Stones Fan Museum。そう、ここはローリング・ストーンズのファンのためのミュージアム。ネットサーフィン中に偶然発見した。でも、田舎町のストーンズミュージアムなんて、どうだろう?たいしたことないのでは?と思わないでもなかった。しかし、平均滞在時間1.5時間と書いてあったし、リューネブルクからそう遠くないので、とりあえずやって来た。
Wilhelm Bauerは第二次世界大戦末期の1945年に自沈したドイツ海軍のXXI型潜水艦(艦名U2540)である。それ以前の攻撃型潜水艦と比べて桁外れの速度で水中航行し、完全潜水状態での攻撃が可能な画期的技術で、当時、最も危険な兵器だった。幸い、実際に出撃することなく沈められ、戦後引き上げられた後、調査船として使われた。現在は博物館船として一般公開されている。
輪のように民家が並ぶ可愛いヴェンドラントのルンドリンク群
LüchowのStones Fan Museumは居心地が良かったが、あまり長居もしていられない。Lüchowまで来たからには、まだ他に見ておきたいものがあった。それは、この地方に特徴的なルンドリンクスドルフ(Rundlingsdorf)と呼ばれる集落である。
ドイツには約3万の村がある。集落の形態にはいくつか種類があって、最もよく見られるのはハウフェンドルフ(Haufendorf)というもの。民家やその他の建物が特に規則性なく集まって形成されている集落だ。一本の道路の両脇に建物がすずなりに並ぶ集落は、シュトラーセンドルフ(Straßendorf)と呼ぶ。私が住むブランデンブルク州ではシュトラーセンドルフをよく見かける。
ネットサーチをしていたら、Lüchow周辺はヴェンドラント地方と呼ばれ、この辺りにはRundlingsdorfという特徴的な形態の集落が多いことがわかった。Rundling(ルンドリンク)とは、輪のように丸く民家が立ち並ぶ集落だ。
こんな感じ。(Rundlingsmuseumの展示にあったものをカメラで撮影)
Lüchow周辺のルンドリンク群。青い家のマークの場所がルンドリンク集落だ。赤いラインはツアールートである。それぞれの村は数kmづつしか離れていないので、自転車でも回ることが可能。Lüchowを出た私は、まずは4km離れたLübeln村(2の番号の場所)へ行くことにした。この村にはルンドリンクミュージアムがあるという。
Lübelnのルンドリンク・ミュージアム(Rundlingsmuseum)。この建物はもちろん、ルンドリンクの建物の一つ。
この木のある場所を中心として、木組みの建物が輪のように並んでいるのだが、写真はうまく伝えられない。Lübelnのルンドリンクは現在、野外ミュージアムとなっていて、この地方の伝統的な農村の暮らしを知ることができる。
村の教会
ヴェンドラント地方には古くからスラブ系のヴェンド人が住みついていた。ルンドリンクという形態の集落がいつ、どのように発生したのかについてはっきりはわからないそうだが、遅くとも9世紀には存在という記録があり、スラブ民族の文化と深い関わりがあると考えられている。18世紀末にはヴェンドラント地方には約320の集落があったが、そのうちの2/3はルンドリンクだった。ヴェンド人は西スラブ語に属するポラーブ語を話していた。ポラーブ語は文語を持たなかったことから、18世紀に死滅した。
ポラーブ語(ヴェンド語とも呼ばれる)とドイツ語の対照表。ドイツ語とは似ても似つかない。
野外ミュージアムの敷地内。
工房
Lübelnだけでなく、他のルンドリンクもいくつか見ることにした。
壁の模様は様々。裕福な家ほど飾りが多かったらしい。
花のモチーフもこの地方の特徴。
いろいろな集落を見たが、特に気に入ったのはSateminという集落。
ルンドリンクの集落にはホテルやレストラン、ビアガーデンなどもいくつかある。私はSateminのこのカフェで休憩した。
ヴェンドラントの多くのルンドリンクがユネスコ文化遺産に登録申請している。
関連動画
