野鳥の繁殖シーズンが今年もやって来た!2020年の春、庭のナラの木に初めてカメラ付きの巣箱を設置してから、2020年2021年2022年と3年連続でシジュウカラの子育ての様子を観察することができた。ヒナたちが無事に巣立つこともあれば、いろいろなハプニングで悲しい結果になることもあり、毎年ハラハラである。今年は3月にエジプト旅行に出かけていたので清掃した巣箱を木に戻すのが少し遅くなってしまい、3月31日にようやく設置。すると、すぐさまにアオガラが巣材を運び入れ始めた。他の年も、最初に巣箱に入るのはいつもアオガラだった。しかし、ほんのわずかのコケを運び入れた後、そのまま放置し、いつ本格的に営巣を始めるんだろうと思っているうちにシジュウカラがやって来て巣箱を占領するというのがいつものパターン。だから、今年もそうなるのでは?

 

と思ったら、今年は最初から本気モードで、わずか半日で基盤がおおかたできてしまった。手慣れたものである。ここまで進めたのなら、もう中断はしないだろう。今年は初めてアオガラの子育てが観察できそうだ。

 

メスの作業中、パートナーのオスと思われるアオガラも頻繁に巣箱を訪れている。でも、ちょっと不思議なのである。オスが来るとメス(アオガラのアオちゃんと名付けた)は食べ物をねだって口を開けるが、オスは食べ物を見せるだけで食べさせないのだ。見せるだけ見せて巣箱の出口に戻る。それを数回繰り返す。これはどういうことなんだろう?まるで、食べ物で釣ってアオちゃんを巣箱の外におびきだそうとしているかのよう。このような場面がなぜか数日間に渡って繰り返し見られた。

 

営巣開始から11日目にカメラの映像を見ていると、大変なことが起こった。アオちゃんが巣にいるところにまたオスがやって来た、と思いきや、2羽の間で激しいバトルになったのだ。ということは、やって来たアオガラはパートナーのオスではなく、別のメス???アオちゃんは床にねじ伏せられ、大ピンチ!

実は去年のシジュウカラの営巣では、メスが巣を留守にしている間にクロジョウビタキが巣に侵入し、戻って来たシジュウカラのメスが怒って激しく攻撃した結果、侵入者のクロジョウビタキが命を落とすという事件があったのだ(そのときの記録はこちら)。そんなことがあったものだから、また死闘を目撃することになるのではと焦ったが、格闘の末、1羽が巣箱から出て行き、決着がついたようだ。勝者がどちらなのか、映像からははっきり判断できないが、巣に残ったのはアオちゃんの方であると信じたい。でも、もしかしたら乗っ取りかもしれない。すごく気になる、、、。

 

その翌日、巣に残ったメスは卵を一つ産んだ。口移しで食べ物をくれそうでくれないオスといい、前日のバトルといい、いろいろ謎が残るのだが、めでたく卵が産み落とされたことだし、便宜上、卵を産んだこのメスがアオちゃんだという前提で記録を進めたい。

 

卵の数は毎日1つづつ増えていき、10日後に10つになった。すごいすごい。

 

そして、いよいよ抱卵モードに!ヒナが孵るのが楽しみである。どうか途中でハプニングがありませんように。

 

(続く)

ドイツはもうすぐ復活祭。まだまだ気温は低いけれど、日が長くなり、庭では春のエネルギーが爆発している。冬の眠りから覚めた動物たちが動き回り、野鳥たちが冬超えをしていた南から続々と戻って来て、恋のパートナーを求めて高らかにさえずっている。今、窓の外を眺めながらこの文章を書いている間にも、クロウタドリ、ホシムクドリ、コマドリ、カケス、ズアオアトリ、モリバト、アオサギ、といろんな野鳥が次々に目の前に現れた。

1年のうちで、この時期が一番好きかもしれない。毎日、庭で繰り広げられる野生の生き物たちの活動から目が離せない。裏の家と我が家の庭の境に古い大きなナラの木がある。その木がいろんな生き物の生活の場になっている。

リスが枝の上で器用に毛づくろいをし、

アカゲラが森から運んで来たマツカサを木の隙間に挟んで種を食べ、

アオガラが巣箱で営巣を始めた。古い木が存在することの大切さを強く実感するのも春である。

 

そして、いつものように、春になるとマガモのカップルがなぜか毎日やって来る。

これから初夏にかけて、クロウタドリやシジュウカラ、ゴジュウカラ、アオガラ、クロジョウビタキ、アカゲラなどが一斉に子育てをし、夜にはハリネズミが庭を歩き回り、池にはカエルやヤマカガシが産卵にやって来るのがとても楽しみだ。毎日必ず面白いことがあるので飽きることがない。彼らを観察することが最高のエンタメなのである。サブスク代も払わないのにこんなに楽しませてもらっていいのかな。

(以下は庭にやって来る生き物たちの過去の画像)

とはいえ、今の場所に住むようになって17年になるが、最初から田舎暮らしを楽しんでいたわけではない。もともとは都市育ちで、若い頃は自然にはそれほど興味がなかったし、庭なんて手間がかかって面倒くさいと思っていた。

だけど、今は生き物たちと空間を共有することをとても幸せに感じるようになった。自然がこれほど大きな喜びや心の安定を与えてくれることを、自然の中で暮らしてみるまでは想像できなかった。このブログ、旅ブログとして始めて、今もそのつもりなのだけれど、いろんな理由でかつてのように気軽に旅ができる世の中ではなくなりつつある。自分も歳を取っていくので、いつまでも旅ができるわけではないだろう。たとえ遠くへ行けなくなったとしても、身近にもワクワクするものはいくらでもあると教えてくれたのは生き物たちだ。

今年も忙しくも楽しい春の庭をおおいに満喫したい。