今週末、写真ワークショップに参加するため、バルト海へ行って来た。

しかし、実は目的は写真ワークショップだけではない。バルト海といえば、「バルティック・アンバー」。そう、バルト海は世界有数の琥珀の産地である。バルト海沿岸の町には琥珀アクセサリーの店がたくさんある。私は美しい琥珀については知りたいが、琥珀アクセサリーを身につけたいとは特に思わないので、Ribnitz-Damgartenという町にある「ドイツ琥珀博物館 (Deutsches Bernsteinmuseum)に向かった。

 

 

ドイツ琥珀博物館は、修道院の建物の中にある。

 

ミュージアム内部は3階まであり、なかなか見ごたえがあった。

 

1階部分にはバルト海の琥珀に関する説明と、様々な種類の琥珀が展示されている。ケース越しのため、あまり綺麗に写真が撮れなかった。(実物はもっと綺麗)

 

 

 

天然樹脂が化石化してできる琥珀はドイツ語でBernsteinと呼ばれるが、 これは燃える石(Brennstein)を意味する。琥珀は炭素80%、酸素10%、水素10%でできており、ロウソクのように燃える。軽く、塩分を含む水中では浮き上がること、爪よりも少し硬いくらいの硬さで穴を開けたり彫刻のように削ったりしやすいのが特徴だ。

バルト海の琥珀は起源となる地質年代が非常に古く、世界で最も産出量が多く、種類豊富で品質が高い。また、学術研究も非常に進んでいる。インクルージョンと呼ばれる虫や植物が混入したものが多く見つかり、古生物学の貴重な標本でもある。インクルージョンの分析から、フェノスカンジアと呼ばれる北欧の森は5000年前には亜熱帯性気候であったことがわかっている

 

 

木の幹に止まった虫が樹脂の中に閉じ込められることは少なくないが、植物を含む琥珀は非常に珍しいそうだ。バルト海以外の場所でも琥珀は産出され、日本では北海道などで採れるが、白亜紀のものでバルト海の琥珀ほど起源が古くない。

人間は石器時代から琥珀を収集し、利用して来た。網で海中を探る原始的な採集法が大規模な採掘に取って代わられたのは19世紀後半で、海岸だけでなく、陸も掘り起こして採集するようになった。石器・青銅器時代から穴を開けて装飾品などに使われ、中世にはロザリオにも多く使われた。

 

 

また、現代医学が普及する以前は、民間医療にもよく使われていたらしい。細かい粉にして薬として飲んでいたというから驚きだ。

 

ミュージアムの2階にはキッズコーナーがあり、琥珀を使った工作ができる。

 

 

子どもの作ったステンドグラス風窓飾り。

 

 

数ユーロを払って好きな琥珀のかけらを選ぶと、磨いてペンダントに加工してくれる。5ユーロの小さな琥珀をペンダントにしてもらった。

 

3階には琥珀の美術品が展示されている。

 

チェスボード。

 

 

 

サンクト・ペテルブルクにあるエカテリーナ宮殿の琥珀の間の写真。ちなみにベルリンのシャロッテンブルク宮殿にも「琥珀の間」がある。

 

ミュージアムには琥珀アクセサリーのショップもある。夫はインクルージョンのある琥珀に大変ロマンを感じるようで、綺麗だね、買ったら?と私にしきりに勧めて来たが、私は5ユーロのペンダントで十分なので辞退した。

Ribnitz-Damgarten郊外には大きな琥珀アクセサリーの直売センター、Osteseeschmuckもある。バルト海産の琥珀は日本へも多く輸出されているが、日本ではおそらく割高と思われるので、プレゼントに良いかもしれない。

 

 

この週末、バルト海に面した保養地、Zingstへ行って来た。

ベルリンから車で北上すること3時間。人口わずか3000人ほどの小さな村で、特別珍しい建造物などがあるわけではないが、知る人ぞ知る観光地である。というのは、Zingstは美しい海岸を持ち、クアオルトと呼ばれる国指定の保養地の一つであるだけでなく、豊かな自然を利用した写真ツーリズムに大変力を入れているのである。