今回で、まにあっくドイツ観光、北ドイツ編はおしまい。まだまだ見足りないが、また改めて北ドイツの面白い場所を探しに行きたい。
こんなところにこんなものが!Lüchowのストーンズ・ファン・ミュージアム
リューネブルクは塩博物館以外にも見所が多そうだったが、前日の晩、夫から電話があり、「いつ帰って来るの?」と言われてしまったので、サッサと次へ行かなければならない。リューネブルクを後にして向かったのは、Lüchowという小さな町だ。
なかなか綺麗な街並み。Lüchowはバウムクーヘンで有名な東ドイツの町、Salzwedelから16km北にある。Lüchowまではギリギリ、ニーダーザクセン州だ。Salzwedelのバウムクーヘンは日本人にも密かな人気で、観光にSalzwedelを訪れる人も結構いると聞いている。しかし、Lüchowまで足を延ばす人はおそらくほとんどいないだろう。ここに何があるのか、知られていないから。
しかし、私は発見してしまった。このニーダーザクセン州の外れの町にあるマニアックな観光スポットを。
Stones Fan Museum。そう、ここはローリング・ストーンズのファンのためのミュージアム。ネットサーフィン中に偶然発見した。でも、田舎町のストーンズミュージアムなんて、どうだろう?たいしたことないのでは?と思わないでもなかった。しかし、平均滞在時間1.5時間と書いてあったし、リューネブルクからそう遠くないので、とりあえずやって来た。
中に入ると、すぐにオーナーの男性が近寄って来た。「ハロー!あんたもストーンズファンかい?」
オーナーのUlrich Schröder氏(通称、Uli)。ここではウリさんと呼ぶことにする。
「あ、ええ、まあ」と曖昧に答えたが、実は私はストーンズファンではないのだ。ローリング・ストーンズは嫌いではないし、気に入りの曲もあるが、特にファンというわけではない。なぜならば、私はビートルズファン、いや、正確にいうと、往年のウィングスマニアなのである。(理由になってない?)ウリさんにはウィングスマニアであることは伏せておくことにしよう。
「ゆっくり見て行ってよ。何か知りたいことがあったら、遠慮なく聞いて」
ミュージアムの中はストーンズグッズでいっぱい。
ほ〜と思いながら見回していると、ウリさんがまた寄って来た。
「6年前にオープンしたの、このミュージアム。すごいでしょ。こんなの世界に二つとないよ」
世界に二つとしかないとはちょっと信じられないが、ドイツ国内で他に知らないのは事実。でも、なぜこの町に?
「オレ、この町の生まれでさあ。若い頃からずっとストーンズコレクションやってたんだよね。だから、Lüchowにこのミュージアムがあるのは偶然ね。まあ、市の協力なんかも得てね。でも、ローリング・ストーンズっていう名前はつけちゃいけないの。ほら、商標だからさ。それで、ストーンズファン・ミュージアムってことにしたよ」
「これがうちのステージ。ここで、ストーンズのコピーバンドが演奏するんだ」
ストーンズと関係あるか知らないが、いい感じ。
「このビリヤード台はね、ストーンズのコンサートで楽屋にあったものなんだよ。うちがミュージアムをオープンするっていうことで、お祝いに貰ったんだ。このストーンズ人形は◯◯っていうアーチストの作品で、、、これから色付けするんだけど」(アーチストの名前を聞いたけれど、忘れてしまった)
「こっちの小さいストーンズ人形はルール地方の主婦が趣味で作ってんの。似てるでしょ?」
「ビリヤード台はメンバー一人一人のサイン付きだよ」
「こないだはアルバート・ハモンドのライブやったばかり」
「喉乾いてない?なんでもあるよ」
ライブ動画が流れている。う〜ん、なんか居心地いいな、このミュージアム。平均滞在時間1.5時間って、わかるきがする。ここに座って何か飲みながらライブ見ていたいよね。
「あ、向こうのドア開いてるところ、トイレね。男子トイレだけど、よかったら見てって。写真撮っちゃっても全然、構わないよ」
どれどれ、、、。
おーっ。この後ろ姿、ウリさんだね。
こちらは女子トイレの壁。
こんなテーブル、欲しい人いるのでは?
