ニーダーザクセン州へ週末旅行に行って来た。バイエルン州に住む友人とハノーファーで待ち合わせていたが、ハノーファーまでただまっすぐ行くのではなんだかつまらない。途中でどこか立ち寄ろうかと地図を眺めたら、まだ行ったことのない都市、ブラウンシュヴァイクが目についた。軽く検索したら、「ブラウンシュヴァイク自然史博物館」がある。現在、スピノサウルスの特別展を開催中だという。よし!ではそこへ行ってみることにしよう。
州立自然史博物館はブラウンシュヴァイク大学の建物に隣接している。
博物館の前で大きな恐竜が迎えてくれた。これはスピノフォロサウルス(Spinophorosaurus nigrensis)のモデル。名前が似ていて紛らわしいが、スピノサウルスではない。ブラウンシュヴァイク自然史博物館の発掘調査隊が2005年にナイジェリアで発見した植物食の竜脚類のモデルだ。スピノフォロサウルスが発掘されたことにより、2010年に同博物館に恐竜の間(Dino-Saal)が新たに設けられたそうだ。
こちらの小さい恐竜は1998年にハルツ地方のゴスラー付近で発掘されたエウロパサウルス(Europasaurus holgeri)の実物大モデル。モデルの手前に見えるのは恐竜の足跡のついた砂岩の板。また、スピノフォロサウルスとエウロパサウルスの周りには周辺地域で採れた種類の異なる石が配置されている。というのも、ブラウンシュヴァイクはドイツ国内で地質学的に特に興味深いエリアに位置しているのだ。隣接するハルツ地方を中心とする東西約100km、南北120kmのエリアはユネスコ・グローバルジオパーク(UNESCO-Geopark Harz. Braunschweiger Land. Ostfalen)に認定されており、ドイツ最大のジオパークだという。そしてこのジオパークの特色は、古生代から新生代までのほぼ全ての地質年代の岩石が観察できることなんだって。そんなすごい地域だったとは!(詳しい情報はこちら)
そのような自然条件の地域に位置する自然史博物館だから、当然、見応えがある。
まずは標本室。素晴らしい〜!
標本室が大好きな私はうっとり。でも、爬虫類などの標本は苦手な人もいるかもしれないね。
でもほら、標本ってこんなに美しい。
哺乳類の剥製は見るとかわいそうな気にもなるけれど、でも、こんな生き生きとした剥製、すごいなあ。
標本室以外にも見所はたくさんだ。フェルディナント・アルブレヒト1世のお宝コレクションを展示したSchatzkammerには珍しいものが並んでいる。
装飾を施したオウムガイとか、、、。
背中の穴で卵を孵化させるコモリカエル(ピパピパ)。ちょっと気持ち悪いけど、あまりに不思議なのでついじーっと見てしまう。こういうの苦手な方、すみません。
2011年にブラウンシュヴァイク付近(Hondelage)で発見されたジュラ紀の魚竜化石2体。ステノプテリギウスの全骨格にユーリノサウルスの骨の一部が重なった状態で埋まっていた。
こちらはプシッタコサウルス。中国で発見されたもの。
これもまた珍しい展示物。ステラーカイギュウと呼ばれる絶滅した海棲哺乳類の骨格だ。1741年にドイツの自然史学者、ゲオルク・ヴィルヘルム・ステラーによりベーリング海で発見された。
まだまだ続々と出て来るが、写真を貼っていたらキリがないので、「恐竜の間」についてはオープン当時の紹介動画を貼っておこう。
思いつきで立ち寄ったブラウンシュヴァイクだったので、実はそれほど期待していなかった。来てみてびっくり。ブラウンシュヴァイクからほど近いニーダーザクセン州ハルツ地方は「ジュラシック・ハルツ」とも呼ばれ、ドイツの恐竜研究の重要拠点であることがわかった。機会があればジオパークも訪れてみたいな。
と、すっかり満足して、うっかりしてこのまま帰ってしまうところだった。そういえばスピノサウルスの特別展示をやっているはずだけれど、肝心のスピノサウルスは一体どこに?スピノフォロサウルスは見たけれど。
受付で聞くと、「スピノサウルス展はここではなくて、ダンクヴァルデローデ城でやっています」とのこと。ダンクヴァルデローデ城は旧市街にあるという。えー、なんで別の場所でやっているの。移動しなきゃならないなんて面倒臭い!と思いながら、せっかく払った入館料を無駄にするのももったいないとシブシブ城へと移動することにした。
ダンクヴァルデローデ城で物凄い光景が私を待ち受けているとはこの時点では思いもせずに、、、、。
(次回に続く)