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パナマ旅行記 その23 パナマ旅行の締めに歴史博物館でパナマの歴史に触れる
(この記事は以前、他の場所で公開していた2019年6月のパナマ旅行記をリライトしたものです。)
パナマ旅行の最終日。朝、トクメン空港へ娘を送って行った。娘は私たち親と一緒に家に帰らずにそのままコロンビアへ移動することになっていた。高校を卒業してギャップイヤー中の娘には時間がたっぷりとある。羨ましい。私と夫は夜の便で空港で時間を潰すには長すぎるので再び市内に戻ることにした。
今回のパナマ旅行では自然を満喫して来たが、最後はパナマの歴史に触れて締めくくりたい。旧市街カスコ・ビエホ地区(Casco Viejo)にあるパナマ歴史博物館(Museo de La Historia de Panamá)を見ることにしよう。
カスコ・ビエホ地区の古い街並みは建物の修復が進行中でかなり綺麗になっており、文化的でお洒落な雰囲気だ。
カスコ・ビエホ地区は小さいが、ユネスコ世界文化遺産に登録されている。
大聖堂
パナマ歴史博物館はパナマ運河博物館(Museo del Canal Interoceanico de Panamá)の隣のパナマ市庁舎(Palacio Municipal)の中にある。写真の右側のピンクの建物。しかし、市庁舎の中に入ったものの博物館の受付らしきものは見当たらない。「歴史博物館はどちらですか?」と警備員らしき人に尋ね、通されたのは狭く古くさい事務室のようなところで、そこで来館者記記録簿に名前、国籍などを記入させられ、一人1ドルを払って展示室へ進んだ。
「パナマの歴史」の展示はスペイン人が入植した16世紀から始まっている。ちょっとびっくり。コロンブスがやって来る以前にも現在のパナマの国土には人が生活していたし、文化も存在したが、それについては触れられていないのだ。むろん、スペインの入植以前には「パナマ」という概念は存在しなかったかもしれないが。1501-1821年の展示物はわずか数個で、その隣には1880-1889年の展示物が数個。時代をジャンプし過ぎじゃない?パナマの歴史超超ダイジェスト版という感じの簡潔極まる展示。あっという間に見終わってしまった。うーん、、、。これならドイツから持って来たガイドブックの方がよほど詳しいよと少々、呆れてしまった。
でも、「エスニシティと多文化主義」と書いてあるこのパネルにはとても興味をそそられた。パナマに来て以来、「パナマ人」とは誰のことを指すのかと気になっていたのだ。パナマに来てトクメン空港に降り立ってすぐに感じたのは、「いろんな外見の人がいるな」ということ。私の住むドイツ社会も特に都市部はマルチカルチャーだが、それともまた違う。世界のいろいろな国出身の人たちが共存しているというよりも、パナマではほとんどの人がミックスされた文化背景を持ち、そのミックス具合が人によってそれぞれ違うという印象を受けた。
実際、パナマの人口約410万人のマジョリティは先住民(インディオ)とスペイン人入植者との間の混血であるメスチソ及び黒人と白人移民の混血であるムラートである。アフリカ系の人たちには植民地時代に奴隷として連れて来られたアフロ・コロニアルと後の時代に労働者としてカリブ海の他の国々からやって来たアフロ・アンティージャがいる。その他に白人、先住民族(ノベ・ブグレ族、クナ族、エンベラ-ウォウナン族、ナソ族、ボコタ族、ブリブリ族、パララ・プルー族)、中国系、ユダヤ系、インド系などあらゆるルーツの人々が共存している。だから、パナマの人々は外見的特徴だけでなく文化も多種多様で、「典型的なパナマ人」というものが存在するのかどうか、存在するとしたらどのような人のことを指すのか、旅行者として少し滞在したくらいでは皆目わからないのだ。その把握しにくさがパナマの魅力であるかもしれないと思った。
