前回の続き。

いよいよ始まった、シジュウカラの子育て。

2つ目の卵はいつ孵るかなと思って見ていたが、何が良くなかったのかヒナは生まれなかった。つまり、モコちゃんの赤ちゃんは一人っ子である。去年はたくさんのヒナが成長する様子が見られたので、今回は1羽だけというのはちょっと寂しい気がした。でも、しばらく見ていたら、これはこれで観察のしがいがあることがわかった。ヒナ同士が重なり合うことがないので、その分、体の成長をよく見ることができるのだ。

最初のうちは皮膚が透けていて、体の内部まではっきり見える。非常に興味深い。でも、見ようによってはちょっとコワイ画像かもしれないので、ここにクローズアップを載せるのはやめておこう。

 

生後8日。頭が黒くなり、羽が生えてシジュウカラらしくなった。一人っ子なので、パパとママがせっせと運んで来る餌を独り占めできる。だから、グングン大きくなった。

生後9日。お座りができるように。

生後10日。ママに抱っこしてもらっていたら、パパが餌を運んで来る。大事に育てられているなあ〜。見ていると、ほのぼのしてしまう。

 

生後11日。羽ばたきの練習が始まった!いよいよ巣立ちか!?

と思ったけれど、ここからがなかなか大変だった。この子(ピヨちゃんとしよう)は発育状態はとても良いのだが、どうも甘えっ子のようなのだ。母鳥のモコちゃんは「そろそろ巣立てそう」と判断したのか、この翌日から、餌を持たずに巣箱に戻って来て、ピヨちゃんを外に誘い出すような仕草をするようになった。が、ピヨちゃんはなかなか出ようとしないのである。

生後14日目。巣箱に戻って来たモコちゃんに「ママ、ごはんちょうだい、ちょうだい!」とねだるピヨちゃん。モコちゃんは「ダメダメ」というように首を振り、我が子の前に回李、手本を見せるように飛んでみせる。しかし、ピヨちゃんは怖がって出ようとしない。モコちゃん、今度は餌を見せながら「ママと一緒に外に出られたら、これをあげるからね」とでも言うかのように説得を試みる。しかし、それもうまくいかない。延々とそれを繰り返していたら、夜になってしまった。どうやら巣立ちは翌日に持ち越しのようである。

生後15日目。ピヨちゃん、ようやく出ようという気になったのか、ときどき飛び上がってはみるのだが、やっぱり怖いようだ。兄弟がいれば、先に飛び立つ兄弟の勢いにつられて出やすいのかもしれないが、なんせ一人っ子。モコちゃんは延々と根気よく飛ぶのを促している。イヤだイヤだ、こわいもん、とグズるピヨちゃん。いやはや、子どもを巣立たせるのも大仕事だね。私もこの日は今か今かと、10分おきにカメラを覗き込んで、手に汗握っていた。

 

そして、今日もまた出ないで終わりかなあと思いかけた夕方の5時過ぎ、ついにピヨちゃんは勇気を振り絞って巣箱を出たのだった。

 

巣箱から出る瞬間を外から見ようと思っていたのだけれど、ちょうどこのとき取り込んでいてすぐには庭に出られず、気づいたらもう巣箱にピヨちゃんの姿はなかった。慌てて自動録画されていた動画を確認する。動画に残った音からして、ピヨちゃんはスムーズに飛び立ったというより、出口でジタバタしているうちに偶然飛び出せたという感じだったのではと推測する。庭に出て、それらしきヒナがいないか探してみたが、見当たらなかった。残念!でも、パパとママに守られてオークの木のどこかにいるはず。成鳥と区別がつかなくなる前に姿が見られるといいなあ。

 

というわけで、今年は1羽だけだったけれど、巣箱からシジュウカラが無事に巣立った。大家の私と夫にとっては嬉しい限りである。

 

去年、初めて庭に野鳥のための巣箱を設置し、内部にカメラを取り付けた。設置後数時間でシジュウカラが営巣を始めたので、巣作りから抱卵の様子、そしてヒナ達が巣立つまでを観察した。カメラを設置したのも野鳥の育児を観察するのもまったく初めての経験で、ワクワク、ハラハラな数週間を送った。

その一部始終をこのブログに「シジュウカラの育児観察記録」(その1からその10まであります)および「帰って来たシーちゃん、シジュウカラ2度目の営巣」(その1からその3まであります)としてまとめたところ、多くの方が読んで下さったようだ。

それにしても、野鳥の育児観察がこんなに面白いなんて!巣箱は数ユーロで市販されているので気軽に設置できる。カメラも一度用意すれば壊れるまでは使えるから、これからは毎年観察が楽しめる。よし、2021年もいくぞー!とやる気満々でシーズンの到来を待った。今年は巣箱を2つに増やし、古い方を旧館、新しい方を新館とした。それぞれの内部にカメラを取り付けて2月から観察を開始。今年はリアルタイムではブログに記録せず、一連のプロセスが終了してから手元に残った画像と映像記録、メモをもとにまとめることにしたのでリアルタイム観察の躍動感は伝わらないかもしれないけれど、以下、まとめである。

————–

結果から言うと、今年も去年同様、シジュウカラの営巣からヒナの巣立ちまでを観察することになったが、今年は去年とはだいぶ様子が違っていた。まず、なかなか本格的な営巣が始まらなかった。2月の終わりにかなり暖かい日があって、新館の方でも旧館の方でもアオガラとシジュウカラが代わりばんこに巣箱に入って中を偵察してはいた。気の早いアオガラが新館に巣材を持ち込み始めたが、数日後に冬に逆戻りしたような低気温になり、アオガラはあっさり断念。4月に入って今度は旧館でシジュウカラが営巣を始め、結構いいところまで進んだ。しかし、5月に再び寒い日が続いてこちらも中断。ニュースによると、今年の5月は30年来の寒い春だったそうだ。日が長くなって来ても昆虫の姿もほとんど見られない。これではヒナが生まれても与える餌もないだろう。私も毎日巣箱カメラを覗き込んでは何も起こらずガッカリする毎日。

しかし、ようやく気温が安定して来た5月29日、旧館でようやくシジュウカラが中断していた巣作りを再開!

営巣再開から3日目の様子

今度こそ、子育て本格開始か!?

やっぱり暖かくなるタイミングを待っていたのだろう。すごいスピードで巣が整えられ、6月3日、卵が一つ産み落とされた。

 

去年、この巣箱で営巣したシジュウカラのシーちゃんとは別のメスのようだ。うなじの白いあたりがしーちゃんとは違う感じで、巣の作り方もかなり違う。季節がズレているから手近にある巣材の種類が違うからかもしれないけれど、なんだか随分とモコモコした巣を作るなあと思って、このメスは「モコちゃん」と命名。

シーちゃんは毎朝1つづつ卵を産んだけれど、モコちゃんはそうではなく、1つ目の卵を産んでから6日目にもう一つ産んだ。そして、それきりもう卵を産まなかった。シジュウカラにしては少ない。今年の春は気候が安定しなかったことと関係があるのか、別の理由なのかはわからないが、モコちゃんは多産ではないのだった。

ここからモコちゃんは抱卵モードに入ったが、6月に入ると今度はいきなり猛暑となり、30度越えの日が続いた。巣箱の中は一体、何度あるんだろう?卵が煮えてしまうのでは?と心配になる。モコちゃんもそれを心配してか、それとも自分が暑くてとても座っていられないのか、立ち上がって上を仰ぎ見て口を開けていることが多かった。大家の私としては、エアコンつけてなくてすみませんと謝りたくなる気分である。

そして、最初の卵が産み落とされて20日が経過、卵の1つが孵った!かわいい〜!生まれたての我が子を愛おしそうに見つめるモコちゃん。モコちゃんのダンナもせっせと餌を運んで来て、夫婦力を合わせての子育てが始まった。

 

長くなったので、続きはその2に。

 

 

YouTubeチャンネル「ベルリン・ブランデンブルク探検隊」に10本目のスライド動画をアップしました。今回のテーマはブランデンブルク州カプート村(私が住んでいる村です)にある物理学者アルベルト・アインシュタインの別荘です。

ベルリンから公共交通機関を使って片道約1時間のところにあるアインシュタインの家は、ユダヤ人建築家コンラート・ヴァクスマンの設計によるものです。ヴァクスマンは後に米国に亡命し、バウハウスの創立者で近代建築の巨匠とされるヴァルター・グロピウスと共にプレハブ住宅の普及に大きく貢献します。

アインシュタインはヴァクスマンが設計した家とカプート村をとても気に入っていました。現在、家は週末のみ一般公開されていて、ガイドツアーで中を見学することができます。

カプート村のアインシュタインの家のウェブサイト

この家についてはたくさんの情報があって、20分ちょっとの動画には収まりきらなかったので、こぼれ落ちた内容の一部を補足として動画の下に書きます。まずは是非、動画を見てみてください。

補足)

アインシュタインの家を設計したヴァクスマンは、「この家のインテリアにはバウハウスの家具がぴったりですよ」とマルセル・ブロイヤーがデザインした椅子など、バウハウスの家具をアインシュタインに奨めました。でも、アインシュタインは家具までモダンなもので揃えるのには違和感があったようで、その案は採用せず、手持ちの家具を運び入れて使ったそうです。

1932年にアインシュタインがカプートを去った後、この家は様々な用途に使われました。最初に利用したのは、隣の敷地にユダヤ人の子ども達のための学校を設立していたユダヤ人教育者、ゲルトルート・ファイアーターク(Gertrud Feiertag)でした。ファイヤータークが運営する寄宿舎付きの学校では、主にベルリンに住むユダヤ人家庭の子どもたちが学んでいました。ユダヤ人への迫害が強まる中、ベルリンはユダヤ人の子どもが安心して学校に通える環境ではなくなっていたからです。また、親が先に外国へ移住し、生活の基盤が整ってから子どもを呼び寄せるつもりで子どもを預けているケースもありました。そのうち、他の地域からも庇護を求めてユダヤ人の子どもたちがカプートへやって来るようになります。米国に渡ったアインシュタインは弁護士を通じてファイアータークに家を託し、家は学校の一部として使われました。

しかし、1935年、アインシュタインの家はナチス政権により没収され、カプート村に売り渡されます。ユダヤ人の子どもたちを守るために戦ったファイアータークは1943年、アウシュビッツの強制収容所に送られ、そこで命を落としました。その後、家は幼稚園教諭の養成所や兵士の宿舎として使われるなどいろいろな時期を経て、70年代の終わりに重要文化財に指定されました。1979年に痛んでいた家の修復工事が終わり、アインシュタインの生誕100年を記念して開かれた式典の際には、(地元の人の話によると)家の中にバウハウスの家具が展示されされたそうです。このときアインシュタインはすでに亡くなっていましたが、設計者のヴァクスマンはこの式典に参加しています。ヴァクスマン家の修復状態には内心ちょっと不満があったそうですが、バウハウスの家具を置きたいという彼のかつての希望はこのときようやく実現したと言えますね。

 

昨年からパンデミックで外出もままならない日が続いていましたが、ここのところドイツでは感染者数がかなり減って、規制が緩和されています。冬の長いドイツでは、いつも皆、夏を心待ちにしています。夏場は日が長いので、仕事の後でもたっぷり野外で活動できます。ドイツの夏は湿度が低く、とても爽やか。水場に恵まれたベルリン・ブランデンブルクでは水遊びを楽しむことができます。

湖で泳いだり、ボートやSUPを漕いだり、釣りをしたりなど水遊びの種類が豊富ですが、アクティブなレジャーはあまり、、、という人には遊覧船でのクルーズなど楽なレジャーがたくさんありますよ。

ベルリン・ブランデンブルク探検隊」の相棒、久保田由希さんがベルリンの公共交通を使った水路によるベルリンの楽しみ方を紹介する動画をYouTubeに公開しました。安くて気軽で、それでいてドイツの夏らしさを満喫できる素敵なルートです。

コロナの感染状況はいつまた悪化するともわからないので引き続き注意が必要ですが、ルールをきちんと守りながら短い夏を楽しみたいと思います。

水路によるブランデンブルクの楽しみについても、改めてご紹介するつもりです。

 

 

先日、YouTubeチャンネル「ベルリン・ブランデンブルク探検隊」にブランデンブルク州で最も人気の観光地、シュプレーヴァルトについてのスライド動画をアップしました。私も相棒の由希さん(@kubomaga)も大好きで何度も足を運んでいるシュプレーヴァルト。自然環境が特殊で、少数民族ソルブ人が多く住んでいることから文化的にも異色なとても魅力的な地域です。ベルリンから他の地域へ遊びに行きたいけれど、どこへ行こうか?と迷ったら、ここ!

今回はシュプレーヴァルトはどんな場所なのかをざっくりとご紹介しました。シュプレーヴァルトには四季折々の独特な伝統行事があり、掘り下げていくととても奥深い地域なので、また改めて、続編動画でそれぞれの季節の魅力をお伝えしていくつもりです。

 

 

 

2ヶ月前に友人のライター久保田由希さんと一緒に解説したYouTubeチャンネル「ベルリン・ブランデンブルク探検隊」。これまでにベルリンとブランデンブルクをテーマに8本の動画をアップしました。

でも、ベルリンってどんなところなのかイメージが湧かない、ましてやブランデンブルクってどこそれ?という方が多いことでしょう。ベルリンとブランデンブルクのそれぞれをざっくりとご紹介する概要動画を作りました。ベルリンの概要動画はベルリンに20年近く住み、ライターとして数々の取材を重ねて来た由希さんの視点で、そしてブランデンブルク概要動画はブランデンブルクじゅうを歩き回っている私が感じるブランデンブルクらしさを凝縮させた内容にまとめています。この2つの動画を見れば、ドイツの首都ベルリンの空気を感じることができ、その周辺に広がるブランデンブルク州の独特の魅力に触れて頂けることと思います。よかったら是非、見てください。

 

 

 

 

 

三度の飯より探検が好き。これまで何度も引っ越しをして来たけれど、その度に新しい環境をくまなく歩くことを楽しんできました。2006年にブランデンブルク州に移りんでからは、徒歩・自転車・車・公共交通機関でブランデンブルク州中を探検し続けています。

 

ブランデンブルク探検は面白い。

なぜなら、情報が少ないから。あまり知られていないからこそ、発見する楽しみがある。

これまでに訪れた場所を地図上に記録しているのですが、ざっとこんな感じです。かなり行ってるでしょう?

