ドイツに暮らしていて面白いと思うことの一つは、いろいろな時代の建物があることだ。首都ベルリンには実に様々な時代に建てられた趣の異なる建物が不思議な調和を生み出している。

過去数十年間に建てられた近代的な建物は日本の都市にあるものとそう大きな違いはないが、それよりも古い建物は装飾が凝らされていたり、日本では見かけないフォルムや質感だったりでいくら眺めていても飽きることがない。

けれど、ドイツの歴史をほとんど知らずに街歩きをしていた頃は、そうした古い建物をすべて「西洋建築」というたった一つのカテゴリーで認識していて、どれがいつの時代のものなのかまったく見当がつかなかった。最近になってようやく、建物を外観からいくつかのグループに分類して認識できるようになって来て、ますます街歩きが楽しくなっている。

建築史におけるそれぞれのエポックは、単なる美的意識の移り変わりではなく、それぞれの時代の技術革新や政治、イデオロギーとも関わっていることがおぼろげながら見えて来た。

ベルリン・ブランデンブルク探検隊」では、相棒の由希さんが建物好きなこともあって建物をメインテーマの一つにしているが、今回は旧東ベルリンのカール・マルクス・アレーを中心にスターリン建築を取り上げた。長年ベルリンに住んだ由希さんが撮影した東ベルリンやワルシャワのスターリン建築と、私の手持ちの東ドイツの他の町や本場モスクワのスターリン建築の写真を合わせて以下のスライド動画ができた。スターリン建築は個人的には好みの建築様式というわけではないけれど、インパクトが大きいし、それらが建てられた背景はやはり興味深い。動画で紹介したものだけでなく、旧社会主義国のあちこちに類似の建築物がたくさん残っていることだろう。今後、もっと見る機会があればいいな。