「火山」がテーマのシチリア・エオリエ諸島ロードトリップ。前回の記事に書いたように、まずはシチリア北東部、エトナ火山の麓の町、カターニア(Catania)の溶岩でできた街並みを見た。その後は実際にエトナ火山に行ってみることにした。

地中海地域では最も高く、また世界で最も活動の活発な火山の一つである。頻繁な噴火によって標高は常に変化しているが、現在の高さはこちらのサイトによると3329mだそう。エトナ山とその周辺はエトナ山自然公園(Parco dellÈtna)という国立公園になっている。(以下のGoogleMapをズームして見てください)

カターニアからはツアーも出ているが、私たちは車があるので自力で行くことにした。エトナ山に登るにはエトナ公園の北側と南側からアクセスする方法がある。カターニアからは公園の南側のニコージ(Nicolosi)という町を経由するのが便利だと現地の人に教わり、ニコロージ方面に向かって、いざ出発。

途中で車を止め、小高くなった場所に上がって眺めた景色。地表の一部が溶岩流に覆われている(グレーの部分)。山麓の火山性土壌は肥沃で柑橘類や葡萄などの栽培に適しており、シチリア島の中で最も人口密度の高い地域の一つだが、恵み多い生活はリスクと隣り合わせでもある。最近では、2001年の大きな噴火の際に溶岩流がニコロージ市のわずか4km手前まで到達したそうだ。

溶岩流で崩壊し、埋もれた家屋

20kmほど緩やかな山道を登って行くと、山岳ホテルや土産物屋、駐車場のあるリフージョ・サピエンツァ(Rifugio Sapienza)に着く。そこからロープウェイ(Funivia Dell’Etna)に乗ることができる。この地点ですでに標高1900mを超えるので、夏でも肌寒い。この日はそれほどでもなかったけれど、風が強い日なら余計に寒いと思うので防寒対策が必要。でも、もし上着を忘れてもロープウェイ乗り場で登山靴と上着を貸し出しているので大丈夫。

 

黒々とした山肌を眺めながら標高2500mの高さまで登る。

ロープウェイの降り場にはミニバスが停まっている。バスでさらに登り、登山ガイドさんと一緒に歩くツアーが用意されているのだが、2017年に起きた噴火で、取材中のBBCのクルーや火山学者、観光客が噴石で怪我をする事故があり、現在は山頂まで行くことはできないことがわかった。残念!もちろん安全第一なのでしかたがない。でも、噴火口を見られないのであればツアーに参加してもあまり面白くないかな?と思い、ツアーには参加しないことにした。

ロープウェイ降り口付近から見た、どこまでも広がる真っ黒な景色。大きな火山だと実感する。周辺を見回すと、右側の小山に登っている人たちがいる。私たちも登ってみることにしよう。

下から見ると結構な急斜面に見えたが、登ってみたらたいしたことはなく、あっという間に上に着いた。この小山はピアノ・デル・ラーゴ(Piano del Lago) という火口丘だ。どんな感じか見たい方は以下の動画をどうぞ。

 

 

 

周囲をぐるっと歩く。ふと夫の背負っているリュックを見たら、テントウムシが1匹止まっていた。え?なんでこんな植物もない場所にテントウムシ?下界からうっかり連れて来ちゃったのかな?と思ったが、後でガイドブックを読んだら、火口周りは温かいので、テントウムシがたくさんいると書いてあった。へえー。

火山国、日本出身の私にとっては火山は珍しい存在ではないけれど、ドイツ生まれの娘には大変なインパクトのようで、「登って良かった!」と大喜びしている。来た甲斐があった。もちろん、私もエトナ山に登れてよかった。

まあ、登山といってもロープウェイに乗って少し小山を登っただけなのでイージーモードだ。しかし、私たちの火山旅行はまだまだ序の口。これからさらなる興奮が待っているのである。エトナ公園は広く、ビジターセンターやいろいろな見所があるようで、たっぷり時間をかけていろんなアクティビティを楽しむことができそうだ。私たちも後に改めてエトナ山を別の角度から見ることになるのだが、その前にシチリア島の北側、ティレニア海南部に連なるエオリエ諸島に向かうことにした。それについては次の記事で。

 

 

 

まだ9月の声を聞いていないのにすでに秋になったようなドイツである。今年の夏はなんだか短かったなあ。

私が住むブランデンブルクでは春から初夏にかけてコウノトリが多く繁殖する。ブランデンブルクで繁殖行為を終えたコウノトリたちは8月にはアフリカに向けて移動する。彼らが飛び立つ前に、コウノトリの村、リューシュテットへ行って来た。ブランデンブルクの外れにあるこの小さな村はドイツ最大のコウノトリの繁殖地でコウノトリの保護に力を入れている。アクセスが大変なのだが、ラジオで偶然、なぜこの村に多くのコウノトリが集まるのかについて聞いて、是非とも行ってみたくなったのだ。