 

 

この探検趣味が高じて、2年ほど前、気づいたら長年ベルリンに住んでいた友人のライター、久保田由希(@kubomaga)さんと探検ユニット「ベルリン・ブランデンブルク探検隊」を結成していました。普段は久保田さんがベルリンを、私がブランデンブルク州を単独で探検し、「こんなところへ行って面白かったよ」「こんなものを見つけたよ」と互いに報告し合いました。ときには一緒に探検します。探検が好きな他の友人を誘って出かけることも。撮った写真はよくTwitterでシェアしていますが、フォロワーの方がハッシュタグ「#ベルリン・ブランデンブルク探検隊」をつけて面白い場所を紹介してくださることもあります。

「探検隊」を名乗ったのは最初は冗談半分だったのですが、やり始めたらけっこう本気で活動し、2020年には初の成果物としてベルリンとブランデンブルク州に現存する給水塔の情報をまとめた冊子、「ベルリン・ブランデンブルク探検隊シリーズ 給水塔」を自費出版しました(過去記事: 「ベルリン・ブランデンブルク探検隊シリーズ 給水塔」を出版しました)

そうしたら、意外なほど多くの方が興味を持ってくださり、いくつかのメディアでも取り上げて頂きました。嬉しい限りです。

 

そしてこの度、新たな試みとして、久保田さんと「ベルリン・ブランデンブルク探検隊」のYouTubeチャンネルを開設しました。

 

現在、ドイツはパンデミックでロックダウンが長く続いており、実際の探検活動はほとんどできない状態ですが、これまでに収集したネタがたっぷりあります。ベルリンとブランデンブルクのニッチな魅力をスライドとトークでご紹介していきます。

 

まずは、給水塔に関する動画を2本アップしています。

 

 

 

よかったら覗いてみてください。もし、気に入ってくださったら、チャンネル登録して頂けたら、とても嬉しいです。

 

ドイツには「ドイツニュースダイジェスト」という在住日本人のための日本語フリーペーパーがあり、私もドイツに住むようになって以来、愛読して来ましたが、なんと最新号(Nr.1144 23 April 2021)ではバードウォッチングの特集が組まれています。

タイトルはずばり、「ドイツで始めるバードウォッチング」。

ドイツには古くから野鳥保護の伝統があり、野鳥愛好家人口が多いです。そのためバードウォッチングの情報が豊富に蓄積され、インフラも整っています。都市部にも緑が多く、どこに住んでも森が身近にあります。だから、バードウォッチングを始めるのに最適な環境なんですね。

今年は気温が低く、なかなか本格的に春になりませんが、朝は賑やかな野鳥のさえずりで目が覚めるようになりましたね。これからの季節は野鳥が一斉に巣作りをし、雛を育てます。バードウォッチングは年間を通じて楽しめますが、やっぱり春が一番!

3ページに渡る特集記事はドイツにおけるバードウォッチングの歴史、これからバードウォッチングを始めようと思う人のためのヒントやドイツで身近に見られる野鳥情報までを含む充実した、楽しいものになっていて、バードウォッチングに興味はあるけれど、どうやって始めたらいいのか、、、と思っている方にとって、とてもわかりやすいと思います。

バードウォッチングを始めてまだ日が浅い私ですが、微力ながら誌面作成のお手伝いをさせて頂きました。その際の打ち合わせで新たに知ったことも多く、ますますバードウォッチング熱が高まっている私です。

 

ドイツニュースダイジェストは日本関連のお店などに置いてありますが、オンライン版もこちらから読むことができます。

野鳥に興味がある方は是非、ご覧になってみてください。お家の周りの散歩がぐっと楽しくなりますよ!

 

以下の記事にドイツでバードウォッチングを楽しむ際のお役立ちサイトをリストアップしていますので、よろしければ合わせてご利用ください。

ドイツで野鳥観察を楽しむための情報リンク集

また、見つけた野鳥のドイツ語名はわかったけれど、日本語ではなんというの?うまく調べられないという方は、私が作成した野鳥名検索アプリ(無料でオンライン公開中です)を使ってみてください。

ウェブアプリ「ドイツの身近な野鳥 多言語辞書」を公開しました

 

これからも野鳥情報、どんどん更新していきますね。

 

 

 

去年の春、庭のオークの木に鳥の巣箱を設置し、その内部にカメラを取り付けた。巣箱を設置したらすぐにシジュウカラが中に入り、営巣を始めた。取り付けた巣箱カメラが大活躍し、スマホやその他のデバイスを通してシジュウカラの巣作りや子育てをリアルタイムで観察することができ、とても楽しかった。その一部始終は「シジュウカラの育児観察記録」として当ブログで公開している。

そこで、この冬はテラスに置いた餌台の内部にカメラを設置してみた。そうしたら、これがまたまた面白い。家の中から窓越しに餌台を眺めているだけではわからないことがカメラを通すと見えて来るのだ。餌台にはいろんな野鳥が餌を食べにやって来る。カメラを通してその様子を眺めていると、まるでレストランオーナーになった気分だ。心の中で「いらっしゃいませー!」と叫びつつ観察していたら、種によって少しづつ行動が違うことに気づいた。

 

最もよく来るのはシジュウカラとアオガラ。どちらも群れで入れ替わり立ち替わり餌台に来る。シジュウカラの方がアオガラよりもやや大きく、群れの個体数も多いけれど、異なる種と鉢合わせしてもお互いまったく気にしていない様子。酒場の顔馴染みの常連客という感じで和気藹々と(?)餌をついばんでいる。餌台にやって来る時間帯もほぼ同じだ。ただ、彼らは長居はしない。ひまわりの種をクチバシでさっと掴むと、すぐにサッと餌台を出てそばの桃ノ木の枝に止まり、種を枝に叩きつけて割って中身を食べる。食べ終わるとまたサッと餌台に飛び入り、また次の種をくわえて出て行く。その繰り返しだ。一回の滞留時間はほんの1秒くらいで、出たり入ったりを延々と繰り返している。だったらお腹がいっぱいになるまでずっと餌台にいればいいんじゃないかな。飛ぶエネルギーがもったいないと思うんだけど。でも、彼らはそういう習性ではないらしい。

 

ハシブトガラは単独で来ることが多い。この子はシジュウカラやアオガラと比べ、もうちょっとのんびりしているような気がする。

アオガラやシジュウカラ達と餌台で一緒になることも多いが、オープンな性格とみえて、けっこう溶け込んでいる。

 

ヨーロッパコマドリは別の時間帯にいつも単独でやって来る。ヒマワリの種は食べず、もっと小さい穀物をエサの山の中から探すのだが、シジュウカラやアオガラのように餌をテイクアウトするのではなく、店内でお召し上がりになる。ある程度満腹するまで餌台を離れないので、一度来ると2分くらいはとどまっている。

 

カンムリガラは滅多に訪れないので、たまに見ると嬉しい。

頭が可愛いなー

 

ゴジュウカラもおひとりさま行動が好きらしい。そして、かなり警戒心が強いのか、餌台の中央まで入って来ることは稀である。窓の縁に止まって、頭だけを伸ばして種を取るが、常に外を気にしてしょっちゅう振り返るのだ。

 

うちの庭にはイエスズメがたくさんいる。できれば彼らには餌台に近づいて欲しくなかった。数が多くていつも群れで行動するし、体も他の小鳥より大きい。しかも図太そうなイメージがあって、イエスズメが来ると他の客が来なくなるのではという懸念があった(鳥種差別、ごめんね)。イエスズメ達はしばらくの間、庭の隅のライラックの木から遠巻きに餌台を眺めていた。イエスズメだけ邪険にするのは悪いので、彼ら専用の餌台をライラックのそばに設けようかなと思っていたら、そうする前にとうとうみんなの餌台に入って来てしまった。でも、杞憂だったのか、他の鳥達が嫌がる様子はなく、今のところは平和である。よかった。

 

笑ったのはクロウタドリ。クロウタドリはサイズクラスが全然違う。そもそも餌台などには入らず地面の虫などを食べるのだと思っていたが、他の鳥達が餌台を盛んに利用しているのを見て自分も入りたくなったのだろうか。大きな図体で無理やり入って来た。でも、小さな鳥達と違い、窓からスッとスマートに飛び込むことは難しい。へたをすると壁に激突しかねない。窓の外でハチドリのように必死に羽をバタバタさせたがうまく入れず、諦めて地面に降りる姿も目撃した。

 

残念なのは、去年来たシマエナガが今年は一度も姿を現さなかったこと。つぶらな瞳の可愛い姿を見せて欲しかったなあ。

これは去年の写真

 

でも、その代わりに去年は見かけなかったマヒワがやって来た。

 

「〇〇鳥は云々」と、知ったようにいろいろ書いたが、ここに書いたことはあくまでも一冬の間に我が家にやって来た特定の鳥を観察して感じたことにすぎない。たまたま、うちに来た個体がそうだっただけかもしれないのだから、種の一般的な習性だと考えるわけにはいかないよね。でも、観察って面白いなあ。カメラには映像自動保存機能が付いているので、長期的に観察すれば何かがわかって来るかもしれない。野鳥カメラにこんなに楽しませてもらえるとは想像していなかった。最近まで野鳥には関心も知識も全然なかった夫も、「こんなに面白いとはね。なんでもっと早くやらなかったんだろう」と言っているくらいなのだ。

さて、そろそろまた鳥達の繁殖の季節だ。巣箱へのカメラ設置は完了した。また小鳥の子育てが見られるかな?

 

 

身近な環境や旅先で野生動物を目にするのが私の近年の大きな楽しみの一つである。あまりに楽しいので、気候変動や環境破壊によって野生動物が減ってしまうのは辛い。なにか少しでもできることないかなーと思って、昨年(2020)の2月から3月にかけて、自然保護団体BUNDの主催するヨーロッパヤマネコのモニタリングプロジェクトに参加した。それがなかなか楽しく、また、たまたまコロナ対策のロックダウン期間と重なったため良い息抜きになった。それで今年もまた参加することに。

 

Foto: Wikimedia Commons
Michael Gäbler

 

ヨーロッパヤマネコのモニタリングとはなんぞや?

簡単に説明すると、ドイツ国内のヨーロッパヤマネコ(学名Felis silvestris)の分布を把握するためのサイエンスプロジェクトである。ヨーロッパヤマネコはかつてヨーロッパ全域に分布していたが、18世紀以降、個体数が激減し、大部分の場所で絶滅に瀕していた。しかし近年は一部の地域で再び個体数が増えつつあり、ドイツ国内には現在、6000〜8000個体が生息すると推定されている。ドイツ西部から中部にかけて特に多く、次第に生息地を広げているが、私が住んでいるブランデンブルク州にはまだ到達していないと考えられていた。

ヨーロッパヤマネコの生息に適した森  出典: https://www.bund.net/themen/tiere-pflanzen/wildkatze/

 

ところが2019年のある日、ブランデンブルク南西部のLuckenwaldeという町付近を移動中のある人が、車に轢かれた猫の死骸を道路脇に見つけた。猫にしてはいやに大きいなと不思議に思って車を停め、死骸をよく見たところ、ふさふさの大きな尻尾に黒いリング状の模様がある。もしやこれはヤマネコでは?その人は死骸の写真を撮り、地元の自然保護団体に連絡した。専門家の鑑定の結果、それはヨーロッパヤマネコだった。

ヨーロッパヤマネコはブランデンブルク州にも到達している!