簡略過ぎてわからないパナマ歴史博物館を一通り見た後は、隣のパナマ運河博物館へ行った。ここでは入館料は一人10ドル!歴史博物館のなんと10倍だ。歴史よりも運河の方が重要なのか?と思わず笑ってしまう。しかし、館内の展示を見てなるほどと思う。「パナマの歴史は運河の歴史」と言えば言い過ぎかもしれないが、パナマ運河がパナマという国の歴史においてとてつもなく大きなウェイトを占めていることは間違いないようだ。運河が開通するよりもはるか前から、人々は航路を求めてこの地峡にやって来、あるいは連れて来られ、定住し、運河のために働き、運河に翻弄され、そして運河の恩恵を受けて生きて来た。パナマという国はそうして創り上げられたのだ。
運河博物館は10ドルの入館料に恥じない立派な博物館だった。でも、残念ながら写真撮影は禁止。先コロンブス期の考古学的な展示物もあり、運河に関しても様々な側面から展示を行なっていて興味深い。でも、植民地として長い間支配を受けて来た国の歴史なので、見ていて複雑な気持ちにもなった。
地峡の国パナマは、Biomuseoで見たように南北アメリカ大陸の生き物たちが交差することで豊かな生物多様性を獲得しただけでなく、世界のあらゆる地域の人たちが集まり高い文化的多様性をも獲得したのだなあ。なんて興味深い。
でも、刺激的なパナマ旅行もとうとうこれでおしまい。3週間、とても盛りだくさんだったなという充足感と、いやまだまだほとんど何も見れていないという心残り、二つの相反する気持ちの間で揺れながら、私たちはとうとう飛行機に乗り込んだのだった。
パナマ旅行記その22 パナマのサステイナブルな魚レストラン、Maa Goo´s Fish Tacos
(この記事は以前、他の場所で公開していた2019年6月のパナマ旅行記をリライトしたものです。)
つれたさパナマシティ に滞在中、偶然見つけてとても気に入ったレストランがある。それはCorozal地区にある魚レストラン、Maa Goo´s Fisch Tacosだ。入り口に大きな魚拓が飾られていたので、なんとなく惹かれて立ち寄った。
店内はお洒落カジュアルでいい感じである。
カウンターで注文して自分で料理をテーブルに運ぶ形式。小腹が空いていたのでいくつか料理を注文した。セビーチェとフィッシュタコス、フィッシュサラダなど、お魚づくし。
セビーチェとトルティーヤチップス。シンプだけれど、とても美味しい。フレッシュパイナップルジュースを頼んだら、紙製のストローがついて出てきた。最近、ヨーロッパではプラスチックストローの使用をやめようという動きがあり、紙製のものに置き換える店が増えているが、パナマでもそのような動きがあるのだろうか?これまで観察した限りでは、パナマはプラスチックごみがとても多いと感じていたので、意外に感じた。個人的には、紙製ストローはすぐにふやけて使いづらいし、そもそもストロー自体が不要なのでは?と思うのだけれど、このレストランは環境に配慮していることが感じられた。
フィッシュタコスとサラダもとても美味しい。焼きたてのお魚がたっぷり入っている(写真は撮り忘れてしまった)。美味しい美味しいと頬張っていると、夫がビールをカウンターに取りに行って、なかなか戻らない。注文に手こずっているのかなと思っていたら、ようやく戻って来た。
「オーナーが話しかけて来てさ。なんかすごく環境保護に熱心な人みたいだよ。持続可能なフィッシングを実践していて、その方法を伝えるために釣りツアーやスノーケリングツアーもやっているらしいよ」。「へえ、そうなの?」興味が湧いた。
