(この記事は以前、他の場所で公開していた2019年6月のパナマ旅行記をリライトしたものです。)

パナマは自然がとても豊かだ。熱帯雨林、雲霧林、マングローブの林やサンゴ礁に様々な野生動物を見ることができる。でも、そんなパナマも環境破壊の問題を抱えている。観光客の私たちに特に目につきやすいのはゴミの多さだ。あちこちにゴミがポイ捨てされていて残念だ。

もちろん、ゴミ問題はパナマに限ったことではない。特に海に流れ込むプラスチックごみは増加する一方で、2050年には海にいる魚の量を上回ると予測されている。そんな中、私たちの滞在しているコロン島にプラスチックごみ問題に対するユニークなプロジェクトがあることを知った。それはペットボトルでできた村、Plastic Bottle Village。なにやら面白そうだ。見学に行ってみることにしよう。

ここが噂のPlastic Bottle Villageだ。メタルフレームでできた塀の中に使用済みのペットボトルがぎっしり詰まっている。

門が開いていたので入ってみた。四方の壁がペットボトルでできた建物があった。中を覗いていると、一人の男性が現れた。

ビレッジのオーナー、Robert Bezeauさんだ。「私のビレッジについて知りたいかい?」。オーナーから直接お話を聞けるなんてラッキーだ。コンセプトを説明して頂いた。

カナダ人のRobertさんは10年前にコロン島へ移住して来た。コロン島に住むことにしたのはここが気に入ったからだが、せっかくの自然豊かな素晴らしい場所なのにゴミが多いことが気になっていた。そこで、Robertさんは捨てられたペットボトルを拾い始めた。拾ったペットボトルはあっという間に山となる。拾っても拾っても追いつかない。このゴミをどうしようか、、、。考えて思いついたのが、ペットボトルでできた村、Plastic Bottle Villageだった。

「わたしが子どもの頃にはペットボトルなんてものは存在しなかった。40年前だよ、ペットボトルがこの世に登場したのは。それが世界をすっかり変えてしまったんだ。プラスチックは地球を汚染し続けている。これから生きていく子ども達がかわいそうだと思わないかい?私たちはみな、無思慮にプラスチックを消費することで環境を破壊するという犯罪を犯しているんだ。私も、あなたたちもだ!犯罪者は罪を償わなきゃ。このビレッジは罪を犯した者を収監する刑務所なのだよ

ギロチンの刑に処された我が娘

Robertさんはプラスチックごみの問題について人々に考えてもらうためにコロン島のこの場所に刑務所風のリゾートを建設することにしたのだ。主に若者向けに低料金の宿泊施設を提供する。

まだ完成前(2019年6月時点)なので雑然としているが、これが刑務所風宿泊所。

鉄格子がはまっているような内装デザイン。

すでに宿泊している人がいた。収監者はここで犯した罪を反省し悔い改めると、出所の際にお勤めを果たしたという証明書を発行してもらえる。

もちろん刑務所云々というのはあくまでジョークで、リゾートで寛ぎながら宿泊者同士が環境についてインスパイアし合うというのがRobertさんのコンセプトなので、こんな広いプールもある。現在、プール横にバーを建設中で、敷地内に軽食コーナーも設ける予定だそう。

ビレッジには城もある。中に案内してもらった。

イベントスペースもある。

ビレッジの敷地はかなり広く、宿泊するだけでなく区画を購入してマイホームを建設することもできる。1区画は800平米、購入価格は19,000米ドルから。周囲はジャングルで野生のサルも生息している。1km先は海岸、ボートの停泊場もあるというから贅沢な環境だ。

土地を購入すると、Robertさんがペットボトルを利用した家の建て方を教えてくれる。コロン島のあるボカス・デル・トーロ県は雨がとても多く、湿度が高いのだけれど、基礎にペットボトルを使えば地面から湿気が上がって来るのを防ぐことができるそうだ。また、ペットボトルでできた壁はボトルの中の空気が断熱材となるので涼しい。島に溢れるペットボトルごみを減らしつつ、少ないお金で快適な家を作ることができるという。

Robertさんは子どもたちへの啓蒙活動にも熱心で、定期的に小中学校のクラスを招き、私たちが日常的に使用するプラスチックがいかに海の生態系を破壊しているかをこのような絵を使って説明しているそうだ。また、ペットボトルのリサイクルを普及させるため、ボトルに貼るステッカーも考案した。

子どもたちがこのフットプリントデザインのスティッカーが貼られたペットボトルごみを拾い集めると、1本につき5セントがもらえる。といっても現金ではなく、拾い集めた金額に応じて食べ物または文房具と交換してもらえる仕組みだ。

さらにRobertさんは丈夫で再利用可能なボトルを試作したと言って見せてくれた。

レゴブロックのように組むことができ、縦横に繋いで他の用途に使うこともできる。「災害時には被災地に大量の飲料水が支援物資として運ばれるよね。衛生的な飲料水の供給は不可欠だけど、それで被災地にゴミが増えるのでは意味がない。繰り返し使えて他の用途にも使える容器があったらいいと思うんだ」

Robertさんは工事を急ぎ、9月にはPlastic Bottle Villageをオープンさせたいと言っていた。完成を見ることができなくて残念だけれど、素敵なビレッジが出来上がると良いな。成功を祈ります!

