今回のケニア・サファリツアーの最後の目的地は、野生動物の密度が高いことで世界的に知られるマサイマラ国立保護区(Massai Mara National Reserve)だ。ケニア南西部に位置するこの保護区は、隣国タンザニアの セレンゲティ国立公園 とつながっている。マサイマラとセレンゲティは同じ生態系に属し、国境を挟んで広がる 「マラ・セレンゲティ生態系」 を形成している。
ナイヴァシャ湖からマサイマラ国立保護区までの移動は、途中にあるナロック(Narok)の町までは国道なので比較的快適だが、そこからは道路状態が急に悪くなった。道路の中央は陥没して穴だらけなので、路肩を走らなければならず、道路の真ん中を走れないなら何のための道路か、と思ってしまう。ナイヴァシャ湖からナロックまで約2時間半、そしてナロックからタレックゲート(Talek Gate)の近くの宿泊施設までさらに2時間半、合計5時間ほどかかって到着した。(ナロックでマサイマラ大学の学生たちがデモをやっていて、道路を塞いでいたせいもある)
マサイマラで私たちが泊まったのは、コテージタイプのロッジではなくテンテッドキャンプ(tented camp)と呼ばれるテント式のロッジ。自分で選んだわけでなくサファリツアーに組まれていたのだけれど、テントだとより自然と一体感がありそうで、楽しみだった。

泊まったテント式ロッジ

中は普通に快適

テントの中にはシャワースペースもある。蛇口を捻ってからお湯が出るのに5分くらいかかる。

レセプションやレストラン、バーなどのスペースもすべてテント。
テンテッドキャンプは雰囲気たっぷりでいい感じ。夜中にはハイエナの鳴き声が聞こえたりと「アフリカのサバンナにいる」感が味わえる。ただし、自然と一体化していると感じるほどではなく、ワイルドさにおいては今までに経験したパナマのツリーハウス風コテージやコスタリカのジャングルの中のシンプルなロッジの方がすごかった。私たちが泊まったのは公園の外にあるテンテッドキャンプだったが、公園内のテンテッドキャンプ(より割高)なら、もっと直接的に野生の世界を感じられたのかもしれない。
マサイマラ国立保護区では保護区を流れるマラ川の支流、タレック川沿いにあるタレックゲートから入園し、2日間の終日サファリを楽しんだ。

タレック川。乾季なので水が少ない。雨季にはまったく違う景色になると思われる。

タレックゲート(Talek Gate)
マサイマラ保護区内はサバンナが広がりアカシアの木が点在する、野生動物ドキュメンタリーで見るアフリカの景色そのもの。およそ1,500㎢の敷地を数えきれないほど多くの野生動物たちが歩き、走り、食べ、休み、後尾をし、子育てをし、狩りをする姿が見られる、先進国に住む私たちにとって、まさに非日常の世界だ。
この記事ではマサイマラで見た草食動物を中心に紹介しよう。肉食動物に関しては後の記事で。
まず、大型のアンテロープ、トピ(Topi、Damaliscus korrigum) がたくさんいる。

トピの群れ
トピはツヤのある茶褐色の体をしていて、顔と肩、腰部がまるでアザができたかのように黒いのが特徴。


特定の個体がシロアリ塚などの小高い丘の上に立って見張りをしているのがあちこちで見られた。トピに典型的な行動だそうだ。

イボイノシシ (Warthog, Phacochoerus africanus)
目の下と頬のあたりに「イボ」のような突起があり、口から上に反り返るように牙が生えている。どことなく愛嬌のある顔だな。

背中には短いタテガミ。走るときにはしっぽをピンと立てる。イボイノシシは草食ではなく雑食だが、主に草や根、塊茎、果実を食べる。イボイノシシは脚も首も短いので、草を食べるときは前脚を曲げて跪くことが多いらしい。残念ながらその姿は見られなかった。できればじっくりと観察したい動物だ。
マサイマラにいるキリンは「マサイキリン (Massai Giraffe, Giraffa tippelskirchi)」

そして、マサイマラにいるダチョウは、マサイダチョウ (Masai ostrich, Struthio camelus massaicus)。ソマリダチョウと違い、首や脚がピンクっぽい。

ゾウが水を飲んだり草を食べるところをゆっくり観察することができた。

鼻で草を根っこごと引き抜いて、振って泥をある程度落としてから口に運ぶ。美味しいところだけ食べて、不味いところは落とす。

鼻をストローにように使って水を吸い上げ、一度鼻の中にためてから口に注ぐのね〜。

マラ川(Mara River)。 毎年、7月~10月にはヌーの大移動のクライマックスとなる 川渡り が見られることで有名だが、今の季節はヌーの姿はない。しかし、カバはたくさん。



マラ川にはワニもいる。

黄色っぽくて小さいから、これは若い個体かな?

ワニがカバに近づいて行った。ガイドさんによると、このカバはメスで、自分の前の水中に赤ちゃんを隠している。その赤ちゃんをワニは狙っているらしい。
カバの群れもすごいが、圧倒的だったのはバッファローの群れだ。

一体全部で何頭いたのか。これだけの数のバッファローが移動する様はとにかく圧巻だった。