 

今回、私がZingstを目指したのは、週末ワークショップに参加するためだ。

 

 

Zingstは、細長く東西に弓のように伸びたFischland-Darß-Zingst半島の東部に位置する。この村がどのくらい写真ツーリズムに注力しているかというと、まず第一に毎年5月の末から6月にかけて、2週間以上に渡る大規模な自然写真フェスティバル、Umweltfotofestival Horizonte Zingstを開催していることが挙げられる。このフォトフェスには国内外の著名なプロ写真家及び4万人を超えるアマチュア写真愛好家が集まる。ギャラリー、ワークショップ、コンテスト、講演会、マルチメディアショー、写真・カメラマーケットなど、写真に関するあらゆる体験ができる一大写真イベントだ。パートナーにはEPSON、OLYMPUS、Leicaなどが名を連ねる。

 

私は去年、たまたま休暇でこの村を訪れ、そのときには残念ながらフォトフェスはすでに終了していたのだが、ギャラリーの一部がまだ残っており、展示されている写真のクオリティの高さに感動した。しかし、Zingstではフェトフェスの期間だけではなく、一年中、写真イベントやワークショップを開催している。そこで今回、私は週末ワークショップの一つに参加してみた。

 

ワークショップは、村の中心部にある、Max Hünten Hausというフォトスクールで行われる。

 

 

私が参加したのは金曜の午後から日曜のお昼までの風景写真ワークショップで、最初に導入として理論を学んだ後、計4回の撮影エクスカーションがあり、最後に写真の現像と批評会をする。定員は12名で、参加者はドイツ全国から来ていた。その中では私が一番の初心者だった。(しかし、自分のペースで撮影すればいいので、レベルが違うからついていけないというわけではない)

 

このワークショップでは主に海岸で日の出や日の入りを撮影することになっていたのだが、残念なことにこの週末は天気が悪く、内容が大幅に変更になってしまった。そのため、Zingstらしい風景写真はあまり撮れず、また、私の下手な写真では説得力に欠けるとは思うが、以下にアップするものに大幅に上乗せした内容だと考えて欲しい。

 

初日の夕方のワークショップでは夕日を撮影する予定が、雲がかかっていたため、近くの森で撮影することになった。森はうちの近くにもいくらでもあるので、ちょっとガッカリ。

 

 

水面に映った木を180°回転させてみた。

 

翌朝の日の出撮影も小雨で変更に。隣村の閉鎖された動物農場へ連れて行ってもらった。自然風景のワークショップに申し込んだのにと不満たらたらの参加者もいたが、廃墟はどんよりとした空にマッチしていて、私にはなかなか面白かった。

 

 

 

 

夕方のエクスカーション時には雨は止んでいたものの、サンセットは見られず、、、、。

 

 

 

最終日になって、ようやく良い天気に。

朝焼けにはならなかったけど、うっすらと夜が開けて来た。

 

 

 

西の空には月が。ズームが足りなくて、遠すぎ、、、、。

 

 

 

 

 

ようやく海辺らしい写真が撮れた。。

 

今回は天気には恵まれなかったが、その代わりにいろいろな種類の写真が撮れたから、まあ良いとしよう。

 

Zingstはまた、大量のツルが飛来することでも知られている。ツル観察&撮影イベントも魅力的だ。風景写真以外にも、動物、ポートレート、ルポルタージュ、ヌードなど、様々な写真テクニックを学ぶことができる。写真の好きな人にはとにかくオススメの観光地だ。写真の趣味はない人もサイクリングをしたり、お魚を食べたり、天気の悪い日にはクアハウスのテルメやクナイプバス、マッサージやエステでくつろぐなど、様々な楽しみ方がある。