実家に帰省したついでに回る旭川市周辺のジオサイト。神居古潭の次は当麻鍾乳洞だ。鍾乳洞は私が住んでいるドイツにも規模の大きいものがたくさんあって、特にシュヴェービッシェ•アルプの洞窟群はかなり見応えがある(過去記事 )。それらと比較して当麻鍾乳洞は小さいが、学術的にはかなり貴重なものであるらしい。

夏休みが終わっているせいか、この日は私たちの他に観光客は見当たらず、閉まっているのかと思うほど閑散としている。

石灰岩の崖にある鍾乳洞入口

鍾乳洞は、サンゴ礁などの殻や骨格を持つ生き物の死骸が海の底に堆積することによってできた石灰岩が水で溶食されてできる。

冷んやりした内部に入る。歩道の長さは135m。

洞窟の内部はいろいろな色が混じり合って神秘的な独特の雰囲気を醸し出している。当麻鍾乳洞の石灰岩は、海洋プレートが海溝に沈み込む際に海底火山や深海底の地層と一緒に大陸プレートの縁に押しつけられてくっついた付加体である。岩がカラフルなのは、その際の圧力で海底火山や深海底の地層は変質して緑色岩や赤色チャートになったため。

洞窟内は5つの部屋に区切られ、それぞれの部屋には大小様々な鍾乳石や石筍、石柱などが造り出す自然の造形にふさわしい名前がつけらている。

幸運の間

奥の院

千鶴の滝

当麻鍾乳洞の大きな特徴は、方解石の結晶であるつらら石や石柱などの透明度がとても高いことだそう。

確かに透明度がすごい。

蝋燭みたい。

特筆すべきは、管状鍾乳石と呼ばれる半径5mmほどの真っ直ぐな細い鍾乳石で、中が空洞になっている。マカロニ鍾乳石とも呼ばれ、とても珍しいそうだ。

 

当麻鍾乳洞を見た後は、大雪山国立公園内に位置する峡谷、層雲峡へ。

層雲峡には見どころがたくさんあるけれど、数時間では見切れないので、今回は2箇所に的を絞ろう。

1箇所目は大函。この渓谷はおよそ3万年前の大雪山の噴火によって堆積した火砕流堆積物が石狩川に侵食されてできた。火砕流堆積物は火山灰や軽石、スコリアなどから成るが、火砕流が厚く堆積すると中に熱がこもって火山灰中の火山ガラスが溶け、互いにくっつき合って緻密なガラスとなる。そうしてできたのが層雲峡に見られる溶結凝灰岩だ。

柱状節理

河原に落ちている岩のかけら

こんなものも落ちてた。エゾシカの骨?

2箇所目の立ち寄りスポットは双瀑台。

すごい岸壁

双瀑台テラスからは銀河•流星の滝を両方一度に眺めることができる。左のV字形の谷から流れている滝が銀河の滝(落差104m)で、右側のが流星の滝(落差90m)。2本合わせて夫婦滝とも呼ばれる。

糸のように細く分かれた水が岸壁を流れ落ちる銀河の滝。こちらが雌滝。

滝から崩れ落ちて来た岩石

滝というのはいつ見てもいいなあ。さて、再び移動だ。

 

この記事の参考文献:

前田寿嗣 『見に行こう!大雪・富良野・夕張の地形と地質

北海道大学出版会『北海道自然探検 ジオサイト107の旅