あらゆるボードゲームで遊べるケムニッツのドイツ・ゲーム博物館

 

ケムニッツの産業博物館は堂々たるミュージアムだったが、次に向かったのはおそらく存在をほとんど知られていないであろうマイナーなミュージアム、ドイツ・ゲーム博物館(Deutsches SPIELEmuseum Chemnitz) である。

 

というのは、最近、ドイツのボードゲームが気になって仕方がない。ドイツ人は老若男女ボードゲームが好きで、多くの家庭では居間の棚にボードゲームの箱が山積みになっている。子どもだけでなく、大人同士でもシュピールアーベント(ゲームの夕べ)と称して数人が集まり、夜通しゲームをして遊んだりする。

ドイツでは年間400〜600の新しいボードゲームが市場に出るとされ、まさにボードゲーム大国である。国外にもドイツのボードゲームファンは多いようだ。

実は私はこれまでそれほどボードゲームで遊んで来なかった。パズルや数独のようにシングルタスクを一人で黙々とこなすタイプのゲームは大好きなのだが、頭の回転が遅いので複雑なゲームはどちらかというと苦手。クリスマスに義両親の家でトランプや定番のゲームをやるくらいだった。ところが、ドイツ国内の歴史系の博物館を回っているうちに、ドイツ人は政治や歴史上の出来事も、ことごとくボードゲームにしてしまうことに気づいたのだ。例えば、ベルリンの壁ゲーム、冷戦ゲーム、ベルリンの壁崩壊ゲーム。宗教改革から500年の今年は宗教改革ボードゲーム、Lutherがリリースされた。

ゲームで遊びながらドイツを知るっていうのもいいんじゃないか?そんな気がしているのである。そんなことを考えているうちにドイツ・ゲーム博物館に到着。

 

新しいが、倉庫のような建物。

うっかりして会館の20分も前に行ってしまったのだが、館員さんに「本当はまだだけど、どうぞ入って」と中に入れてもらった。おまけに「遠いところから来たのね。じゃ、入館料はいいわ。案内するわね」と無料で中を案内してもらえることに。ドイツ・ゲーム博物館はもともとは1986年、ハンブルクに設立された。しかし、コレクションが膨大となりスペースが足りなくなったため、1995年にケムニッツへ移転。なぜケムニッツかというと、旧東ドイツ時代、ゲームやおもちゃの6割がこの町で生産されていたからだ。現在、このミュージアムには万単位の数のゲームが保管されている。

 

ミュージアムの1階部分は遊ぶスペースで、壁際にボードゲームがぎっしり積み上げられている。

ゲームは実際に遊んでみなければ始まらない。ここでは誰もが気軽にボードゲームで遊ぶことができる。地元のゲームメーカーがこのミュージアムのスポンサーとなっており、最新作を提供しているそうだ。ドイツには各地にシュピールカフェと呼ばれるゲームカフェがあるが、その中でもここが特に多くの種類のゲームを揃えていることは間違いない。子ども向けゲームイベントも頻繁に開催している。

2階の展示スペースへ上がる階段から1階を見下ろす。

 

1979年より毎年、選出されるドイツ年間ゲーム大賞(Spiel des Jahres)を受賞した選りすぐりのゲーム。

 

さて、2階の展示を見てみることにしよう。

ゲームの4つのカテゴリー、スキル系ゲーム、運によるゲーム、戦略系ゲーム、ミックスゲームごとに古いゲームが陳列されている。

スキル系ゲーム。いわゆる知育玩具。

 

これは、、、。KOSMOS社の実験キット!こんなに古くからあったのか。現代版には我が家の子どもたちも随分とお世話になった。

すごろく。

 

 

おそらくどこの家庭にもあるドイツのボードゲームの定番中の定番、Mensch ärgere dich nicht。しかしこのゲーム、インドの国民的ゲームであるパチーシが元祖だという。戦略系ゲームの棚にはチェスなどの他に古い囲碁ゲームも並べられていた。

 

第一次世界大戦ゲーム。

 

さらに、展示室の奥はDDR時代のゲームコーナーとなっていて、これが面白かった。DDR時代に生産されたゲームの80%は子ども向けで、教育効果を狙ったものだった。といっても、政治的プロパガンダの要素は濃くなかったと説明には書かれている。社会主義国家だから、ギャンブル系ゲームや資本主義的なモノポリーゲームなどはもちろん禁じられていた。しかし、それらを真似て作られたゲームが闇で売買されていたらしい。

 

DDRの愛されキャラクター、Sandmännchenのゲーム。

キノコ狩りゲームも定番だったようだ。

スプートニクゲーム。

 

80年代にMartin Böttger氏により考案された国家批判ゲーム、Bürokratopoly。当然、このようなゲームでおおっぴらに遊ぶのは非常に危険だったため、アンダーグラウンドで広がった。DDRが消滅した現在は教育ツールとして学校で使われているらしい。面白そう。遊んでみたい。

このようにドイツのボードゲームは社会を反映している。いろんなゲームをやってみたくなって来た!

 

展示を見終わって1階に戻ると、先ほどの館員さんが「ちょっとあなた、館長が来たから話していったら?」と声をかけてくれた。

「ドイツって、ボードゲームが盛んで種類がたくさんありますね。どうしてドイツではこんなに多くのゲームが発達したんでしょうか?」と聞いてみると、「そうですね。ドイツは職人の国ですからね。職人技を余暇にも活かしたと言えるでしょうね」との答えが返って来た。

「でも、今はコンピュターゲームの時代ですよね。それでもボードゲームは人気ですか」

「もちろん、コンピューターゲームもたくさん作られていますよ。でも、コンピューターゲームが広がってもボードゲームは無くなりません。それどころか、ますますボードゲームの人気は高まっていますよ。やっぱり、人と一緒に同じ空間でゲームをするって楽しいですからね」

さて、どんなボードゲームがあるのか、早速チェックしてみようっと。

 

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