(2022年追記: ビレッジはすでに運用開始しており、BBCを初め、多くのメディアで取り上げられている。詳しくはこちらを )

 

 

 

(この記事は以前、他の場所で公開していた2019年6月のパナマ旅行記をリライトしたものです。)

コロン島のボカス・デル・トーロは観光地なので、レストランがたくさんある。ただ、ボケテ高原でもそうだったのだが、大部分の観光客や外国人移住者が欧米人のため、レストランのメニューは洋食がメインで、メニューにローカルな料理はほとんど見当たらない。せいぜいセビーチェという魚介類のマリネや料理の付け合わせにキャッサバや調理用バナナのフライがあるくらい。屋台や簡易食堂ならば地元の人が食べているものが食べられるけれど、たいていは軽食で、あるものはどの店も同じような感じだ。欧米人観光客は自分たちの食べ慣れたものが食べたいようだが、私はパナマに来てまで洋食が食べたいわけでもないので、ちょっと残念である。

でも、意外なことにボカスタウンにはなんと日本食レストランがあった。

その名も「oh-toro」。Rahmen & Sushiと書いてあるではないか!

都会でもなく、日本人はほとんど誰も来そうにもないコロン島にラーメンの食べられる店があるということに驚いてしまった。魚介類の豊富な島だからSushiの店があってもまあ、不思議はないかもしれないけど、ラーメンだよ?

どうも気になって店内に入り、メニューを見せてもらった。

きっと日本のラーメンとは似ても似つかない料理を出すのだろうと想像したのだが、写真を見ると、案外普通の感じ。ますます気になる。これは一つ、試してみようか。私たちはここで食事をすることにした。

ドリンクメニューを見ると、JETROカクテルなるものがあって笑った。どういうこと?

料理はスシ、ラーメンだけでなく揚げ物から弁当まで幅広い。いろいろ注文してみた。

餃子。中は豚肉で普通に餃子。甘酢ソースがかかっているのがちょっと残念だけど、悪くない。

ゲソ揚げとたこ焼き。ゲソ揚げは日本のゲソ揚げとは少々異なる。日本のは衣が薄くてイカがジューシーな記憶があるけれど、ここのはもっと衣がカリカリとしている。でも、これはこれで美味しい。チリマヨネーズをつけて食べるのもなかなか良い。たこ焼きは焼いてあるというよりも軽く揚げてあり、表面がカリッとしている。これも普通に美味しい。

メインには味噌ラーメンを頼んだ。具の配置がやや微妙だ。麺を食べてみる。普通にラーメンだ。激ウマというほどではないけど違和感はない。スープも美味しい。チャーシューもちゃんとチャーシュー。このラーメン、はっきり言ってドイツのほとんどのラーメン屋のラーメンより美味しいよ。(注:  これを記した2019年時点での感想です。その後、ドイツではラーメンのクオリティが上がり、今では美味しいお店が多くなりました

夫はHagana Black Garlic Rahmenを頼んだ。しかし、、、「麺が白い。これ、ラーメンの麺じゃないよ」。味見させてもらうと、麺はソーメンであった。でも、だからといって不味いわけではなく、こういうソーメンもあると言われれば納得するかも。スープの味も悪くなかった。

娘は鮭の照り焼き弁当を注文。鮭の切り身が大きい!照り焼きソースはちょい甘すぎに感じたけれど、まあ許容範囲。ご飯の味は、、、おしい!日本のご飯の味を目指したことは伝わった。照り焼きの他のおかずは春巻きとサラダ、デザートは果物と餡入りの揚げゴマ団子。

カリブ海の島でこのレベルの日本食が食べられるとは想像していなかった。びっくり。先進国基準ではそれほど高い店ではないが、物価からして島の人たちがこのレストランで食事をするとはほとんど思えないので、観光客をターゲットにしているのは明らか。

oh-toroという店名はボカス・デル・トーロのトーロにかけたのかな?と一瞬思ったけれど、後から調べたらチェーン店のようなので名前の由来はわからない。

 

 

 

(この記事は以前、他の場所で公開していた2019年6月のパナマ旅行記をリライトしたものです。)

前回の記事で凄まじい雷雨におののいた夜について書いたが、その次の夜も全く同じ状況だった。最初の夜はビビりつつも、「こんな体験、滅多にできない」とどこかで面白がっていたのだが、二晩連続となると「もしかして、毎晩こうなの!?」と先行き不安になる。幸い、その次の夜は静かでホッとしたものの、その分、朝方にホエザルが絶唱してくれた。またもや睡眠不足。