この新事実をきっかけに、BUNDは2020年からブランデンブルク州でもヨーロッパヤマネコのモニタリングを開始した。プロジェクトには誰でもボランティアとして参加できる。面白そうなので私も参加することにしたのである。

ヨーロッパヤマネコのモニタリングは1月末〜3月にかけて実施される。雄がこの時期に繁殖相手を探して広範囲を移動するからだ。ヨーロッパヤマネコはセイヨウカノコソウ(ヴァレリアン、ドイツ語ではBaldrian)の匂いを好むので、森の各所の地面にセイヨウカノコソウのエキスをスプレーした木の杭を打ち込んでおく。杭のあるところをヤマネコが通れば、きっと杭に体を擦り付けるだろう。そうすれば、杭表面に毛が引っかかる可能性がある。プロジェクトの参加者は定期的に杭を点検に行き、観察結果をBUNDに報告する。

杭は金ブラシで表面をガサガサにし、ナイフで角に傷をつけて毛が引っかかりやすいようにする。表面をバーナーの火で焼いて殺菌し、それからセイヨウカノコソウのエキスをスプレーする。

1週間〜10日に一度、杭を点検。毛が付着していないかどうか、ルーペで確認する。

もし、毛が付着していたらピンセットで取って専用の袋に入れる。地域、杭の番号、日付、毛の本数を記入してDNA鑑定のためにラボに送る。

2019年度、私は4本の杭を担当し、何度か毛を採取することができたが、DNA鑑定の結果は残念ながらヤマネコのものではなく、キツネの毛だった。でも、プロジェクト全体では複数箇所でヨーロッパヤマネコの毛が見つかり、2018年に死骸となって発見された個体以外にもブランデンブルク州にはヤマネコが存在することが判明した。それで、さらに本格的に分布を調べるため、今年度(2021)もモニタリングが実施されるのだ。今年は私の夫も一緒にやると言うので、今回は思いきって10km x 10kmのエリアを2人で担当することにした。打ち込む杭は全部で10本。地図を見て、ヤマネコが移動しそうな場所を考えつつ、場所を決めていった。

こんなルートにした

 

ところが、さあやるぞと張り切っていたら大雪が降って、地面が真っ白になってしまった。去年の2月は暖かかったので楽だったが、雪の中の巡回はちょっと大変そう。でも、森に入ってみると、雪が積もっているからこその面白さがあると気づく。森の中は動物たちの足跡だらけなのだ。

1本の杭を打ち込んだ場所は動物たちの交差点になっていることがわかった。昼間でも森の中で野生動物に遭遇することはよくあるし、夜にはたくさんの動物が活動すると知ってはいたけれど、本当にどこもかしこも足跡でいっぱいなのを見ると、森にはたくさんの動物たちがいるんだなあと実感する。逆に言えば、森がないと多くの動物たちは生きることができないってことだよね。

杭のすぐ横をウサギが擦り抜けていっている。立ち止まった様子はない。ウサギはセイヨウカノコソウには興味がないみたいだね。

でも、残念ながら毛はついていなかったので、またセイヨウカノコソウをスプレーしておく。

 

そうそう。ヤマネコと直接関係ないけれど、面白いことがあった。モニタリング開始前、杭の設置位置を決めるために森の中を歩いていたら、地元の猟師さんの車が通りかかって「こんなところで何をしている?」と聞かれた。BUNDのヤマネコ調査に参加していると説明すると、「あー、ヤマネコね。この辺、いるよね」と猟師さんはこともなげに言うのである。

「え、本当ですか?野良猫じゃないんですよね?」

「いや、あの尻尾はヤマネコだよ。毎晩来てるよ。あっちの方」

私と夫は顔を見合わせ、「よし、そこに杭を打ち込んで来よう」と目くばせした。テンション上がるなー。

「この辺、オオカミもよく出るんだよね」

「ええ?」

なんかちょっと出来過ぎな感じがするが、相手は猟師さん。デタラメを言うとも思えない。

 

猟師さんに教えてもらったあたりに杭を打ち込みに行くと、すぐそばの湖の凍った表面を動物が歩いた跡があった。

「大型犬っぽいね」と夫が言うが、飼い主が一緒に歩いた形跡はない。こんな人里離れた森の奥の湖を犬が歩くかなあ?

「もしかしてオオカミ!?」

まさかねー。早とちりはやめておこう。

 

その2週間後、森を巡回中、全く同じ場所でまた同じ猟師さんに遭遇した。

「どうだ?ヤマネコは見つかったか?」

「いえ、まだです」

すると猟師さんは言った。

「今、オオカミのフンを拾って来たよ」

「ええ?」

「見る?」

バケツに入ったオオカミのフンとやらを見せてもらう。(不快な画像、すみませんが、証拠写真と言うことでご了承ください)

「ん?これ、犬のフンではないんですね?」

「オオカミのだよ。シカの毛や骨が混じっているだろう?」

へえーっ。

「あいつら、いつも4、5匹でウロついてるよ。犬と変わらない感じで、かなり近くまで来る」

オオカミの存在が急にリアルになった。ブランデンブルク州でオオカミが増えているのは知っていたけど、そんなに身近な存在になっているとは。

 

今年のモニタリングはまだ始まったばかりで、今のところ、ヤマネコの痕跡は見つかっていない。でも、森の中にはいろんな情報が詰まっていて面白い。

 

 

パンデミックでロックダウンが続くドイツ。遠出できないし、できることも限られているので、相変わらず庭や家の周辺での野鳥観察をする毎日である。見分けられる種が増えるにつれ、ますます楽しくなって来る。

先日、こちらの記事でドイツでよく見られる野鳥の名前の日独英学名対照表をシェアしたけれど、表形式だとデータが増えるとスクロールして知りたい鳥の欄を見つけるのが大変になるから、あまり実用的ではないかなあと思っていたところ、年末年始に帰省した息子がPythonというプログラミング言語の基礎を手解きしてくれた。特に目的もなく暇潰しに教わったのだが、せっかくだから何かに使えないかなと考えて、せっかく野鳥の名前の対照表を作ったのだから、それを使って簡単な検索プログラムができないかな?と思いついた。

息子に怒られつつ作ったプログラムをようやく公開することができた。

ドイツの身近な野鳥 多言語辞書

(↑ クリックすると、アプリが開きます)

 

初めてプログラミングで作ったプログラムなのでとてもシンプルで、野鳥名を日本語、英語、ドイツ語及び学名で検索するだけのもの。こんなふうに使えます。

 

 

たとえば、私は昨日、野原で猛禽類を見つけて写真を撮り、NABUの鳥識別アプリNABU Vogelweltで調べて「Turmfalke」という種らしいということがわかったので、検索窓にTurmfalkeと入力。そして「調べる」ボタンを押すと、

このようにそれぞれの言語での名前と学名が表示される。ただこれだけなんだけど、ドイツで野鳥を見かけてドイツ語での種名がわかっても、日本語で何と呼ぶのか調べるのは結構面倒だったりするので、作ってみました。逆に和名はわかっているけどドイツ語でなんと呼ぶかわからないときにも使える。今のところ登録してある種は200種で、ドイツ全国でよく見られる種はほぼカバーしているつもり。

ただ、この辞書、使い方にちょっと注意点があって、私がエクセルに登録した表記法そのものじゃないとヒットしないのである。日本語の鳥名は必ずカタカナで、ドイツ語と英語の名前は最初の文字を大文字で入力する必要があります。

この辞書はPythonでコードを書いて作ったデスクトップアプリ(私のPC上でしか使えないプログラム)をStreamlit sharingというサービスを使ってウェブアプリ化して公開している。デスクトップアプリでは、野鳥団体NABUのサイトのそれぞれの鳥に対応するページに飛んで画像を見ることができるようにしたのだけれど、それをウェブアプリ上ではうまく反映させられなかった。なので、とりあえず画像検索機能なしで公開することにした。

今後やりたいことは、

  1. それぞれの野鳥の画像も検索できるようにする。
  2. 現在はドイツ国内で見られる野鳥に限定しているが、範囲をヨーロッパ全体に拡大して、スペイン語やフランス語など他の言語でも検索できるようにする。
  3. 野鳥だけでなく、野草とか昆虫とかいろんなカテゴリーの多言語辞書を作る。(息子には「魚や野菜の辞書を作ってよ」と言われた)

 

少しづつ、使えるものを作れるようになればいいなと思っている。気長にやろう。

 

 

ベルリンから南西に40kmほどのところにあるヌテ・ニープリッツ自然公園が好きで、よく遊びに行く。美しい湖がいくつもあるのだ。その中の一つ、ブランケンゼー(Blankensee)の近くに、以前から気になる建物があった。

 

体育館を二つ並べたようなこの建物は何なのだろう?デザインから察するに、ヴァイマル共和政時代に建てられたものではないかと思われるが、古びたレンガ造りの建物が多い田舎の風景の中にドーンと立っていて、場違いな感じがする。何かの格納庫だろうか。でも、このエリアにかつて大きな産業があったとも思えない。謎である。画像検索で調べたら教会だということがわかって驚いた。

教会の名前はヨハニッシェ・キルヒェ(Johannische Kirche)。かつてはEvangelische-Johannische Kirche nach der Offenbarung St. Johannisという名称だったそうだ。「聖ヨハネの啓示を受けた福音主義のヨハネ派教会」とでも訳せば良いのだろうか?耳慣れない言葉だ。それとも、私がキリスト教の知識に乏しいから知らないだけだろうか?それにしても、この外観である。何か特殊な背景があると見て間違いなさそうだ。

最近、”Die Mark Brandenburg“というブランデンブルク州の歴史雑誌が気に入っているのだが、そのバックナンバー、”Lebensreform in der Mark(ブランデンブルクにおける生改革運動*注1)”を手に取ったら、偶然、この教会についての記事が載っていた。生改革運動(Lebensreform)とは、19世紀半ば以降、急激な近代化に反対してスイスやドイツを中心に広がった自然回帰をキーワードとする社会改革運動で、現在、特徴的なドイツの生活文化とみなされているものの多くがこの時期に芽吹いたようである。たとえば、ドイツ全国にある自然食品店、レフォルムハウス(Reformhaus)はこの運動に端を発している。30年前、ドイツに来て初めてレフォルムハウスの看板を目にしたとき、「はて?どういう意味だろう?」と不思議に思ったのをよく覚えている。その頃、reformという言葉から私が連想できたのは「住まいのリフォーム」だけで、住まいとは何の関係もなさそうなのにreformと書いてあるその店が気になって中に足を踏み入れてみた。店内に並べてあるのは健康食品やオーガニックの食品、自然化粧品などで意味がわからず、「健康なものを食べて体をリフォームしようという意味だろうか?」などと、おかしな解釈をしていた。ReformhausのReformが19世紀の生改革運動から来ていると気づいたのは、ずっと後になってからだ。

さて、上記の雑誌によると、ブランケンゼーの近くにある古くて新しい謎の建物は1926年に「聖ヨハネの啓示を受けた」ヨーゼフ・ヴァイセンベルク(Joseph Weißenberg)により建てられた。ヴァイセンベルクはシレジア地方の貧しい家に生まれたが、幼少の頃から予知能力がある不思議な子どもだとみなされていた。また、ヒーリングの能力があり、ヴァイセンベルクが病人に触れると病気が治ったというエピソードがたくさん伝えられている。ヴァイセンベルクは成人後、左官などいくつかの職を経験した後、ベルリンのプレンツラウアーベルクでヒーラーとして開業する。急激な社会変化の中での閉塞感や生活苦、環境汚染などから心身を患う人が多かったのだろうか、いろいろな代替医療やスピリチュアルな施術が世に溢れた時代だったようで、ヴァイセンベルクは「ベルリンの奇跡のヒーラー」として注目を浴びた。やがて、宗教的指導者としても活動するようになり、マイスターと呼ばれて崇められるようになる。第一次世界大戦直後、ヴァイセンベルクは「もうすぐ大インフレになる」と予言し、「金を持っていても価値がなくなるから、今のうちに私に預けなさい」と言って信者らから金を集めた。その資金でブランケンゼー近くのグラウという地域に土地を購入し、人々が安心して暮らせる町を建設すると言い切ったのである。

教会の建設はこうして始まった。約1000人を収容できるという大きな教会の二つのアーチ型天井は「Zwei Lebensstützen brechen nie. Gebet und Arbeit heissen sie.” (祈りと労働は決して折れることのない生の二つの柱である)」というヨハニッシェ・キルヒェの教理を象徴しているそうだ。そしてヴァイセンベルクは教会に隣接するエリアに自らの理想に基づく集落「フリーデンスシュタット(平和の町)」の建設に着手した。しかし、予言通りインフレがやって来ると、資金が足りなくなり、信者らは集落建設を続行するために金の結婚指輪をヴァイセンベルクに差し出した。だから、フリーデンスシュタットは結婚指輪で建設された町と形容されることもあった。集落には学校や病院、博物館やカフェも作られ、近代的なインフラを持つコミュニティが実現した。

 

ざっとここまで読んで、その集落を見に行きたくなった。ブランデンブルク探検仲間のCKさん(@CKCKinT)にこの話をしたら、CKさんは「その集落に行ったことがあるよ」と言う。「医者の診療所が入ったセラピーセンターがあって、宗教的な独特の静かな雰囲気がある。ボロボロの小さな集落なのに、田舎には珍しい自然食品の店があって不思議な感じ」だそうだ。ますます興味深い。そこで、CKさんに案内して貰いながらその集落を散歩することにした。

ということで、ブランデンブルク探検隊、フリーデンスシュタットにGo!

