すっかり春の恒例となった、庭の巣箱での野鳥の営巣観察、シーズンがほぼ終わったようなので、まとめておこう。
今年は3つの巣箱のうち、一つでシジュウカラが、もう一つでアオガラが営巣をした。
まずはシジュウカラの状況。
今年は全般的に順調だったといって良い。4/15までに6つの卵が産み落とされた。4/26にすべての卵からヒナが孵り、5/14にそのうち5羽が無事に巣立った。巣立ちもほんの2時間ほどの間に次々と飛び立ち、親鳥の苦労は少なかったかな。
同じ巣箱ですぐにまた営巣が始まり、6/8、今度は8つの卵からヒナが生まれた。気温が高くなっていたせいか、巣立ちまできっかり2週間しかかからなかった。残念ながら2羽は途中で死んでしまい、巣立ったのは6羽。すべてのヒナが巣立てることはやっぱりなかなかないものだな。
今年は合計で11羽の巣立ちを見届けることができた。
アオガラの状況。
3/23に親鳥が卵を産み終わった。驚いたことに、こちらはなんと卵12個!アオガラはシジュウカラよりは多産傾向があるけれど、ここまで多いのは観察を始めて以来、初めてだ。同時に子育てをしていたシジュウカラの倍の子沢山だから、子育ての大変さも倍?お母さん、大丈夫か?
5/3、すべての卵からヒナが孵った。お母さんがうまく餌を配分したのか、ヒナたちの成長の個体差はほとんどなく、巣箱の中でぎゅうぎゅう詰めになりながらもみんな元気に育っていた。
5/16。巣箱の中で何羽かが羽ばたきの練習をするように。巣立ちが近い。明日かな、それとも明後日かなとワクワクしながら寝た。
そして翌朝。起きて早速カメラを除くと、巣箱には3羽のヒナしかいない。あれっ。他の子達はもう巣立ったのかな?でも、こんなに朝早くに?嫌な予感がする。
確認しようと夜中に自動録画された映像を遡って再生していった、夜中の3時半まで遡ると、嗚呼。そこには恐れていた映像があった。2年前の悪夢再び。アライグマが巣を襲っていたのだ。
12羽のヒナたちは母鳥と一緒に、狭い巣箱の中でくっ付き合って眠っていた。突然、何かの危険を察した母鳥が頭を上げる。そして、大声でギャーギャーと鳴き始めた。でも、ヒナたちはどうすることもできない。アライグマの手が巣箱の中に入って来て、1羽のヒナを掠め取った。緊迫感がカメラ越しに伝わって来る。かわいそうで見ているのが辛い。アライグマは1羽、また1羽とヒナたちをさらっていく。しばらくして、お腹がいっぱいになったのだろうか。それ以上、巣箱の中に手が伸びることはなかった。かろうじて3羽のヒナが難を逃れた。
2年前に同様の映像を見たとき、あまりのショックに映像を二度と見返すことができなかった。ブログに映像をアップする気にも到底なれず、言葉で記録したのみだ。今回も辛いのは同じだけれど、営巣観察も今年で5年目。これまでにもいろいろなことがあり、自然とは過酷なものだと少しは受け入れることができるようになった。これも貴重な記録なので、ごく一部だけに留めるが、ここに載せておこうと思う。(閲覧注意:ショッキングな営巣が含まれます)
ヒナを守ることはできないと観念したのか、母鳥は途中で自分から巣を出て行った。残ったヒナは放棄されるのだろうかと思ったが、翌日には戻って来て、残った3羽の世話を健気に続ける姿が見られた。
3日後の5/20、3羽は無事に巣立つことができたので、私もホッとした。
振り返って考えると、多産作戦のおかげで少なくとも全滅は逃れたので、12個の卵を産んだのは正解だったということかもしれない。そして、アライグマ襲撃の最中に残ったヒナを置いて母鳥が逃げたのも、きっと賢い決断だったのだろう。いくらヒナが生き延びても、自分が死んでしまっては世話を続けることができない。そして、たとえ不幸にしてヒナが全滅してしまっても、自分が生きていればまた新たに子どもを産み育てることができる。
いろんなことを考えさせられる営巣観察である。来年はどんな様子が見られるだろうか。