食事を済ませて店を出ると、エプロン姿のオーナーが網に乗せた魚を燻製器に運んでいるところだった。会釈すると、元気な声で話し始める。「どうだった、フィッシュタコスの味は?美味しかった?それはよかった。今ね、釣れたての魚をスモークするところだよ。よかったら見てって」
わー、美味しそう。
濡らしたウッドチップを炭火に投入し、釣れた魚をスモークする。
燻製装置
米国から移住して来たというオーナーは燻製器の蓋を閉め、「この店で出す魚はすべて自分たちで釣ったもので、魚市場では一切買っていないんだよ」とカジュアルな口調で説明してくれた。
「うちでは持続可能な方法で釣った魚だけをお客さんに食べてもらっているんだ。刺し網を使う従来の方法は環境を破壊するからね。ゴーストフィッシングっていって、破棄されたり流されて紛失した網が海の中でサンゴ礁や海の生き物を傷つけるんだよ。これは単なる知識で言ってるのではなくて、スノーケルやダイビングをして実際に海中の環境がどうなっているのかを自分の目で見ているから言えることなんだ。エビのトロール漁法も問題だ。網にかかる捕獲物のうち、エビの割合はどのくらいだか知ってる?たった10%だよ。90%はバイキャッチ(混獲)だ。10%のエビを獲るために90%が無駄に捕獲される。これはどうにかしなければならないよね」
パナマのエビはすごく美味しい。でも、そのエビを食べるために他の生き物が多く犠牲になっているという。
「もちろん、地元の漁師たちをリスペクトしなければならない。でも、啓蒙することも大事だ。だから、自分が見たことをこうしていろんな人にシェアしているんだよ。君達もぜひ、他の人に伝えてね」
これからエビを食べるたびに彼の話を思い出すかもしれない。私たちはパナマには観光のためにやって来た。美味しいシーフードを食べ、森や海の景観を楽しみ、動物や植物を観察して感動的な毎日を過ごしている。でも、それだけではない。この3週間の間に、JunglaとRaquel´s Arkという二つの野生動物保護施設、コロン島のペットボトル村、無人島でウミガメの保護ボランティアをする青年、そしてこのMaa Goo´s Fish Tacosのオーナーさんのような人たちと知り合い、彼らのプロジェクトについて直接、お話を伺うことができた。どれもパナマの美しく豊かな自然環境を守る真摯な取り組みである。そのような活動をしている人たちがいると知ったことも今回の旅で得られた大きなものだと感じている。
「ところで、店名のMaa Gooってどういう意味ですか?」
「ああ、それはね。うちの息子が赤ん坊だった頃、ミルクを飲むマグカップのことをMaa Gooと呼んでたんだ。それがすっごく可愛かったから、いつか自分のレストランを持つことができたら、店の名前をMaa Gooにしようって決めてたんだよ」
店内の壁はオーナーさんのご家族の幸せそうな写真で飾られていた。
パナマ旅行記 その21 アクティブ熱帯休暇は楽しいけど辛い
(この記事は以前、他の場所で公開していた2019年6月のパナマ旅行記をリライトしたものです。)
私の夫と娘はネイチャー派で休暇は自然の中で過ごすのが好き、特に熱帯が大好きだ。私は昔はどちらかというと文化的な旅が好きだったのだが、彼らと一緒に過ごすうちにだんだん感化されて自然の中での休暇が大好きになった。
熱帯は楽しい。トロピカルな海で泳ぐのも大好きだし、日本やドイツでは見られない珍しい植物や生き物が見られる喜びは本当に大きい。私は果物アレルギーで果物は普段全く食べられないのだが、熱帯に行くと、なぜか一時的に果物アレルギーが治ってしまうのだ。熱帯に到着した瞬間からマンゴーやパパイヤやパイナップルをたらふく食べられる。だから、熱帯は私にとってパラダイスである。
とはいえ、熱帯には嬉しくないことも少なからずある。まず、虫が多い。私は虫は見る分には平気というか、むしろ好きだけれど、刺されるのはごめんだ。熱帯にはマラリアなど病気を媒介する虫もいるから注意しなくちゃならない。今回の旅行は蚊が多くなる雨季ということもあり、熱帯仕様の蚊除けスプレーと、万が一マラリアにかかったときのための薬を医者に処方してもらい、持っていった。