「そうそう。ここを出てすぐのところにカフェもオープンしたんだ。よかったら寄って行って。メインストリートね。それから、Gartenstraßeの全長40メートルの壁にストーンズのグラフィティがあるよ」
ストーンズに詳しくないからグッズを見てもよくわからなかったが、雰囲気は悪くない。近所だったらちょくちょく遊びに来るかもしれないと思いながら、「ありがとう!じゃ!」と言ってミュージアムを出る。
ウリさんのカフェを覗いてみた。
カフェっていうか、、、。インビス(軽食堂)という感じ。グラフィティも見るつもりが、メインストリートに素敵なカフェを見つけてしまい、ケーキ食べたりしてるうちにすっかり忘れてしまった。(こちらのサイトに画像あり)
バウムクーヘンとストーンズ、両方好きな人はSalzwedelとLüchowをセットにして観光すると良さそうだ。
リューネブルクのドイツ塩博物館(Deutsches Salzmuseum)
まにあっくドイツ観光旅行、北ドイツ編、ブレーマーハーフェンを堪能した後はリューネブルクへ移動した。「ドイツ塩博物館」を訪れるためだ。 さらに読む
ドイツ海軍の潜水艦、Wilhelm Bauerの内部に入る
ドイツ船舶博物館の中を見た後は、館外の博物館港に展示されている潜水艦、Wilhelm Bauerを見学することにした。この潜水艦は技術博物館として公開されており、内部を見ることができる。
潜水艦を前から見たところ
Wilhelm Bauerは第二次世界大戦末期の1945年に自沈したドイツ海軍のXXI型潜水艦(艦名U2540)である。それ以前の攻撃型潜水艦と比べて桁外れの速度で水中航行し、完全潜水状態での攻撃が可能な画期的技術で、当時、最も危険な兵器だった。幸い、実際に出撃することなく沈められ、戦後引き上げられた後、調査船として使われた。現在は博物館船として一般公開されている。
潜水艦の前先端に入り口があり、中に入ると船首の部分に潜水艦の仕組みなどに関する展示がある(潜水艦の内部構造)。展示の最初には、以下のような文面があった。
この潜水艦そのものが戦争で実際に使われたわけではないが、こうした攻撃型潜水艦は殺戮の道具であり、中に入って無邪気にはしゃぐような物ではない。
船首の先端部分は魚雷を格納するスペースとなっている。
一通り展示を読んだ後、中に入った。
船首から奥への入り口
艦長室
兵士の寝床
バッテリー
酸素ボンベ
ずっと奥まで入れる
ペリスコープ(潜望鏡)
技術の発展は素晴らしいことだが、技術系の博物館では技術開発のモチベーションが往々にして軍事であるという事実に向き合わされる。また、このような潜水艦に乗った兵士の心理などを想像して、なんとも重苦しい気分。でも、潜水艦が沈む仕組みなどは純粋に興味深いし、潜水艦の中を見る機会など滅多にないので、入ってみて良かった。
中世の難破船が見られるブレーマーハーフェンのドイツ船舶博物館
ブレーマーハーフェン観光の続き。
ブレーマーハーフェン滞在中は雨だったのだが、この町には面白い博物館がたくさんあり、それが海沿いに集中しているので、天気が悪くても問題なく観光を楽しむことができた。Klimahausの次には、すぐ側のドイツ船舶博物館を見学した。
ドイツには数多くの博物館があり、テーマの似通ったものも各地にあるが、「ドイツ◯◯博物館」と「ドイツ」が最初についているところは大体、見応えがある(と思う)。
名前の通り、ドイツにおける船舶交通の技術史を展示した博物館。この博物館はいわゆるForschungsmuseum(研究博物館)と呼ばれるタイプの博物館で、同時に研究機関でもある。研究の成果を同じ館内で一般公開するため、研究者は直接的に市民の啓蒙に携わることができ、市民の側も研究を間近で知ることができる。
この博物館も内容が非常に濃く、かなりマニアック!(でも、普通に楽しめる。子ども連れがたくさんいた)
展示分野は多岐に渡るが、この博物館の目玉はなんといっても、中世の難破船、Bremer Kogge(ブレーメン・コグ)だ。
巨大な展示物!この船は1962年、ブレーメン近郊で北海へ注ぐヴェーザー川沿いの港の拡張工事中、偶然に発見された。調査の結果、1380年頃に建造された帆走商船、Kogge(コグ船)であることがわかった。ブレーメンはハンザ同盟都市の一つであるが、中世における北海やバルト海の貿易にはこの船のようなコグ船が使われていたそうだ。
