(この記事は以前、他の場所で公開していた2019年6月のパナマ旅行記をリライトしたものです。)

滞在している場所からそう遠くないところにコウモリの棲む洞窟があることがわかったので、行ってみた。

コロン島は長さ13.6km、幅7.2kmの小さな島だけれど、道路が穴だらけで穴をよけながら運転しなければならない。また、コロン島に限ったことではないものの、犬がとても多く、必ずしも野良犬ではないが基本的に放し飼いになっていて路上をたくさんの犬が歩いている。そんなわけで、ちょっと移動するにも結構時間がかかる。

洞窟の看板があった。自然保護のために一人1ドルの入場料を払ってくださいと書いてあるが、受付は見当たらない。道路を挟んで向かいの民家からおばさんが出て来て、「洞窟?一人1ドルね」と言うのでお金を払った。「懐中電灯、ある?なければ貸すけど」「持って来ました」「中に入ってぐるっと回ると出口があるからね」。

洞窟は鍾乳洞で、下には水が流れている。

中から外を見るとこんな感じ。最初は岩づたいに進もうとしたが、ぬるぬるしていてとても滑りやすく、危険だ。諦めて水の中を歩くことにした。靴が濡れてしまうがしょうがない。でも、水は綺麗で不快さはなかった。

洞窟に入って数メートルのところで立ち止まり、頭上を見ると、

いるいる!小さめの黒いコウモリだ。

コウモリは窪んだ場所に集まっているようだ。この写真は現像の際に明るくしたので、肉眼ではこんなにはっきりは見えない。黒い塊があるなというくらいである。

野生のコウモリは何度も見たことがあるが、洞窟の中で見たのはこれが初めて。私たちの住むドイツにもコウモリがたくさん生息していて、南ドイツのカルスト地形の洞窟など、コウモリの寝ぐらになっている場所が少なくないが、コウモリの冬眠を邪魔しないように冬眠の時期には洞窟が立ち入り禁止になることが多い。コロン島のこの洞窟は年中入れるようで、熱帯だからコウモリは冬眠をしないのだろうか?ときどきコウモリがバサバサバサと飛んで、顔の横をかすめていく。寝ているところを私たちが起こしてしまったかな。

洞窟の中は蛇行しているが全長は100メートルちょっとだろうか。入り口と出口のあるトンネルのような洞窟だった。出口の少し手前に来ると、おびただしい数のコウモリがぶら下がっていた!

これはすごい、、、、。野生のコウモリを間近で数匹見られるだけでも十分だと思っていたので、ここまでの数は期待していなかった。

あとで調べたところによると、コロン島には13種ほどのコウモリが生息している。ところで、コウモリは狂犬病ウィルスに感染している場合があるので注意が必要だ。自然の中を歩くことが好きな私は破傷風などのワクチン接種を定期的に受けていて、初めての国へ行く際には、追加で受けるべきワクチンがないか確認している。

洞窟の周辺には動物に齧られた植物の実がたくさんあった。何の植物かわからないけど、食べかすが洞窟の中にたくさん落ちていたので、きっとコウモリが洞窟に入る前に食べたのだろう。

ミステリアスな洞窟を通り抜ける体験は面白かった。しかし、マジカルなパナマの自然体験はこの後もまだまだ続くのである。