すでに7月だったのでピークシーズンは過ぎていたが、それでも多くのコウノトリを見ることができた。コウノトリは大きな鳥だけあって、たくさんの個体が集まっている様子はなかなか壮観だった。野鳥観察は本当に楽しいなあ。

YouTubeチャンネル「ベルリン・ブランデンブルク探検隊」にスライド動画を公開したので、ご興味があったらぜひ見てください。

ドイツに暮らしていて面白いと思うことの一つは、いろいろな時代の建物があることだ。首都ベルリンには実に様々な時代に建てられた趣の異なる建物が不思議な調和を生み出している。

過去数十年間に建てられた近代的な建物は日本の都市にあるものとそう大きな違いはないが、それよりも古い建物は装飾が凝らされていたり、日本では見かけないフォルムや質感だったりでいくら眺めていても飽きることがない。

けれど、ドイツの歴史をほとんど知らずに街歩きをしていた頃は、そうした古い建物をすべて「西洋建築」というたった一つのカテゴリーで認識していて、どれがいつの時代のものなのかまったく見当がつかなかった。最近になってようやく、建物を外観からいくつかのグループに分類して認識できるようになって来て、ますます街歩きが楽しくなっている。

建築史におけるそれぞれのエポックは、単なる美的意識の移り変わりではなく、それぞれの時代の技術革新や政治、イデオロギーとも関わっていることがおぼろげながら見えて来た。

ベルリン・ブランデンブルク探検隊」では、相棒の由希さんが建物好きなこともあって建物をメインテーマの一つにしているが、今回は旧東ベルリンのカール・マルクス・アレーを中心にスターリン建築を取り上げた。長年ベルリンに住んだ由希さんが撮影した東ベルリンやワルシャワのスターリン建築と、私の手持ちの東ドイツの他の町や本場モスクワのスターリン建築の写真を合わせて以下のスライド動画ができた。スターリン建築は個人的には好みの建築様式というわけではないけれど、インパクトが大きいし、それらが建てられた背景はやはり興味深い。動画で紹介したものだけでなく、旧社会主義国のあちこちに類似の建築物がたくさん残っていることだろう。今後、もっと見る機会があればいいな。

 

前回の続き。

いよいよ始まった、シジュウカラの子育て。

2つ目の卵はいつ孵るかなと思って見ていたが、何が良くなかったのかヒナは生まれなかった。つまり、モコちゃんの赤ちゃんは一人っ子である。去年はたくさんのヒナが成長する様子が見られたので、今回は1羽だけというのはちょっと寂しい気がした。でも、しばらく見ていたら、これはこれで観察のしがいがあることがわかった。ヒナ同士が重なり合うことがないので、その分、体の成長をよく見ることができるのだ。

最初のうちは皮膚が透けていて、体の内部まではっきり見える。非常に興味深い。でも、見ようによってはちょっとコワイ画像かもしれないので、ここにクローズアップを載せるのはやめておこう。

 

生後8日。頭が黒くなり、羽が生えてシジュウカラらしくなった。一人っ子なので、パパとママがせっせと運んで来る餌を独り占めできる。だから、グングン大きくなった。

生後9日。お座りができるように。

生後10日。ママに抱っこしてもらっていたら、パパが餌を運んで来る。大事に育てられているなあ〜。見ていると、ほのぼのしてしまう。

 

生後11日。羽ばたきの練習が始まった!いよいよ巣立ちか!?

と思ったけれど、ここからがなかなか大変だった。この子(ピヨちゃんとしよう)は発育状態はとても良いのだが、どうも甘えっ子のようなのだ。母鳥のモコちゃんは「そろそろ巣立てそう」と判断したのか、この翌日から、餌を持たずに巣箱に戻って来て、ピヨちゃんを外に誘い出すような仕草をするようになった。が、ピヨちゃんはなかなか出ようとしないのである。

生後14日目。巣箱に戻って来たモコちゃんに「ママ、ごはんちょうだい、ちょうだい!」とねだるピヨちゃん。モコちゃんは「ダメダメ」というように首を振り、我が子の前に回李、手本を見せるように飛んでみせる。しかし、ピヨちゃんは怖がって出ようとしない。モコちゃん、今度は餌を見せながら「ママと一緒に外に出られたら、これをあげるからね」とでも言うかのように説得を試みる。しかし、それもうまくいかない。延々とそれを繰り返していたら、夜になってしまった。どうやら巣立ちは翌日に持ち越しのようである。

生後15日目。ピヨちゃん、ようやく出ようという気になったのか、ときどき飛び上がってはみるのだが、やっぱり怖いようだ。兄弟がいれば、先に飛び立つ兄弟の勢いにつられて出やすいのかもしれないが、なんせ一人っ子。モコちゃんは延々と根気よく飛ぶのを促している。イヤだイヤだ、こわいもん、とグズるピヨちゃん。いやはや、子どもを巣立たせるのも大仕事だね。私もこの日は今か今かと、10分おきにカメラを覗き込んで、手に汗握っていた。

 

そして、今日もまた出ないで終わりかなあと思いかけた夕方の5時過ぎ、ついにピヨちゃんは勇気を振り絞って巣箱を出たのだった。

 