ボケテ高原は標高が高いせいか思ったほど蚊がいないなと安心していたのだが、ある朝、起きると全身に赤いポツポツができている。蚊に刺されたときほどではないものの、痒みがある。ベッドに何かいるのか?しかし、一緒のベッドに寝ていた夫は1箇所も刺されていない。「虫刺されじゃなくて、体の内側から来るものなんじゃない?」と夫は気味の悪いことを言う。でも、蕁麻疹が出るようなものを食べた記憶もないし、、。一体なんだろう?不思議に思ってツイートすると、青年海外協力隊員としてパナマに滞在されたご経験のある宮﨑大輔さんが、このように教えてくださった。
チトラに噛まれたのだろうか。ありえない話ではない。あるいは、動物保護センターで動物を触ったから、もしかしてノミを移されたのかもしれない。2、3日様子を見たが改善しないので、薬局で薬を買う羽目にになった。幸い、薬局で買った薬がよく効いて最初に刺された(噛まれた?)分は良くなったものの、その後も次々と蚊に刺されるので、旅行中はずっと身体中、虫刺され跡だらけだった。
熱帯は湿度も辛い。気温は30度前後だったので暑さはそれほどでもなかったが、とにかく尋常ではない湿度の高さである。泊まった部屋には天井のファンかエアコンがあるから耐えられないほどではないけれど、問題は洗濯物で、洗ったものを干しておいても全然乾かない。日中、外を歩き回って汗をかいたり海で泳いだりするので汚れ物はどんどん溜まっていく。でも、洗っても乾かないので湿ったまま着るしかない。
最悪なのは靴だった。海へ行くときはビーチサンダルで良いとして、ジャングルの中を歩き回るにはしっかりしたトレッキングシューズが必要である。最低限、スニーカーは履かないと、とても歩けない。道は湿っており、雨の後はぬかるみ、すぐに靴がドロドロになってしまう。川が流れていて靴のままバシャバシャと歩いて渡らなければならないこともあるから、毎日のように靴が濡れる。一旦靴が濡れるとなかなか乾かないので、それをしばらく車の中に放置しようものなら悪臭を放って大変なことになる。もちろん、泥や砂、汚れた服や靴で車もどんどん汚くなっていく。
そして、当然、自然の中は危険が多い。
ある日、ドライブしていると道がぬかるんでいて、これ以上は車で進めなくなった。夫は「この先がどうなってるか、オレが一人で見てくるからここで待っていろ」と私と娘を車の中に残して夫一人で探検に行った。しばらくして戻った夫は「石の橋があって、その下が洞窟になっていたよ」と報告してくれた。
洞窟の中に入ってみたいけれど、雨が降っているし装備も用意していないのでやめておく、と夫。安全かどうかわからない場所では夫がまず一人で行って安全確認をし、問題がなければ私と娘を迎えに来るというのが夫の決めたルールである。夫は車の運転が得意で軍隊経験もあるので頼りになる。私も冒険好きだけど、一人で熱帯の自然の中を歩くのはリスクが大き過ぎる。
そんなわけで熱帯での自然探検はとても楽しいけれど、不快感もそれなりに伴うのである。まあ、とにかく汚いのだ。私たちは別に汚いのが好きというわけではないのだけれど、自然探検にはそれ以上に楽しいことがたっぷりあるから多少の不快さは許容しているというわけなのだ。
乾季に旅行すると比較的快適に過ごせるけれど、パナマは年間2/3が雨季ということもあり、その他いろんな事情もあって今回は乾季に来ることができなかった。雨季でも一日中ザアザア降るわけではないし、今回は3週間の日程なので雨が上がっている間に活動すれば十分楽しめるけれど、日程に余裕がない場合は、やはり乾季を選んだ方が良いと思う。
