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ドイツからヨーロッパ中に広がった実用陶器 ヴェスターヴァルト陶器博物館

ラインラント=プファルツ州の小さな町Höhr-Grenzhausenにある「ヴェスターヴァルト陶器博物館(Keramikmuseum Westerwald)」へ行って来た。 ドイツの焼き物といえば、日本では圧倒的にマイセンの磁器が有名だが、ヴェスターヴァルト地方も焼き物の名産地だ。ヴェスターヴァルト焼きはSteinzeug(「炻器」せっき)と呼ばれる焼き締め陶器で、塩釉(しおゆう)のかかったグレーの素地に青い模様の素朴なデザインの陶器が多い。ヴェスターヴァルト地方はカンネンベッカーラント(Kannenbäckerland「水差し職人の土地」の意味)とも呼ばれ、古くから陶器作りが盛んだった。16世紀末からはヨーロッパ中に輸出されるようになり、実用陶器として広く普及した。今でもドイツ、特にライン川流域ではヴェスターヴァルト焼きの水差しやビールジョッキなどがよく見られる。 陶器作りの中心地として発展したヴェスターヴァルト地方はドイツ最古にして最大の粘土の産地である。第三紀(約2500万年前〜500万年前)に堆積した砂岩や粘板岩、珪岩などが風化し、その後火山の影響も受けてさまざまな粘土が集積した。焼き物に適した上質な粘土が豊富で、なかでも、Westerwälder…
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北海の高潮から陸地を守る巨大防潮ゲート アイダー・シュペアヴェルク(Eidersperrwerk)

年間約1,000万羽以上の渡り鳥が訪れるユネスコ世界遺産ワッデン海。その自然の豊かさには本当に魅了される。しかし、ズィルト島、ハリヒ・ホーゲの記事に書いたように、北海の一部であるこの地域の海岸線は、常に風と水との戦いの舞台だった。激しい嵐や満潮に乗って押し寄せる高潮は、ときに人々の暮らしを一瞬で飲み込んでしまう。そんな自然の猛威に立ち向かうため、さまざまな防潮の技術が発展してきた。 今回、シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州の西端、アイダー川河口に築かれた巨大な防潮施設「アイダー・シュペアヴェルク(Eidersperrwerk)」を見学して来た。 1973年に完成したアイダー・シュペアヴェルクは、高潮時に海水の流入を遮断し、高潮や嵐による洪水からアイダー川流域の低地を守るために作られた。きっかけは、1962年2月に起きた「北海高潮災害(Nordseesturmflut)」。猛烈な嵐が北海沿岸を襲い、ドイツ、特にハンブルク周辺に甚大な被害をもたらした。堤防が決壊し、浸水により多くの命が失われ、都市機能が麻痺した。大きな高潮が来ると、それまでの堤防や小規模な水門では高潮の力を防ぎきれない。そうした危機感から、アイダー川の河口に大型水門を設け、それを開け閉めすることで海から川へ流れ込む水の量を調整するという大胆な構想が生まれた。 水門の上には歩道が整備されていて、防潮堤の上を歩いて渡ることができる。 海側と川側に幅40mの水門がそれぞれ5つ並ぶ二重構造で、水門はそれぞれ独立して動作する。 天候や潮の状態に応じて、水門の開け方を変えることで川と海の水をコントロールする。運転モードは主に以下の4つ。 ①…

ドイツの運河探検 その5 ドルトムント・エムス運河 〜 ヘンリーヒェンブルク船舶昇降機

ドイツの運河探検はひとまずこれが最終回。今回取り上げるのは1899年に完成したドルトムント・エムス運河。ルール地方のドルトムント港を起点とするこの運河は、シュレスヴィヒ=ホルシュタイン州の造船都市パーペンブルクを通過し、エムス川と合流して北海へと流れ込む。ドイツの工業化を支えて来た超重要インフラの一つである。 この運河建設は、ドイツ帝国初の国家による大運河プロジェクトであった。19世紀末、ルール地方の石炭・鉄鋼産業が急拡大し、鉄道輸送だけでは追いつかないほどの物流量になったため、重工業地帯ドルトムントと輸出入拠点である北海の港を水路で直接つなぐ大計画がスタートした。 ドルトムント・エムス運河における見どころは、なんといってもドルトムント郊外のヴァルトロプ(Waltrop)にある船舶昇降機、Schiffshebewerk…

ドイツの運河探検 その4 キール運河 〜レンズブルクの運搬橋

ドイツの運河探検、第4段!今回訪れたのは、北海とバルト海を結ぶキール運河(ドイツ語ではNord-Ostsee-Kanal)である。北海沿岸のブルンスビュッテルからバルト海に面したキールまで延びる、全長98.6kmの運河だ。長さはそれほどでもないが、年間3万隻以上の船舶が通航する国際的な航路として超重要である。 この運河はドイツ皇帝ヴィルヘルム2世の下で1895年に完成した。それまで、北海からバルト海へ出るにはデンマークのユトランド半島をぐるりと回るしかなく、とても時間がかかっていた。この運河の開通で航行距離は約250kmも短縮された。キール運河は全域にわたって完全に水平で、北海側の出入り口とバルト海側の出入り口に潮の満ち干による水位の変化を調整するためにそれぞれ建設された閘門を除いて、閘門設備を必要としない。 キール運河にあるいくつかの見どころのうち、絶対見たい!と思っていたのがレンズブルク(Rensburg)にある運搬橋(Rensburger…

