2階には、”Die Welt in Stein”というリトグラフィー(石版印刷)に関する展示もある。ゾルンホーフェンで化石が大量に発見された背景には、18世紀末、リトグラフィーという印刷技術が生まれたことと密接に関わっているのだ。アロイス・ゼネフェルダーによって発明されたこの新しい印刷技術には、細かい粒子が均一に詰まった特別な石灰岩が必要だった。まさにゾルンホーフェンの石は理想的な素材で、たくさんの石を切り出す過程で化石が次々と見つかったのだ。つまり、リトグラフィーの発明なしには、今日、世界的に有名なゾルンホーフェンの化石群は日の目を見ることなく眠り続けていたかもしれないというわけである。
とはいっても、東京へ行けるのはいつになるかわからないので、まずは住んでいるドイツの町で使われている石材を見に行くことにする。この目的にうってつけの”Steine in deutschen Städtchen(「ドイツの町にある石」)”というガイドブックがあるので、これら2冊をバッグに入れてベルリンへGo!
“Steine in deutschen Städtchen”のベルリンのページでは、ミッテ地区のジャンダルメンマルクトという広場周辺で使われている石材が紹介されている。地図上に番号が振られ、それぞれの番号の場所の石材の名称、産地、形成された時代が表にされているので、これを見ながら歩くことにしよう!
白の石材はイタリア産大理石「アラべスカートヴァリ(Arabescato Vagli)」で、黒いのはフランス産大理石「ノワールサンローラン(Noir de Saint Laurent)」。ちなみに、大理石というのは石材用語では内装に使われる装飾石材の総称で、必ずしも結晶質石灰岩とは限らないから、ややこしい。”Steine in deutschen Städtchen”には「アラべスカートヴァリ」は結晶質石灰岩で「ノワールサンローラン」の方は石灰岩と記載されている。
https://chikatravel.com/wp-content/uploads/2024/04/IMG_9315.jpeg9001200Chikahttps://chikatravel.com/wp-content/uploads/2020/10/chika_logo_black-d-2.pngChika2024-04-10 20:19:282024-04-10 20:31:36ベルリンで「街角地質学」ごっこ ① ジャンダルメンマルクト周辺の石材
https://chikatravel.com/wp-content/uploads/2023/09/DSC05231.jpg8001200Chikahttps://chikatravel.com/wp-content/uploads/2020/10/chika_logo_black-d-2.pngChika2023-09-20 20:15:412024-01-03 15:12:19北海道ジオパーク・ジオサイト巡り2023 ② 三笠ジオパーク
これから3回に分けてニーダーザクセン州オスナブリュック近郊の自然公園、TERRA.vitaの見どころを紹介しようと思う。正確にはTERRA.vita Natur- und Geopark(テラヴィタ自然・地質学公園)という名称で、オスナブリュック市を中心に北西から南東に斜めに広がる約1550㎢の大きな自然公園だ。6つのエリアを包括し、見どころがたくさんあるが、特に地質学的に面白い場所が多いようでUNESCOグローバルジオパークに登録されている。
今回は1931年にライプツィヒで出版された古生物学の本、”Das Leben der Urwelt(原始時代の生き物)”を紹介しよう。アンティークショップの店内をなんとなく見ているとき、変色した布製のハードカバーに恐竜のイラストが描かれているのに惹かれて手に取った。著者はヴィルヘルム・ベルシェ(Wilhelm Bölsche)。専門家向けではなく一般書のようである。1931年といえば日本では昭和6年。その時代のドイツで読まれていた古生物学の本とはどんなものなのだろうか。
著者ヴィルヘルム・ベルシェ(1861 – 1939)は自然科学を自ら専門的に学んだことはなかったが、作家として科学をポピュラーにするのに大いに貢献した人物のようだ。自然科学の読み物を数多くしたためただけでなく、ドイツの生涯学習機関Volkshochschuleの創始者でもあった。Volkshochschule(直訳すると「市民大学」)はある程度の規模の町には必ずあるカルチャーセンターのような機関で、手頃な受講料でいろいろなことが学べる。私もスペイン語を習ったりなど、よく利用しているのだけど、Volkshochschuleは今年、ちょうど創立100周年を迎えたらしい。その記念すべき年に創始者の著書に遭遇したということになる。ベルシェはドイツ古生物学会の発足時からのメンバーでもあり、古生物学には特に造詣が深かったらしい。古生物に関する本をたくさん書いている。この”Das Leben der Urwelt”はベルシェの晩年の作品なので、長年に渡って蓄積してきた彼の知識の集大成だったのかもしれない。
イクチオサウルスの頭蓋骨ベルンハルト・ハウフ博士(Dr. Bernhard Hauff)。過去記事で紹介した南ドイツ、ホルツマーデンにある凄い化石博物館、Urweltmuseum Hauffの設立者だ。(過去記事はこちら)フランクフルト、ゼンケンベルク博物館所蔵のトラコドンのミイラ(左ページ)とメガロサウルスから逃げる草食恐竜イグアノドン(右ベージ)。ゼンケンベルク博物館に関する過去記事はこちら。20世紀前半のティラノサウルス・レックス想像図。ティラノサウルスの骨格標本はベルリン自然史博物館で見られる。関連過去記事はこちら。
ミュージアムショップに”Geheimnisvolle Sauärierfährten aus der fränkischen Trias – Wer hat hier seine Spuren hinterlassen?(フランケン地方の三畳紀地層に見られる絶滅古生物の足跡の謎 〜 痕跡を残したのは誰?)”というタイトルの付いた小冊子があったので手に取った。2013年2月1日から12月31日までニュルンベルク自然史博物館で開催された同名の特別展の資料として発行された冊子で、図表やカラーイラストを多く含んだ31ページで構成されている。
南西ドイツ弾丸旅行の二日目はシュトゥットガルトへ行った。シュトゥットガルトは大都市で見どころがたくさんありそうだけれど、時間がないので今回は目当てのシュトゥットガルトの州立自然史博物館(Staatliches Museum für Naturkunde Stuttgart)に的を絞ることに。この博物館はMuseum am LöwentorとMuseum im Schloss Rosensteinという二つの建物に分かれている。そのうちのMuseum am Löwentorは古生物と地質学の展示がメインなのでそちらへ。