巣箱から出る瞬間を外から見ようと思っていたのだけれど、ちょうどこのとき取り込んでいてすぐには庭に出られず、気づいたらもう巣箱にピヨちゃんの姿はなかった。慌てて自動録画されていた動画を確認する。動画に残った音からして、ピヨちゃんはスムーズに飛び立ったというより、出口でジタバタしているうちに偶然飛び出せたという感じだったのではと推測する。庭に出て、それらしきヒナがいないか探してみたが、見当たらなかった。残念!でも、パパとママに守られてオークの木のどこかにいるはず。成鳥と区別がつかなくなる前に姿が見られるといいなあ。

 

というわけで、今年は1羽だけだったけれど、巣箱からシジュウカラが無事に巣立った。大家の私と夫にとっては嬉しい限りである。

 

去年、初めて庭に野鳥のための巣箱を設置し、内部にカメラを取り付けた。設置後数時間でシジュウカラが営巣を始めたので、巣作りから抱卵の様子、そしてヒナ達が巣立つまでを観察した。カメラを設置したのも野鳥の育児を観察するのもまったく初めての経験で、ワクワク、ハラハラな数週間を送った。

その一部始終をこのブログに「シジュウカラの育児観察記録」(その1からその10まであります)および「帰って来たシーちゃん、シジュウカラ2度目の営巣」(その1からその3まであります)としてまとめたところ、多くの方が読んで下さったようだ。

それにしても、野鳥の育児観察がこんなに面白いなんて!巣箱は数ユーロで市販されているので気軽に設置できる。カメラも一度用意すれば壊れるまでは使えるから、これからは毎年観察が楽しめる。よし、2021年もいくぞー!とやる気満々でシーズンの到来を待った。今年は巣箱を2つに増やし、古い方を旧館、新しい方を新館とした。それぞれの内部にカメラを取り付けて2月から観察を開始。今年はリアルタイムではブログに記録せず、一連のプロセスが終了してから手元に残った画像と映像記録、メモをもとにまとめることにしたのでリアルタイム観察の躍動感は伝わらないかもしれないけれど、以下、まとめである。

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結果から言うと、今年も去年同様、シジュウカラの営巣からヒナの巣立ちまでを観察することになったが、今年は去年とはだいぶ様子が違っていた。まず、なかなか本格的な営巣が始まらなかった。2月の終わりにかなり暖かい日があって、新館の方でも旧館の方でもアオガラとシジュウカラが代わりばんこに巣箱に入って中を偵察してはいた。気の早いアオガラが新館に巣材を持ち込み始めたが、数日後に冬に逆戻りしたような低気温になり、アオガラはあっさり断念。4月に入って今度は旧館でシジュウカラが営巣を始め、結構いいところまで進んだ。しかし、5月に再び寒い日が続いてこちらも中断。ニュースによると、今年の5月は30年来の寒い春だったそうだ。日が長くなって来ても昆虫の姿もほとんど見られない。これではヒナが生まれても与える餌もないだろう。私も毎日巣箱カメラを覗き込んでは何も起こらずガッカリする毎日。

しかし、ようやく気温が安定して来た5月29日、旧館でようやくシジュウカラが中断していた巣作りを再開!

営巣再開から3日目の様子

今度こそ、子育て本格開始か!?

やっぱり暖かくなるタイミングを待っていたのだろう。すごいスピードで巣が整えられ、6月3日、卵が一つ産み落とされた。

 

去年、この巣箱で営巣したシジュウカラのシーちゃんとは別のメスのようだ。うなじの白いあたりがしーちゃんとは違う感じで、巣の作り方もかなり違う。季節がズレているから手近にある巣材の種類が違うからかもしれないけれど、なんだか随分とモコモコした巣を作るなあと思って、このメスは「モコちゃん」と命名。

シーちゃんは毎朝1つづつ卵を産んだけれど、モコちゃんはそうではなく、1つ目の卵を産んでから6日目にもう一つ産んだ。そして、それきりもう卵を産まなかった。シジュウカラにしては少ない。今年の春は気候が安定しなかったことと関係があるのか、別の理由なのかはわからないが、モコちゃんは多産ではないのだった。

ここからモコちゃんは抱卵モードに入ったが、6月に入ると今度はいきなり猛暑となり、30度越えの日が続いた。巣箱の中は一体、何度あるんだろう?卵が煮えてしまうのでは?と心配になる。モコちゃんもそれを心配してか、それとも自分が暑くてとても座っていられないのか、立ち上がって上を仰ぎ見て口を開けていることが多かった。大家の私としては、エアコンつけてなくてすみませんと謝りたくなる気分である。

そして、最初の卵が産み落とされて20日が経過、卵の1つが孵った!かわいい〜!生まれたての我が子を愛おしそうに見つめるモコちゃん。モコちゃんのダンナもせっせと餌を運んで来て、夫婦力を合わせての子育てが始まった。

 

長くなったので、続きはその2に。