そしてその次の夜はこうだ。夜中にふと目がさめると、小屋がユサユサと左右に揺れている。寝ぼけていて何が起こっているのかわからない。「あれ?なんで揺れてる?サルが木を揺すってるのか?」とありえない考えが頭に浮かんだ。向こうのベッドで寝ている夫がつぶやいた。「ジシン」。はっ、そうか。これは地震か。地震の滅多にないドイツに長年住んで感覚を忘れてしまっていた。高いところにあるウッドハウスだから揺れを余計に強く感じたのかもしれないが、後から思うと体感震度は3と4の間くらい、結構長いこと揺れていたように思う。

そんでもってその次の夜。夕食から戻りドアを開けた瞬間、何かがサッと室内を飛ぶのが見えた。「あれ?何か虫がいるよ」。夫が叫ぶ。「虫じゃない、コウモリだよ!」どうやって入って来たのだろうか、私たちのいない間にコウモリが部屋に侵入していた。「網戸を開けろ!」「でも、開けると虫が入ってくるよ」「コウモリと寝るよりもマシだ!」しかたない、ドアを全開にし、網戸を開けた。幸い、コウモリはすぐに出て行ったが、案の定、蚊が入って来てしまい、刺されて痒くてまた夜中に起きてしまう。ああ、自然の中でぐっすり眠ることの難しさよ!

前置きが長くなったが、雨季のコロン島、夜はいろいろあっても昼間は晴れていることが多く、いろんなアクティビティを楽しむことができる。とても気に入ったのは5つのスポットを回るアイランドホッピングツアーだ。これがなかなか盛りだくさんな内容である。

ピンボケ失礼

ボカスタウンの港から出発し、まずはイルカ湾でイルカを観察する。

2つ目のスポットは無人島Cayo Zapatillaのビーチ。ここでは2時間ほど滞在し、ゆっくりとビーチを楽しむ。20人ほどのツアー客はほとんどが外国人観光客だったが、その中に若い男の二人組がいた。島についてボートを降りると、この二人組は娘に寄って来た。「俺たちと一緒に泳がない?」。保護者がついているというのに、そう誘って来るではないか。

「そうしよっかな」と娘が呟く。はい、どうぞどうぞお好きなように。早速、娘は二人組の男たちと連れ立って歩き出した。私と夫は若者の邪魔をしないように別の場所を探すことにする。夫が「もっとあっちに行こう」とどんどん歩いていくので、ボートからは随分離れてしまった。誰もいないところで荷物を下ろす。

それにしても美しいビーチである。水温もちょうどよく、最高だ。

ひとしきり泳いでふと見ると、夫は波打ち際でラッコのような体勢になって何やら手を忙しく動かしている。「何してるの?」「きれいなサンゴを探してるんだ。ハイ、これあげる」。

いろんな形のサンゴのかけら。ハート形のやブレーツェルのようなのものも。中年夫婦が海ではしゃいでいるところなど誰も見たくもないだろうが、本人たちはなかなか楽しいのであった。そういえば子どもの頃、大人とは「遊ばない人たち」のことだと思っていた。子どもは遊ぶ存在だが、大人になると遊ぶのをやめて分別のあることだけを言ったりしたりするようになる。そう思っていたものだ。でも、自分が大人になってみると、その認識は正しくなかったことがわかった。いくつになっても遊ぶのは楽しい。

さて、ボートに置いていかれては困るから、そろそろ戻ろうか。もと来た道を戻り始めると、娘が男たちと陸に向かって歩いていくのが見えた。あれ?いつの間にか男が一人増えている。3人目の若い男はひょろひょろした痩せ型の男であることが遠目に見て取れた。彼らは何をしに密林へ入って行くのか?

先にボートへ行って待っていると、まもなく娘たちもやって来た。二人組の男たちはボートに乗り込んだが、痩せた男は乗る気配を見せない。娘は男に別れのハグをし、男はやや悲しそうな目で「良い旅を!」と娘に手を振る。どういうことなんだろう?ボートが岸を離れたとき、娘は言った。「彼はね、スペイン人で、今、この島に住んでいるの」。「え?でもここ無人島でしょう?」「そう。彼はこの島でボランティアとしてウミガメの保護の仕事をしているんだよ。ウミガメの産卵を観察して記録するんだって。他にもう二人、ボランティアがいて、三交代でモニタリングしているんだ。寝泊まりしている小屋を見せてくれたんだよ。食べ物は1週間に一度、コロン島から運ばれて来るものだけ。スマホはあるけど、電波が届く場所は1本の木の下だけ。それもいつも繋がるわけではなくて、だから繋がった瞬間にスペインにいる家族に、生きてるよ!とだけ言ってそれでおしまいだって。私がクラッカーを一袋あげたら、泣きそうになって喜んでいたよ」。へええ。

「でも、なぜそんな条件でボランティアを?いつからやってるの?」「2ヶ月前から。生物学を勉強していて、ウミガメについて研究しているんだって。島には2種類のウミガメがいるみたい。いろいろ教えてもらったよ」。過酷そうだが、意義あることをしているんだなあ。そんな青年に出会い、娘は大いに感銘を受けたようであった。私はといえば、このときには「へえ、そういう活動もあるんだな」と思っただけだったが、頭のどこかに引っかかったようで、後にドイツで野生動物のモニタリングに関わることになる。人生、何がきっかけになるか、わからないものだ。

