ブレーメンにあるZARM微小重力実験設備、Fallturm(落下塔)を見学

 

5月の「まにあっくドイツ観光 テューリンゲン編」に続き、今度は同じく3泊4日で「まにあっくドイツ観光 北ドイツ編」を実行することにした。今回も一人旅である。最近、「どこへでも運転して行ける自分」になろうとトレーニング中なのだ。幸い、夫が運転を厭わないタイプなので、これまで国内外の様々な場所へ連れて行って貰ったが、これだけ旅好きを自称する自分が人を頼らないと行きたい場所に行けないという状態はどうなのだ?と思ったからである。

さて、今回はこれまでほとんど訪れたことのない北西ドイツに的を絞った。というのは、ブレーマーハフェンに是非とも見たいものがあったのだ。しかし、我が家からブレーマーハフェンまでは400kmも離れている。長距離ドライブに慣れていない自分にはけっこうな距離である。どこか途中に立ち寄れる面白い場所はないものかと検索したところ、ブレーマーハーフェンの手前に位置するブレーメンに大変マニアックなものがあることが判明。

 

それは、ブレーメン大学応用宇宙技術・微小重力センター(ZARM)の微小重力実験設備、Fallturm(落下塔)

欧州唯一の落下塔であり、2ヶ月に一度、一般の人も見学が可能だという情報を見つけたのだ。そして、直近の見学日がなんとブレーマーハーフェンへ行く日の前日。これは絶対行くしかない!早速、問い合わせのメールを送る。直前の申し込みなのでもう定員一杯かもしれないとドキドキしたが、すぐに返信があり、見学できるとのこと。大変ラッキーだ。

見学は17:30からということだったので、昼頃に家を出発した。

 

 

往路は土砂降りだった。しかも、アウトバーンのあちこちが工事中で思ったよりもずっと長くかかり、ヘトヘトに。一体何故こんな思いをしてまで落下塔などというものを見に行こうとしているのかと思わないでもなかったが、ようやく現地に辿り着いたと思ったら、突然、雲が切れ始め、あっという間に青空が広がった。そして目の前には、、、、。

 

 

これが落下塔、Fallturmだ!見た瞬間に疲れが吹っ飛んでしまった。この白い塔は地元の人々にはBremer Spagel(ブレーメンの白アスパラ)の愛称で呼ばれているそうだ。

 

見学時間はたっぷり75分間。研究者の女性が案内してくれた。まず、塔を見る前に会議室に通され、そこでまず無重力状態についての説明を受ける。わかりやすく説明してくれるので、物理の専門知識がなくても大丈夫。いくつか簡単な実験をしながら無重力状態とはどういうことかについて学んだのち、落下塔の仕組みを説明してもらった。

ZARMの落下塔は1990年に建設された。高さは146m(実際の落下距離は110m)で、空気を抜いて真空にした塔内で落下カプセルを自由落下させると、地面に到達するまでの4.74秒間、カプセル内は微小重力状態(ほぼ無重力)となる。落下カプセルの中に実験物を入れて塔内を落下させることで、様々な無重力実験を行うことができる。さらにZARMは2004年、この落下塔にカタパルト装置を取り付け、カプセルを塔の下から一旦てっぺんまで打ち上げてまた落とすことにより微小重力状態を往復9秒間にまで延長した。

この落下塔を利用して国内外の研究チームが様々な分野の基礎研究を行っている。1日に最大3回の実験が可能で、年間の実験数は400〜450件。先にも述べたように欧州では唯一の施設のため、向こう1年間はすでに予約で一杯だとのこと。

 

一通りの説明の後、塔の内部を見せてもらう。

塔を囲むスペースに置かれた落下カプセル。大きい方は2mほど。この中に実験物を入れる。物理学だけでなく、化学や生物学などいろいろな分野の実験が無重力下で行われるのだ。

 

落下塔の下部。

 

これから中に入るところ。

 

円柱状のカタパルト装置でカプセルを上に開いた穴を通して塔の上まで飛ばす。

 

このワイヤーにぶら下がった状態でカプセルが落ちてくる。

 

この円盤部分に落下カプセルを取り付ける(今は取り外した状態)。落ちてきたカプセルが地面に到達したときに衝撃で破損して実験物がダメージを受けるのを回避するため、カプセル下部にはこちらのリンクの写真でわかるように円錐状のキャップを取り付ける。着地時に、床に置かれた発泡スチロールビーズの入った容器にキャップ先端が突っ込む仕組み。着地とともにビーズが飛び散ってカプセルを破損から守る。

 

床に散らばったビーズ。

 

ZARMが一般の人の落下塔見学を受け付けているのは、人々に基礎研究に対する興味を持ってもらい理解を得るためだけでなく、研究者の卵を育てる意図もある。この施設では政府の助成を受けた高校生の研究グループも独自の研究を行っているそうだ。

 

落下塔のてっぺんにはガラス張りのパノラマラウンジがあり、借り切ってパーティなどに使用できる。ブレーメンを見渡せるこの絶景ラウンジで、結婚式を挙げることもできる。

 

わずか8ユーロで滅多に見られないものを見れて嬉しかった。今後、無重力実験について耳にすることがあったら、この落下塔をすぐに思い出すだろう。

 

 

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