
ドイツの運河探検 その3 ミッテルラント運河 〜 ミンデン水路十字
ドイツの運河探検の第三弾は、ミッテルラント運河。1906年に建設が始まった全長325kmのこの運河は、ドルトムント・エムス運河からベルゲスへーヴェデ(Bergenhövede)で枝分かれし、マクデブルクでエルベ川と接続する。北ドイツにはライン川、エムス川、ヴェーザー川、エルベ川の流域を結ぶWest-Ost-Wasserstraßeと呼ばれる水路システムがあり、ミッテルラント運河はその中心部としてとても重要な役割を果たしている。
ミッテルラント運河の見どころの一つは運河と川の交差点、ミンデンの水路十字(Wasserstraßenkreuz…

ドイツの運河探検 その2 オーダー・ハーフェル運河
今回探検した運河はオーダー・ハーフェル運河(Oder-Havel-Kanal)。その名の通り、オーデル川とハーフェル川を繋いでいる。前回の記事に書いたフィノウ運河も、オーデル川とハーフェル川を繋ぐ運河だった。そう、オーデル・ハーフェル運河はフィノウ運河の数km北をフィノウ運河とほぼ並行に東西に伸びている。18世紀に建設されたフィノウ運河は(18世紀建設)は曲がりくねって浅かったため、大型船が通れるようにする目的で1905年に建設が始まり、1914年に完成した。ベルリンと当時ドイツ帝国領だったシュチェチン(現在はポーランド)間の水上交通の主幹ルートして機能した。バルト海への出口港であるシュチェチンはであり、ドイツ帝国にとって戦略的に重要な都市だった。オーダー・ハーフェル運河現在もなお、ドイツ〜ポーランド間の物流の大動脈である。
この運河の見どころは、なんといってもニーダーフィノウの船の昇降機(Schiffshebewerk…

ドイツの運河探検 その1 現存する最古の運河、フィノウ運河(Finowkanal)
最近、運河巡りに凝っている。日本では運河というと小樽運河のように海沿いにあることが多いけれど、ドイツ、特に北ドイツには内陸運河もたくさんある。ライン川やエルベ川などのドイツの主要な河川は流れがゆったりとしていて古くから輸送に使われて来た。17世紀頃からそれらの自然河川同士を結ぶ運河が建設され始め、19世紀以降に本格化した。地形が平坦で運河が建設しやすい北ドイツでは、河川と一体化した高密度な水路ネットワークが発達しているのだ。現在では主に観光目的で使われている古い歴史的な運河から近代的なハイテク運河までいろいろあるのでとても面白い。
ドイツ最古の現存運河、フィノウ運河(Finowkanal)はベルリンの北東50kmくらいのところにある。ポーランドとの国境オーデル川とハーフェル川を結ぶ、東西に伸びる全長約43kmの運河だ。ブランデンブルク選帝侯ヨアヒム・フリードリヒの命令によって1605年に建設が開始され、1620年ごろに完成した。1618年から30年間続いた宗教戦争でボロボロになってしまったが、1743年にプロイセン国王フリードリヒ2世(フリードリヒ大王)により再建された。
運河の建設当時、周辺地域では製鉄業や木材・木タール生産などの産業が伸びており、運河ができたことによってさらに一大産業拠点へと発展した。インフラ投資によって経済基盤を強化するプロイセン王国の国家プロジェクトとして作られたフィノウ運河だったが、1914年にフィノウ運河とパラレルに近代的なオーダー・ハーフェル運河が建設されたことで輸送インフラとしての重要性を失った。現在は歴史遺産+観光資源として保存されていて、楽しめる。
運河には船が通るためのいろんな可動橋がかかっていて、面白い。
さて、フィノウ運河のあるブランデンブルク州は基本的には平らなのだが、そうはいっても場所によってある程度の標高差はある。ハーフェル川側よりもオーデル川側の方が低いので、高低差を克服するために閘門(Schleuse)というものが随所に作られた。どういう仕組みかというと、運河の途中に前後に扉のある区間を作り、その区間の中の水位を上下させることで船を持ち上げたり下げたりする。フィノウ運河には手動で開け閉めされる歴史的黄門が12箇所ある。現在、そのうちの上流側の6つは補修工事中だが。ドラートハマー閘門(Schleuse…

スラブ人の集落を再現したグロース・ラーデン考古学野外博物館
ドイツ東部にはドイツ語らしからぬ地名が多い。ドイツ西部の地名は、「なになにドルフ(〜の村)」とか「なになにベルク(〜の山)」といった具合に意味がわかりやすい地名が多いのだが、東部の多くの地名は、慣れるまでは読み方もよくわからないし、意味もさっぱりわからない。これは、かつて、ドイツ東部がスラブ系民族が住む土地であったことの名残だ。
12世紀以降、西側から多くのドイツ人が入植したことで、スラブ人系民族はしだいにドイツ化され、ドイツ文化の中に吸収されていった。かつて50部族ほど存在したとされるスラブ系民族のうち、現代まで少数民族として文化風習を保っているのは、ラウジッツ地方に住むソルブ人(Sorben)だけ。そのソルブ人の文化は、シュプレーヴァルト(Spreewald)やバウツェン(Bautzen)…

ハルツ山地の必見観光スポット ユネスコ世界遺産ランメルスベルク鉱山
ハルツ山地、ゴスラー郊外にあるランメルスベルク鉱山(Weltkulturerbe Rammelsberg)へ行って来た。ゴスラーといえば、木組みの家が並ぶ中世の街並みと魔女伝説が有名な観光地で、神聖ローマ帝国時代、皇帝の館「カイザープファルツ(Kaiserpfalz)」が置かれたことでも知られる。その美しいゴスラーの繁栄の基盤となったのがハルツ山地の豊かな鉱物資源。特に銀・鉛・銅・亜鉛を豊富に含むランメルスベルクの鉱床はゴスラーの発展に不可欠だった。ランメルス鉱山は1988年に閉鎖されたが、その後観光鉱山として整備され、大人気の観光サイトになっている。
ランメルスベルク鉱山の楽しみ方はガイドツアー+博物館。ガイドツアーはたくさんあって、どれも所要時間は最低1時間、博物館も複数の建物に分散されているので、日帰りで全てを回るのは無理。的を絞る必要がある。事前にウェブサイトで説明を読んだらどれも面白そうで悩んでしまったが、トロッコで鉱山に入るツアー(Mit…

ドイツ最長! バート・デュレンベルクの歴史的製塩設備、Gradierwerk
巨大産業建築って、理由はよくわからないけれど惹かれるものがあるよなあ。視界に入ってくると、「うわあ、なんだあれは?」とまず驚く。それが何なのかを知ると、なぜそれがそこにあるのか、いつできたのか、どういう仕組みのものなのか、と次々と疑問が湧いてくる。
ようやく春になって、出かけるのが楽しい季節だ。ザクセン=アンハルト州バート・デュレンベルク(Bad…
