減少したこの地域を観光地にして活性化しようという目的もある。

 

公園の西側にあるこの丘は迷子石が流れて来たスカンジナビア半島をシンボライズしている。芝生の部分は海。

 

この図のように、スカンジナビアを覆っていた氷河がヨーロッパ大陸北部へと移動したときに一緒にもたらされ大陸のあちこちに置き去りにされたのが迷子石というわけである。

 

17億7000万年前の花崗岩。

 

斑岩。写真では大きさがよくわからないが、幅は30cmくらい。火山岩は地表に放出されたときに急激に冷え、ヒビが入って細かく砕けることが多いので、大きな塊は珍しい。(と、家に帰って来てから岩石の本で読んだ)

 

ミグマタイト。特殊な岩石らしいが、よくわからない。岩石に詳しい弟を連れて来られればよかったなあ。

 

丘のてっぺん。これは迷子石アート。地面のパイプは氷河が流れたルートを示している。

 

公園内には様々な植物が植えられ、季節ごとに違った表情が楽しめるようだが、たまたま今の季節はあまり花が咲いていなかった。

 

 

公園のすぐ向こうは褐炭発電所。なんだかすごい景色だ。

 

売店に売っていた石。私は宝石を身につけることにはほとんど興味がないが、石を眺めるのは好きである。ここにはフリントもあったので、ふとリューゲン島で見た広大なフリントフィールドを思い出した。それについても別の機会に書こうと思う。

 

このジオパークは現在のところはまだ観光客もそれほど多くはなく、静かに散策することができる。東ドイツの良いところは、観光地がまだ飽和しておらず、のんびりと見て回れることだ。また、10年後、20年後にはどう発展しているかなと想像する楽しみもある。このジオパークもまだ完成形ではない。今後より充実して行くだろう。

 

エコツーリズムも楽しいが、ジオツーリズムも興味深い。世界のいろんなジオパークを訪れてみたい。ジオパークに関心のある方は、こちらの記事も是非読んでみてください。

 

 

 

 

イースター休暇も過ぎたというのに、相変わらず寒い日が続いていたが、日曜は春らしい天気になった。このチャンスを逃してはもったいない。晴れている日には野外観光スポットのリストから目的地を選ぶことにしている。今回は、ベルリン東部、Rüdersdorfにある北ドイツ最大の露天掘り石灰鉱山に隣接した野外ミュージアムMuseumpark Rüdersdorfを訪れることにした。

 

 

結論から言ってしまうが、この野外ミュージアムはかなり楽しめる!しかも、万人向けである。というのも、内容が盛りだくさんなのだ。

 

13世紀から稼働している石灰石の露天掘り鉱山と、隣接する17ヘクタールの公園は「欧州産業遺産の道」上の観光スポットの一つ。過去に紹介したブランデンブルク産業博物館もこの観光ルート上にある。

公園内では焼成炉を中心に、多くの石灰岩採掘・加工・運搬施設が見学できる。

 

この鉱山では13世紀の初めより採掘が行われていたが、生石灰が生産されるようになったのは17世紀に入ってからのことである。19世紀初頭に、温度調整の可能な画期的な石灰窯が建設された。この窯は発明者のRumford氏にちなんでRumfordofenと呼ばれている。

 

窯の内部も見学できる。お城の中のようで、ちょっとワクワクする。

 

窯の内部はかつて、鉱山労働者の住居としても使われていた。当時の労働者の生活の様子を伺い知ることができる。

 

竪窯(シャフトキルン)と呼ばれる石灰窯。

 

 

公園内にはポニーなどに触れ合うことのできる小さな動物園もあり、また、いろいろなタイプのクレーン車が設置されたクレーンパーク区画もあるので、子どももたっぷり楽しめると思う。

 

 

ガイドツアーに参加すれば、鉱山施設の歴史を詳しく知ることができる。しかし、この野外ミュージアムの目玉はなんといっても、露天掘り場をジープで1時間かけて回るツアーだ。もちろん、私たちはジープツアーに参加した。運転手兼ガイドさんが鉱山についての詳しい説明をしてくれる。

 

広大な採掘場。

 

 

 

よく見ると石灰岩の地層の厚さがまちまちなのだが、それはその地層年代の気温の違いから来るものだという。暖かいとそれだけ生物が繁殖するので、堆積物の量が多くなり、層が厚くなる。

 

と、ここまでたいした説明もせずに写真だけ貼ってしまったが、それには理由がある。このミュージアムには、さらに見所があるのだ。

 

というのも、このミュージアムは産業遺産であるだけでなく、同時にジオパークでもある。氷河の移動が終わった後、このあたりにはエンドモレーンと呼ばれる土砂の山が形成された。このため、Rüdersdorfは非常に重要な地質学研究のフィールドなのである。上述のジープツアーの他、化石掘りツアーにも参加することもできる。ガイドに「化石が見つかる確率って、どのくらいなんですか?」と聞くと、「100%ですよ」という返事が返って来た。

 

ミュージアム敷地内には岩石資料館があり、地質学的説明や岩石や化石お展示を見ることができる。これがかなり面白かった。この資料館を見るだけでもここに来る価値があると思う。

 

 

うまく写真が撮れなくて残念。

 

岩石資料館の前には氷河によって運ばれて来た様々な迷子石が展示されている。

 

マニアックなものが好きな人はもちろん、産業遺産にも化石にも興味ないよ!という人でも、ただ公園内を普通に散策するだけでも楽しいはず。週末や祝日には様々なイベントもやっていて、家族レジャーにも最適と、満足度の高い観光スポットだ。