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ハイタカの羽標本を作ってみた

去年の8月、我が家のサンルームの窓ガラスに1羽の猛禽類が激突し、死んでしまった。 ガラスに野鳥がぶつかるのは残念ながら珍しくなく、少しでも事故を減らそうと窓ガラスにステッカーを貼ったり、ツタのカーテンを垂らしたりしているのだけれど、それでも時々、ぶつかってしまう。ぶつかった鳥は脳震盪を起こしてしばらくぼうっとした後、元気になって飛び去ることがほとんどだが、この猛禽類は可哀想なことに首の骨を折り、即死だった。とてもショックだったけれど、猛禽類を間近でじっくり見ることは滅多にない。せっかくの機会だから観察してみよう。ゴム手袋をはめて、羽を広げてみた。     体長およそ30cm、翼を広げると、その幅は47cmほど。羽の色、模様を含めて判断するに、ハイタカの若鳥らしい。美しい個体だ。それにしても、鳥にはこんなにたくさんの羽が生えていたんだ。瞼は上から下ではなく、下から上に閉じるんだね。クチバシも爪も触れるのは初めてだ。へー、なるほどなるほど、こうなっているのね、とひとしきり観察した。 さて、この死骸、どうしよう? そのままゴミとして捨てるに忍びず、どうしたものか。アニマルトラッキングの仲間に野鳥の羽標本を作っているKさんがいるのを思い出して、連絡してみた。「うちの庭でハイタカが死んでしまったんだけど、死骸いる?」「喜んで!」。しかし、今は標本を作る時間がないので、冷凍保存しておいてくれないか、というと。そこで、彼女に時間ができたら標本作りに参加させてもらおうと思いついたのだった。 先日、ようやくその機会がやって来たので、冷凍ハイタカを持ってKさんの家へ。ハイタカを二人で半分こし、私は右半分の羽標本を作ることになった。 初めての体験にドキドキ。やってみたいと言ったものの、翼部分を切り取ったり、最初の1本の羽を抜くのには少々、勇気がいる。「普段から鶏の手羽先などを調理しているんだから、羽がついているかいないかだけの違いだ」と自分に言い聞かせながら、恐る恐る手を動かす。   手順はわりにシンプルで、標本にする羽を1本1本抜き、部位ごとに並べて接着剤で台紙に貼っていくだけ。でも、鳥の体の構造を全然わかっていなかったので、部位を確認しながら羽を並べていくのは難しかった。   風切羽(ドイツ語でSchwungfeder)には、初列(Handschwingen)、次列(Armschwingen)、三列(Schirmfeder)の3種類がある。風切羽は大きく形も特徴的なのでまだわかりやすい。しかし、雨覆羽は細かい区分があって、それが何列も重なっている。形も似かよっているので、どこからどこまでが何の羽なのか、さっぱりわからない。Kさんを見様見真似でやったけど、翼の部分だけで6時間くらいかかってしまった。   ご飯も食べずに作業し、半日以上かけて初めての羽標本作りが終了。とても興味深い体験だった。 作業の際には図書館から借りた野鳥の羽の本の他、Featherbaseという羽標本のオンライン辞典を参考にした。Featherbaseはみんなで作るデータベースで、学者だけでなく世界中の羽コレクターが作った羽標本が登録されている。これがすごい。World…
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散歩の楽しみ 野鳥の巣の鑑賞

