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バイロイトでビール博物館を見た後はビール博物館から丘を徒歩で数分上がった別のビール醸造所、Bayreuther Bierbrauereiに移動した。この醸造所の地下にあるというカタコンベを見るガイドツアーに参加するためだ。

 

こちらでも醸造所の娘さんと思われる若い女性が案内してくれた。パブのカウンターでツアー料金を払い、ガイドさんについて地下への階段を降りる。

ツアーではおよそ900メートルある地下トンネルを移動しながらバイロイトの町の歴史やビール鋳造の歴史について話を聞く。カタコンベというのは普通、地下に作られた墓地のことをいうが、このカタコンベは墓地ではない。15〜19世紀に掘られたものと考えられているが、どうしてできたのかはよくわかっていないそうだ。地下資源を掘る際にできたトンネルだという説が有力らしい。中はひんやりとした一定の温度に保たれているため、19世紀にはビールの貯蔵庫として活用されていた。

 

中にはビール醸造の道具の他にバイロイトの生活文化に関する展示物も並べられている。

 

第二次世界大戦の終わりにはこの地下トンネルは防空壕としても使われた。1945年4月に投下された3つの爆弾でバイロイト市街地の1/3が破壊されル事になったが、その際、多くの市民がこのカタコンベに避難した。避難者は3日間外に出られず、肉屋のマイスターがカタコンベの中で作ったスープで飢えをしのいだという。

カタコンベの中では負傷兵の緊急手術も行われた。

 

面白かったのは通路のあちこちにビールやビールを使った料理のレシピが貼ってあることだ。

古代エジプトにおけるビールの作り方や、

ゲルマン民族のビールレシピなど。ゲルマン民族はビールに生姜やキャラウェイなどのスパイスや蜂蜜を入れていたようだ。現在のビールとは随分違う味だったに違いないね。でも、最近はこちらで試したようにいろんな変わったクラフトビールもあるようだから、ゲルマン民族のビールの味と通じるところがあるのかな。ドイツでは19世紀まで大人も子どもも朝食として「ビールスープ」をよく食していたそうだ。パンをビールで煮てバターを入れ、塩や砂糖で味をつけたものが一般的だったらしい。しかし、壁にはもっと凝ったレシピが貼ってあったので紹介したい。

 

ビールスープの材料

 

気の抜けたビール 1/2l

シナモン 1本

レモンの皮 1個分

卵黄 3個

砂糖 120g

生クリーム 1/8l

乾いた白パン

 

作り方は書いていなかったが上記の材料を煮立てるのだろう。美味しいのだろうか、、、うまく想像ができないが。ガイドツアーの終わりにはパブでこの醸造所のビールが1杯タダで飲める。

 

 

夫が1週間の休暇を取ったので、南ドイツへ行って来た。目的地はシュヴェービッシュ・アルプ地方だが、行く途中で休憩を兼ねてバイロイトに立ち寄った。バイロイトにカタコンベがあると読んだので行ってみることにした。しかし、16:00からのガイドツアーまで2時間以上も時間があって手持ち無沙汰である。近くにビール博物館なるものがあったので時間調整と思って中に入ってみた。すると、ビール博物館のガイドツアーがちょうど始まる時間だという。私はビールを飲まないのでそれほど興味はなかったが、時間もあるし、せっかくなので参加してみることにした。これが思いがけず大変面白買ったので紹介することにする。ドイツビールファンは多いので、知っている人も少なくないだろうとは思うけれど。

バイロイトのこのビール博物館(Maisel´s Bier-Welwbnis-Welt)は、1887年創業の老舗ビール醸造所、マイゼル醸造所(Brauerei Maisel)の創業当時の建物を利用している。

 

マイゼル醸造所は家族経営の醸造所で、代々引き継がれて現在は4代目。娘さんと思われる20歳くらいの女性が案内してくれた。大きな建物の内部にはマイゼル醸造所でかつて使われていた古い設備や機械、道具が展示されている。その多くは使われていた当時のポジションのままだ。

1930年代に製造されたスチームエンジン。

 

このスチームチャンバーは1905年製。購入費用で家が一軒買えるほど高価なものだったそうだ。

仕込み釜。

ホップ貯蔵室。ホップはビールに不可欠な原料だが、雌株と雄株があり、苦味成分を含むルプリンを有する雌株しかビールには使われない。かつてホップは農家から写真のような袋に詰めて納入されていたが、ホップは酸化しやすく長期の保存に適しないため、現在はペレットになったものが使われている。

ビア樽製造場。醸造所が独自に樽の製造場を持つのは、費用が嵩むことからとても珍しいことだったそうだ。

 

初期のボトリング装置。これでビールを一本一本ボトリングしていたとは大変な手間だったろうな。

 

次第にボトリング装置やボトルの洗浄装置も改良されていった。

 

ビア樽クリーナー。

 

昔のビール造りについて一通り見た後は現在の醸造所設備も見せてもらう。

近代的なこれらの装置は全てiPadで管理できるそうだ。

ごく簡単な紹介になってしまったが、ビール博物館のガイドツアーは一時間以上に及び、ビールの醸造についてだけでなく、ビールのラベルやビールグラス、ジョッキのコレクションなども見られてかなり楽しい。

 

ところで、マイゼル醸造所は「マイゼル&フレンズ」のブランド名で新感覚のクラフトビールも醸造している。と言われても、ビールに疎い私には何がどう違うのかよくわからないのだが。

 

ミュージアムショップ。

ミュージアムにはレストランも併設されており、そこでは100種類以上のビールを楽しむことができる。ツアーが終わって時計を見ると、カタコンベツアーにはまだ30分以上あった。喉も渇いている。ビールは苦手だけれど、ここまで来ておいてビールを試さずに帰るのもつまらない気がする。一杯くらいは試してみようかとカウンターに腰を下ろした。

とはいっても、何を注文すればいいのか全くわからない。どうせ味の違いはよくわからないのだからショップにあったチョコレート味のビールを飲んでみるべきか、、、。迷っていると店の人が「クラフトビールのテイスティングはいかがですか?5種類を試せますよ。チョコポーターも含まれていますよ」と言うので、それを頼むことにした。

一番右の色の濃いのがチョコポーターというビール。5種類を一口づつ試してみた。

 

うーん、、、、全部苦い。やはり無理!

残念ながらビールの味のわからない女なのであった。残りは夫に飲んでもらった。しかし、ビールは飲めなくともビール博物館はかなり面白かった。ビールの好きな人だったらもっと楽しめるに違いない。