船は島を離れ、その後はスノーケルスポットでスノーケリングしたり、ヒトデが浜でヒトデを観察(コロン島のヒトデが浜とは別のヒトデスポットで、こちらの方がたくさんヒトデがいる)したりして、ツアーは終了。一人25ドルで6時間半。盛りだくさんで良いツアーだった。

 

 

(この記事は以前、他の場所で公開していた2019年6月のパナマ旅行記をリライトしたものです。)

カリブ海に浮かぶ島。開放的な高床式のウッドハウスで自然に包まれて眠る。なんて贅沢!と喜んでいたのはコロン島へやって来て最初の夜だけだった。昼間はアドベンチャー三昧、夜はクタクタに疲れてベットに倒れ、子どものように眠る、、、、はずが、2日目の夜は予想外の展開になったのである。

あまりに開放的なつくり

夜半から雨が降り出し、どんどん激しくなった。外壁のない網戸だけのウッドハウス、雨音がもの凄い。幸い、網戸がはまっているし、横殴りの雨ではないので濡れはしない。でも、窓際のソファーに寝ている私は安眠できそうにもない。やがて雨は雷雨に変わった。

この雷のすごいのなんのって。一晩にいったいどれくらいの稲妻が走っただろう。とにかくひっきりなしである。ベッドの横は全面窓であるから、「大スクリーンでオールナイト光のショー」状態だ。また、雷の音も途方もないボリュームである。ドーン!バーン!ドカーン!ズドーン!その度にびっくりしてまるで自分が打たれたかのようにえび反りになる私。到底、眠れるわけがない。10年ほど前から耳の持病があって、大きな音は耳に負担になるから避けなければならないのだが、そんなことを考えている余裕すらない強烈体験であった。ほとんど眠れない夜を過ごしヘトヘトになりかけた朝方、ようやく雨は止み、鳥たちがさえずり始めるのを聞きながら眠りに落ちた。後に知ったことには。コロン島は雷が多いので有名だそうだ。

目が覚めると、すっかり前は上がっている。青空だ!よかった、外に出られる。私たちはすぐそばのビーチ、Playa Blaffへ行くことにした。しかし、海岸へ行ってみると海は波が高く、泳げそうもない。見ると「離岸流に注意」と立て看板がある。うーん、、、、。

家族で顔を見合わせていると、サーファー風の白人男性が通りかかったので、「ここって泳いだら危ないですかね?」と聞いてみる。男性は言った。「ここでね、毎年一人二人、旅行者が死んでるよ。いつも今の季節。こないだもドイツ人が死んだ。離岸流で流されるっていうより、波で頭を海底に叩きつけられるんだ。現地のやつらは言わないけどね。だって、ただでさえ客の少ないシーズンオフだろ、ますます旅行者が減ったら困るもんね。オレもこないだ危なかったんだよ。サーファーだから海には慣れてるけどさ。それでもやばかったから、あんたらここで泳ぐのはやめときなよ」

死にたくはないので忠告に従うことにしよう。でも、コロン島のビーチはどこもそうなのか?と一瞬不安になる。しかし、島の北にあるPlaya Boca del Dragoなら安心して泳げるというので、行ってみることにした。

道路は大雨で土砂崩れを起こしているところがあり、気をつけながら進む。雨季をちょっと甘く見ていたかなあ。

Playa Boca del Drago。こちらは静かな良いビーチだった。

ハンモックやブランコが設置されていて、ハイシーズンにはきっと賑わうのだろうな。この日は誰もいなくて、貸切り状態だった。寛ぐ娘。

ペリカンが飛んでいた。カッショクペリカンかな。

このPlaya Boca del Dragoから少し南下したところにはヒトデが浜(Playa Estrella)というビーチもある。ボートタクシーで送迎してもらうこともできるけれど、2kmくらいなので海岸沿いを歩いてみよう。

マングローブの林に沿って歩く。カニがたくさんいた。

Playa Estrellaは魚がたくさん泳いでいる遠浅のとても綺麗なビーチだ。湾なので波もなく、泳ぐのに最適。でも、ヒトデが浜といいながら、ヒトデがうじゃうじゃといるわけではなかった。探せばいるという程度。季節にもよるのかもしれない。

コロン島に気に入ったビーチを見つけ、まずは満足。

(この記事は以前、他の場所で公開していた2019年6月のパナマ旅行記をリライトしたものです。)

滞在している場所からそう遠くないところにコウモリの棲む洞窟があることがわかったので、行ってみた。

コロン島は長さ13.6km、幅7.2kmの小さな島だけれど、道路が穴だらけで穴をよけながら運転しなければならない。また、コロン島に限ったことではないものの、犬がとても多く、必ずしも野良犬ではないが基本的に放し飼いになっていて路上をたくさんの犬が歩いている。そんなわけで、ちょっと移動するにも結構時間がかかる。