とはいえ、雨季には雨季の良さもある。コスタ・リカでネイチャーウォークに参加したとき、ガイドさんが雨季は「グリーンシーズン」と呼ぶのだと言っていた。乾季の熱帯はカサカサした景色になりがちだが、雨季の熱帯雨林は色鮮やかで瑞々しく、ジャングルらしさをより味わえる。
パナマ旅行記 その20 パナマシティ周辺で生き物観察 ソベラニア国立公園
(この記事は以前、他の場所で公開していた2019年6月のパナマ旅行記をリライトしたものです。)
パナマ旅行の最後の数日はパナマシティに滞在し、そこから日帰りできる場所を楽しむことにした私たち。パナマシティは近代的な高層ビルの立ち並ぶ大都市だが、都会は他の国にもいくらでもあるので、パナマではできるだけ熱帯の自然を楽しみたかった。
パナマは首都周辺も自然がとても豊かだ。パナマ運河地帯は広範囲が森林に覆われていて、いくつもの国立公園や自然保護区がある。他の場所では絶滅の危機にある希少な動植物が多く生息しているそうだ。運河の右岸に細長く広がるソベラニア国立公園(Soberania National Park)はパナマシティからわずか25km。森林をハイキングしたり、チャグレス川をボートでクルーズしながら動植物を観察できるという。
行ってみて、その素晴らしさに驚いた。特に野鳥の多さは感動的で、小一時間ほどのクルーズの間にすごくたくさんの水鳥を見ることができた。ソベラニア国立公園で生息が確認されている鳥類は525種にも及ぶそうだ。ボートの上から撮影したのでピンボケの写真ばかりになってしまったが、たとえば、
ルーフェセント・タイガー・フェロン(Rufescent tiger heron)
アメリカササゴイ(Green Heron)
ヒメアカクロサギ(Little Blue Heron)の幼鳥?
キバラオオタイランチョウ(Great kiskadee)
アメリカムラサキバン(Purple Gallinule)
アカハシリュウキュウガモ(Black-bellied Whistling-Duck)
アメリカヘビウ(Anhinga)
アメリカレンカク(Northern Jacana)の幼鳥?
痛感したことは、熱帯に行くときにはその土地の野生動物や植物が載っているフィールドガイドを持って行った方が絶対にいいということだ。見たことのない生き物ばかりなので、フィールドガイドがないと「綺麗な鳥」「変わった動物」というので終わってしまう。それでも楽しいことには変わりないけど、なんという種類なのかわかった方がより楽しさが増すと思うのだ。私はパナマえはそれ以前のコスタ・リカ旅行の際に現地で買ったフィールドガイドを持って行った。生態系に共通項が多いので、まあまあ役に立った(画像の下の種名は今、この記事をリライトする際に調べて書いた。間違いがあったら是非コメントで教えてください)。実はこのときまで野鳥にはそれほど興味がなかったのだが、ソベラニア国立公園でたくさんの野鳥を見てすっかり魅了され、今ではすっかりバードウォッチャーになっている。
ボートから水鳥や亀、魚を眺めて楽しんでいると、そのうちにボートの運転手が「サルを見せてやる」と言って小島の岸辺にボートを寄せた。「バナナ持ってる?」と聞かれたので「ない」と答えると、「ちぇっ。ないのか」と言いながらも島の木々の上の方に向かって奇声を発してサルを呼んでくれた。餌をもらえると期待したノドジロオマキザルが数匹、木を降りて来た。枝伝いにボートに近づいて来る。
こういう展開を想定していなかったので、餌を用意していなかった。でも、野生のサルに餌付けをするのはどうなのかなあ。持ち合わせがなくてかえってよかったのかも。しばらくすると他の観光客らを乗せたボートが近づいて来て、彼らのうちの一人がバナナを岸に向かって投げたので、サルたちはそちらへ行ってしまった。