ドイツの運河探検 その3 ミッテルラント運河 〜 ミンデン水路十字

ドイツの運河探検の第三弾は、ミッテルラント運河。1906年に建設が始まった全長325kmのこの運河は、ドルトムント・エムス運河からベルゲスへーヴェデ(Bergenhövede)で枝分かれし、マクデブルクでエルベ川と接続する。北ドイツにはライン川、エムス川、ヴェーザー川、エルベ川の流域を結ぶWest-Ost-Wasserstraßeと呼ばれる水路システムがあり、ミッテルラント運河はその中心部としてとても重要な役割を果たしている。 ミッテルラント運河の見どころの一つは運河と川の交差点、ミンデンの水路十字(Wasserstraßenkreuz…

ドイツの運河探検 その2 オーダー・ハーフェル運河

今回探検した運河はオーダー・ハーフェル運河(Oder-Havel-Kanal)。その名の通り、オーデル川とハーフェル川を繋いでいる。前回の記事に書いたフィノウ運河も、オーデル川とハーフェル川を繋ぐ運河だった。そう、オーデル・ハーフェル運河はフィノウ運河の数km北をフィノウ運河とほぼ並行に東西に伸びている。18世紀に建設されたフィノウ運河は(18世紀建設)は曲がりくねって浅かったため、大型船が通れるようにする目的で1905年に建設が始まり、1914年に完成した。ベルリンと当時ドイツ帝国領だったシュチェチン(現在はポーランド)間の水上交通の主幹ルートして機能した。バルト海への出口港であるシュチェチンはであり、ドイツ帝国にとって戦略的に重要な都市だった。オーダー・ハーフェル運河現在もなお、ドイツ〜ポーランド間の物流の大動脈である。 この運河の見どころは、なんといってもニーダーフィノウの船の昇降機(Schiffshebewerk…
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ドイツの運河探検 その1 現存する最古の運河、フィノウ運河(Finowkanal)

最近、運河巡りに凝っている。日本では運河というと小樽運河のように海沿いにあることが多いけれど、ドイツ、特に北ドイツには内陸運河もたくさんある。ライン川やエルベ川などのドイツの主要な河川は流れがゆったりとしていて古くから輸送に使われて来た。17世紀頃からそれらの自然河川同士を結ぶ運河が建設され始め、19世紀以降に本格化した。地形が平坦で運河が建設しやすい北ドイツでは、河川と一体化した高密度な水路ネットワークが発達しているのだ。現在では主に観光目的で使われている古い歴史的な運河から近代的なハイテク運河までいろいろあるのでとても面白い。 ドイツ最古の現存運河、フィノウ運河(Finowkanal)はベルリンの北東50kmくらいのところにある。ポーランドとの国境オーデル川とハーフェル川を結ぶ、東西に伸びる全長約43kmの運河だ。ブランデンブルク選帝侯ヨアヒム・フリードリヒの命令によって1605年に建設が開始され、1620年ごろに完成した。1618年から30年間続いた宗教戦争でボロボロになってしまったが、1743年にプロイセン国王フリードリヒ2世(フリードリヒ大王)により再建された。 運河の建設当時、周辺地域では製鉄業や木材・木タール生産などの産業が伸びており、運河ができたことによってさらに一大産業拠点へと発展した。インフラ投資によって経済基盤を強化するプロイセン王国の国家プロジェクトとして作られたフィノウ運河だったが、1914年にフィノウ運河とパラレルに近代的なオーダー・ハーフェル運河が建設されたことで輸送インフラとしての重要性を失った。現在は歴史遺産+観光資源として保存されていて、楽しめる。 運河には船が通るためのいろんな可動橋がかかっていて、面白い。 さて、フィノウ運河のあるブランデンブルク州は基本的には平らなのだが、そうはいっても場所によってある程度の標高差はある。ハーフェル川側よりもオーデル川側の方が低いので、高低差を克服するために閘門(Schleuse)というものが随所に作られた。どういう仕組みかというと、運河の途中に前後に扉のある区間を作り、その区間の中の水位を上下させることで船を持ち上げたり下げたりする。フィノウ運河には手動で開け閉めされる歴史的黄門が12箇所ある。現在、そのうちの上流側の6つは補修工事中だが。ドラートハマー閘門(Schleuse…
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ハルツ山地の必見観光スポット ユネスコ世界遺産ランメルスベルク鉱山

ハルツ山地、ゴスラー郊外にあるランメルスベルク鉱山(Weltkulturerbe Rammelsberg)へ行って来た。ゴスラーといえば、木組みの家が並ぶ中世の街並みと魔女伝説が有名な観光地で、神聖ローマ帝国時代、皇帝の館「カイザープファルツ(Kaiserpfalz)」が置かれたことでも知られる。その美しいゴスラーの繁栄の基盤となったのがハルツ山地の豊かな鉱物資源。特に銀・鉛・銅・亜鉛を豊富に含むランメルスベルクの鉱床はゴスラーの発展に不可欠だった。ランメルス鉱山は1988年に閉鎖されたが、その後観光鉱山として整備され、大人気の観光サイトになっている。 ランメルスベルク鉱山の楽しみ方はガイドツアー+博物館。ガイドツアーはたくさんあって、どれも所要時間は最低1時間、博物館も複数の建物に分散されているので、日帰りで全てを回るのは無理。的を絞る必要がある。事前にウェブサイトで説明を読んだらどれも面白そうで悩んでしまったが、トロッコで鉱山に入るツアー(Mit…

ドイツ最長! バート・デュレンベルクの歴史的製塩設備、Gradierwerk

巨大産業建築って、理由はよくわからないけれど惹かれるものがあるよなあ。視界に入ってくると、「うわあ、なんだあれは?」とまず驚く。それが何なのかを知ると、なぜそれがそこにあるのか、いつできたのか、どういう仕組みのものなのか、と次々と疑問が湧いてくる。 ようやく春になって、出かけるのが楽しい季節だ。ザクセン=アンハルト州バート・デュレンベルク(Bad…

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