洞窟の看板があった。自然保護のために一人1ドルの入場料を払ってくださいと書いてあるが、受付は見当たらない。道路を挟んで向かいの民家からおばさんが出て来て、「洞窟?一人1ドルね」と言うのでお金を払った。「懐中電灯、ある?なければ貸すけど」「持って来ました」「中に入ってぐるっと回ると出口があるからね」。

洞窟は鍾乳洞で、下には水が流れている。

中から外を見るとこんな感じ。最初は岩づたいに進もうとしたが、ぬるぬるしていてとても滑りやすく、危険だ。諦めて水の中を歩くことにした。靴が濡れてしまうがしょうがない。でも、水は綺麗で不快さはなかった。

洞窟に入って数メートルのところで立ち止まり、頭上を見ると、

いるいる!小さめの黒いコウモリだ。

コウモリは窪んだ場所に集まっているようだ。この写真は現像の際に明るくしたので、肉眼ではこんなにはっきりは見えない。黒い塊があるなというくらいである。

野生のコウモリは何度も見たことがあるが、洞窟の中で見たのはこれが初めて。私たちの住むドイツにもコウモリがたくさん生息していて、南ドイツのカルスト地形の洞窟など、コウモリの寝ぐらになっている場所が少なくないが、コウモリの冬眠を邪魔しないように冬眠の時期には洞窟が立ち入り禁止になることが多い。コロン島のこの洞窟は年中入れるようで、熱帯だからコウモリは冬眠をしないのだろうか?ときどきコウモリがバサバサバサと飛んで、顔の横をかすめていく。寝ているところを私たちが起こしてしまったかな。

洞窟の中は蛇行しているが全長は100メートルちょっとだろうか。入り口と出口のあるトンネルのような洞窟だった。出口の少し手前に来ると、おびただしい数のコウモリがぶら下がっていた!

これはすごい、、、、。野生のコウモリを間近で数匹見られるだけでも十分だと思っていたので、ここまでの数は期待していなかった。

あとで調べたところによると、コロン島には13種ほどのコウモリが生息している。ところで、コウモリは狂犬病ウィルスに感染している場合があるので注意が必要だ。自然の中を歩くことが好きな私は破傷風などのワクチン接種を定期的に受けていて、初めての国へ行く際には、追加で受けるべきワクチンがないか確認している。

洞窟の周辺には動物に齧られた植物の実がたくさんあった。何の植物かわからないけど、食べかすが洞窟の中にたくさん落ちていたので、きっとコウモリが洞窟に入る前に食べたのだろう。

ミステリアスな洞窟を通り抜ける体験は面白かった。しかし、マジカルなパナマの自然体験はこの後もまだまだ続くのである。

 

 

(この記事は以前、他の場所で公開していた2019年6月のパナマ旅行記をリライトしたものです。)

コロン島に来るにあたってとても楽しみにしていることがあった。それは森の中のツリーハウス風の小屋に宿泊すること。旅行計画を立てているときに偶然ネットで見つけ、良さそうだったので予約しておいた。コロン島の宿は港のあるボカスタウンに集中しているが、私たちが滞在するのはタウンから少し離れたブラフビーチ付近にある。

壁のない開放的な造りで窓にはガラスもなく、網戸だけなので自然をダイレクトに感じることができそうだ。

ドイツでは聞いたことのない種類の鳥たちがさえずり、虫が鳴いている。海が近いので、潮騒も聞こえる。静寂とはとても言えない賑やかな環境だ。でも、自然の音に包まれながら眠り、朝はホエザルの吠え声で目が覚めた。気分は最高。

高い場所なので鳥たちが飛び回る様子がよく見える。キッチンから尾の黄色い大きな鳥が数羽、忙しそうに何かをしているのが見えた。「見ろ、紐みたいなのを引っ張ってるよ!」と夫が興奮して叫ぶ。

網戸越しなので画像が不鮮明だけれど、黒い大きめの鳥が植物の繊維を引っ張り出して、その繊維で何かを編んでいるようなのだ。ツリーハウスだからいきものが観察できるかな?と期待はしていたが、初っ端からこのようなものを間近に見られるとは。

何の鳥だろう?生き物の種類を特定できるように家から中米用フィールドガイドを持参していた。それによると、どうやらmontezuma oropendoraという鳥だとわかった。日本語名は「オオツリスドリ」。植物の繊維で袋を編んで巣にするらしい。残念ながら葉っぱが邪魔して巣がよく見えない。ネット検索したら、ナショナルジオグラフィックに連載記事を書いていらっしゃる昆虫研究者、西田賢司さんのオオツリスドリに関する記事に巣の画像が載っている。編んだ袋は枝にぶら下げてヒナを入れておくようだ。私なんて、手が2つ指が10本あっても編み物は得意じゃないのに、クチバシだけで編むなんてオオツリスドリは器用だなあ。