 

集落は少し奥まったところにある。集落内に入ると、真っ先に古びた建物が目に入った。かつて役場だった建物らしい。一部の窓にカーテンがかかっているが、現在、誰か住んでいるのだろうか。シーンとしていて、人の姿は確認できなかった。

 

「神とともに始まり、神とともに終わる。それが真の人生である」

 

その隣にはセラピーセンターがある。1996年に再開されたそうだが、小さな集落にある医療機関にしては随分立派だ。ドアを開けて中に入ってみたが、患者がいるのかいないのか、建物の中はひっそりとしていた。

セラピーセンターの内部に飾られたヴァイセンベルクの胸像。壁には”Krankheit ist Geist(病は精神だ)”と書かれている。宗教的な言葉なので、どういう意味なのかはよくわからない

 

集落には当時、約40棟の建物が建てられ、およそ500人が生活していたそうだ。しかし、ヨハニッシェ・キルヒェの信者の数はそれよりもずっと多く、復活祭の礼拝には2万人もの信者が訪れたという。1920年にはヨハニッシェ・キルヒェの支部は全部で20ほどあったようだ。

かつて”Goldene Sonne(金の太陽)”という名前のレストランだった建物。丘の上に立っているので、きっと日当たりの良いレストランだったのだろう。でも、今はすっかり古びて陰気な姿になっていて、太陽という名前は似つかわしくない。というのも、小さな聖地フリーデンスシュタットの平和な日々は長く続かなかった。1933年にナチ党が政権を掌握すると、ヨハニッシェ・キルヒェの活動は禁じられ、集落の建物は国家秘密警察の管理下に置かれたのである。

 

かつての学校。かなり大きな建物で、600 – 700人の児童が学んでいたらしい。階段の前に設置されている説明パネルには「バウハウススタイルで建てられた」と書いてある。当時は体育館や実験室もある近代的で清潔な学校だったらしい。うーん、すっかり荒れ果ててしまっていて、うまくイメージできないぞ。

 

集落で一番大きい建物は高齢者施設だった建物だ。これは再建したものなのでオリジナルと全く同じではないかもしれないが、1930年に大都市でもない集落にこんな立派な高齢者施設が作られたというのには驚かされる。1940年、ナチ党の武装親衛隊が占領し、第二次世界大戦後はソ連軍が兵舎として使った。現在はフリーダ・ミュラーハウスと呼ばれ、公共スペース付きの住宅になっている。

 

四角い広場を囲んで立つ、廃墟化したソ連軍の兵舎

 

これは1970年にソ連軍が建設した将校の娯楽施設。東ドイツ時代、フリーデンスシュタットはソ連の基地として使われたため、ソ連軍が建設した建物が集落のもともとの建物と混じっている。1994年にソ連軍が撤退した後、フリーデンスシュタットは宗教団体ヨハニッシェ・キルヒェに返還され、コミュニティとして再出発した。この建物は現在はコミュニティスペースとして使われている。ナチ時代とそれに続く東ドイツ時代にはどこかでひっそりと生活していた信者の一部がフリーデンスシュタットに戻って来ているそうだ。現在のフリーデンスシュタットの住民は約500人。全員がヨハニッシェ・キルヒェに属しているわけではないだろうが、現在、ドイツ全国にヨハニッシェ・キルヒェのメンバーは3000人ほどいるとされているので、フリーデンスシュタットは再びヨハニッシェ・キルヒェの本拠地となっているのかもしれない。

かつての牛舎。集落には農園もあった

 

集落の自然食品ショップ

集落は全体的にボロボロで、よそ者の私には現実感が薄く、映画のセットかなにかのように感じられるのに、中心部にある自然食品の店だけはまるで都市の一角のような存在感を醸し出している。店の外壁には十字架がかかり、レフォルムハウスならぬレフォルムカウフと書かれた看板がかかっている。

かつて、当時の基準では先進的な町だったフリーデンスシュタット。今、その姿を想像するのは難しい。でも、荒廃しているエリアにありがちな殺伐とした空気は感じられず、どこかおっとりとした雰囲気の漂う不思議な場所である。周辺も含め、人口密度の低い地域だけれど、集落はこれからも引き続き少しづつ補修されて活気を取り戻していくのだろうか。毎年12月には教会でクリスマス市が開かれているとのこと。今年はパンデミックのため開催されないだろうが、来年、または再来年、フリーデンスシュタットのクリスマス市を覗いてみたい。

 

ブランデンブルクにとても詳しいローゼンさん(@PotsdamGermany)に興味深い関連サイトを教えて頂いたので、参考資料として貼っておきます。

ヨハニッシェ・キルヒェに関する短い番組:

Johannische Kirche in Trebbin

現在の信者の方によるポッドキャスト:

Reportage “Weißenberg I”

Reportage “Weißenberg II”

 

*注 Lebensrefomには「生改革」「生活改善運動」など複数の訳語があるようです。定訳がはっきりわからなかったので、ネット上で見つけた複数の学術論文に倣って「生改革」という訳語をあてました。

今年の7月に友人のライター、久保田由希さん(@kubomaga)との共著で出版した「ベルリン・ブランデンブルク探検隊シリーズ 給水塔」(詳細はこちら)でブランデンブルク州内の給水塔44基を紹介した。その中の1基、アンガーミュンデ(Angermünde)の給水塔は現在、宿泊施設として再利用されている。ページ数の関係により、本の中では詳しく紹介できなかった(P.41に掲載)ので、ここで改めて紹介したい。

アンガーミュンデの給水塔

 

給水塔に泊まるって、どんな感じだろう?と気になり、先日、この塔に実際に宿泊してみた。アンガーミュンデ市はベルリンから北東およそ70km。給水塔は駅の真ん前にある。

 

1901年に建設されたこの給水塔は2007年に大掛かりな改修工事が行われ、現在は宿泊施設となっている。ホテルではなく、キッチン設備のあるアパートメントタイプの宿だ。(ウェブサイトはこちら

 

敷地内に入り、塔の裏手に回ると、外付けのエレベーターと階段があり、アパートメントに直接アクセスできるようになっている。タンク部分には塔の管理人さん一家が住んでいて、借りられるのはその下のレンガで覆われた部分で、2つの階それぞれ丸ごとがアパートメントになっている。私たちが予約したときには両階とも空いていたので、2つのうちの上の階を借りることにした。

着いたのが夜だったので、こんな感じ。真ん中が居間、居間の奥がキッチンとダイニングスペース、反対側がベッドのあるスペースになっている。落ち着いた温かみのある内装だ。

キッチン&ダイニングスペース

 

なんと、キッチンの窓からはもう一つの小さな給水塔が見える!

 

泊まってみて、快適さに驚いた。床暖房で足元ポカポカ、ソファーも深々として気持ちが良い。家具はどれも質の良いもので、こだわりが感じられる。

 

塔を輪切りにした円形アパートメントで円形で、真ん中部分がフロアとなっているのが面白い。向こう側に見えるドアの後ろはバスルーム。左側の緑のドアを開けると、

階段で下に降りることができる。これぞ「塔に住んでます」という感じでワクワクする。

 

給水塔の絵が彫られたフロアの家具

 

階段から地階に降りてみた。出入り口付近には観光パンフレットがたくさん置いてある。アンガーミュンデ市は小さい町で、市内にはそれほどたくさん見所があるわけではないが、周辺にはUNESCO自然遺産に登録されたブナの森(Buchenwald Grumsin)やSchorfheide-Chorin自然保護区Unteres Odertal国立公園など多くの自然保護区が広がり、拠点として便利だ。車があればあちこちへ足を延ばすことができる。でも、車がなくても大丈夫。アンガーミュンデからは各方面へ観光バスが出ている。(情報はこちら

給水塔情報&グッズコーナーがあった。アンガーミュンデ給水塔110周年には記念グッズがいろいろ作られたようである。

こんなカレンダーもあったとは。給水塔の本を書いた私が言うのも変だけど、マニアな人たちがいるもんだねえ〜。

地階はメゾネット構造になっているので上ってみよう。

ミーティングスペース?ここで給水塔ファンの人たちが作業をしたりするのであろうか。

椅子がすごい!!!

大変な凝りようだ。なんかもう、給水塔愛がビシバシと伝わって来る。現存する給水塔は貴重な技術遺産であり文化財である。それを大切に守り継承していこうという強い意思が感じられて、圧倒される。それにしても、改修にはかなりのお金がかかったに違いない。(工事の様子は塔のサイトのこちらのページから見ることができます)

 

裏庭には子どもの遊び場とバーベキューができるスペースがあるのだが、遊び場にまでミニ給水塔が設置されている。

 

こだわりが半端ないね。

 

フロアに置いてあったこの雑誌を手に取ってみた。これまた驚くほどマニアックである。「ドイツ国際給水塔協会(Deutsch International Wasserturm Gesellschaft)という団体が発行しており、ドイツ国内の給水塔に関する最新情報や会員による給水塔見学バスツアーの報告、世界各国の給水塔特集などが掲載されている。この号ではオーストリアと仏ブルターニュ地方の給水塔群の紹介、ドローンで撮った給水塔画像のほか、キリギスタンの高置給水タンクが3ページにわたって解説されている。キリギスタンまで行ったんかい!

 

こんなわけで、給水塔アパートメントってどんな感じかな?というくらいの気持ちで泊まってみたアンガーミュンデの給水塔はとても快適かつマニア心を大いに満たしてくれる素晴らしい宿であった。一つだけ難点を上げるとすれば、駅の側なので、ホームを流れるアナウンスがまる聞こえなことかな。音に敏感な人だと気になるかもしれない。それ以外は文句なしどころか、大満足だった。良心的な料金設定も嬉しい。これからも愛され続けて欲しい給水塔である。

 

 

 

北ドイツの地形は南ドイツと大きく異なり、基本的に低地である。どこへ行っても平らで、高い山がないのはつまらないと思う人が少なくないかもしれない。でも、私は14年前にブランデンブルク州に引っ越して来て、いや、正確には来る前から、ブランデンブルクの自然環境にとても惹かれた。

というのも、ブランデンブルク州はどこもかしこも湖だらけ。その数はなんと3000近いという。私にはかねてから「泳げる湖の近くで暮らしたい」という夢があったので、ブランデンブルク州に引っ越して来たときには「夢が叶った」と、とても嬉しかった。最初の数年間は当時小学生だった子どもたちを車に乗せて、今日はここの湖、明日はあっちの湖と夏の間は湖ホッピングを満喫したものだ。そのうち付き合ってくれなくなったけれど。

なぜブランデンブルク州にはこんなにも湖が多いんだろうと不思議に思っていたら、あるとき知人が教えてくれた。ブランデンブルク州を含むドイツ北部はかつて氷河に覆われていた、無数にある湖の多くは氷河時代の名残なのだと。ブランデンブルクの地形は氷河によって削り取られた岩石や土砂が堆積して形成された「モレーン」と呼ばれる地形だと聞いても、すぐにはピンと来なかったが、道の脇や畑の縁、または公園などで目につくたくさんの大きな石の塊が氷河によって運ばれて来た「迷子石」というものであることを知ってから、氷河地形に興味を持つようになった。

氷河の置き土産 〜 北ドイツの石を味わう(導入編)

氷河の置き土産 〜 北ドイツの石を味わう(基礎編)

氷河に運ばれた大量の迷子石が並ぶジオパーク、Findlingspark Nochten

(01.04.2024追記) ヒダ状の氷河地形を観察できるUNESCOグローバルジオパーク、ムスカウアー・ファルテンボーゲン

氷河湖や迷子石だけではない、ブランデンブルクの自然に目をやれば、特徴的な氷河地形をあちこちで観察することができる。住宅地になっていたり森林に覆われているとわかりづらいが、広々とした場所を遠目に眺めるとなるほどと思う。ベルリンの北部にはUckermark、BarnimそしてMärkisch-Oderrandの3地域にまたがる3.297 km2  及ぶ広大な氷河地形ジオパークGeopark Eiszeitland am Oderrandがある。何度か足を運んだので、これまでに見たものをまとめてみよう。

 

ジオパークは柵に囲まれているわけではなく、入場料を払う必要もないので、好きな場所からアクセスして好きなように見ることができるが、まずオリエンテーションをしてからということなら、Gross Ziethen村にあるビジターセンターを目指すと良いと思う。ジオパークの成り立ちやそこで見られる動植物、発掘された化石などがわかりやすく展示されている。

色口は建物の裏にある

 

ビジターセンターの展示や関連資料には氷河地形の成り立ちが図解されている。眺めているだけでなく自分でも描いてみるとよく把握できるかなと思って、描いてみた。(図を描くのが苦手で、これだけの図でも結構苦労、、、、)

氷河はドイツの北から南に向かって(図では右から左へ)移動した。氷河の底になっていた部分の地形をグランドモレーンと呼び、末端部分の地形をエンドモレーンと呼ぶ。最終氷期であるヴァイクセル氷期にはその前のザーレ氷期のように現在のブランデンブルク州がすっぽりと氷床に覆われることはなかったので、氷の下になっていた北部と氷の及ばなかった南部は地形が異なっている。その境目のエンドモレーンには岩の塊など大きくて重い堆積物が溜まって残った。エンドモレーン の南にはザンダーと呼ばれる緩やかに傾斜した砂地が広がっている。氷期が終わり、氷の溶け水は氷床の縁に沿って東西に流れ、ウアシュトロームタールと呼ばれる谷をつくった。ドイツの首都、ベルリンはウアシュトロームタールに位置している。その南にはそれ以前の氷期に形成された古いモレーン(アルトモレーン)が広がっている。

 

Gross-Ziethen村の外れにあるビジターセンターの先にある石のゲート

 

ビジターセンター脇のマンモスの像

 

この土手状の丘がエンドモレーンだ 。つまり、この土手のすぐ向こうまでかつて氷床が迫っていたのだね。ヴァイクセル氷期は10万年以上も続いたので、氷河の末端の位置ももちろん変化した。このエンドモレーンはヴァイクセル氷期のうちのポンメルン期(およそ1万8200年前から1万5000年前まで)に氷床の末端があった場所だ。

 

氷床が削り取り、運んで来た岩が土手に埋まっている。

これらの岩ははるかスカンジナビアからここまでやって来たのだ。ダイナミックでスケールの大きな話である。本当にすごいなあ。

 

土手の前に作られた日時計

 

グランドモレーンにはなだらかな丘が広がる。ところどころに部分的な起伏がある。最初の手書きの図に描いたように、起伏にはその出来方によっていろいろな形状がある。

ドラムリンと呼ばれる涙形の丘。氷河が削り取った砂礫が細長く堆積したもの。ドラムリンは以下の動画のようにできると考えられているようだ。

 

 

ドラムリンの他には、氷の塊と塊の間に土砂が溜まり、氷が溶けた後に丸く盛り上がって残ったケイムと呼ばれる丘や、氷の裂け目や底部にできたトンネルに溜まった土砂が堤防状に細長く延びたエスカー(Os)などの形状もあるが、うまく写真が撮れなかった。

 

氷床は縁から徐々に溶けていったが、氷の塊がしばらく溶けずに残ることもあった。そのような氷の塊はToteisと呼ばれ、その下には窪みができた。その窪みに水が溜まり、Toteisseeと呼ばれる湖となった。でも、小さな水溜りは干上がってしまうこともある。そんな「元湖」がブランデンブルクの大地にはたくさんある。中には木が生え、小さな林になっているものもある。

 

