前回の記事で、ヨットの上で釣りをしたことについて触れた。今回はクルージング中の釣りと料理についての記録である。
クルージング中は3食ともヨットの上でコックさんが調理してくれたものを食べる。実は、出発前には私はあまり食事に期待していなかった。というのも、今までいろんな国を旅して来たが、食文化の発達している国もあればそうでもない国もあった。過剰に期待するとガッカリすることがあるので、「美味しければラッキー」ぐらいのつもりでいることにしているのだ。
今回は小さな船なので食材をそんなに積み込めるわけではないし、キッチン設備も限られている。そんなにすごい料理が出てくるはずはないだろうと踏んでいた。
ところが、である。
釣り糸を海の中に垂らして移動したら、初日からじゃんじゃん魚が釣れる。
予約したクルーズの内容には釣りは特に含まれていなかった。「少しでも楽しんでもらえるように」とキャプテンが自前の釣竿や釣り糸を持参して、アクティビティに加えてくれたのだ。これにはみんな大喜び!釣りとは言っても、勝手に引っかかる魚を順番に引き揚げるだけなのだけれど、2チームに分かれて、どちらのチームがたくさん釣るかを競い合ったら、ものすごく盛り上がった。
釣ったお魚はコックさんが調理してくれる。新鮮なお魚だよ、わーい!
毎日毎日、お魚三昧。コック・カルロスによるお魚料理のバラエティは驚愕ものだった。お刺身だけでも、お醤油とライムで、サフランソースで、マスタードソースで、またはパッションフルーツをかけてなど、いろんな食べ方がある。火を使った魚料理はムニエル、オーブン焼き、バーベキュー、カレー、炒め物、グラタン、魚ピッツァなど、とにかく飽きさせない。
船の上の小さなキッチンで作り出される美味しい料理の数々には本当にびっくり。献立はあらかじめきっちり決まっていたわけではないようだ。初日に「ベジタリアンの方、食物アレルギーのある方はいますか?」と聞かれた。私たちの中にはベジタリアンの人も重大なアレルギーを持つ人はいなかった。もし、いたら対応してくれていたのだと思う。冷凍庫にはお肉が入っていて、もし私たちが「また魚か」という反応をすれば、お肉中心のメニューになっただろう。皆がお魚を美味しい、美味しいと言って大喜びで食べるので、コックさんは張り切って連日、お魚料理を作ってくれたのだ。メインの食材がその日釣れたお魚なので、安上がりの食事である。でもそれが逆に大変な贅沢で、食事にそれほど期待していなかっただけに、喜びが大きかった。
お魚料理以外の料理もどれも美味しく、毎日出たサラダもバラエティに飛んでいた。一般的なグリーンサラダやポテトサラダのほかに、トロピカルフルーツや野菜を使ったサラダなど、食べたことのないクリエイティブなものが多くて、食事のたびに今度は何が出てくるかなと楽しみなのだった。
なんだかもう、これらの食事だけでクルーズ費用の元が取れたという気がする。もし、ホテル滞在にしていたら、毎日どこかレストランで食事することになり、その都度お金がかかっていただろうと思うと、かなり得した気分である。