他にもいろんな鳥が飛んでいる。「ティリッタラ、ティリッタラ、ティリッタラ」と可愛い声でリズミカルに歌い続ける鳥もいる。何の鳥だかわからないけど、すごく気になる。(残念ながら、最後までその鳥の名はわからなかった)

ツリーハウスから鳥を観察したり、外に出て周辺の植物や虫を眺めるだけでもかなり楽しくてそれだけでも私は満足だ。

でも、家族がじっとしているのは退屈だ、何かしようとうるさい。近くにコウモリの洞窟があるというので行って見ることにする。それについては次の記事で。

 

 

(この記事は以前、他の場所で公開していた2019年6月のパナマ旅行記をリライトしたものです。)

ボケテ高原に1週間滞在し、ハイキングしたり、温泉に入ったり、動物保護施設を見学したり、ジップラインを楽しんだりした後、私たちはカリブ海の島、コロン島へ移動することにした。

コロン島はパナマ北西部のボカス・デル・トーロ県に属する島である。同県には大小の島があって、コロン島はメインの島なので飛行場もあるが、私たちはレンタカーを借りているのでパナマ本土からカーフェリーを利用しなければならない。フェリーはアルミランテ(Almirante)という小さな町から出ている。ボケテからアルミランテまでは地図で見ると直線距離ではそう離れていない。でも、山道なのでどのくらいの時間がかかるのか、よくわからなかった。ボケテの人に聞くと、4時間ほどらしい。フェリーの運行は朝の7時または正午の一日2回。しかも、乗れる台数が少ないので、出港の1時間前には港に到着していないと乗れない可能性があるという。正午のフェリーに乗ることを目指し、余裕を持って朝6時半にボケテを出発した。

なかなかハードな道のりだった。山道でカーブが多い上に道路は穴だらけ。滞在していたパロ・アルトも雲霧林の入り口に位置しているため始終霧雨が降っていたが、峠を越えるにはさらに山を上らなければならない。つまり、霧で視界が悪いのである。

アルミランテまでの間、町らしいものはなく、ところどころに集落があるだけ。途中で車の調子が悪くなったりなど何かハプニングがあれば完全にお手上げだろう。

道路にいろんな動物がいて、その度によけて通ったり、

壊れそうな狭い吊り橋を渡ったり、なかなかスリルがある。でも、私はこれまでに夫があらゆる国のあらゆる道路を運転するのに同乗して来たので、今では悪いコンディションにもすっかり慣れてしまったというか、まあ今回もきっとどうにかなるさという妙な安心感があった。

そして、村々を通過しながらの移動は楽しかった。パナマシティを出発してボケテ高原へ行く途中やチリキ県で見た民家のほとんどはビビッドな色のペンキを塗ったコンクリートの四角い家が多かったが、ボカス・デル・トーロ県に入ると高床式の木造や茅葺機の家屋が目につくようになった。物干しロープに干してあるカラフルな洗濯物や、お母さんと一緒に通学中の子どもを眺めながらゆっくりと車を走らせる。ある集落では皆で集まって公共スペースの草刈り作業をしている最中だった。男性も女性もマチェテと呼ばれる山刀をブンブン振って草を刈っている。マチェテは農具として不可欠なのか、道ゆく人の多くがマチェテを手に提げて歩いている。

馬とともに川を渡人たち。後ろの人は右手にマチェテを下げている

幸い何事もなく、フェリー出航の1時間前に無事にアミランテに着いた。アミランテはちょっと不潔な感じの町で、あまり長居をしたい雰囲気ではない。フェリー乗り場の看板を探したが見つからない。現地の自称ガイドが何人も自転車でうろうろしている。外国人旅行者を乗り場まで案内してお小遣いを稼ごうということらしい。

高原から来たので、低地は蒸し暑くてたまらない。水をがぶ飲みしながらフェリーを待っていると、ようやく到着して車が降りて来た。しかし、乗り降り口付近の路上に大きな穴が開いていて、降りて来た車があっさりと穴に嵌まってしまった!

なんとまあ、、、。御愁傷様。それにしても、こうなることは予測できることなのに、穴を埋める気はないのだろうか?この車を穴から出すためにフェリーの出航時刻が遅れることになった。ようやく救済作業が終わり、私たちは穴に落ちないように気をつけながらフェリーに乗り込んだ。

約1時間でコロン島に到着。コロン島はボカス・デル・トーロ県にあると先に書いたが、コロン島にある県都の名前もボカス・デル・トーロ(略してボカス)という。県都といっても人口10万人弱の小さなタウンである。ボケテタウンとは異なり、カジュアルな雰囲気の町だ。ボケテおよびその周辺には少数民族ノベ・ブグレ族(グァイミー族とも呼ばれる)が多く住んでいて、カラフルなロングドレスの民族衣装をよく目にしたが、コロン島ではアフロ系住民が多いらしいことに気づいた。また、ボケテ高原には仕事をリタイアした欧米人移住者がたくさん住んでいて外国人の平均年齢が高めの印象だったが、コロン島はサーファーなど若い外国人が多そうである。観光地として人気上昇中なのが見て取れるが、まだマスツーリズムの波は到達していないようで、大型のリゾート施設などはなく、素朴な感じである。現在は雨季でシーズンオフなので、余計そう感じるのかもしれない。