北海道で生まれ育ったせいなのか、広々とした場所がとても好きだ。地形の成り立ちを考えることは普段と違うスケールの想像力を働かせることでもあり、縮こまった意識をストレッチするような気持ちの良さがあるなあ。

 

ブランデンブルクには氷河期の名残の湿地もまだたくさん残っている。急激に失われつつあるらしいけれど。

氷河が形づくったブランデンブルクの自然をもっともっと歩きたい。まだまだ知らないことだらけだ。

 

ドイツの身近な野鳥が少しづつ見分けられるようになって来た。

目にしたり鳴き声を聞いた野鳥を図鑑やアプリで調べるが、そうした資料はドイツ語なので、ドイツ語の種名だけでなく日本語ではなんと呼ばれているのかが知りたくなる。幸い、野鳥図鑑や野鳥識別アプリにはラテン語の学名も併記されているので、そこから和名を調べることができる。

でも、調べてもメモしないと、すぐに忘れちゃうんだよね。

同じものを何度も何度も調べるのはバカらしいので、エクセルで表を作ることにした。ついでなので英語名も調べて書いておこう。もし、このマイブームがさらに高じてドイツ以外の国でも野鳥観察をするようなことにでもなれば、世界のバードウォッチャーと情報交換する際に英語名を知っていると何かと便利だろうから。画像欄には野鳥保護団体NABUのサイトの種別ページリンクを貼って、ワンクリックで飛べるようにした。

とりあえず、身の回りで確認した種を中心に100種。興味のある方がいるかもしれないので、ここに貼っておこう。今後、表をアップデートしたらその都度差し替えます。

お願い: もし、間違いがありましたら、お手数ですがご指摘頂けると大変助かります。

 

ドイツ語 英語 日本語 学名 画像 (NABUのサイトより)
Alpenstraundläufer Dunlin ハマシギ Calidris alpina https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/alpenstrandlaeufer/
Amsel Common blackbird クロウタドリ Turdus merula https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/amsel/
Bachstelze White wagtail ヨーロッパハクセキレイ Motacila alba https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/bachstelze/
Blässhuhn Eurasian coot オオバン Fulica atra https://nrw.nabu.de/natur-und-landschaft/landnutzung/jagd/jagdbare-arten/wasservoegel/04508.html
Blaukehlchen Bluethroat オガワコマドリ Luscinia svecica https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/blaukehlchen/
Blaumeise Eurasian blue tit アオガラ Cyanistes caeruleus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/blaumeise/
Blessgans Greater white-fronted goose マガン Anser albifrons https://nrw.nabu.de/natur-und-landschaft/landnutzung/jagd/jagdbare-arten/wasservoegel/04839.html
Buchfink Common chaffinch ズアオアトリ Fringilla coelebs https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/buchfink/
Buntspecht Great spotted woodpecker アカゲラ Dendrocopos major https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/buntspecht/
Dohle Western jackdaw ニシコクマルガラス Corvus monedula https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/dohle/
Eichelhäher Eurasian jay カケス Garrulus glandarius https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/eichelhaeher/
Eisvogel Common kingfisher カワセミ Alcedo atthis https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/eisvogel/
Elster Eurasian magpie カササギ Pica pica https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/elster/
Fasan Common Pheasant コウライキジ Phasianus colchicus https://nrw.nabu.de/natur-und-landschaft/landnutzung/jagd/jagdbare-arten/weitere-vogelarten/05322.html
Feldlerche Eurasian skylark ヒバリ Alauda arvensis https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/feldlerche/
Feldsperling Euraisan tree sparrow スズメ Passer montanus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/feldsperling/
Flussregempfeifer Little ringed plover コチドリ Charadrius dubius https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/aktionen-und-projekte/vogel-des-jahres/1993-flussregenpfeifer/index.html
Gänsesäger Goosander カワアイサ Mergus merganse https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/sandregenpfeifer/
Gartenbaumläufer Short-toed tree creeper タンシキバシリ Certhia brachydactyla https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/gartenbaumlaeufer/
Gartenrotschwanz Common redstart シロビタイジョウビタキ Phoenicurus phoenicurus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/gartenrotschwanz/
Gelbspötter Icterine warbler キイロウタムシクイ Hippolais icterina https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/gelbspoetter/
Gimpel Eurasian bullfinch ウソ Pyrrhula pyrrhula https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/gimpel/
Girlitz European serin セリン Serinus serinus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/girlitz/
Goldammer Yellowhammer キアオジ Emberiza citrinella https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/goldammer/
Graugans Greylag goose ハイイロガン Anser anser https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/graugans/
Graureiher Grey heron アオザギ Ardea cinerea https://nrw.nabu.de/natur-und-landschaft/landnutzung/jagd/jagdbare-arten/wasservoegel/06747.html
Großtrappe Bustard ノガン Otididae https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/grosstrappe/
Grünfink, Grünling European greenfinch アオカワラヒワ Carduelis chloris https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/gruenfink/
Grünspecht Eurasian green woodpecker ヨーロッパアオゲラ Picus viridis https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/gruenspecht/
Habicht Northern goshawk オオタカ Accipiter gentilis https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/habicht/
Halsbandschnäpper Collared fly catcher シロエリヒタキ Ficedula albicollis https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/halsbandschnaepper/
Halsbandsittich rose-ringed parakeet ワカケホンセイインコ Psittacula krameri https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/halsbandsittich/
Haubenmeise European crested tit カンムリガラ Lophophanes cristatus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/haubenmeise/
Haubentaucher great crested grebe カンムリカイツブリ Podiceps cristatus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/haubentaucher/
Hausrotschwanz Black redstart クロジョウビタキ Phoenicurus ochruros https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/hausrotschwanz/
Haussperling House sparrow イエスズメ Passer domesticus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/haussperling/
Heringmöwe lesser black-backed gull ニシセグロカモメ Larus fuscus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/heringsmoewe/
Höckerschwan Mute swan コブハクチョウ Cygnus olor https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/hoeckerschwan/
Kanadagans Canada goose カナダガン Branta canadensis https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/kanadagans/
Kernbeißer Hawfinch シメ Cocothraustes cocothrautes https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/kernbeisser/
Kiebitz Northern lapwing タゲリ Vanellus vanellus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/kiebitz/
Kleiber Eurasian nuthatch ゴジュウカラ Sitta europaea https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/kleiber/
Kohlmeise Great tit シジュウカラ Parus major https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/kohlmeise/
Kormoran Great cormorant カワウ Phalacrocorax carbo https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/aktionen-und-projekte/vogel-des-jahres/11608.html
Kranich Common crane クロヅル Grus grus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/kranich/
Kuckuck Common cuckoo カッコウ Curculus canorus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/kuckuck/
Lachmöwe black-headed gull ユリカモメ Chroicocephalus ridibundus https://nrw.nabu.de/natur-und-landschaft/landnutzung/jagd/jagdbare-arten/wasservoegel/04834.html
Löffler Eurasian spoonbill ヘラサギ Platalea leucorodia https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/loeffler/
Mandarinente Mandarin duck オシドリ Aix galericulata https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/mandarinente/
Mauersegler Common swift ヨーロッパアマツバメ Apus apus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/mauersegler/
Mäusebussard Common buzzard ヨーロッパノスリ Buteo buteo https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/maeusebussard/
Mehlschwalbe Common house martin イワツバメ Delichon urbica https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/mehlschwalbe/
Mittelsäger Red-breasted merganser ウミアイサ Mergus serrator https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/mittelsaeger/
Mönchsgrasmücke Eurasian blackcap スグロムシクイ Sylvia atricapilla https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/moenchsgrasmuecke/
Nachtigall Common nightingale サヨナキドリ Luscinia megarhynchos https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/nachtigall/
Nebelkrähe Carrion crow ズキンガラス Corvus cornix https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/nebelkraehe/
Neuntöter Red-backed shrike セアカモズ Lanius colluri https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/neuntoeter/
Ortlan Ortolan bunting ズアオホオジロ Emberiza hortulana https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/ortolan/
Pirol Eurasian golden oriole ニシコウライウグイ Oriolus oriolus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/pirol/
Rabenkrähe Carrion crow ハシボソガラス Corvus corone https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/rabenkraehe/
Rauchschwalbe Barn swallow ツバメ Hirundo rustica https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/rauchschwalbe/
Rebhuhn grey partridge ヨーロッパヤマウズラ Perdix perdix https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/rebhuhn/
Ringelgans brant コクガン Branta bernicla https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/ringelgans/
Reiherente Tufted duck キンクロハジロ Aythya fuligula https://nrw.nabu.de/natur-und-landschaft/landnutzung/jagd/jagdbare-arten/wasservoegel/05891.html
Ringeltaube Common wood pigeon モリバト Columba palumbus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/ringeltaube/
Rotkehlchen European robin ヨーロッパコマドリ Erithacus rubecula https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/rotkehlchen/
Rotmilan Red kite アカトビ Milvus milvus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/rotmilan/
Saatgans Bean goose ヒシクイ Anser fabalis https://nrw.nabu.de/natur-und-landschaft/landnutzung/jagd/jagdbare-arten/wasservoegel/04696.html
Säbelschnäbler Pied avocet ソリハシセイタカシギ Recurvirostra avosetta https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/saebelschnaebler/
Sandregenpfeifer Common ringed plover ハジロコチドリ Charadrius hiaticula https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/sandregenpfeifer/
Schellente common goldeneye ホオジロガモ Bucephala clangula https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/schellente/
Schnatterente Gadwall オカヨシガモ Mareca strepera https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/schnatterente/
Schreiadler Lesser spotted eagl アシナガワシ Aquila pomarina https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/schreiadler/
Schwanzmeise Long-tailed tit エナガ Aegithalos caudatus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/schwanzmeise/
Schwarzstorch Black stork ナベコウ Ciconia nigra https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/schwarzstorch/
Seeadler white-tailed eagle オジロワシ Haliaeetus albicilla https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/seeadler/
Silbermöwe European herring gull セグロカモメ Larus argentatus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/silbermoewe/
Silberreiher Great egret ダイサギ Ardea alba https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/silberreiher/
Singdrossel Song thrush ウタツグミ Turdus philomelos https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/singdrossel/
Sommergoldhähnchen Common firecrest マミジロキクイタダキ Regulus ignicapilla https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/sommergoldhaehnchen/
Sperber Eurasian sparrowhaw ハイタカ Accipiter nisus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/sperber/
Sumpfmeise Marsh tit ハシブトガラ Poecile palustris https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/sumpfmeise/
Star Common starling ホシムクドリ Sturnus vulgaris https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/star/
Stieglitz European goldfinch ゴシキヒワ Carduelis carduelis https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/stieglitz/
Stockente Mallard マガモ Anas platyrhynchos https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/stockente/
Straßentaube Feral pigeon ドバト Columba livia f. domestica https://berlin.nabu.de/stadt-und-natur/lebensraum-haus/arten/vogelarten/16064.html
Tannenmeise Coal tit ヒガラ Periparus ater https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/tannenmeise/
Teichralle, Teichhuhn Common moorhen バン Gallinula chloropus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/teichhuhn/
Trauerschnäpper European pied flycatcher マダラヒタキ Ficedula hypoleuca https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/trauerschnaepper/
Turmfalke common kestrel チョウゲンボウ Falco tinnunculus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/turmfalke/
Türkentaube Eurasian collared dove シラコバト Streptopelia decaocto https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/tuerkentaube/
Uferschwalbe Sand martin ショウドウツバメ Riparia riparia https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/uferschwalbe/
Uhu Eurasian eagle-owl ワシミミズク Bubo bubo https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/uhu/
Waldkauz Tawny owl モリフクロウ Strix aluco https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/waldkauz/
Weißstorch White stork シュバシコウ Cironia cironia https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/weissstorch/
Wiederhopf Eurasian hoopoe ヤツガシラ Upupa epops https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/wiedehopf/
Wintergoldhähnchen Goldcrest キクイタダキ Regulus regulus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/wintergoldhaehnchen/
Zaunkönig Eurasian wren ミソサザイ Troglodytes troglodytes https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/zaunkoenig/
Zilpzalp Common chiffchaff チフチャフ Phylloscopus collybita https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/zilpzalp/
Zwergsäger Smew ミコアイサ Mergellus albellus https://www.nabu.de/tiere-und-pflanzen/voegel/portraets/zwergsaeger/

自宅の庭でバードウォッチングをしよう!と思い立ってから1年が経過した。それ以前にも庭で野鳥の姿を目にすることはよくあったのだけれど、真剣に見たことはほとんどなかった。真っ黒でクチバシが黄色く、ひときわ歌声の良いクロウタドリ(Amsel)だけはさすがに認識していたが、他の鳥はどれが何なのか、さっぱりわからない。だって、鳥ってやたらと種類がいるしねえ。

クロウタドリ(Amsel)

 

鳥に疎い私であったが、おととし休暇でパナマを訪れ、多くの美しい野鳥を見たのがきっかけで(わいるどパナマ観光)、突如、野鳥ファンになってしまった。そう、私はちょっときっかけを与えられると、どハマりするたちなのである。

ドイツにだって野鳥はたくさんいる。まずはドイツの野鳥が知りたい。そうだ、手始めに庭に来る野鳥を観察しようと決め、どのように始めたのかについては、以下の過去記事に記した通りである。

→  ドイツのネイチャーツーリズム2 自宅の周りでバードウォッチング

→  シジュウカラの育児観察記録その1 巣箱の設置 (シリーズでその10まであります)

