ドイツの運河探検の第三弾は、ミッテルラント運河。1906年に建設が始まった全長325kmのこの運河は、ドルトムント・エムス運河からベルゲスへーヴェデ(Bergenhövede)で枝分かれし、マクデブルクでエルベ川と接続する。北ドイツにはライン川、エムス川、ヴェーザー川、エルベ川の流域を結ぶWest-Ost-Wasserstraßeと呼ばれる水路システムがあり、ミッテルラント運河はその中心部としてとても重要な役割を果たしている。
ミッテルラント運河の見どころの一つは運河と川の交差点、ミンデンの水路十字(Wasserstraßenkreuz Minden)だ。ミッテルラント運河のルートは北ドイツ低地の南縁を通っており、ミュンスターからハノーファー=アンダーセンまで、211 km にわたって、船は海抜50.3メートルの高さの水面をずっと維持して走ることができ 、閘門を必要としない。しかし、ミンデンでは運河よりも平均水位が約13 m 低いヴェーザー川を横断する。つまり、運河がヴェーザー川の上を通り、なおかつ両者が接続するための設備を建設する必要があった。ミンデンの水路十字とは1911年から1914年にかけて建設された閘門や水路橋、連絡運河などを含む設備全体を総称している。

全体像はこんな感じ(図はビジターセンターの展示から借用)。水路橋(Kanalbrücke)を歩いて渡り、閘門まで行くことができる。
ミンデン中央駅から水路橋の下までは歩くと30分くらいかかるが、ラッキーなことにちょうどバスが来たので、15分で着いた。

これが水路橋。車が通る道路を大型の船が横切ると思うと、ちょっと怖い。道路の左側にある階段を登って橋の上に上がる。

ちなみにこの鉄筋コンクリートの橋は90年代に拡張された部分で、旧水路橋に続いている。

第二次世界大戦で破壊され、1949年に再建された旧水路橋 (Alte Kanalbrücke)

運河の下をくぐる線路

ポンプ室。蒸発、浸透、閘門の操作などによって失われる運河の水をヴェーザー川から汲み上げた水で補給し、運河の水位を一定に保つ。

ミッテルラント運河が連絡水路に枝分かれする場所

連絡運河がヴェーザー川に接続する場所にある新旧の閘門

外観の美しい旧閘門

旧閘門。全長82m、幅10m。
旧閘門は閘室が縦に深く掘られた立坑型閘門(Schatschleuse)と呼ばれる構造だ。水位調整のための水は左右に4つづつ縦に重ねて設置された節水層に溜めることでリサイクルされる。節水層は建物に内蔵されているので、外部からは見えない。

ビジターセンターにあった模型。下の節水層から順番に水が閘室に出ていくことで水位が上がり、船が持ち上がる仕組みがよくわかる。
旧閘門は100年以上前に建設されたもので、当時の貨物船には対応できたが、現代の大型船舶やプッシュ船団には小さすぎて非効率だったので、2017年、新しい閘門が開通した。

旧閘室から大幅にサイズアップして全長139m、幅12m。

新閘門の節水層は外部設置

ゲートが開いてボートが出ていく。
ミンデンの水路十字はとても見応えがあって、見に行った甲斐があった。ビジターセンターの展示も充実していて、閘門の仕組みもよく理解できた。

新旧の閘門の模型
歩いて回ると結構な距離(帰りはバスを逃して、駅まで歩いて戻った)で疲れた。ミンデン駅で自転車を借りられるので、自転車にすれば楽だったかな。