ここまで来るだけでもなかなかの冒険だった。さて、これから1週間、カリブ海の島暮らしを楽しもう。

 

 

(この記事は以前、他の場所で公開していた2019年6月のパナマ旅行記をリライトしたものです。)

前回に引き続き、私たちがパナマで訪れた野生動物保護施設について。娘がネットで調べたところ、ボケテタウン近隣のVolcánというところにもRaquel´s Arkという保護センターがあることがわかった。ボケテタウンからは車で片道1時間半くらいかかるが、娘が是非とも行きたいと言うので出かけることにした。(結果は行って良かったと思える場所だった)

マップを見ながらたどり着いた場所はこんな場所。左側に民家があり、横の塀にRaquel´s Arkとスプレー書きしてある。ここが動物保護施設?どうやって入ったらいいのかわからない。民家の窓から中を覗くと人がいたので、窓ガラスを叩いた。すると中にいた女性が、ドアは開いているから入って来いと合図するので、建物横のドアを押して敷地内に入った。

ドアを開けるとこのような池があり、その奥がテラスになっている。テラスに向かって進むと、家の中から6歳くらいの女の子が出て来た。スペイン語で「私たちは動物が見たい」と伝えると、女の子は頷いて家の中に入って行った。

そして、まもなく大きなぬいぐるみを抱えて再び出て来た。「はい、どうぞ」とぬいぐるみをこちらに渡そうとする。いや、見たいのはぬいぐるみじゃなくて、、、、と思ったら、えっ?目が動いてる?これって本物?ていうか、これナマケモノじゃないの?

びっくりしていると、オーナーのRaquelさんが出て来た。「よくいらっしゃいましたね。さあ、どうぞどうぞ。ナマケモノを抱っこしてください」といきなり!

予期せぬ展開、なにがなんだかわからない。でも、ナマケモノ可愛い!!今まで何度か野生のナマケモノを目にしたことはあるが、高い木の上にいるので下からフカフカの丸いお尻を眺めるだけで、なかなか全体像を捉えることができなかった。望遠鏡で顔を確認できれば上出来だ。そのナマケモノを間近で見られるだけでなく、抱っこできるとは。ナマケモノは嫌がる様子もなく、腕を絡ませて来る。

Raquelさんが保護しているナマケモノは二匹。私が抱いている方はかなり大きく、ずっしりと重い。もう一匹は小さく、紙おむつを当てていた。「赤ちゃんなんですか?」「いえ、二匹とも同い年で9歳ですが、種類が違うんです。小さい方は雌なので、その違いもありますね。小さい方は今日、ちょっと下痢気味で、それでオムツしてるんです」。「ナマケモノは何年くらい生きるのですか?」「30〜40年生きますよ」

とにかく可愛くてたまらない〜。

他にも動物がいるはずだが、ナマケモノが可愛すぎていつまでも抱っこしていたい。しばらく楽しんだ後、他の動物も見せてもらうことにした。

オーナーの方が二匹のナマケモノを布で包み、ベンチの背もたれに立てかけて置いた。「そろそろ寝る時間だから」。「そうやって寝かせるんですか?」「そうよ」。

ナマケモノを寝かせた後、敷地の奥へ案内してもらった。

初めて見るネコ科の動物がいる。「それはジャガランディ」。光沢のある毛並みが美しい。

家猫のように擦り寄って来た。ジャガランディを撫でていると、ラケルさんが「Don´t touch the jaguar.」と言う。え?え?ジャガーって?と振り返ると、

後ろのフェンスの向こうにはジャガーが!わ、びっくりした。「どういう経緯でジャガーを保護することになったんですか?」「ペットとして飼われていたんですよ。狭いところに閉じ込められていたのをうちで引き取ることになりました」「ペット?ジャガーをペットとして飼うことは違法ではないんですか?」「この国には、それをはっきりと禁じる法律がないのです」。

「それではサル達を見に行きましょう。うちでは若いホエザルとフサオマキザルを保護しています」。サルと聞いて喜ぶ娘。ここではケージの中に入ることができた。

ホエザルの子どもと戯れる娘

娘はエクアドルで主にサルの世話をしていたので、さすが慣れているなあ。と思って眺めていたら、後ろから誰かに髪の毛を引っ張られた。

「ちょ、ちょっと待ってよ、、、」

なぜかやたらと指を舐めたがる。でも、可愛いわ〜。ホエザルはとどろきのような大声で鳴く大型のサルである。以前休暇を過ごしたコスタ・リカのオサ半島では明け方になると怪獣のような恐ろしい鳴き声が森に響き渡った。その体験から、可愛いという存在ではないと思っていた。でも、子どもはやっぱり可愛いね。