始めてみると、これが思いのほか楽しくて、今ではすっかり趣味として定着した感がある。1年間観察し、自宅の敷地内だけでも以下の22種の野鳥を確認できた。

アオガラ(Blaumeise) シジュウカラ(Kohlmeise) エナガ (Schwanzmeise) ズキンガラス(Nebelkrähe) スズメ(Feldsperling) イエスズメ(Haussperling) ヨーロッパコマドリ(Rotkehlchen) ゴシキヒワ(Stieglitz) ゴジュウカラ(Kleiber) クロウタドリ(Amsel) カケス(Eichelhäher) モリバト(Ringeltaube) ホシムクドリ(Star) シロエリヒタキ(Halsbandschnäpper) クロジョウビタキ(Hausrotschwanz) アカゲラ(Buntspecht) クマゲラ(Schwarzspecht) キクイタダキ(Wintergoldhähnchen) カンムリガラ(Haubenmeise) ウタツグミ(Singdrossel) マガモ(Stockente) カササギ(Elster)

2023年3月7日最終追記: さらに、アオゲラ(Grünspecht) コアカゲラ(Kleinspecht) マヒワ(Erlenzeisig)ハシブトガラ(Sumpfmeise) ヒガラ(Tannenmeise) ムナフヒタキ(Grauschnäpper) マダラヒタキ(Trauerschnäpper) アオサギ(Graureiher) ズアオアトリ(Buchfink) アトリ(Bergfink) シロビタイジョウビタキ (Gartenrotschwanz) シメ(Kernbeißer) ウソ(Gimpel)がやって来た。

我が家の周囲は森と湖なので、自宅周辺も含めるともっともっと多くの野鳥がいる。森の縁を猛禽類が飛んでいたり、森からフクロウの鳴き声が聞こえて来る。渡りの季節にはガンやツルの群れが庭の上を飛んで行く。

種を特定するには、鳥を見つけたらまず写真を撮り、それを本やネットの鳥の画像と見比べて判断する。鳥は素早いのでうまく写真が撮れないことも多いし、どうにか撮れても似たような外見の鳥がたくさんいて識別はなかなか難しい。でも、だからこその面白さがある。わかる鳥が一つづつ増えていくのは楽しい。ドイツでは野鳥観察はメジャーなので、関連書籍がたくさん出ており、ネット上にも情報がたくさんある。ほとんどはドイツ語の情報だけれど、ラテン語の学名が併記されているので、そこから和名を検索することができる。

以下は、私が野鳥観察に活用している情報リスト。

野鳥関連のドイツ語情報ソースまとめ

 

書籍

ドイツには自然観察のためのガイドブックが非常に豊富にある。中でも自然科学の啓蒙本に特化したKosmos出版のフィールドガイドは定番中の定番だ。どこの書店にも置いてあるし、野鳥関連フィールドガイドも目的別、フィールド別にたくさん出ていて、重宝である。どれも見やすく、サイズ感良く、装丁も綺麗なので眺めてるだけでもワクワクする。

  • Kosmos出版の野鳥ガイド

Welcher Gartenvogel ist das? Kosmos Basic : 126 Gartenvogel einfach bestimmen (2019)

庭によく来る野鳥126種の情報を収めたフィールドガイド。ポケットサイズで片手で持ちながらパラパラ見ることができて便利。

Welcher Gartenvogel ist das? 100 Arten beobachten und erkennen

こちらも同様に庭に来る野鳥のガイドブックで、私はこれを愛用している。掲載されているのは100種と、上のポケットガイドよりも少し少ないが、画像が大きく見やすい。ドイツの庭で見られる野鳥に関する背景情報が多く載っていて、専用のアプリ、KOSMOS Plusを使えば掲載されている鳥の鳴き声を聞くことができる。

Was fliegt denn da?

ヨーロッパの野鳥540種を収めた充実のフィールドガイド。こちらも、アプリKOSMOS Plusが使える。

Der Kosmos Vogelführer Alle Arten Europas, Nordafrikas und Vorderasiens

ヨーロッパだけでは飽き足らない!という人にはこちら。アフリカ北部と西アジアの野鳥も掲載。

Vögelbeobachten in Norddeutschland

ドイツ北部のバードウォッチングスポットを集めた詳しい〜フィールドガイド。GPS位置情報付き。

Vögelbeobachten in Ostdeutschland

上のフィールドガイドのドイツ東部エリア版。

Vögel futtern, aber richtig: Das ganze Jahr füttern, schützen und sicher bestimmen

野鳥に餌をやる際に留意すべき点について解説した本。ヨーロッパでも野鳥の個体数は激減しており、保護のため、特に冬場に庭に野鳥の餌を用意することが奨励されている。でも、その種ごとに適切な餌の与え方があって、間違ったやり方をすると逆に野鳥の健康を損ねてしまうこともある。我が家でも庭に餌台を設置しているので、この本を購入した。

  • それ以外の出版社の本

Die Vogelwelt der  Nuthe-Nieplitz-Niederung

我が家からもっとも近い野鳥保護区、Nuthe-Nieplitz自然公園で見られる野鳥の本。ベルリンの南西40kmに位置するNuthe-Nieplitzでは、特に冬場は渡り鳥がたくさん見られるので、カメラを持って散歩に行くのがとても気に入っているのだ。

Vögelstimmen: Unsere Vögel und ihre Stimmen

ボタンを押すと鳥の鳴き声が聴こえる。とっても素敵な図鑑。この本のおかげで、夏場の夜に森からよく聞こえてくる鳴き声はモリフクロウ(Waldkauz)の鳴き声だということがわかった。

Zugvögel im Wattenmeer: Faszination und Verantwortung

北ドイツ、ワッデン海に見られる渡り鳥とその保護についての書籍。9月にワッデン海へ休暇に行き、野鳥の世界に魅せられて思わず購入してしまった。専門的な内容なのでさらっと読める本ではないが、時間のあるときにじっくり読みたい。

雑誌

野鳥ファン向けの雑誌もいくつか刊行されている。プロの野鳥写真家による美しい写真と共に最新の野鳥関連情報や特集記事を読めるのが良い。

Der Falke

Vögel

ウェブサイト

  • NABU

野鳥に関する情報なら、ドイツ最古の野鳥保護団体、NABUのサイトの情報が充実している。NABUは現在は自然保護活動全般に取り組んでいて、サイトには野鳥以外の情報も多い。野鳥の情報なら、例えば以下のページが参考になる。

Vögel

NABU-Vogelporträts

Beobachtungstürme in Brandenburg(ブランデンブルク州の野鳥観察塔マップ。各州の自然保護区についても同様の情報がある)

  • ドイツ・アヴィファウニスト協会 Dachverband Deutscher Avifaunisten (DDA)

ドイツ・アヴィファウニスト連盟はドイツ全国の野鳥モニタリングプロジェクトのコーディネイトを行う包括的組織。

DDAのWebサイト

DDAの野鳥データバンク、Ornitho.deでは、ドイツ国内で観察できる野鳥の情報をほぼリアルタイムで得ることができる。(ドイツ語の他、英語、フランス語のページもあり)

Ornitho.de

  • Wikipediaにある関連ページ

ドイツの野鳥リストを科ごとに分類したリスト

List der Vögel in Deutschland

ドイツ国内の野鳥保護区リスト

Vogelschutzgebiete in Deutschland

  • 羽関連のサイト

鳥の羽から種を特定するためのサイト

Vogelfedern – eine Bestimmungshilfe

鳥の羽標本が数多く登録されているデータバンク

Featherbase

博物館

ドイツ全国の自然史博物館では、その地域に生息する野鳥の展示が見られる。私がこれまでに行った中では、以下の博物館の野鳥関連展示が特に充実していた。

Altenburg: Mauritanium

Bamberg: Naturkundemuseum Bamberg(「鳥の間」が美しい!関連過去記事はこちら

Berlin: Museum für Naturkunde

Frankfurt am Main: Senckenbergmuseum

Halberstadt: Heineanum

Hannover: Landesmuseum Hannover

You Tube

You Tube上にも野鳥関連のドキュメンタリー動画などが数多くアップされている。以下は私のお気に入り動画。

Vogelkunde mit Dr. Uwe Westpha

130種の鳥の鳴き声を真似できる鳥博士、Dr. Uwe Westphal先生がすごすぎ!!

ARTE:  Zugvogel Storch

北東ドイツでよく見られる渡り鳥、シュバシコウに関するドキュメンタリー

Arte: Die fantastische Reise der Vögel

渡り鳥に関するドキュメンタリー

アプリ

NABU Vogelwelt

NABUのドイツ野鳥識別アプリ。機能はシンプルだけどその分使いやすいので、散歩中に鳥を見かけたときなど、忘れないうちにさっと調べられて便利。無料。

Merlin Bird ID

コーネル大学が開発した世界対応のすごい無料野鳥アプリ。スマホで野鳥を撮影し、どこで見かけたのかなどいくつかの質問に答えると、種を推定して教えてくれる。種ごとの分布マップを見たり、鳴き声を聴くこともできる。このアプリで調べた野鳥のデータはデータバンクに登録されるので、コーネル大学の野鳥研究に貢献できる。

BirdNET

鳴き声を録音すると、何の鳥か識別してくれるアプリ。鳥の姿が見えないけれど声がよく聞こえるときに便利。

BirdID

鳥ゲームアプリ。野鳥の画像が表示され、種を当てる。いろいろな角度から撮った画像が使われているので、実際のバードウォッチングの練習になってよい。

野鳥インフォメーションセンター

NABU Naturschutzzentren

ドイツ全国にあるNABUの自然保護センターではそれぞれの地域の野鳥の情報が得られる。リンク先のマップが便利。

SNSアカウント

SNSで野鳥関係アカウントをフォローすると、何もしなくても可愛い野鳥の写真や動画、ニュースが流れて来るので、いつの間にか野鳥の知識が増えていく。

NABUのTwitter アカウント

NABUのInstagramアカウント

Nordrhein-Westfälische OrnithologengesellschaftのTwitterアカウント

DDA(Dachverband der landesweiten regionalen ornithologischen Verbände in Deutschland)のTwitter アカウント

Landesbund für Vogelschutz e.V. のTwitterアカウント

 

e-ラーニング

Naturguckerakademie

ドイツの野生動物について本格的に学べるNABUの無料eラーニングサイト。現在(2022年3月29日)、野鳥講座、脊椎動物講座、哺乳類講座の3つがアップされている。それぞれの講座の内容を終了すると終了証明書がメールで送られて来て、ウェビナーへの参加資格が得られる。(野鳥講座を受講しましたが、とても充実していました)

 

とりあえずはこんなところ。もっと見つけたら随時追加します。

 

 

 

新型コロナウイルスが猛威を振るっており、現在、移動や旅行が楽しめる状況ではない。こんな時期には他の人の書いた旅行記をじっくり読んで、また自由に旅ができるようになったときのためにアイディアを膨らませておくのもいいかもしれない。近頃はブログやSNSで手軽に情報収集できるようになって便利だが、書籍としてまとまったかたちで旅行記や滞在記を読むのもやっぱり良いものだ。

ドイツに住むようになってから、ドイツ人の書いた旅本も読むようになった。そして、ドイツで出版され、読まれている旅本は日本で目にするものとはちょっと趣向が違うということに気づいた。私が日本でよく読んでいたのは、旅先で異文化やその土地ならではのライフスタイルに触れるという内容のものが多かったが、ドイツの書店で目につく旅本は体を張った冒険記が多い。

そして、それらの冒険記のスケールの大きいこと!!

ドイツで生活していてしばしば感じることでもあるが、ドイツ人には(ドイツ人に限らないかもしれないが)体力のある人が多い。散歩が国民的余暇で、日頃からよく歩く。アスリートでもない人が「ちょっとサイクリング」と30〜40kmの距離を自転車で移動するのもザラである。日本のメディアではよく「欧州の人はバカンスではなにもせず、ただ海辺でのんびりするだけ」と紹介されたりするが、必ずしもそうではない。山登りだサイクリングだスキーだラフティングだヨットだ、、、etc.とアクティブ休暇を楽しむ人もとても多く、そのためのインフラも整っている。

だからドイツではちょっとやそっとの旅コンテンツでは書籍化されないのだろう。とうてい真似できないスケールの個性的な冒険記が多い。著者らの体力が自分とは違いすぎて、ただただ圧倒される。でも、そんな凄すぎる旅本を読むのが私は好き。人間っていろんなことができるんだなあ、自分ももっと、体力と能力の範囲でやりたいことに挑戦してもいいんだよね?という気持ちになれるから。

そんなわけで、私がこれまでに読んだドイツ語の冒険記の中から面白かったものをいくつか紹介しよう。

 

魅惑的な野生の世界へ引き込まれる冒険本

Gesa Neitzel著 “Frühstück mit Elefanten   als Rangerin in Afrika”

タイトルは日本語にすると「ゾウと朝食を。アフリカでサファリガイドになる」って感じかな。ベルリンでテレビ制作の仕事に就いて忙しい毎日を送っていた著者はある日、「生活を変えたい」と仕事を辞め、サファリガイドになるための訓練を受けるために南アフリカへ旅立った。快適なアパートを手放し、インターネットはおろか常に危険と隣り合わせのアフリカのサバンナで野宿しながらサバイバルスキルを獲得し、自然そして野生動物に関する知識を蓄積していく。サファリガイドになるまでの訓練はとてもハードだったが、著者にとって心から満ち足りていると感じられる時間だった。

私は野生動物を見るのが好きで、これまでにコスタリカやパナマ、スリランカなどで野生動物観察ツアーに参加した。それが本当に楽しかったので、とても面白く読んだ。自分が今からサファリガイドになるのは無理だけど、いつかアフリカでも野生動物を観察してみたい。

Gesa Neitzel氏のウェブサイトはこちら

いくつになっても冒険は可能。困難なんて気にしない

Heidi Hetzer著 “Ungebremst leben: Wie ich mit 77 Jahren die Freiheit suchte und einfach losfuhr”