散歩中に野鳥の巣を見つけたら、写真を撮ることにしている。 これが結構、楽しいのだ。繁殖の時期だと、野鳥の営巣作業や抱卵中の様子を観察できることがある。それ以外の時期でも、ヒナが巣立って空になった後の巣を眺めて、これは何の鳥の巣だろう?と調べるのが面白い。 これまでに目にした鳥の巣をまとめてみよう。   ドイツ北東部で最も目にしやすいのは、シュバシコウ(Weißstorch)の巣だ。繁殖のために南から渡って来たシュバシコウが、あちこちの村や小さな町の高いところに作られた巣に座っている姿は春の風物詩だ。シュバシコウは保護されているので、繁殖を助けるためにあちこちに写真のような巣台が設置されており、その上に巣が乗っている。巣作りはオスメスの協力作業で、細い枝を円形に編み、その中にクッションとなるコケ、草、羽などを敷く。シュバシコウは一夫一婦制で基本的に毎年同じ相手とつがいになり、同じ巣を修理しながら使い続けるので、だんだん巣が大きくなる。熟年夫婦の巣になると、直径2メートル近くになることもあるらしい!   これは数年前にうちの庭のナラの木にモリバト(Ringeltaube)が作った巣。枝を無造作に重ねただけのわりに雑な造りに見える。しかも、こんな写真が撮れるくらい目立つところに作って、カラスや猛禽類に狙われないのかなあと心配になった。数日間は夫婦仲良く巣に座っているのが見えたが、やっぱり塩梅がよくなかったのか、その後、この巣は放棄されてしまった。   庭の巣箱内にシジュウカラが作った巣。シジュウカラの巣作りはメスの仕事。巣箱内に取り付けた野生カメラで営巣の様子をずっと観察していたのだが、狭い巣箱の中で器用に小枝を丸く編んで土台を作り、そこにコケや動物の毛を置いてふかふかした座り心地の良さそうな巣を作っていた。   アオガラは樹洞に巣を作る。中の巣は見れないけれど、シジュウカラと似たような巣なのかな?   あるとき、散歩で通りかかった池の淵のヨシの間でカンムリカイツブリが営巣をしていた。カンムリカイツブリの巣は同時に交尾の舞台でもあるそうだ。オスメスが一緒にヨシや植物の根っこ、枯葉などで巣を作り、その上で交尾する。なんとなく面白い。   これまでに見つけて一番嬉しかったのは、ツリスガラ(Beutelmeise)の巣。ツリスガラは湿地や林の中の木の枝に、蜘蛛の糸や綿、植物の繊維などを使ってフェルト製のバッグのような吊り巣を作るのだ。巣を作るのはオスで、メスはオファーされた巣のうち気に入ったものを選んでその中に産卵する。手の込んだ巣は作るのに30日くらいかかるが、いざメスが選んでくれたら、オスはもうそのメスに用はなく、さっさと移動してまた別の巣を作り、別のメスにオファーするらしい。メスはワンオペで育児をしつつ、巣のメンテも自分でしなければならない。この巣の写真を撮ったとき、メスが忙しそうに巣を出たり入ったりしていた。動きが早くて、ツリスガラ自体の写真は残念ながら撮れなかった。   森の中で見かけた木の股につくられたクロウタドリ(Amsel)の巣。枝を編んだ丸いカゴのような巣に緑がかった卵が4つ並んでいる。クロウタドリは木の上だけでなく、地面、生垣の中などいろいろな場所に巣を作る。もともとは森の鳥だったクロウタドリは今では都市部でもすっかりおなじみの野鳥になり、民家のベランダや花壇などに巣を作ることも多い。巣材にはセロファンなど人工物が使われることもある。外側は泥で塗り固める。クロウタドリは主に地面でヒナのための餌を探すので、巣は比較的低い場所にある。   お隣の家では、毎年、ガレージにクロジョウビタキ(Hausrotschwanz)が巣を作る。頻繁に人が通る場所なのに落ち着かなくないのかな?と不思議に思うけれど、クロジョウビタキは風雨が凌げさえすれば、他のことはあまり気にしないらしい。   これは、ある駅の構内にできたツバメ(Rauchschwalbe)の巣。泥を固めてできた巣だ。 こちらは建物の軒下にできたニシイワツバメ(Mehlschwalbe)の巣。これもほぼ泥でできていて、上のツバメの巣と似ているが、違うのはツバメが通常、建物の中に巣を作るのに対し、ニシイワツバメは建物の軒下などに作ること。つまり、ツバメはインドア派でニシイワツバメは半アウトドア派? ツバメの仲間にはショウドウツバメ(Uferschwalbe)というのもいて、砂質の崖に穴を掘って巣を作る。バルト海沿岸の崖でたくさんのショウドウツバメが巣穴を出入りしているのを見た。なかなか壮観だった。 https://youtu.be/8zSpsXfPTJg   キツツキはその名の通り、木をつついて穴を開けて巣を作る。   カササギ(Elster)は木のかなり高いところに枝を使って球状の巣を作る。     ある日のドライブ中、国道沿いの原っぱにクロヅル(Kranich)の巣を発見したときには驚いた。遠目だけれど、よく見ると卵があるのが見える。道路からは距離があり、周囲を水に囲まれてはいるものの、人や動物が簡単に近づけるようなところに巣を作って大丈夫なんだろうか?   最後は番外編でパナマで見た鳥の巣。 オオツリスドリ(Montezuma…
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雪の日のアニマルトラッキング 

2月になって、少しづつ日が長くなっているのを感じる。とはいえ、まだまだ寒い日も多く、先週は地面にうっすらと雪が積もった。こちらの記事に書いたように、去年の5月からアニマルトラッキングを学び始めたのだが、雪が降るとトラッキングがとても楽しい。雪の上に残った動物の足跡は見つけやすいから。                   https://youtube.com/shorts/D4jyMxfoLYo?feature=share   アニマルトラッキングのためのガイドブックはたくさん出ている。 Joscha…
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ドイツの野鳥 ① キツツキ

バードウォッチングを初めて3年ちょっとが経過した。最初のうちはとにかく目についた野鳥の写真を撮っては種名を調べることに熱中していた。それから季節が何度か巡り、身近にいる種がだいたい把握できたら、今度はそれぞれの種について知りたくなった。庭にやって来る野鳥の種類も増えて、いろんな種に親しみを覚えるようになって来た。 バードウォッチャーとしてまだ日が浅いけど、それぞれの種についてこれまでに観察したことと本で読んだり詳しい人に聞いたことをまとめていこう。第一弾は「キツツキ」について。 キツツキとは名前の通り、木をつつく習性のある鳥を指す。でも、キツツキというのはキツツキ科に含まれる鳥のことで、「キツツキ」という種名の鳥がいるわけではない。日本語ではキツツキの仲間には「〜ゲラ」という種名が付けられている。ドイツ語ではキツツキの仲間は「ナニナニSpecht」と呼ばれる。   ドイツに生息するキツツキ科の鳥は以下の10種。 …
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Tumblrで姉妹ブログ「チカの自然観察日記」を作った

野生動物が好きなので、数年前から地元ブランデンブルク州の自然保護団体がおこなっているヨーロッパヤマネコやビーバーのモニタリングプロジェクトにボランティア調査員として参加している。モニタリングとは、対象となる動物の痕跡を探して記録する活動で、集まったデータは保護活動やその基盤となる科学研究に使われる。 野生動物の痕跡を探す活動を「アニマルトラッキング(ドイツ語ではSpurenlesen)」と呼ぶ。痕跡というのは、動物足跡はもちろん、たとえばビーバーであれば齧られた木やビーバーダム、巣など、そこに動物がいたことを示すものすべてを含む。自然の中を散歩しながら生き物の痕跡を見つけるのはとても楽しいので、本格的に学びたいなあと思い、去年からWildnisschule…

2022年の活動と当ブログの今後のゆくえ

2022年がもうすぐ終わる。 2017年3月に始めたこのブログ、開始当初とはずいぶん方向性が変わったなあと自分で思う。探索を記録したいというのは変わっていないけれど、続け…