さて、私たちはそろそろ戻ろうかと思ったときだった。「見ろ!イグアナだ!」。夫の声に岸辺を見ると、そこには立派なイグアナがいた。すると、ややっ?2ひきのノドジロオマキザルがイグアナに近づいて行って威嚇を始めた。
そしてこのような結末に。予期せず面白い場面に遭遇し、興奮に沸く私たちであった。
ボートクルーズの後は公園内の森を散策。
「公園」とはいってもジャングルだからね。靴はすぐにドロドロになってしまう。汚れるのが好きでない人にはおすすめしない。毎日のようにこんなことをしているので、どんどん汚くなって行く私たち。
首都から30分の地点でこんな豊かな自然体験ができるなんて、パナマは信じられない国だ。そして、私たちはすでに2週間以上に渡って野外活動を楽しんでいる。こんな贅沢な機会を与えてくれるパナマの自然環境に感謝するのみである。
パナマ旅行記 その19 パナマのローカルフードを求めて
(この記事は以前、他の場所で公開していた2019年6月のパナマ旅行記をリライトしたものです。)
ボケテ高原で1週間、コロン島で1週間を過ごした後、再びパナマシティへ戻って来た。今回の旅行は3週間の日程で、コロン島の後は太平洋側のコイバ島かカリブ海側のサンブラス諸島のどちらかへ行くつもりだった。天候などを見てどちらにするか決めようと思っていたのだが、コロン島で毎日数時間、雨に降られたので、雨季の今はパナマシティに戻ってそこから日帰りで行ける場所を訪れる方が天候に臨機応変に対応できそうだと思い、残りの日はシティのホテルに滞在することにした。
それと別に関係ないけれど、この旅行記には食べ物のことをあまり書いていないので、ここらでまとめてパナマの食べ物について書いておこう。
私は普段、食べ物にはそれほどこだわらないが、知らない土地に行ったらそこのローカルフードを味見したい。私に限らず、日本人にはご当地食に興味のある人が多いのではないかな。ところが、場所によってはローカルフードになかなかありつけないことがある。というのは、欧米観光客には知らないものより食べ慣れたものを食べたがる人が少なくないため(もちろん、人によるが)、欧米人を主なターゲットとした観光地では彼らの味覚に合わせた食事を提供しているのだ。朝食はパンにハムやチーズ、卵料理、昼や夜もハンバーガー、パスタ、ピッツァ、ステーキなどがメインだったりする。
私は欧米で洋食を食べるのは好きだけれど、アジアやアフリカやその他の地域に行ってまで欧米料理をわざわざ食べたくない。洋食の本場ではないのでクオリティがいまいちだし、その土地にはその土地の美味しいものがあるのだから。しかし、ローカルフードを出す店が見つからなければしかたがない。パナマに着いて最初に泊まったホテルの朝食はこんな感じだった。
ビュッフェ形式で、パナマの食べ物と思われるものがかろうじていくつかあったので早速試してみる。手前の皿の上の方に見える円盤状のものとフライドポテトに似た揚げ物、そしてよくわからないでんぷん質の棒状のもの。円盤状のものはトルティーヤと呼ばれる潰しトウモロコシを固めて油で揚げたもの。メキシコ料理のトルティーヤのような薄い皮状ではなく、厚くてぽてっとしている。フライドポテトのようなものはキャッサバのフライでユカと呼ばれる。味はフライドポテトに似ている。そしてよくわからないでんぷん質のものは茹でキャッサバらしい。
正直に言おう。食べてみたが、どれもあまり美味しくは感じなかった。モソモソとしていて味があまりなく、脂っこい。不味いわけではないが、この時点ではふーんという感じ。でも、この後、他の場所でこれらを繰り返し食べることになり、作りたてのものはとても美味しいと判明した。トウモロコシの粉にせよ、キャッサバにせよ、それ自体の味はニュートラルで、揚げたてはサクサク、ホクホクとして美味しいけれど、時間が経つと食感が損なわれてあまり美味しくなくなってしまう。最初の朝ホテルで食べたのは冷めていたので、いまひとつだったのだろう。