このコグ船の発掘は当時、ドイツ国内のみならず世界的なセンセーションを引き起こし、それがこの博物館の建設にも繋がったとのこと。しかし、600年もの長い間水中に沈んでいたこの大きな船を破壊しないように陸に引き上げ、保存するのは相当に大掛かりな作業で、一般公開されたのは2000年になってから。
以下はブレーメン・コグのデジタルモデル。
難破船と書いたが、実はこのコグ船は実際に後悔に使われたことはなかったとされている。造船後、何かの不具合により使用前にその場で沈んでしまい、そのままになっていたらしい。
当時のコグ船の発見者の未亡人が発見時の様子を語るインタビュー。
このコグ船のインパクトが凄いので、他の展示品がかすんでしまい、あまり他の写真を撮らなかったのだが、これがなかったとしても内容の濃い博物館だ。そして、博物館の建物の中だけでなく、屋外にも現存する世界最古の木造船「ソイテ・デールン号(Seute Deern)」やドイツ海軍の潜水艦などが展示され、博物館港となっている。潜水艦については次の記事に。
気候変動ミュージアム、Kimahaus Bremerhaven 8° Ostで気候について考える
ブレーマーハーフェンでドイツ移民ミュージアムを見た後、今度はそのすぐそばにあるKlimahaus Bremerhaven 8° Ostを見ることにした。「気候」というテーマに特化したミュージアムだ。
ブレーマーハーフェンに来たら、嫌でも目に入る大きくモダンな建物。
ホール。
気候ミュージアムということで、気候について総合的な展示をしているのだろうと想像していたが、入ってみると思ったのとはちょっと違っていて、気候変動に大きなウェイトが置かれていた。
メインの展示は「Reise(旅行)」と題されている。地球を旅して回り、地球温暖化によって各地域の生活環境がどのように変わるのかを知るというコンセプトだ。この写真に写っているような白いカプセルが全部で9つあり、それぞれスイス、サルディニア、ニジェール、カメルーン、南極、サモア、アラスカ、ランゲネス島(ドイツ)そしてブレーマーハーフェンを表している。旅人として一つ一つのカプセルに入ると、その地域の気候を五感で体験することができ、そこに住む人が「気候変動で変わってしまった生活」について語りかけて来る。とても良く考えられた展示だ。
メインの展示の他には気候変動に関して研究者らが行っている研究について展示されている。また、地球の歴史を体験できるブースなどもなかなか面白かった。
World Future Labというインタラクティブコーナー。気候変動から地球環境を守るためにはどうすれば良いか。ゲームをしながら学ぶことができる。
個人的に面白かったのは洋上風力パークに関するコーナー。
ブレーマーハーフェンはドイツの洋上風力発電の重要な物流拠点であり、2019年にオフショアターミナル・ブレーマーハーフェン(OTB)の開港を予定している。KlimahausのOffshore Centerでは洋上風力パークの展望やファクトを知ることができる。
海底ケーブルの断面図。長さがありすぎて写真が撮れなかったが、ブレードのデザイン説明も面白かた。
へえ〜と思ったのは、海中に設置する洋上風車の基礎にはこのようにいろいろなタイプがあって、
このようなリング状のものもある。Floating foundation(浮体式基礎)と呼ぶそうだ。水深が深すぎて着底式のタービンが建設できない場所ではこのような基礎を使うらしい。
この他にも、天気予報士になり切れる「お天気スタジオ」など、子どもも楽しめる仕掛けがいろいろあり、家族連れで訪れるのに良いミュージアムである。
Klimahausからは「このままでは地球がまずいことになる。アクションを起こそう!」というメッセージが強く伝わって来た。ドイツのミュージアムというのは一般的に淡々とした展示が多く、Klimahausはドイツのミュージアムとしてはエモーショナルな部類に入ると思う。そういう意味ではちょっと珍しいなと感じたが、オルタナティブ・ファクトなどというものがまかり通る昨今の世界状況を考えれば、このくらい感情に訴えかけてちょうど良いのかもしれない。
自分も何かしなければならないなあという気持ちにさせられた。気候変動を気にしていないわけではないが、旅行好きで車や飛行機を頻繁に利用するので、後ろめたい気持ちが常にある。しかし、旅は自分の生き甲斐だから、「環境のために旅行しない」のはあまりに辛いのである。そこがいつもジレンマ、、、。