(この記事は以前、他の場所で公開していた2019年6月のパナマ旅行記をリライトしたものです。)

前回に引き続き、私たちがパナマで訪れた野生動物保護施設について。娘がネットで調べたところ、ボケテタウン近隣のVolcánというところにもRaquel´s Arkという保護センターがあることがわかった。ボケテタウンからは車で片道1時間半くらいかかるが、娘が是非とも行きたいと言うので出かけることにした。(結果は行って良かったと思える場所だった)

マップを見ながらたどり着いた場所はこんな場所。左側に民家があり、横の塀にRaquel´s Arkとスプレー書きしてある。ここが動物保護施設?どうやって入ったらいいのかわからない。民家の窓から中を覗くと人がいたので、窓ガラスを叩いた。すると中にいた女性が、ドアは開いているから入って来いと合図するので、建物横のドアを押して敷地内に入った。

ドアを開けるとこのような池があり、その奥がテラスになっている。テラスに向かって進むと、家の中から6歳くらいの女の子が出て来た。スペイン語で「私たちは動物が見たい」と伝えると、女の子は頷いて家の中に入って行った。

そして、まもなく大きなぬいぐるみを抱えて再び出て来た。「はい、どうぞ」とぬいぐるみをこちらに渡そうとする。いや、見たいのはぬいぐるみじゃなくて、、、、と思ったら、えっ?目が動いてる?これって本物?ていうか、これナマケモノじゃないの?

びっくりしていると、オーナーのRaquelさんが出て来た。「よくいらっしゃいましたね。さあ、どうぞどうぞ。ナマケモノを抱っこしてください」といきなり!

予期せぬ展開、なにがなんだかわからない。でも、ナマケモノ可愛い!!今まで何度か野生のナマケモノを目にしたことはあるが、高い木の上にいるので下からフカフカの丸いお尻を眺めるだけで、なかなか全体像を捉えることができなかった。望遠鏡で顔を確認できれば上出来だ。そのナマケモノを間近で見られるだけでなく、抱っこできるとは。ナマケモノは嫌がる様子もなく、腕を絡ませて来る。

Raquelさんが保護しているナマケモノは二匹。私が抱いている方はかなり大きく、ずっしりと重い。もう一匹は小さく、紙おむつを当てていた。「赤ちゃんなんですか?」「いえ、二匹とも同い年で9歳ですが、種類が違うんです。小さい方は雌なので、その違いもありますね。小さい方は今日、ちょっと下痢気味で、それでオムツしてるんです」。「ナマケモノは何年くらい生きるのですか?」「30〜40年生きますよ」

とにかく可愛くてたまらない〜。

他にも動物がいるはずだが、ナマケモノが可愛すぎていつまでも抱っこしていたい。しばらく楽しんだ後、他の動物も見せてもらうことにした。

オーナーの方が二匹のナマケモノを布で包み、ベンチの背もたれに立てかけて置いた。「そろそろ寝る時間だから」。「そうやって寝かせるんですか?」「そうよ」。

ナマケモノを寝かせた後、敷地の奥へ案内してもらった。

初めて見るネコ科の動物がいる。「それはジャガランディ」。光沢のある毛並みが美しい。

家猫のように擦り寄って来た。ジャガランディを撫でていると、ラケルさんが「Don´t touch the jaguar.」と言う。え?え?ジャガーって?と振り返ると、

後ろのフェンスの向こうにはジャガーが!わ、びっくりした。「どういう経緯でジャガーを保護することになったんですか?」「ペットとして飼われていたんですよ。狭いところに閉じ込められていたのをうちで引き取ることになりました」「ペット?ジャガーをペットとして飼うことは違法ではないんですか?」「この国には、それをはっきりと禁じる法律がないのです」。

「それではサル達を見に行きましょう。うちでは若いホエザルとフサオマキザルを保護しています」。サルと聞いて喜ぶ娘。ここではケージの中に入ることができた。

ホエザルの子どもと戯れる娘

娘はエクアドルで主にサルの世話をしていたので、さすが慣れているなあ。と思って眺めていたら、後ろから誰かに髪の毛を引っ張られた。

「ちょ、ちょっと待ってよ、、、」

なぜかやたらと指を舐めたがる。でも、可愛いわ〜。ホエザルはとどろきのような大声で鳴く大型のサルである。以前休暇を過ごしたコスタ・リカのオサ半島では明け方になると怪獣のような恐ろしい鳴き声が森に響き渡った。その体験から、可愛いという存在ではないと思っていた。でも、子どもはやっぱり可愛いね。

夫はホエザル2匹とフサオマキザル1匹にまとわりつかれている。フサオマキザルは夫の頭にシラミがいないか探してくれているようだ。そしてこの直後、夫は彼におしっこをかけられた。笑

その他、ハナグマとアライグマも保護されていた。Raquelさんに「いつから動物保護活動をしていらっしゃるんですか」と聞くと、「もう20年ほどやっています。以前は中南米のあちこちを転々として活動していましたが、6年前からここに定住して保護している動物に尽くしています」と仰った。センター名のRaquel´s Arkはノアの箱舟(Noah´s Ark)をもじったものだろう。

動物保護センターというと専用の敷地や建物があるものだと思っていたので、Raquel´s Arkのように個人の自宅がそのまま保護施設という事実には驚かされたが、その分アットホームで私たちの突然の訪問にも快く対応してくれて感激だった。動物を見せてもらうのは無料だったが、感銘を受けたのでわずかながら寄付金を置いて来た。また、Raquelさん宅はAirBnBを通して部屋も提供している。野生動物と触れ合うことのできる宿なんて最高だよね。

(追記: この訪問から3年経った現在も、FacebookでRaquel´s Arkのページをフォローしている。抱っこさせてもらったナマケモノの他、現在ラケルさんが保護している野生動物についてリアルタイムで知ることができ、いつかまた訪ねていきたいなあと思う日々である)