昼間は観光で忙しく、ゆっくりレストランに入って食事をする感じではなかったので、軽食で済ますことがほとんどだった。パン屋や屋台でエンパナーダというピロシキのようなものを買って食べた。小麦後の皮で具を包んで焼いたり揚げたりした食べ物で、パナマに限らず中南米の多くの国でポピュラーなスナックのようだ。
いろんな具のものがある
こちらは小麦粉ではなくトウモロコシの粉の皮のエンパナーダ。これは道端の軽食屋で揚げたてのを食べ、とても美味しかった。(でも、脂っこいので、冷めるといまいちかも)エンパナーダの具はチーズ、牛ひき肉、鶏肉が定番のようだ。
パタコンという、調理用バナナを二度揚げしたものもあちこちで食べられる。それから、ローカルフードと言っていいのかどうかわからないが、小さなスーパーは華人が経営していることが多いので、肉まんがわりとどこでも買えた。
夕食は観光客向けのレストランで食べていた。観光地ボケテ高原にはお洒落な店構えで美味しい料理を出す店が多い。が、前述の通り、洋食ばかりでちょっとがっかり。ローカルフードは料理の付け合わせに揚げたバナナやキャッサバが出てくる程度だ。でも、中南米で広く食べられているセビーチェという魚介類のマリネはほとんどのレストランで出していて、いろんなバリエーションがあり、どの店で食べてもまずハズレがなく、とても気に入った。
あるお店のセビーチェ
レストランのシーフードはとても美味しい。でも、これはローカル料理ではないのでは。せっかくパナマに来たんだから、パナマの料理がどうしても食べてみたくて、地元の人たちが行く食堂へ行ってみた。
ボケテタウンにあるローカルな食堂
カフェテリア形式だが、並んでいる料理の種類が少なく、作ってから時間がかなり経っているように見えた。後で知ったことには、パナマのローカル食堂の多くは朝ごはんと昼ごはんのみで夜は開いていないところが多いのだそうだ。ここは夜も開いていたけれど、料理はランチの残り物だったみたい。
食べたのはこんな料理。ピラフのような米料理とポークチョップ的なもの、それと焼きバナナ。んー、不味くはないけど、特別美味しいというわけでもないかな。でも、やっとローカルな食事ができたのでとりあえず満足した!
地方の現地の人たちが利用している屋台や素朴な食堂ではシーフードは見当たらず、屋台ではフライドチキンまたはグリルチキン、エンパナーダ、オハルドゥレなど、食堂では米や豆料理や肉料理を出しているようだった。全体的に揚げ物が多く、野菜料理は全然といっていいほど目にしない。
首都パナマシティではどうかというと、大都会なのでレストランはいくらでもあって、いろんな国の料理を食べることができる。そして、ハンバーガーやピッツァなどアメリカ風ファストフードの店もすごく多い。地方では感じなかったが、パナマシティでは太った人をたくさん見かけた。パナマシティには大衆食堂や屋台もたくさんあるが、内容的にはやはり揚げ物や炭水化物が中心のようだった。
パナマにはPio Pioというファストフードチェーンがある。試してみることにした。
Pio Pioで食べたグリルチキンとパタコン
パナマの代表的なスープとされるサンコーチョという鶏肉のスープ
ピラフと唐揚げ
ファストフードにしては、なかなか美味しかった。
どうにかして現地の人たちが一般的に食べているものを食べようと探した結果が以上である。どうやらパナマ人は揚げ物が大好きで野菜はあまり食べないようだ。もちろん、これはたった数週間のパナマ滞在で得た印象に過ぎず、家庭ではもっと違うものを食べているのかもしれない。だからこれはパナマ料理の解説記事ではなく、あくまでも私が食べてみたパナマのローカルフードとと考えてください。