「ブレーキを踏まず生きる 〜 77歳で自由を求め、走り出した私」というこの本、凄まじい。車屋の娘として育った著者は子どもの頃から車が大好きだった。「女の子が車の運転なんて」と言われた時代に車を乗り回し、車修理工の資格を取って家業を継ぎ、ベルリン最大のカーディーラー経営者となる。カーレースの常連でもあった著者は歳を重ねても衰え知らず。77歳のとき、家族が止めるのも聞かずに1930年代物のハドソンに乗って一人で世界一周ドライブの旅に出る。

 

80歳近い女性が一人で世界一周ドライブというだけで凄いけれど、読んでビックリなのは、道中、車が壊れっぱなしで、旅自体を楽しむ余裕がほとんどなく、まるで「世界一周、車修理の旅」になってしまったこと。それでもめげずに旅を続けるのだから精神力が半端ではない。しかも、著者は旅の途中で癌にかかってしまうのだ。急遽ドイツに一時帰国し、手術を受けるが、すぐにまた旅を続行。えええ!? 著者は旅を無事に終えた後、残念なことに昨年、他界されたが、「ブレーキを踏まず生きる」というタイトル通りの人生を送られたのだろうなあ。

 

なぜわざわざ?ということを敢えてやることに意義がある

Markus Maria Weber著 ”Coffee to go in Togo: Ein Fahrrad, 26 Länder und jede Menge Kaffee”

「トーゴでコーヒーをテイクアウト たっぷりコーヒーを飲みながら26カ国を自転車で走る」っていうこの本もクレイジー。コンサルタントとしてバリバリ働いていた著者はある朝、いつものようにテイクアウトのコーヒーを手に電車に乗る。今やドイツの都市ではコーヒーのテイクアウトは当たり前の風景になった。忙しい朝、ゆっくり座ってコーヒーを飲んではいられない。でも、テイクアウトが一般的になって、世の中ますます忙しくなったのでは?著者ふと考えた。このコーヒーってどこから来たんだっけ?もしかしてアフリカのトーゴかな?トーゴで飲むコーヒーはどんな味なんだろう?そして、何を血迷ったか、「トーゴにコーヒーを飲みに行く!」といきなり自転車に乗ってトーゴへと出発した。自転車になんて、ほとんど乗ったこともないのに。


ドイツから目的地トーゴまでの道のりは14037km、通過した国は27カ国。著者が道中で出会った人たちの中には、単身で自転車世界一周中の女性も登場する。世界は広く、世の中にはいろんな人がいるね。私に同じことができるとは到底思わないし、したいわけでもないのだけれど、自分の知っている世界はごくごく小さいのだなあと感じた。

著者のウェブサイトはこちら

 

「フリーランスでノマド」の走り?発信しながら世界一周

Meike Winnemuth著 “Das große Los: Wie ich bei Günter Jauch eine halbe Million gewann und einfach losfuhr”

「クイズミリオネアで50万ユーロ当てて、旅に出た」。タイトルの通り、クイズ番組「クイズ・ミリオネア」のドイツ版”Wer wird Millionär”で50万ユーロの賞金を獲得した著者がそのお金で1年間、世界旅行をする話。でも、そのコンセプトが面白い。1年間、1ヶ月づつ違う国で生活するというもの。

 

旅というよりも、異文化体験年という感じ。特別ハードなことをしたわけではないのだけれど、もともと職業ジャーナリストの著者はそれぞれの国から発信しながら旅をしたのである。仕事をしながら旅をしたので、結局、50万ユーロには手をつけずに済んだというオチ付き。まあ、今で言うところのノマドなんだけれど、2011年の話なので、当時はかなり斬新なアイディアに感じられ、とても面白く読んだ。著者はこの旅以外にも常に何かしら面白い独自プロジェクトをやっている人で、1年間毎日同じ服を着るチャレンジ(注 同じワンピースを2枚持っているので洗濯は普通にする)とか、庭付きの家を借りて1年間園芸に勤しむチャレンジとか、次から次へと新しいことをする。今度は何をするのかな?と注目してしまう。

著者のウェブサイトはこちら

 

現在進行形の放浪の旅をフォローする

Christine Thürmer 著 ”Wandern, Radeln, Paddeln”

「ハイキング、サイクリング、カヤック」と、タイトルはあまり面白くないけど、最近、ネット上で偶然、著者のことを知り、気になって読んでみた。著者は現在、「世界で最も長距離歩いた人」なんだそう。今も旅の途中なので記録は日々更新されるが、今日(2020年10月23日)時点で著者Thürmer氏が歩いた総距離は47000km。かつてはバリキャリだった著者は解雇をきっかけに「別の人生も歩んでみたい」とハイキングしながら生活することを決断した。一年の大半はテントを担いで移動している。でも、決して世捨て人になったわけではないと、彼女は言う。キャリア派だったときの生活も気に入っていたが、今の生活も気に入っている。全然違う2通りの生き方をしてもいいよね?というスタンスだそうだ。Thürmer氏の冒険記はすでに3冊出版されており、これはそのうちの2冊目。ヨーロッパを徒歩と自転車とカヌーで合計12000km移動した記録だ。徒歩だけでなく自転車やカヤックも使うのは、同じ体の動きばかりすることで体の特定の部位が摩耗するのを防ぐためだという。

 

私は歩くのも自転車を漕ぐのもカヤックも好きだけれど、遊びでちょろっとやるだけで本格的な移動手段としたことはない。でも、コロナで向こう数年は宿泊を伴う旅行計画を立てるのは難しそうだから、この際、アウトドア旅行にチャレンジしようかなと考え中で、参考のために読んでみた。野宿も慣れればそれなりに快適かな?と思うものの、トイレのことを考えるとさすがに厳しいかなと躊躇するものがある。でも、SNSで著者が投稿する風景写真を見て、自由っていいなと羨ましくも思う気持ちもある。

著者のウェブサイトはこちら

 

今回紹介した冒険記5冊のうち、4冊の著者は女性である。私も女性なので女性による冒険記を読むことが多いが、男性著者の冒険記はさらに数が多いので、いろいろ読んでまた紹介することにしよう。

 

野鳥観察をするようになって約1年、どうやらすっかり趣味として定着したようである。夏の間は葉っぱに隠れて鳥達の姿がよく見えず寂しかったが、これからの季節は視界を遮るものが少なく、バードウォッチングが楽しい季節だ。ブランデンブルク州には渡り鳥の休憩地がたくさんあり、私の家の近くでも冬の間は多くの渡り鳥を見ることができるのが嬉しい。でも、だんだん欲が出て来て、少し遠出をして野鳥が見たくなった。そこで、自然の好きな友人数名を誘い、ブランデンブルク州最大の野鳥の生息地として知られる自然保護区、ギュルパー湖(Gülper See)へ鳥を見に行って来た。

 

西ハーフェルラント自然公園(Naturpark Westhavelland)内に位置するこの自然保護区はドイツで最も古い自然保護区の一つで、その大きさは776ヘクタールにも及ぶ。ベルリン中心部からは北西に100km弱。最寄りの町、ラテノウで友人達をピックアップし、車でギュルパー湖に向かった。ブランデンブルク州自然保護基金(Naturschutzfonds Brandenburg)のネイチャーガイドさんによる無料の野鳥観察ツアーに申し込んであったのだ。

 

どんな鳥が見られるかな?ツルが来ているといいねと話しながら集合場所に向かう途中、運転していた夫が道路脇の畑に視線をやり、「見て!」と言う。

「あっ!ツル!」「いる!!」ツアー開始前にすでにツルを目にして興奮する私たち。

全部で何羽くらいいたかなあ。ブランデンブルクでクロヅルを目にすることは珍しくはないのだが、ここはとても数が多い。

鶴の飛ぶ姿は本当に優雅だね。

ひとしきりツルを楽しんだら、ギュルパー湖でのバードウォッチングツアーの時間になった。湖南岸の東側にある風車の下で集合し、ネイチャーガイドさんの説明を聞きながら、3時間ほどかけて南岸の堤防を歩く。ガイドさんらはギュルパー湖自然保護区の生態系とその保護活動について、たっぷりと説明してくださった。ギュルパー湖には年間を通じて多くの野鳥が訪れるが、秋から冬にかけては様々な種類のガチョウやカモ、カモメ、そしてツルの群れを楽しむことができる。

 

ギュルパー湖は車がないとアクセスが困難だという難点があるけれど、いざ湖に到着すれば視界を遮るものがほとんどなく、最高のバードウォッチングのロケーションだ。この写真は300mmの望遠レンズで撮ったもので、バードウォッチング用の双眼鏡があるとさらによく見える。友人はこのために50倍の双眼鏡を持参していたので、覗かせてもらったら最高だった。

 

突然、一羽が鳴き声を上げたと思ったら、ハイイロガンたちが一斉に空に舞い上がった。壮観!

 

ツアー最終地点の展望台に着き、眺めた景色の美しさは言葉で言い表しがたいものだった。湖の上に広がる空はパステルカラーのグラデーションに染まり、その中を隊列を組んで移動していくガチョウ達の鳴き声が響き渡っている。

暮れていく空をただただ眺め、時間が過ぎて行った。ついに日が落ちて、暗くなったので、懐中電灯で足元を照らしつつ、車のあるところまで戻る。気がついたらすっかりお腹が空いていた。

湖の近くにはレストランもカフェもないので、風車の下に設置されたテーブルに座って保温鍋に作って持参したスープを皆で飲むことにした。あたりには街灯もないので、テーブルの上部の梁に懐中電灯を引っ掛けて、その灯りだけで食事をする。いかにもアウトドア!という感じだ。長時間外を歩いて少し体が冷えていたので、あったかいスープを飲んで温まり、友人の手作りケーキを頬張りながら、「お天気に恵まれて本当に良かったね。ツルもガチョウも夕焼けも見られて、最高だねー」と言い合った。

 

しかし、感動はここでは終わらなかった。

 

ギュルパー湖は自然保護区であると同時に星空パークにも指定されている。ドイツ中で最も夜空が暗いとされるこの一帯は、西ハーフェルラント星空パーク(Sternenpark Westhavelland)として天体観測ファンの聖地なのである。定期的に天体観測イベントなども開催され、アストロ休暇を楽しむ人たちもいるらしい。この日は雲もなく、頭の上には無数の星が瞬いている。

もっとよく星を見ようと、懐中電灯を消して空を見上げた。

「うわあ、こんな凄い星空、初めて!」「天の川が見えるよ!」

暗闇の中、草むらに寝っ転がって、しばし無言で星空を眺める。その間もあたりにはガチョウ達の鳴き声が響いている。

 

(ご一緒した小松崎拓郎さんが撮影した写真)

 

この夜、私たちが満ち足りた気持ちで帰途についたのは言うまでもない。「何もない」としばしば形容されるブランデンブルク州だけど、本当はいろんなものがある。お金もかけず、こんなに豊かな体験ができるブランデンブルクはやっぱり素晴らしい。

 

小松崎さんもnoteで体験記をアップされていますので、是非あわせてお読みください。

滞独日記「ブランデンブルクは自然の宝庫。ギュルパー湖で渡り鳥達が大合唱する風景を鑑賞」

 

追記: ご一緒した佐藤ゆきさん(@yuki_sat)の記事がアップされました。こちらも是非お読みください。

満点の星空を眺める

 

 

その地方に特徴的な建材に興味がある。古い建物の多くにはその土地で採れる木や石が使われている。建材が町並みや村の風景を作り、地方ごとに異なる味わいを生み出しているのが魅力的だ。

ベルリンやその周辺のブランデンブルク州は大部分が平地で石切場がほとんどない。こちらの記事に書いたように、古い建物は氷河によって北欧から運搬されて来た野石を積んでものか、レンガ造りが多い。レンガの建物は古くは中世から建てられていたが、教会や修道院などに限られていた。一般的な建物にもレンガが普及したのは、技士フリードリヒ・エドゥアルト・ホフマン(Friedrich Eduard Hoffmann)が考案し、1859年に特許を取得したホフマン窯(Hoffmannscher Ringofen)によってレンガの大量生産が可能になってからである。(ホフマン窯については、過去にウェルダー市グリンドウで窯を見学した際にまとめたので、興味のある方は以下の記事をお読みください。)

レンガは粘土から作られる。ベルリン周辺(つまり現在のブランデンブルク州)には粘土の産地がたくさんある。その中で最も規模が大きかったのはベルリンの北にあるツェーデニク(Zehdenick)を中心とする地域だ。19世紀後半にベルリンに多くの労働者が流れ込み市内の人口が急増したとき、大急ぎで住宅を建設する必要があった。その際に建材として使われたレンガの多くがツェーデニク産だった。ドイツ再統一後、ツェーデニクではもうレンガの生産は行われていないが、かつての工場跡地がレンガのテーマパークになっている。そのパーク、Ziegeleipark Mildenbergにブランデンブルク探検仲間のローゼンさん(@PotsdamGermany)と一緒に見学に行って来た。

うちから車で行ったのだけど、道を間違ったり、ナビに変な道に誘導されたりして、えらい時間がかかってしまった。辛抱強いローゼンさんは道中、文句の一つも言わない。延々3時間の移動後、ようやく現地に到着。で、結果から言うと、レンガパークははるばる行った甲斐のある、大変見応えあるミュージアムだった。

入り口のすぐ横にいきなり立派なホフマン窯が立っている。このテーマパークはヨーロッパ産業遺産の道(European Route of Industrial Heritage, ERIH)のアンカーポイントの一つ。その広大な敷地には4基のホフマン窯の他、粘土の処理施設や粘土の運搬に使われたレール、東ドイツ時代の設備などが残っていて、近郊で採掘された粘土が搬入され、レンガとなって隣接する港から搬出されるまでの行程や近代化の歴史を知ることができるのだ。(敷地の地図はこちら