夫はホエザル2匹とフサオマキザル1匹にまとわりつかれている。フサオマキザルは夫の頭にシラミがいないか探してくれているようだ。そしてこの直後、夫は彼におしっこをかけられた。笑

その他、ハナグマとアライグマも保護されていた。Raquelさんに「いつから動物保護活動をしていらっしゃるんですか」と聞くと、「もう20年ほどやっています。以前は中南米のあちこちを転々として活動していましたが、6年前からここに定住して保護している動物に尽くしています」と仰った。センター名のRaquel´s Arkはノアの箱舟(Noah´s Ark)をもじったものだろう。

動物保護センターというと専用の敷地や建物があるものだと思っていたので、Raquel´s Arkのように個人の自宅がそのまま保護施設という事実には驚かされたが、その分アットホームで私たちの突然の訪問にも快く対応してくれて感激だった。動物を見せてもらうのは無料だったが、感銘を受けたのでわずかながら寄付金を置いて来た。また、Raquelさん宅はAirBnBを通して部屋も提供している。野生動物と触れ合うことのできる宿なんて最高だよね。

(追記: この訪問から3年経った現在も、FacebookでRaquel´s Arkのページをフォローしている。抱っこさせてもらったナマケモノの他、現在ラケルさんが保護している野生動物についてリアルタイムで知ることができ、いつかまた訪ねていきたいなあと思う日々である)

 

 

 

(この記事は以前、他の場所で公開していた2019年6月のパナマ旅行記をリライトしたものです。)

今回の旅行では娘が滞在地の周辺情報を調べ、行きたいところを連日提案している。この日はボケテタウンに隣接するPalmiraというところにある動物保護センター、Jungla Wildlife Rescue & Rehab Centerを訪問したいと言う。

娘は動物好きで、高校を卒業してすぐ、エクアドルアマゾンにある野生動物レスキューセンター、Merazoniaへボランティアに行っていた。Merazoniaは怪我をしたり密輸されかけ保護された野生動物をケアし、また野生に戻す活動をしている組織で、娘はそこで1ヶ月半、保護されたサルや鳥、ハナグマ、キンカジューなどいろいろな動物の世話をさせてもらった。その経験から、パナマでの動物保護についても知りたいのだという。私も大いに興味があったので、見学に行くことにした。

Jungle Wildlife Center

娘がボランティアをしていたエクアドルの施設は、動物を自然に戻しやすいように施設自体がジャングルの中にあるが、ここは町外れのファームのような場所で、かなり雰囲気が違うと娘は感じたようだ。

建物の中に入ると若い男性が出て来たので、施設を見学させて欲しいと伝える。男性はボランティアスタッフの一人だった。10ユーロを払うと現在保護している動物を見せてくれるとのことで、早速、案内してもらう。どんな動物たちが保護されているのだろうか。

大きなケージではスパイダーモンキーのデイジーとピーターが保護されている。

デイジー

サルのケージには見学者は入ることができず、金網の隙間からピーナツをやるだけ。その他の動物のケージには入らせてもらうことができた。

このアライグマはペットとして飼われていたことがあり、人馴れしている。自然に還してもきっとまた人のいるところに戻って来てしまうだろうとスタッフは説明した。スタッフがドライフードの載ったトレーと水をはった金だらいをアライグマの前に置くと、両手でドライフードを少しづつすくっては水の中に入れて洗って食べていたのが可愛かった。

メガネフクロウ

クロコンドル

トゥーカン

トゥーカンは他の鳥たちと異なり、小さいケージに入れられている。娘が質問した。「この子は野生に戻す予定ですか?」センターのオーナーの女性が「ええ。そうしますよ」と答えると、娘は「飛べるように大きなケージにして、中に枝を置くなど、自然に近い環境にしないのですか?」と突っ込む。「もちろん。この子はたった今、ここに運ばれて来たばかりなの。これからこの子のために良い環境を作りますよ」

キンカジュー

オーナーの女性に案内され、物置小屋の戸をそっと開けると、中にキンカジューが寝ていた。「この子は夜行性で昼間は出かけるんだけど、昼間はなぜかいつもこの物置に入って寝ているのよね。ここが好きみたいで」

この日センターで見た動物たちの他にも、昼間は出かけて夜だけセンターに戻ってくる動物もいると聞いた。また、野生動物の他にもヤギや馬のような家畜、犬や猫もたくさん保護されている。犬は10匹ほど、猫は25匹もいるとのこと。

この馬は目が見えないが、なぜか娘に擦り寄って来た。

この犬も目が見えない。でも、他の犬と元気にじゃれ合って、楽しそうにしている。犬や猫は広い敷地の中で放し飼いになっていて、自由気ままだ。

センターのオーナーの女性はアメリカ人で、動物たちの世話はボランティアスタッフが支えている。保護されている動物たちの多くは怪我をして飛べなくなっていたり、目が見えなかったりと問題を抱えているが、よくケアされていて幸せそうだ。この動物保護施設にはとても良い印象を持った。

次の記事では、翌日見学したもう一つの動物保護施設、Raquel´s Arkを紹介する。