パナマ旅行記 その18 さよならコロン島 / ローカルな風景
(この記事は以前、他の場所で公開していた2019年6月のパナマ旅行記をリライトしたものです。)
コロン島を離れる時が来た。コロン島での1週間はボケテ高原での1週間よりもハードだった。二晩続けての凄まじい雷、ほぼ毎日降って来る雨、猛烈な湿気、穴だらけの道路、明け方はホエザルの吼える声で目が覚める。こんなことを書くと、「よくそんなところに1週間もいたね」と言われそうだ。
でも、私はこの島が気に入ってしまった。怖かったり不快だったりしたが、それらは誰のせいでもない自然現象で、自然をここまで直接的に体験することは日頃、ほとんどない。だから、コロン島での日々はしっかりと記憶に刻み込まれることだろう。なにかとてもマジカルな島なのだ。
それに島の雰囲気は明るく開放的で、馴染みやすかった。ボカスタウンはそこそこ観光地化されているけれど、観光客向けのエリアと住民の生活エリアが分離されていないので、現地の人たちの生活を垣間見ることができる。近所の子どもたち同士が路上に出て遊んでいたり、ティーンエイジャーたちがビーチ沿いでバスケットボールをしていたり、おばさんたちが井戸端会議をしていたり、おじさんたちが屋台で食事をしたりしている。そんなローカルな景色が楽しい。
地元の学校
路上で遊ぶ子どもたち。なんとなく懐かしい
屋台風景。売られているのはフライドチキンや揚げパンなど、揚げ物が多い
道路のど真ん中で爆睡する犬
スーパーに商品を投げ入れる人たち。
ある夜、メインストリートで夕食を取っていると、往来がにわかに騒がしくなり、窓の外に目をやった娘が叫んだ。「ちょっと!なんかパレードが始まったよ!」
陽気な音楽の流れる中、松明を持った人たちがゾロゾロと歩いている!嬉しくなって外に飛び出し、行列についていった。「なんのお祭り?」「小学校の開校記念日だよ」。歩いているのは子どもとお母さんたちが多いと思ったら、学校行事だったのか。関係ないのに一緒に行進してしまった。
ボカスタウンには特別な見所は何もないけれど、美しい海と森に恵まれ、シーフードが美味しく、人々の暮らしを間近に感じることができる。離れるときにはなんだかとても寂しかった。
さようなら、雷アイランド。島を離れるフェリーからボカスタウンを眺めると、上空にはまたもや雨雲が。あの雲ともお別れかあ。と思ったら、雨雲はフェリーについて来たのだった。しかも、雲の方が動くスピードが速く、途中で追い越された。アルミランテに上陸した私たちは土砂降りの中をドライブすることになってしまったよ。
ただでさえ霧の峠を越えなくてはいけないというのに、雨。土砂崩れなどしていたら嫌だなあと思ったら、案の定。
幸い、事故もなく無事に峠を越えることができたが、パナマシティまでの道のりは長い。田舎道はこのように状態が良くないし、ようやくハイウェイに出たらあとは一本道だから楽かと思いきや、ハイウェイのはずなのに横切ったりUターンできる箇所があって、そこをウィンカーも出さずにいきなり曲がって来る車があるわ、ハイウェイを犬が歩いているわ、暗くなってからライトも点けずにハイウェイを自転車で横切る人がいるわで恐ろしいことこの上ない。パナマシティに近づくにつれて車の量が多くなり、まるでマリオカート状態である。
そんな状況の中、13時間かけてパナマシティにようやく戻って来た。どっと疲れてホテルのベッドに倒れこむ。エアコンが効いた部屋、パリッと乾いたシーツ。ここは勝手知ったる都会。
でも、ほっとするよりもなにか形容しがたい奇妙な喪失感に襲われる。ここは別世界。今朝まで自分を包み込んでいた鳥のさえずり、虫の声、サルの叫び、波の音、それらは一気に消えた。魔法は解けてしまったのだ。都会の静かな部屋で、まだ頭から離れないコロン島の景色を思いながらいつか眠りに落ちた。