パーク内に見どころが点在していて、どこから見始めたらいいのかわからない。入場チケット料金に列車でパークを一周するガイドツアーが含まれているので、先に全体像を捉えてから個々の展示を見るとわかりやすいと思う。

可愛い列車でパーク内を周遊。ワクワクする
ホフマン窯の内部

グリンドウのレンガ工場で見たホフマン窯は円形だったが、このパーク内のホフマン窯は全て楕円形である。窯の仕組みについては上記の過去記事に書いたのでここでは割愛しよう。

ツェーデニクを中心とするハーフェル川沿いの土壌に粘土が豊富に含まれるのは、ブランデンブルクの地形が氷河地形であることと関係がある。最終氷期(ヴァイクセル氷期)が終わったとき、溶けた氷は川となって一帯を流れた。その際に堆積した細かい粒子が深さ12mにも及ぶ粘土の層を作った。1885年から1887年にかけてこの地方に鉄道が敷かれた際、豊富に埋蔵する粘土が偶然見つかった。折しもベルリンは建設ブームの最中で、大量の建材を必要としていた。1890年にツェーデニクのミルデンベルク地区に最初のレンガ工場が建てられ、それから周辺に雨後の筍のように次々とレンガ工場ができていった。最盛期にはこの地域は63基ものホフマン窯が稼働する欧州最大のレンガ生産拠点の一つに発展した。それから東ドイツ時代を経て1990年にドイツが再統一されるまでの間、ここではノンストップでレンガが焼かれ続けたのだ。

ハーフェル川沿いのかつての港

焼きあがったレンガは隣接する港から水運でベルリンへと運ばれた。最盛期には1日に30槽もの船がレンガを載せてベルリンに向け出港した。帰りは工場稼働のための燃料となる石炭がツェーデニクへ運ばれて来た。

レンガというと、赤レンガを真っ先に思い浮かべるよね?でも、ツェーデニクのレンガはあまり赤くない。黄色から肌色、もしくはピンクがかった淡い色合いのものが多いのだ。そして、土壌の性質上、ツェーデニク産の粘土はあまり上質とはいえず、建物の外壁に使うのには適していなかった。そのため、首都ベルリンでは市庁舎など見栄えが大切な建物にはより上質な他の産地のレンガがよく使われ、ツェーデニク産のものは主に労働者用のアパートなどに利用された。上から漆喰を塗って隠してしまえば質はさほど問題にならなかったから。

バケットチェーンエキスカベーター

水分をたっぷり含んだ粘土は重く、掘り出すのも運ぶのも形成するのも大変だ。初期のレンガ生産は大部分が手作業で、ものすごい重労働だったが、次第に上記の画像のエキスカベーターなどを含むいろいろな機械が発明され、近代化されていく。

現在は草ボウボウでやや廃墟化しているけど、1839年に建設されたStackbrandtレンガ工場は当時、欧州で最も近代的な設備を備えていた。それまでは春から秋までの季節労働だったレンガ生産を通年で行うことが可能となり、生産性が飛躍的に向上した。

蒸気機関
東ドイツ時代の工場設備

第二次世界大戦後はツェーデニク周辺のレンガ工場が一つにまとめられ、人民公社となってレンガ生産が継続された。このエポックに関する展示も面白かった。

穴の空いたレンガ。穴を開けることで少ない量の粘土で焼き上がりが早く丈夫なレンガを作ることができる

パーク内の建物それぞれに展示があって、情報量が多い!5時間ほど滞在したけれど、半分くらいしか見ることができなかった。ツェーデニクのレンガ生産が多くの季節労働者によって支えられ、彼らがこの地域の社会文化の形成に重要な役割を担っていたことや、強制労働が行われていた時代もあったことなど、社会史もとても興味深い。ツェーデニクという地名は普段ほとんど耳にしないが、首都ベルリンはツェーデニクのレンガによって作られたと言っても言い過ぎではないだろう。今は過疎地が多いブランデンブルク州は「田舎」「何もない」などと小馬鹿にされることが多いんだけど、ブランデンブルクのかつての産業地を巡っていると、ベルリンの発展がいかにブランデンブルクに支えられていたかを感じるのだ。そのような視点で見るとブランデンブルクは実に面白い。

レンガパークでは展示を見るだけでなく、レンガ作り体験もでき、広ーい敷地には子どもの遊び場や小さな動物園もある。パークのすぐ外側にキャンプ場も整備されているので家族連れで訪れるのにも良さそう。でも、この日は平日だったからか、訪問者はほとんどいなくて、ほぼローゼンさんと私の貸切状態だった。入園料わずか8ユーロでなんと贅沢なんでしょう。

TERRA.vitaには自然や地質学的な見どころが多いが、それだけではなく、歴史や考古学の重要スポットもある。TERRA.vita特集の最終回の今回は考古学スポット、カルクリーゼ(Kalkrise)のVarusschlachtミュージアムを紹介したい。

前回の記事で紹介したバークハウゼンの恐竜の足跡を見に行くために車を走らせていたとき、”Varusschlacht”と書かれた看板を見かけた。私はそれが何を意味するか知らず、そのままスルーしかけたが、夫が「へー、Varusschlachtの現場ってこの辺か〜」と呟いた。「何それ?」「ほら、ゲルマン部族が一致団結してローマ軍を倒した戦いの場だよ」「ん?それって、もしかしてトイトブルク森の戦いってやつ?」「そうそう、それ!」「あれっ?でも、トイトブルクの森って、ここよりももうちょっと南じゃなかったっけ?」「それがね、戦いの現場がどこだったのか長いことわかってなくて、トイトブルクの森のデトモルトのあたりとされていたけど、わりと最近、その現場らしい場所が見つかって、トイトブルクの森とはちょっと離れていたらしいよ」

へー、そうなんだ。なんかよくわかんないけど、せっかく通りかかったから行ってみる?

Varusschlacht(日本語では「ウァールスの戦い」や「ウァルスの戦い」と表記されるようだ)の現場とされる場所は、オスナブリュックの北17kmほどに位置するブラームシェ(Bramsche)という町の一部、カルクリーゼ(Kalkrise)にある。看板を見ながら行くと、ミュージアムがあった。

 

 

 

「ウァルスの戦い」の背景を先にざっくりまとめておこう。

「ゲルマン人」という概念は2世紀にケルト人による記述によって初めて歴史に登場し、その後、古代ローマ人が使うようになり定着した。しかし実際には、ゲルマン諸部族は部族ごとに分かれて生活し、それぞれの部族名のみで自らを認識していた。当の本人達は「オレたちゲルマン人!」というような統一的なアイデンティティは持っていなかったのだ。それどころか、部族同士でたびたび衝突していたほどで、一致団結して非ゲルマン系の民族と戦うという発想は希薄であった。古代ローマ帝国はそんなゲルマン諸部族の住む地域、つまり彼らが勝手に「ゲルマニア」と呼ぶ地域を支配下に置こうと、紀元7年、プブリウス・クィンクティリウス・ウァルスをゲルマニア総督として派遣する。ゲルマニアにやって来たこのウァルス総督はわりあいと穏健派で、力づくでゲルマン諸部族を征服しようとはせず、かれらをうまく手懐けているかのようだった。特にケルスキ族の長とは親交が深く、共に食事をし酒を酌み交わすことすらあった。というのも、ケルスキ族の長の息子アルミニウスは、幼少期にローマに人質に取られ、ローマ式の教育を受けて帰って来た青年だった。帰国子女(?)なのでラテン語もペラペラで役に立つ。しかし、そんな一見、平和的な空気の裏で自由を愛するゲルマン諸部族は「ローマ人にコントロールされたくない!」「貢ぎ物ばかりさせられて、たまったもんじゃない」と不満を募らせていた。

ウァルス総督に信頼を寄せられていたアルミニウスだったが、頭はローマ人でも心はやっぱりゲルマン人であった。密かにゲルマン諸部族をまとめ、ローマ軍打倒計画を企ていたのだ。そして、紀元9年、アルミニウス率いるゲルマン軍は森の中でローマ軍を待ち伏せ攻撃し、ほぼ全滅させるという大勝利を収める。裏切られて敗北し、ショックを受けたウァルス総督は自害した。これが「ウァルスの戦い(Varusschlacht)」だ。ローマの歴史家タキトゥスはかの有名な著作「ゲルマニア」の中でこの戦いについて記述した。でも、その具体的な場所は書かなかったので、戦いの場所がどこだったのか、はっきりしたことは長いことわからなかった。きっとここだろうという候補地がなんと700箇所くらい上がっていたらしい。1987年、英国人のアマチュア考古学者がカルクリーゼで古代ローマの銀貨と武器を発見。それをきっかけにカルクリーゼにおける考古学発掘プロジェクトが開始した。

それでは博物館を見ていこう。

博物館の展示はローマ人とゲルマン人の社会や文化の違いの説明から始まっている。ローマ社会は周知の通り、ヒエラルキーが明確である。それに対し、

ゲルマン人は部族ごとに暮らし、統一的な王や皇帝はいない。部族によっては貴族階級的な集団がいたり、明確なリーダーがいる場合もあったが、多くの部族については詳しいことはわかっていないらしい。タキトゥスによると、ゲルマン部族にはお役人は存在せず、何かあれば新月の夜にディング(Thing)と呼ばれる会議を開いてみんなでどうするかを決めていたそうだ。でも、ゲルマン人に関して残っている当時の記述はほぼすべてローマ人目線のものなので、本当に書かれている通りだったのかはわからない。

ゲルマン人はローマ人のように整備された都市を作らず、小さな集落を作って暮らしていた。画像のような長屋を人間と家畜のスペースに区切って、一つ屋根の下で生活するのが一般的だった。

このように立派なローマ兵士の武装具と比べ、

ゲルマン戦士の装具はミニマル。ゲルマン人は組織化された軍隊を持たず、戦いへの参加は各自の自由意志に委ねていた。

 

カルクリーゼでは17世紀から、しばしばローマの金貨が見つかっていた。1885年に歴史家 Theodor Mommsenの依頼を受けた鑑定家 Julius Menadierが、それらの金貨はウァルスの戦いの際に兵士らが失ったものであると結論づけたが、そのときには兵器は発見されず、決定的な証拠にはならなかった。1987年にTony Clunnが大量の銀貨を発見したことで、ここがウァルスの戦いの現場であった可能性が急激に高まったのである。

また、その翌年にはローマの鉛弾とみられる小さな楕円形の物体が発見される。

そして、1990年、カルクリーゼの森に幅およそ15m、高さおよそ40cmの土塁の跡が見つかった。

その後の発掘調査で出てきたものの中で特に注目を浴びたのが、このローマ騎兵の鉄のマスクである。また、動物の骨も多く見つかり、その中にラバの骨も混じっていた。ラバは雄のロバと雌の馬を交雑種である。ゲルマン人はロバを飼っていなかったので、ラバが生まれたはずはなく、ローマ人が連れて来たと考えられる。

このように、カルクリーゼでローマ軍とゲルマン軍が衝突した証拠がいろいろ出て来たことはわかったけど、組織化された軍隊の優れた装具と武器を身につけたローマ兵士達がそれとは比べ物にならないほど原始的なゲルマン軍にあっさりと破れたのはどうしてだろう?

それは、カルクリーゼの地形にあった。カルクリーゼの周辺一帯は沼地で、地盤が柔らかく歩くのがめっちゃ大変。しかも、アルミニウスがローマ軍をおびき寄せた日は嵐で視界も悪かった。ゲルマン軍は小高い砂地の丘の縁に土塁を築き、その後ろに隠れて上から一斉に槍を投げてローマの兵士らを次々と倒したのだった。戦いは3日間続き、2万人もの犠牲者を出した。

一通り展示を見た後、ガイドさんについてフィールドを歩く。背後に見える森はゲルマン軍が隠れていたとされる場所。手前の四角い石はローマ軍が行進した道を示している。

この土塁の後ろにゲルマン軍が

 

ところで、アルミニウスという名前はゲルマン系の名前ではない。彼はローマに人質に取られていたためアルミニウスというローマ名を与えられたが、もともとはなんという名前だったのか、誰も知らない。ドイツの歴史において、アルミニウスに対する評価は時代とともに変化した。ドイツ民族の誇りとして英雄視された時期もある。その際に、ドイツ人の英雄の名前がローマ名ってどうなのよ、ということで、ヘルマン(Hermann「戦士」の意味)と呼ばれるようになった(現在はまたアルミニウスという呼び方が一般的)。普仏戦争後のドイツのナショナリズムの高まりの中では不屈のシンボルとして特に崇められ、1875年には当時、ウァルスの戦いの現場と推測されていたデトモルト(Detmold)に高さ54mに及ぶヘルマン像が建てられている。

 

カルクリーゼの発掘調査は今も続行中だ。この日は休日だったので、考古学者らもお休みで、現場は防水シートで覆われていた。ガイドさんが「最近、またすごいものが見つかったんですよ。9月25日にプレスリリースがあるので期待してくださいね」と言っていたので楽しみにしていた。

昨日発表されたプレスリリースによると、2018年に出土された大きな金属の物体を分析したところ、ローマ兵の鎧であることが判明したそうだ。ほぼ完全に保存されており、しかも、それを身につけていた兵士は手錠で両手を首のあたりに固定されていたこともわかった。これについてもまとめると長くなり過ぎるので、またの機会にしよう。興味のある方はこちら(英語ページもあり)を参照してください。前述のようにこのあたりの土壌は水分が多いので発掘調査はかなり大変らしい。まだまだ多くのものが埋まっていると推測されるそうで、今後の進展が楽しみだ。

これにてUNESCOグローバルジオパークTERRA.vitaの3つのスポット紹介を終わります。ジオパークには他にもたくさんの見どころがあるので、また行きたいな。